往復ビンタをしたことがありますか?
 成人してからです。
 相手の胸ぐらを掴み、振り回し、往復ビンタ。

 わたし、したことがあるそうです。
 光田さんの頭の中では。

 いや、前の日記読み返しててね。
 光田さんのエピソード、他にも思い出しちゃったのよー。

 あるとき、光田さんがわたしに言った。
「緑野ちゃん、前にわたしをビンタしたよね」
 はあっ?
 なんのことっ?!
「いきなり胸ぐら掴んで振り回して、それで往復ビンタしたのよね。とってもこわかったし、つらかったわ」
 ちょ、ちょっと待て、なんなんだそれは。
 おぼえがないぞっ。
 つーかわたし、生まれてこのかた、往復ビンタなんかしたことないっ。

 問いただしてみると、彼女の語る出来事はたしかにあった。
 あった……が。
 往復ビンタではない。

 あるとき光田さんがいつもの調子でぬけがけをした。
 それをわたしを含め、クラブのみんなは怒っていたのだ。
 これはいったいどーゆーことなのか、光田さんにきっちり聞かなければっ!! と、わたしたちは部室で光田さんを待ちかまえた。
 そして、なにも知らずに「おはよーっ」とやってきた光田さんに証拠を突きつけ、「これはいったいどういうこと? 説明しなさいよ!」と詰め寄ったのだ……。

 そのときのことが、光田さんの頭の中で自動変換されているのだ。
「いきなり胸ぐら掴んで振り回して、それで往復ビンタしたのよね。とってもこわかったし、つらかったわ」
 と。

 あんたがおイタをしたから、みんなで叱ったんじゃん……。

 口で叱っただけで、誰ひとり暴力なんかふるってない。
 しかし彼女はそんな事実はまったくおぼえてない。
 ついでに、他にたくさん人がいたことも、おぼえてないない。
 彼女のなかでは、わたしひとりが往復ビンタをしたことになっている。

 たぶん、彼女はクラブのみんなに叱られたのがこわかったんだね。なんで叱られるのか、わかってないみたいだったし。
 そのなかでも、自分の超仲良しでなにをしてもかばってくれる、ゆるしてくれる、やさしいダーリンの緑野までもが、自分を叱ったという事実が、ショックだったんだね。
 それで、変換しちゃったんだね。
 緑野に殴られた、と。

 そんなことはしていない。それはあんたの憶えまちがいだ。あのとき部室にいたダイコやヤマダさんに聞いてみろ、と、わたしがどんなに説明しても。
 光田ちゃんはなまあたたかく笑い、
「いいわ、緑野ちゃん。緑野ちゃんがそこまで言うなら、そういうことにしておいてあげる」
 をい。
 往復ビンタなんてひどいことをした友だちをゆるしてあげる、やさしいワタシ、てか、光田!!
 やってないって言ってるだろーっ?!!

 光田ちゃんの必殺技。
 脳内変換。
 いろんなことが、彼女の中では変換されている。

 そーいや光田さんは出会ってからしばらくは、わたしのことを「ワカさん」と呼んでいた。
 どっからワカさん?? わたしの名前、そんな音は関係ないです。
 理由を聞いても、「緑野さんってなんか『ワカさん』って感じだから」としか答えない。
 「ワカ」って、「若様」とかじゃなく、なんかの固有名詞っぽかったのよ……しかもクラブにはもうひとり「わかちゃん」って渾名の子がいたから、わたしを「ワカさん」と呼ばれるとややこしくてこまったんだが。

 今思えば、きっとなにか、マンガとかのキャラクターの名前をつけられてたんじゃなかろーか。

 

思い出話。

2002年8月29日 その他
 わたしは過去に一度だけ、自分から絶交をしている。
 あ、この一度だけ、てのはあくまでも、「同性の友人」限定。ここに恋愛とか男とかを入れるとややこしくなるから、「過去に一度だけ、同性の友人を自分から絶交した」という意味っす。

 元来忘れっぽく、のど元を過ぎたら熱さを忘れる性格なので、多少「こいつとはもうダメだ!」と思っても、またなにかしらその人のいいところとか見ると「ま、いっか」と思ってしまう。
 そして、よいところのない人なんてこの世にはいないから、たいていの人とはこうやってつづいてしまう。

 だが、唯一「こいつとはオサラバだ! こいつにどんないいところがあったって、二度と会いたくねえ!!」と思った相手が光田さんだ。

 光田さんは、学生時代の友人だ。
 クラブが一緒だった。
 変な人だなとは思ったけれど、個性だと思って深くは考えなかった。

 光田さんと会うと、話すと、いつもわたしは悪者になる。いつも、気が付いたら謝っている。
 たとえば、光田さんから電話がかかってくる。
「あ、緑野ちゃん? お願いがあるんだけど。**っていう本、貸してくれない?」
「うん、いいよ。明日学校に持っていくね」
「ありがとう。でも**って本、分厚くて重いよね。持って帰るの大変だなあ」
「そうだね」
「緑野ちゃん、わたしの家まで持ってきてくれない?」
「はあ? それはちょっとできないよ。光田さんち、遠いし。明日学校で会うから、そこで渡すよ」
「でも**は重いのよ。わたしの家は遠いから、持って帰るの大変なのに。緑野ちゃん、ひどいわ」
「ごめん、でもさすがに++市までは持って行けないよー」
「緑野ちゃん、冷たい。ひどい」
「ごめん」
 ……てな感じだ。
 わたしが謝る必要はどこにもないんだが……気が付くと謝っている。
 そして、
「もういいわ。緑野ちゃんがそこまで言うなら我慢してあげる」
「ありがとう。ほんとにごめんね」
 というオチがつく。
 そして電話を切ったあとで「あれ? なんでわたしが謝ってるんだ? わたしは光田さんのためにわざわざ重い本を持って学校まで行くんだぞ、光田さんが読みたいって言うから」と首をひねる。

