宿命のライバルとヒロイン。@夢現無双 「宮本武蔵」
2019年3月20日 タカラヅカ 『夢現無双 「宮本武蔵」』初日観劇、思ったことつらつら。
佐々木小次郎ってキリシタンだったの?
原作がそうなんだっけ? 『巌流』ではその設定なかったよね?
とりあえず、初耳だった。
原作とか史実とかはわりとどーでもいい、わたしは今観ている作品だけで判断する。
小次郎キリシタンなんだ、へー! 美剣士に十字架似合うなー。
で。
で。
小次郎のキリシタン設定なんだったの?
なにかエピソードあるのかと思った。
本筋に絡む設定なのかと思った。
なにか重要な事件があった? わたしが見逃した? キリシタンゆえにどうこうって話あった?
みやちゃんに十字架かけさせたかっただけ? 美形様のアクセサリー?
自分の記憶に自信なくて、観劇後に何人か聞いたけど、「そういやキリシタンだったね」と“言われるまで気づかなかった”的な返しをされたり、「なんかあった?」と逆に聞き返され、一緒になって「うーん??」と首かしげたりした。
幕開きに少年小次郎を出したり、お家再興とかキリシタンとか、ネタだけ振っておいて回収ナシかよサイトー!!
つまんないなー。
小次郎側にドラマがナイ。
『巌流』では小次郎主役だったから、彼の愛憎をじっくり書けた。サイトーくんの性癖である「顔に傷をつけられたと主人公を憎みストーカーするキャラクタ」をヒロインにすることで、恋愛面も盛り上げられたし。
宿命のライバル武蔵はというと、なんか出てきてはいろんな人と決闘してわーわーやってるだけだった。でも武蔵はそれでいい、「なんか強い男らしい」とだけわかればいい。
小次郎が陰で武蔵が陽、小次郎は暗い過去を背負って耽美にシリアスに生き、武蔵はあっけらかんと明るく豪傑していた。
今回は武蔵が主役でしかも時間も短いのだから、小次郎に割く時間がないことはわかっていたけど。
「本筋の合間に出てきて顔見せだけする」には、小次郎は向かないキャラクタなんだなと。
武蔵は武蔵だってだけで、有名な決闘場面をわーわーやっておけば盛り上がるけど、小次郎はなにをすればいい?
……それを埋めるためのキリシタン設定なのかと期待したんだけどなあ。
ちゃんとした恋愛話があれば、ちがったろうにな。
準ヒロインの朱実との関係とか、サイトーくんの遊女萌えの権化キャラ・吉野太夫とタカラヅカ的に盛り上がるとか、あればよかったのに。
そして、クライマックスのはずの巌流島があっさりしすぎていたのも、拍子抜け。
え、小次郎もう死んだの?
なんとも消化不良。
消化不良というか、そもそも嚥下すらできなかったのが、ヒロインのお通さん。
この役、いらなくない?
恋愛要素が低い題材なのは最初からわかってるけど、予想を遙かに超えてどーでもいい役だった。
だってこの娘さん、なんで「武蔵」のこと好きなの?
幼なじみで、子どもの頃から好きでした、てのはいい。物語お約束。ヒロイン設定の鉄板。
でもさ、お通ちゃんが惹かれたのは「乱暴だけど自分を守ってくれたたけぞーくん」であって、「宮本武蔵」じゃないよね?
剣に生きると決めて苦難の人生を選び取った武蔵のことは、まったく知らないし、そもそも会ってないし喋ってないし、接点ナイよね?
お通さんが求めているのは「私と一緒に生きてくれる、ふつーの夫」で、せいぜい「乱暴者から私を守ってくれる強さ」があればいい、つまり子どものころの「たけぞーくん」であり、「剣豪」「宮本武蔵」じゃないよね?
武蔵のことをまったく理解も愛しもしてない女が、勝手にあとを追いかけ回している……。
お通さんのアドバンテージって「美人」という一点のみなのよね?