 いつもこの調子だ。

 光田さんに悪気はない。彼女はナチュラルにこういう人だった。

 友人のミヤビンスキーは、あるとき光田さんにお弁当を作って届けていた。
 女の子が、女の子の友人に手作り弁当? それも自分のを作るついで、ではなく、わざわざ光田さんひとりのためだけに。
 なんでそんなことするの? と聞くと、ミヤビンスキーは首をひねっていた。
「よくわかんないけど、電話で話しているうちに、あたしがお弁当作って届けることになってた」
 …………んなバカな。

 WHITEちゃんは「光田さんと話すと、別れるときには必ずなにかしてあげる約束をとりつけられている」と首をひねっていた。

 光田さんは自分しか見えない人だった。
 そりゃもー、あっぱれなくらいに。
 はじめて会うタイプの人だったので、わたしはとてもびっくりした。

 出会って間もない学生時代に、わたしは一度キレかけたことがある。
 光田さんのわがままのためにクラブの話し合いが頓挫し、みんなでこまりきっているときに、光田さんがこう言ったからだ。
「なにをつまらないことを言ってるの? みんなの都合なんかどうでもいいからわたしの言うとおりにしてよ。みんながわがままだから、わたしはとても迷惑だわ」
 部長をしていたわたしは、部室のテーブルをひっくり返しそうになった。
 この女、ハタチにもなってなにをぬかしとんじゃあ、表へ出ろ。
 ……それでもこらえてしまったのは、とりあえず部長だったからだ。ここでケンカをしてもしょうがない。
 あとで他の子から、「緑野さっき、キレかけたね」と突っ込まれた。
 うん、マジギレ寸前だった。だけど光田さんはかけらも気づいてない。彼女は自分の不幸(みんなのわがままを我慢してあげるのって大変。わたしって可哀想)で手一杯だった。

 まーとにかく、光田さんには引っかき回されつづけた。

 わたしは光田さんに気に入られていた。
 アホウで利用しやすかった、というのも理由のひとつだろう。
 そしてもうひとつの理由はとても情けないのだが、わたしの体格のせいじゃないかと思う……。
 わたしは、光田さんの好きなマンガの男の子と、同じ身長だった。
 光田さんはなにかとわたしと腕を組みたがった。
「kkくんと腕を組んだら、こんな感じなのね」
 光田さんは抱擁や手を握るのが大好きだった。わたしは女の子に抱きつかれてもうれしくないので、逃げ腰だったが、ヘタに断ると「緑野ちゃん、ひどい!」「聞いてみんな、緑野ちゃんがわたしをいじめるの!」とやられるので、ある程度は我慢していた。
 まあ、光田さんは美人なので、なつかれるとそれなりに情もわくんだが……しかしなあ。わたしゃ、女の子と疑似恋愛する趣味はないんだ。わたしを彼氏扱いされてもこまる。

 
 光田さんのことをこまったちゃんだと思っているのは、わたしだけだろうか。
 当時、わたしは悩んでいた。
 はきっり言ってあいつ、ムカつく。つきあうのはしんどい。
 でもこう思ってるのって、わたしだけ?
 光田には友だちが多い。みんな上にバカがつくくらいやさしいいい子たちばかりだ。
 あのやさしい子たちは、光田さんのわがままを笑ってゆるしている。あまやかしている。
 わたしが光田さんを「なんかヤだな」と思うのは、わたしがやさしくないから? わたしが嫌な奴だから?
 そう思うと、なにも言えない。

 実際光田さんは、誰かに傷つけられると泣きながら電話をしてくるのだ。
「聞いて緑野ちゃん。タンタンちゃんったらひどいのよ、わたしは悪くないのに……。ねえ、慰めて。このままじゃわたし、哀しくて眠れない」
 いやあ、マンガでもドラマでもなく、泣きながら電話をしてくる奴に会ったのは、20年生きていてはじめてだったから、カルチャーショックだったよ。「慰めて」だもんなあ。
 おかげであのころのわたしは、ひとを慰める語彙を勉強したよ。あまりにしょっちゅーかかってくるもんで。

 
 そしてあるとき。
 光田さんがいないとき、友だち全員で話す機会があった。
 そのときに発覚したのだ。

「光田さんって……ひどいよね?」

 みんなみんな、光田さんをこまったちゃんだと思っていた。思っていたけど、「こんなのわたしだけかな。陰口は言いたくないし、みんなは光田ちゃんと仲良くしてるんだから、わたしが我慢しなきゃ」と全員が思っていた……。
 みんな、オトナだね……。そして、いい人だね……。
 光田ちゃんを変だと思わずに、誰かのことを変だと思うわたしが変なんじゃないだろうか、と悩むあたり。

 みんなも同じ想いだった、変なのはわたしではなく光田さんだった!
 わたしたちは、熱く熱く語り合いました。
 それまで話せなかった数々のことを。
 そして、友人たちの口からも、光田さんにされたひどい仕打ちがいろいろと打ち明けられました。
 ……大変だったね、みんな。
 

 さて。 
 わたしはつい数年前まで、光田さんとはつきあいがあった。
 お互い社会人になってしまえば、会う時間が減るので、彼女が多少イタタな人でも実害が少なくなったからだ。
 もちろん彼女にもいいところはたくさんあったので、そのいいところを目にするたびに「あのことはまあ、忘れることにしよう」と、イタタな仕打ちをされても流してきていた。

 光田さんも社会に出て、丸くなってきていたし。

 が。
 あるときついに、わたしはキレた。
 やっぱり光田さんは光田さんだった。出会ったときからずっと、本質は変わっていなかった。多少トシをとって丸くなっていたとしても、「腐っても光田」だった。

 わたしはにっこり笑って、絶交した。
 さようなら光田さん。

 もうわたしはなにも知らないハタチの小娘ではないのです。
 もしあなたが「緑野ったらひどいのよ、わたしが可哀想」と騒ぎ立てたとしても、関係ないっす。
 わたしが大切だと思う人は、わたしの言い分の方が正しいと信じてくれる人ばかりだよ。あなたがなにを言ったとしてもね。
 そーゆー人間関係を築いてきたつもり。

 つーか、あなたが素っ頓狂すぎるのよ……もし、悪いのがわたしだったとしても、もう誰もあなたの言い分を信じないって。
 

 実は今、わたしは友人のCANちゃんの会社でアルバイトをしている。
 本業が忙しくて、バイトをしている暇はないはずだが、CANちゃんにはいろいろ世話になっているし、大好きな友だちだから、こまっているときは手を貸したい。

 CANちゃんとふたり、仕事をしながらいろいろ話していると、その光田さんの話になった。
 CANちゃんはまだ多少光田さんとつきあいがあるらしい。
「相変わらずだよ、光田さん」
 CANちゃんは笑って言う。

 そういやCANちゃん、わたしたちハタチのころ、やっぱりこうやってふたりで働きながら、光田さんの話してなかった?
「ああ、そういえばそうだねえ。光田はとにかくものすごかったから、笑い話は尽きなかったね」

 光田さんもわたしたちも、変わってないね(笑)。


 今日はCANちゃんの会社でアルバイト。

 自由業で自宅で仕事をしているわたしは、時間だけは使い放題。〆切間際でさえなければ、呼び出されればどこへでも行く。腰は軽いよ、わたし。
 てことで、前日の夜に頼まれ、ひょいひょいとミナミまで。
 CANちゃんとこでバイトするのはこれで2度目。依頼は唐突だけど、そんなのぜんぜんOK。

 前に一度、CANちゃんからの依頼を断ったことがある。そのときは、仕事の〆切前で切羽詰まってたのね。
 だけど、そのときのCANちゃんからの依頼内容、ものすごーく魅力的だったのよ。
 なんと「ビデオ出演」!!
 CANちゃんの会社って、ビデオの制作もしてるんだよね。企業向きの。
 「30代で、所帯臭くない素人女性」が必要だったんだって(笑)。
 やりたかったよ、ビデオ出演(笑)。
 お金云々じゃなく、経験したかった、撮影とかそーゆーの。仕事に役立つかもしれないから。
 断るのがつらかった……〆切さえなければ、絶対引き受けてたのにー。わたしみたいな一般的な顔した人間が、そーゆーものに出られることなんてまず一生あり得ないのにー。
 唯一無二の機会を逃しました。
 「次の機会にぜひ」とCANちゃんにはお願いしてあるが、もう二度とそんな話はない。ちぇーっ。

 そーいやBe-Puちゃんも、前の職種のときは、仕事の人手が足りないときはわたしに言ってきてた。「明日手伝って!」と。わたしはふたつ返事で出掛けていく。
 Be-Puちゃんとおそろいの白い割烹着姿で、「いらっしゃいませ!」をやってましたわ。1日にちまきを500本だか巻いて、手が死んだな……。(すげー肉体労働だったよ)
 繁忙期だけ、イレギュラーで日雇いされるわけだ。
 いつだったか、Be-Puちゃんより先に職場に到着して、シャッターの閉まった店の前で同人誌の原稿やってたことがあったなー。そうそうあれは、『Crossroad』の原稿だった(笑)。「知らない男の子が店の前に坐ってるからおどろいた」などと、よくわからんことを言われたっけ。誰が知らない男の子だ、わしじゃ、わし。それともあれは、やほひ原稿やってたわたしへのイヤミ?(笑)

 販売業は好き。お客さんと話すのがたのしいから。「ありがとうございました」って言うのが好き。

 もうずいぶん、外で働いてないなぁ……。

 CANちゃんから、トドコンのチケットとCSのビデオテープをもらう。
 わーいわーい。ケロ×トウコの対談〜〜。

 バイトが終わった後は映画を見て(『スターウォーズ・エピソード2、吹き替え版』。わたし、スターウォーズのファンでもマニアでもないんで、コメントは控えます)、弟と待ち合わせして、ふたりでごはん。