他はなにも描かれてない。
彼女が魅力的な女性で、どれほど武蔵を愛しているか、なにも描かれていない。
「美人」「幼なじみ」「主人公のことが好き」ってだけでヒロインだと認識するのって、すげー男の発想だわ……。
しかもこの唯一台詞で書かれている「美人設定」もなあ……キャラの魅力のなさを払拭するほどわかりやすい圧倒的美貌を、演じているさくらちゃんが持ち合わせてないからなあ……アドバンテージにならねえ……。
美人でなくても、主人公のことを理解し、愛しているなら、それだけでヒロインたり得ると思う。
他の人たちが全員主人公を理解せず悪し様に罵っていても、ヒロインだけは彼の真の心を知り、愛している、てのはアリ。
でもお通さん、武蔵のことまったく見てないし、理解もしない。
理解してたら、ストーカーしないし、「一緒になってほしい」てな迫り方はしない。
武蔵に妻が不要……むしろ邪魔だってことは、彼を理解するなら、わかるはず。
だからこそ、ラストではまたしても捨てられる。
うん、そりゃそうだろう、いらないわ、こんな女。
武蔵とお通が「愛し合っているのに、糸の掛け違いですれ違っている」ように見えない。
武蔵とお通の醍醐味って、「ああっ、こんなに近くにいるのに気づいてない」「またすれ違っちゃった……切ない」とじれじれさせることよね? 「君の名は」手法。
なのに、鉄板のお約束が機能しない。
武蔵にお通は不要だし、お通も「自分に都合のいい武蔵」を思い浮かべているだけに見えるから、すれ違ってもじれったくない。
最後の決闘の前に「この戦いが終わったら……」的なやりとりをしても、盛り上がらない。
それで盛り上げたいなら、互いが必要不可欠な魂の一対だと教えてくれよ。それなのに、男は背を向けて戦いに行くんだと、すがる女を捨てて旅立つんだと、男のロマンしてくれよ。
ドラマもエピソードもなく出てきて、それだけで終わる小次郎とお通。
いちばんの仕事は「出演しています。こんなキャラがいます」と観客に見せること。出席欄にスタンプ押してもらうことだけが目的で、授業聞かずに教室からすぐにいなくなる学生並に意味ないな。
……って、宿命のライバルとヒロインの扱いじゃないわ。
佐々木小次郎ってキリシタンだったの?
原作がそうなんだっけ? 『巌流』ではその設定なかったよね?
とりあえず、初耳だった。
原作とか史実とかはわりとどーでもいい、わたしは今観ている作品だけで判断する。
小次郎キリシタンなんだ、へー! 美剣士に十字架似合うなー。
で。
で。
小次郎のキリシタン設定なんだったの?
なにかエピソードあるのかと思った。
本筋に絡む設定なのかと思った。
なにか重要な事件があった? わたしが見逃した? キリシタンゆえにどうこうって話あった?
みやちゃんに十字架かけさせたかっただけ? 美形様のアクセサリー?
自分の記憶に自信なくて、観劇後に何人か聞いたけど、「そういやキリシタンだったね」と“言われるまで気づかなかった”的な返しをされたり、「なんかあった?」と逆に聞き返され、一緒になって「うーん??」と首かしげたりした。
幕開きに少年小次郎を出したり、お家再興とかキリシタンとか、ネタだけ振っておいて回収ナシかよサイトー!!
つまんないなー。
小次郎側にドラマがナイ。
『巌流』では小次郎主役だったから、彼の愛憎をじっくり書けた。サイトーくんの性癖である「顔に傷をつけられたと主人公を憎みストーカーするキャラクタ」をヒロインにすることで、恋愛面も盛り上げられたし。
宿命のライバル武蔵はというと、なんか出てきてはいろんな人と決闘してわーわーやってるだけだった。でも武蔵はそれでいい、「なんか強い男らしい」とだけわかればいい。
小次郎が陰で武蔵が陽、小次郎は暗い過去を背負って耽美にシリアスに生き、武蔵はあっけらかんと明るく豪傑していた。
今回は武蔵が主役でしかも時間も短いのだから、小次郎に割く時間がないことはわかっていたけど。
「本筋の合間に出てきて顔見せだけする」には、小次郎は向かないキャラクタなんだなと。
武蔵は武蔵だってだけで、有名な決闘場面をわーわーやっておけば盛り上がるけど、小次郎はなにをすればいい?