 それにしてもわたし、ほんとにミナミってよくわからない……。キタ育ちだからさ。
 バシ筋を基点にしないと、位置関係がわからないのよ。

 
 Be-Puちゃんがビデオテープを持って現れた。友人のためにダビングして欲しいのだそう。

 昨日の今日なので、ワゴンねーちゃんから聞いた話をする。
 うんうん。
 いろいろ話したついでに、ワゴンさんの職場の人に、わたしのスタイルが誉められた話をした。
 するとBe-Puちゃんは速攻で返してきた。

「顔のことはノーコメントだったのね」

 ………………。
 ナイスつっこみだ、Be-Puちゃん。

 でもな、友だちなら、そこをつっこんじゃいかんだろ?
 な?
 めったに誉められることのないさみしー女が、無邪気によろこんでいるのにな。
 それを、叩きつぶさなくてもな?(笑)

 ええ。
 顔のことはノーコメントですわ。
 つーか、顔の美醜について口に出したら、それはもう誉め言葉にはなりようがないでしょうからなっ。

 
 一度UPした日記は、書き直さない。
 誤字脱字は恥ずかしいので、直すけど、内容は直さない。
 それがMYルールだったんだが、今回限りは書き直そう。
 やっぱり、恥ずかしかったので(笑)。
 誰か読んだかな。
 この日記のカウンターってどこまでほんとかわかんないからなー。
 誰も読んでないことを祈ろう。

          ☆

 さて。

 わたしは、ふつーに恋愛してふつーに結婚したいと思っている、ふつーの女だ。ふつーに子どもも欲しい。
 そんなわたしに、オレンジは言うのだ。
「オレは結婚する気がしないから、緑野にもして欲しくないって、黒い祈りを捧げてたんだけどさー」
 オレンジは「オレ女」だ。自分のことをよく「オレ」と言う。とくにふざけているときの一人称は「オレ」だな。普段は「私」か「アタシ」だけど。
 黒い祈りだと?
 ちょっと待て、そんな不吉な祈りを捧げていたのかお前?!
「でも、そんな祈りなんてもん、存在しないよね」
 そう、その日の話題で、「とあるHPの日記」がでていた。オレンジがよく読みに行っている人の日記で、「この世には呪いなんか存在しない。もしも呪いが存在するなら、理事長が無事でいるわけがないのだから」というよーなことが書いてあったらしい。
 この「理事長」ってのは、某歌劇団の某理事長で、その日記を書いている人は某歌劇団のファンらしい。オレンジは某歌劇団のファンではないので、そのへんよくわからないらしいが、日記を書いている人は、某歌劇団のなんらかの人事に激怒していたらしい。
 この世には、呪いなんていうものは存在しない。その証拠に、某歌劇団100万人のファンの怒りが呪詛となっていても、某理事長の身には届いていないでしょ? という意味。
 そのことをさして、オレンジは言うのだ。
「この世に呪いも祈りもあるわけないよねえ。今まで、緑野が結婚できないのはオレの黒い祈りのせいかも、とかちらりとは思ったけど、そんなわけないよね。呪いに効力がないのは、理事長が無事なことで証明されてるわけだし」
 オレンジは悦に入った声で言う。
「だから、緑野が結婚できないのは、緑野個人のせいだね。緑野自身が甲斐性ナシだからだ」
 なんだとぅ?!

「ちがうわっ、あんたのせいよ。あんたがそんな黒い祈りを捧げているから、それでわたしが結婚できないのよっ!」
「ちがうねー。オレの祈りなんか効力ないもーん。あんたがモテないのは、あんたのせいだ〜〜。そーかそーか、甲斐性ないよな、緑野は」
 しししし失礼なっ!!

「オレはべつに結婚したいとか思ってないけど、緑野はしたいと思ってるのに、できてないんだ」
 うるさいっ。

 そのうち結婚して、甲斐性を見せつけてやるぞ。
 そのうちな。
 そのうち……生きてるうちには。
 わたしは100まで生きる予定だから、いつか、そのうち。
 100までには。
 たぶん。
 きっと。

          ☆

 そして、今日。
 今日はよーやく、本格的に仕事スタート。
 がんばらなければ。

 
 今日もまた、まちがい電話で起こされた。

 まちがい電話が多いのは、圧倒的に月曜日の午前9時から10時くらい。
 わたしにとってそのあたりの時間は、まちがいなく睡眠時間である。生活習慣が世間様と6時間ほどズレているのだ。
 ズレているわたしが悪いと言えば悪いが、わたしがひとりでこっそり朝寝をしていたって、世間様に迷惑はかけていない。
 いちばん悪いのはまちがって電話をかけてくる、うっかりさんたちだろう。はっきり言って迷惑だ。

 そう。
 かかってくる電話はいつも、某旅行代理店宛の電話である。
 うちと番号が似ているのさ。
 つーか、うちの番号の方が、きれい。ゴロがいい。
 そのせいか? みんながんがん、まちがえやがる。
 月曜日の午前中に集中しているのは、どうやら土日の新聞に、広告を載せているためらしい。

 まちがい電話をする人の多くは、自信満々だ。
 自分がまちがっているなんてことは、カケラも考えない。
 不思議だ。
 わたしなんかは「ちがいますよ」とひとこと言われたら、反射的に自分のミスかもしれない、と思う。謝ってしまう。
 ええわたしゃ、道でぶつかられても反射的に謝っちゃう人だからさ。
 自分がそうだから、そうでない人というのが、新鮮である。
 明らかにまちがっているのに、それを認めず怒り出す人とか。
 いや、あなたがどんなに怒っても、あなたが自分でまちがえたんですよ。だってわたし、某旅行代理店の人じゃないもん。ここはわたしの家。某旅行代理店が今の番号にする前から、使っている電話番号。
「なんでちがうのよ?!」
 と怒られてもなあ。広告の電話番号もまちがってない以上、まちがえたのは電話をかけたあなたです。

 あまりにまちがい電話が多いので、統計でも取ったら愉快かもしれない。
 日を変えて同じ人からかかることはまずないから、公平な結果が期待できる。
 こんなことなら10年前からやればよかった。……たぶん、迷惑を被るようになってから、それくらい経ってる。

 気分や体調が悪いときのまちがい電話は最悪だし、相手が逆ギレ系の電波さんだと毒にあてられてキツイが、それ以外ではわたし、けっこーまちがい電話に寛容だと思う。
 基本的に、人と話すの好きだから。
 接客業、長かったしね。
 テレフォン・オペレーターも長年やってたからな。
 まちがい電話の人と、そのまま世間話に突入したりとかな(笑)。そーゆーの、けっこう好きよ。

 電話を取った瞬間、相手はわたしの声なんか無視して喋りはじめる。
 わたしはちゃんと名乗ってるんだがな。向こうは聞いちゃいねえし、名乗りもしない。
 こちらを旅行代理店だと信じているからだ。
 ひたすら、広告にある番号を読み上げはじめる。
 予備知識のない人がこんな電話受けたら、びびるだろーなー。こっちが喋ってるのも聞かず、一方的に数字を読み上げる電話だよ? 事情知らなかったらこわいって。
 相手は広告のパック旅行の申し込みコードを読み上げるのに必死だ。それをなんとか遮って、「ちがいますよ、うちは**交通社じゃありません」と言うのが、けっこー大変。みんな聞かないから。
 うん、わかるのよ。申し込みでまちがっちゃいけないから、みんな数字を確実に読むことだけに神経使ってて、耳はお留守になってんだよね。
 わかるから、何度もチャレンジ。あなたが今行っている労力は、まったくの無駄なんす。早く気づいてください。
 聞く耳さえ持ってくれれば、「えっ、ちがうんですか?!」という驚愕のあと「すみません」で電話は切れる。
 これが一般的。
 まあ、最後の「すみません」がないものも、3分の1くらいはあるかな。
 そして、10本に1本くらいは、「えっ、ちがうんですか?!」のあとに、オプションがつく。
 「なんでちがうのかしら。えーと、****−****……」と、番号確認。ここで、自分がまちがえたと確実に認識している人は半数くらい。自分のミスを顧みるために番号確認する人と、「おれは悪くない。悪くないのになんでちがうんだ」と他者に対してクレーム態勢になる人。
 前者の人は、「よくまちがわれるんですよー」「すみませんね、ほんとに」「いえいえ」なんて会話でなごやかに終わる。たまに長電話に突入(笑)。
 問題は、後者だ。
 自分は悪くない、と信じ切っているから、わたしが悪者になる。
 わたしが嘘を付いている、もしくは、勝手に旅行社の電話をジャックして混乱させようとしいる、とでも思っているのかな。そんなことありえないっていうか、してどうするんだ、って思うんだけど。

 実はこーゆー人の電話がいちばん、おもしろい。あ、もちろん不愉快は不愉快だけど。

 だって言ってること支離滅裂だからねえ。
 「まちがえたのは自分」ということさえ認めたら、世界はクリアー、とても住みやすいものになるだろうに。
 「自分はまちがっていない、まちがっているのは世界の方だ」と信じているし、主張するから、論旨が破滅する。

「なんでちがうんだ、この番号は**交通社だろう!」
 ちがいます。
「なんでちがうんだ、番号は****−****だろう!」
 ちがいます。
「なんでちがうんだ!」
 おまちがえだと思います。
「お前の番号を言え!」
 あなたのおかけになった番号ではありません。
「なんでちがうんだ!!」
 堂々巡り。

 なんで、じぶんがまちがったって、思いつかないんだろう?
 体調さえ良ければ、とりあえずこーゆー電話にも最後までつきあうことにしている。
 テレオペ歴長いからね、とても流暢に温厚に、やさしい声を心がける(笑)。

 わたしを疑っていることがありありとわかる人が、愉快っすね。
 いったいどういう背景で、わたしは「**交通社の客が電話をするのを妨害している者」ということになるんだろう?
 産業スパイ? ライバル会社のまわし者?
 ひょっとしたらこの電話の人は、こういういやがらせを他人からされる心当たりがあるのかも知れない。
「おれはたしかに**へ電話をかけた。おれはまちがっていない。なのに変な女が出て来て、『**ではない』と言い張る。これはなんの陰謀か? おれに恨みを持つ奴が、おれの家の電話に細工をしている?!」
 うーん、スペクタルっすねー。

 もちろん、わかってますわよ。
 そーゆー毒吐きさんたちは、とにかくなんでもとりあえず噛みついてみせるだけで、そこまで考えちゃいないことは。
 わかってるけど、彼らの言い分を「正しい」とするなら、そーゆースペクタルな世界に突入するもの。
 それを考えるのよ。