……それを埋めるためのキリシタン設定なのかと期待したんだけどなあ。
ちゃんとした恋愛話があれば、ちがったろうにな。
準ヒロインの朱実との関係とか、サイトーくんの遊女萌えの権化キャラ・吉野太夫とタカラヅカ的に盛り上がるとか、あればよかったのに。
そして、クライマックスのはずの巌流島があっさりしすぎていたのも、拍子抜け。
え、小次郎もう死んだの?
なんとも消化不良。
消化不良というか、そもそも嚥下すらできなかったのが、ヒロインのお通さん。
この役、いらなくない?
恋愛要素が低い題材なのは最初からわかってるけど、予想を遙かに超えてどーでもいい役だった。
だってこの娘さん、なんで「武蔵」のこと好きなの?
幼なじみで、子どもの頃から好きでした、てのはいい。物語お約束。ヒロイン設定の鉄板。
でもさ、お通ちゃんが惹かれたのは「乱暴だけど自分を守ってくれたたけぞーくん」であって、「宮本武蔵」じゃないよね?
剣に生きると決めて苦難の人生を選び取った武蔵のことは、まったく知らないし、そもそも会ってないし喋ってないし、接点ナイよね?
お通さんが求めているのは「私と一緒に生きてくれる、ふつーの夫」で、せいぜい「乱暴者から私を守ってくれる強さ」があればいい、つまり子どものころの「たけぞーくん」であり、「剣豪」「宮本武蔵」じゃないよね?
武蔵のことをまったく理解も愛しもしてない女が、勝手にあとを追いかけ回している……。
お通さんのアドバンテージって「美人」という一点のみなのよね?
他はなにも描かれてない。
彼女が魅力的な女性で、どれほど武蔵を愛しているか、なにも描かれていない。
「美人」「幼なじみ」「主人公のことが好き」ってだけでヒロインだと認識するのって、すげー男の発想だわ……。
しかもこの唯一台詞で書かれている「美人設定」もなあ……キャラの魅力のなさを払拭するほどわかりやすい圧倒的美貌を、演じているさくらちゃんが持ち合わせてないからなあ……アドバンテージにならねえ……。
美人でなくても、主人公のことを理解し、愛しているなら、それだけでヒロインたり得ると思う。
他の人たちが全員主人公を理解せず悪し様に罵っていても、ヒロインだけは彼の真の心を知り、愛している、てのはアリ。
でもお通さん、武蔵のことまったく見てないし、理解もしない。
理解してたら、ストーカーしないし、「一緒になってほしい」てな迫り方はしない。
武蔵に妻が不要……むしろ邪魔だってことは、彼を理解するなら、わかるはず。
だからこそ、ラストではまたしても捨てられる。
うん、そりゃそうだろう、いらないわ、こんな女。
武蔵とお通が「愛し合っているのに、糸の掛け違いですれ違っている」ように見えない。
武蔵とお通の醍醐味って、「ああっ、こんなに近くにいるのに気づいてない」「またすれ違っちゃった……切ない」とじれじれさせることよね? 「君の名は」手法。
なのに、鉄板のお約束が機能しない。
武蔵にお通は不要だし、お通も「自分に都合のいい武蔵」を思い浮かべているだけに見えるから、すれ違ってもじれったくない。
最後の決闘の前に「この戦いが終わったら……」的なやりとりをしても、盛り上がらない。
それで盛り上げたいなら、互いが必要不可欠な魂の一対だと教えてくれよ。それなのに、男は背を向けて戦いに行くんだと、すがる女を捨てて旅立つんだと、男のロマンしてくれよ。
ドラマもエピソードもなく出てきて、それだけで終わる小次郎とお通。
いちばんの仕事は「出演しています。こんなキャラがいます」と観客に見せること。出席欄にスタンプ押してもらうことだけが目的で、授業聞かずに教室からすぐにいなくなる学生並に意味ないな。
……って、宿命のライバルとヒロインの扱いじゃないわ。
コメント