 つーか、そーでもしないと、ほんと迷惑なだけだもん、勝手にまちがえて、勝手に噛みついてくる人たち。

 そうそして、この逆ギレ系の人たちの共通項。
 勝手に喋りつづけるくせに、会話の途中(本人の会話含む)でも、勝手に電話を切る。
 わたしの話を聞かずに切る、ならまだわかるけど、自分も喋ってる途中なのに、いきなり「ガンッ」と切るのよー。
 いったい普段どんな人間関係構築してるんだろ。

 あ、今日のまちがい電話さんは、いたってふつーの人でした。

 
 今日はライス氏と通天閣へ。

 いや、ライス氏が新世界を見たいって言うからさ。
 とくに見るモノもないんだけどな。東京の人には目新しいのかな。

 わたしは大阪生まれの大阪育ちだが、通天閣には何度も上ったことがある。
 とゆーと、大抵の大阪人には、おどろかれる。
 ふつー大阪人は、通天閣に上らない。あんなもんわざわざ金を出して上るのは観光客だけだ、と言う。
 通天閣を見たことがない、という人もけっこーいる。
 だがわたしは、子どものころから何度も上っている。
 ええ。わざわざ金を出してね。

 今は亡き祖父が、新世界界隈の人だったのだ。
 彼が若いころを過ごした町、というんで、子どものころからよく連れてこられた。
「おじーちゃんはこの辺に住んどったんや」
 と、無口な彼はそれだけを言う。
 青春時代をたどる意味でか、どんな想い出があるのか、94歳で逝った祖父は、動ける間はなにかとこの町に遊びに行っていた。

 そのため、新世界はまったく知らない町でもない。
「新世界? こわいところなんでしょ? 女の子は行っちゃいけないって言われてるよ?」なんて、学生時代の友人たちは言ってたなあ。
 そんな、大袈裟な(笑)。たしかにこわいところなのかもしれないが、観光客が歩くくらいは平気だよ。通天閣は夜景もきれいだよ。
 通天閣の上にいる、幸運の神様ビリケン様に、願い事をしにいこう。足の裏を触って、手を合わせるのさ。

 大した案内はできなかったが、ライス氏は新世界からでんでんタウン経由なんばで、東京へ帰っていった。

 そして夜。
 プレステ2のメモリーカードが壊れたことがショック。
 わたしのプレステ2は、発売日に買った「1234」スタンプ付きのシロモノ。ええ、外国製DVDも見れちゃう初期ロット。
 壊れたメモリーカードとは、DVDデータの入ったモノだったのよー。わーん、どーしよー。

 
 同人誌が届く。

 聞いていたとおり、印刷悪いなぁ。
 もしわたしが作った本ならば、ゆるさないだろー汚さ。だってこれ、お客さんから「乱丁本なので交換してください」って言われそうなくらい、印刷ずれてるよ?
 かねすきさんの本だから、彼女が「印刷汚くても、安かったからいい」と言うのなら、それはそれでよし。

 台風で延期になっていた、仕事の打ち合わせリベンジ。
 まだどーなることかわからないが、とりあえずスタート。
 担当のライス氏とは、仕事の話そっちのけでえんえん喋る。結局4軒ハシゴした……しかも、FIVEの赤い観覧車経由……。はじめて乗ったよ、あの観覧車……。

 初対面からライス氏はわたしにこう聞いた。
「あなたは作品を書くとき、自分の書きたいモノを書く? それとも、上から言われたように書く?」
 これはなかなか、逃げ場のない質問だ。
 作品への情熱を問われているのか、それとも、職人としての柔軟性を問われているのか。
「あなたの本を1冊読みました。あれは、書きたくて書いた? それとも……」
 書きたくて書きました。ええ。恥ずかしいほどの情熱でもって、書きました。
 今まで、書きたいモノしか、書いてません。
 でもそれで、ダメだったんです。今現在、失業中なんです。
 正直に、ありのままを答えましたさ。
 そしたらそれで、よかったらしい。
「上から言われたままを書くライターは、必要ないんです。緑野さんは、緑野さんの作品を書いてください」
 書くことへの情熱を。貪欲なオリジナリティーを。ライス氏はそれを重視する人だった。
 わたしの文体は「重すぎる」そうで、それは彼的には相当イケてないらしい。文体についての不満はあるが、スピリッツは買う。とにかく一度書いてみろ。……そんな感じのことを言われる。
 ライトな文体なあ。わたしには、なかなかに難しいかもしれん。

 ライス氏は編集者、わたしは作家としての立場で話すので、くいちがうこともたしかにあるが、ふたりの目的はひとつだ。「いい作品をつくる」。
 うん。わたしは今、心から仕事がしたいんだ。ふてくされて、ひきこもりしているのは、もうあきたよ。

 ところで。
 かっぱ横町のHenry(つづりがわからん)が、とても心地よかったぞ。料理もおいしいのだが、なにより、スタッフの雰囲気がいい。
 店長さんらしき男性もにこやかで、フレンドリー。ウエイトレスのお嬢さんも、きれいでやさしい。食べているときの心配りが、実に気持ちよかった。
 それだけでも十分ポイント高く、ライス氏もご満足の様子。この店を紹介したわたしも満足。
 だがさらに。
 お勘定のときにライス氏が「お金足りるかなぁ?(笑)」とつぶやいたら、ウエイトレスのお嬢さん、にっこり笑って。
「汚れたお皿がたっぷりありますから、労働で払っていただければいいですよ(はぁと)」
「あ、それならそうしようかな」
「そうしてください、厨房は暑くて死にそうなんです。よろしくおねがいします(にっこり)」
「…………お金で払います」
 清楚できれいなお嬢さんなのに、すかさずこう返すか。いやあ、大阪はいい街だ(笑)。

 

リセット。

2002年6月18日 その他
 びっくり。
 カウンターとんでますがな。

 はじめての経験(笑)。
 なんでこういうことが起こるんだろ、そして何番までいってとんだんだろ、その場合、0からやり直しになったのかしら、とか、疑問いっぱい。

 やっぱ0からやり直し?
 だとしたら、それも変。

 わたしが最後に見た数字は、「491」で、朝の6時頃。
 次に見たのが昼の12時ぐらいで、数字は「12」。

 6時間の間にリセットされて、すでに11人がこのページに来たってこと? もしくは過去ログを調べたりして、カウンター回しちゃったのかな。
 いきなり11もカウントされてるのは、変。誰がそんなにここへ来てるのよ?(笑)
 老後の楽しみのために書いておくと、1日に回るカウンターは、平均7ぐらいです。多少前後するけど。
 たまたま新着コーナーにあがってたとかの、出会い頭の事故で来てしまい、「なーんだ」って帰る人がほとんどだと思うんだけどな。

 そういやいつだったか、いきなりカウンターが50くらい回ってたときがあったな。
 あれはなんだったんだろ。

 この日記を読んでいる人なんて、ほとんどいないし、カウンターなんてあっても意味をなしてないのだけど。
 それでも、リセットされてると、びっくりだわ。

 わたしのせいじゃないよね?
 わたし、なにもしてないよね? ね?

 今日は真面目に原稿書き。
 ナイスリーはいい。問題はビッグ・ジュール。書きにくいよ、こいつ。

 ワールドカップは、日本負けちゃったね。
 アンチなパパがうざいので、ママンがわざわざわたしの家にやってきて、ふたりでテレビを見ました。
 昨年の10月に、イタリアに行った。
 テロが起こってから、半月ほどだった。ベネチアとフィレンツェの2都市だけだったんだが、ベネチアは日本人がほとんどいなくてびっくりだったよ。
 そしてフィレンツェは、警官だらけでおどろいた……。

 行ったのは、去年の10月。
 今は6月。

 ああ、なのに。
 今ごろになって、できあがった写真を見せ合うために、集まるわたしたち……。

 のんきすぎるっつーの。
 半年以上も前の写真を、今ごろ。

 「イタリアに行くぞ!」ということで、にわかに集まったメンバーだから、生活に接点がなくて。なかなか、集まれなかったんだよなあ。

 4人で行ったのだけど、全員誰かとは初対面。わたしはキティちゃんとミジンコくんとは友だちだけど、フクスケさんとは初対面、ミジンコくんはわたし以外の人と初対面、というふうに。
 わたしはイタリア3回目だし、キティちゃんとフクスケさんは2回目、ミジンコくんはまったくのはじめて。
 行きたいところ、回りたいところがみんなばらばらで、結局個人行動多し。みんなマイペースだから。
 なかでも、いちばん言葉を喋られないわたしが、いちばん個人行動してたよなあ……写真を見ると、わたしだけいないものが、いっぱいある。
 そして、わたしひとりで行動していたときの、わたしだけしか見ていないものの写真も、多い。主に猫。イタリアまでわたし、猫ウォッチングしに行ってるよね……いつも猫の写真撮ってる(笑)。

「緑野ちゃんって、ものすごーくイケてる写真と、そうでないものの差がすごいよね」

 ……まったくね。
 あらこれ、きれーじゃん!(嬉)という写真と、このブス野放しにすんな!(怒)という写真が半々くらいある……。
 写真ってすごいよね、もとがブスでも、写りによってはそこそこ見られるよーになる。みんな、わたしを美しく撮ってくれ! 頼む! 写真の中だけでも夢を見せてくれえ。

 会ったのはお昼の12時、別れたのは夜の10時半。
 喋りすぎだよ、みんな……喉ヒリヒリ。

「じゃあまた1ヶ月後に」

 写真を焼き増しして、それを渡すために会う約束は1ヶ月後。
 っておい、旅行行ってから、何ヶ月後だよ?!
 のんきすぎるよ!!(笑)
 いつものお散歩コースを、変えてみた。
 通常わたしは、都心の方に向かって歩く。ウインドウ・ショッピングを兼ねるためだ。
 だが今回は、あえて町外れの方へ向かった。いつもは行かない中央図書館を目指してみた。

 読みたい本をネット検索したところ、中央図書館の書庫にあることがわかったんだ。
 いつも使っている図書館でも、予約さえ出せば運んでくれるのはわかっているが、大した距離じゃないのだから、自分で借りに行った方が早い。
 つーことで、中央図書館へ。

 じつはわたし、中央図書館で数年アルバイトをしていたことがある。
 だから、利用しなくなったんだ。知り合いばっかのトコは、利用しにくい。
 さて、あれからもう何年経つ? さすがにもう時効だろう、わたしもトシくったし、面バレもしないだろう。

 時が止まったような図書館は、相変わらず古くて汚くて、そして利用しにくい、一昔前の図書館として、そこにあった。
 徒歩で行ける距離に、他にふたつも図書館があるのは、老舗の中央図書館が、あまりに不便なところにあるせいだろう。昔はなんとも思わなかったけれど、福祉の充実が謳われる最近において、この不便さはなんだ? 身体の不自由な人やお年寄りはまず、ここまでたどりつけないよな。
 ハードだけでなく、ソフトも不備が目立つ。狭く息苦しく、蔵書も少なく、いいところのない図書館だ。……だから、あえて来る必要もなく、まったく利用してなかったんだよなあ。

 目当ての本を借りたあと、ふと思いついて、図書館裏の公園へ行ってみた。
 子どものころは、よく遊びに来た公園だ。図書館もまだこの不便な中央図書館しかなかったし、わたし自身余計な知恵がついていなかったので、満足して通っていたころ。
 公園と図書館は、セットだった。

 想い出の公園。

 しかし。

 図書館はまったく変わってないのに、公園は変わり果てていた……。

 なんだ?
 中途半端に、小綺麗だぞ?

 鬱蒼たる木々で飾られた、死体がこっそり転がっていそうな公園だったのに。
 探検とか肝試しのできた公園だったのに。

 なんか、きれーになってる。
 川が流れてて、池があって。
 みなさん、水遊びしてますがな。リゾートな雰囲気?

 ちょっとぼーぜん。

 10年ぶり……いや、もっとか?
 その間に、こんなことになってたのか。
 軽くひとまわりしてみたけれど、ほんとにきれーになってるよ……半端に。
 なんで半端かっていうと、造ったときはきれーだったかもしれないが、今は植物が伸びて、はみ出してる。管理はいまいち?

 図書館は変わってないのに!!

 公園と図書館なら、公園には変わってほしくなかったよ……想い出の場所が、跡形もない。
 理屈ではわかってるよ、公園は定期的に整えないと、危険だって。でもなあ、さみしいなあ。
 今はもう亡い人と、遊んだ場所。失った時間。好きだった男の子と歩いた道。冒険。
 それがみんな、根こそぎなくなってた……。

 図書館は、変わってないのに……。

 図書館こそ、進歩させようよ。
 あれが中央図書館だなんて、文化レベル低すぎるよ、マイシティ。

 さみしい想いと、重い鞄をさげて、帰路についた。

 ところで『ガイズ&ドールズ』の原作って、時代設定ちがうんだね。
 わざわざ中央図書館の書庫から出してもらった、ラニアンの『ブロードウェイ物語』。
 禁酒法の時代っすか!! 驚いた。
 つーか、第二次世界大戦前かよ。それって、現代じゃないじゃん……。

500円×600日。

2002年5月29日 その他
 毎週なにやってんだろうなあ……。

 今週もまた、Be-Puちゃんがやってきた。
 「『十二国記』録画失敗した、ダビングしてぇ」と言って。
 先週はわたしが彼女のテープを借り、今週は彼女がわたしのテープからダビング。
 ふたりそろって録画しそこなう日が来ないことを祈るよ。

 Be-Puちゃんのおみやげは、「30萬円CAN BANK」でした。500円玉を入れていっぱいになるころには、30万円になるぞ、というスチール缶の貯金箱。100円ショップ勤務のBe-Puちゃんは、いろいろおみやげをくれるのだ。
 しかしこれ、なんか陥没してるとことかありますけど?
 「そうなのよ、傷んでるから、売り物にならないの」
 なるほど。捨てるよりましだから、ともらってきたらしい。
 「あたしはもう必要ないけど、緑野さんはこれから必要でしょ。これでご贔屓の退団貯金がんばってね」
 ありがとね……。ぼこぼこの貯金箱を……。

 いつかこの缶いっぱいに、お金を貯めることができるのかしら。
 ミステイク。『十二国記』を録画し忘れた……。

 昨日、ガイチバウを見たあと、星大劇を見たBe-Puちゃんと待ち合わせ、買い物のあと某24時間営業の喫茶店で喋りまくってた。
 いい加減喋り疲れて、「そろそろ帰ろうか」と時計を見た。
 午前1時半過ぎ。
 えっ?!
 わたしの時計、狂ってる?
 あわてて、てくてくエンジェルの方の時間を見る。
 向かいの席ではやはりBe-Puちゃんが青ざめてる。
「……まだ10時ぐらいだと思ってた……」

 ちなみに、わたしたちがその店に入ったのは、7時半だったんですけど。
 ろ、6時間?!

 あわててBe-Puちゃんちに行き、借りる予定だったゲーム機一式を借り、家まで車で送ってもらったのが、午前2時過ぎ。
 置き去りにしてきた猫が、「よくも1日放っておいたな」と、ぎゃーぎゃー鳴いて責める。ごめんよ、バウが終わるのは5時、まさかこんな時間まで外出してる気はなかったんだぁ。

 友だちと喋りすぎて、時を忘れる。
 昨日で反省してたのに。

 「夕飯の支度までには帰らなきゃ」と言う友と喋りまくって、気がつくと6時半。
 「夕飯の支度がっ」と青ざめる友、「『十二国記』見忘れたっ、WHITEちゃんに録画たのまれてたのに!」と青ざめるわたし。

 お喋りはほどほどにな、自分……。

 猫はわたしが1日家にいるのがうれしいらしい。
 オークションで買ったペラシモの赤コロで、機嫌良く熟睡している。……毛だらけだよ……。

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