「祭り」としての『エリザベート』・その1 基本スタンス。
2016年2月21日 タカラヅカ 初演からずっと『エリザベート』を観てきた。
『エリザベート』は大好き作品、どの組で誰がやろうとわくわくするし、楽しく観劇する。
再演を繰り返されてきた作品だから、役に対してのイメージや思い入れがある。
そして、純粋に「作品」としての面だけでなく、人事的「大人の事情」が絡む作品だということも、よーっく知っている。
『エリザベート』はタカラヅカのドル箱、上演すれば満員御礼祭りになることがわかっている大作だ。
そして、大作は大作であるがゆえに配役に「大人の事情」が絡む。
お金もかかっていない、誰も注目しない作品なら、純粋にその興行1作のことだけ、その作品のことだけ考えられるだろうけど、祭り作品はそうもいかない。タカラヅカが商業演劇である以上仕方ない。
劇団は大作では、人事に絡んだ配役をする。
内外に注目される公演で、「売りたい商品」を並べるのは商売として当然のことだ。
無茶な配役、無理な役替わりなど。
人気男役スターだったあさこがヒロインのエリザベートを演じたり、他組の無名下級生(新公主演すらしていない、組ファン以外には認知されていない)男役で、トート役よりフランツ役よりルドルフ役の一部より長身のカチャをエリザベート役として「特別出演」させたり。
他組でトップ娘役をやっていたとなみが、出戻りスライドしてさらにトップ娘役を続ける・2番手も組替えで組の顔ぶれ刷新力技人事の勢いづけにされたり。
蘭ちゃんがまさかの残留でエリザベート役だったり。
……作品を考えただけでない、なにかしら、不可思議なことをする。
最初は、『エリザベート』で役替わりするとか、信じられなかったもんなあ。そんなことしていいのは、紙芝居の植爺作品ぐらいのもんで、『エリザ』のような高密度の作品にそんなもん不要だっ、と思ってた。
今も、思っている部分はある。ベストキャストなら、そのキャストで芝居を深めていって欲しい。
でも、ルドルフ役でチャンスをもらえる人が多いのは、それでも意味のあることだと思うし。
劇団が役替わりをする場合、推したいのはメンバーの中の最下級生。推し生徒単独で大役を任せられないから、仕方なく上級生と役替わりにする。……だとしても、路線外上級生のルドルフが観られるのはうれしかったりするし。
そんな、ポジションや持ち味得手不得手以外に、不透明な事情の絡む『エリザ』配役。
トートとシシィがトップとトップ娘役なのは前提なので置くとして。
劇団が重要視しているのは、ルキーニとルドルフ。
ルキーニは作品の花形。
日本初演の雪組『エリザ』をなんの予備知識もないまま観て、「ルキーニおいしすぎ。それに比べてフランツはいいとこなし、やらされる人可哀想」と思った。そんなわたしだから、実感を持って、「ルキーニ重要」と思う。
目の肥えた人なら最初からフランツという役の大きさがわかるんだろうけど、アホなわたしは見た目の派手さにばかり目を奪われた。
特別なイベントで、特別なお客様やたくさんのお客様に、特別に売り込みたい商品は、いちばん華やかな演出で披露するよね。
現在の売り上げトップ商品に宣伝費かけるのは当然だけど、現行商品だけじゃ行き詰まる、いつだって新製品を次々発売してつないでいくのだから。
その特別な演出で宣伝したい新製品……現トップ以外の、未来のトップスターが、ルキーニをやる。
ルキーニは派手でオイシイ。
そして、技術が足りなくても、なんとかなる。
役が派手なので、暴れているだけで格好が付く。
……もちろん、観客としてはヘタなルキーニは勘弁、狂言回しはうまい人にやって欲しいと思うけど。劇団的には、作品クオリティより、新商品の宣伝の方が大事。おかげで歴代『エリザ』には、へたっぴなルキーニもいました。
フランツは、作品を支える大事な役。
縁の下の力持ち系の役割り。わかりやすくかっこいい役ではなく、ぱーんと盛り上がる見せ場がないのに、技術的には大変なことばかり求められる。
ルキーニはへたっぴでも出来る。が、フランツだけは一定ライン以上の技術を持った人しか出来ない。
フランツがへたっぴだと、作品が崩壊する。
だから劇団的には、ルキーニに超路線を、フランツに新専科など「トップにする予定のない、しかし実力はある人」を配したりする。
そして、まだ時期は未定だが、将来的にトップになるための特別コースに入った人を、ルドルフにする。役替わりの場合は、メンバー最下級生にして、入れる。
ルドルフはルキーニと同系統の「わかりやすいおいしさ」があり、かつ、ルキーニほど大きな役ではないので、さらにへたっぴでも……もとい、経験不足の若手でも、ねじ込める枠だからだ。
新製品売り込み、宣伝という意味でのルキーニとルドルフ。
売りたい商品の陰で、イベント自体を支えるフランツ。
すべてがこの通りではないよ。そのときの布陣によって差異はある。
でも、基本の枠組みはこんな感じ、だと思っている。
てうだうだ前振りした上で、次回の宙組『エリザベート』に思いを馳せる(笑)。
翌日欄が本題。
『エリザベート』は大好き作品、どの組で誰がやろうとわくわくするし、楽しく観劇する。
再演を繰り返されてきた作品だから、役に対してのイメージや思い入れがある。
そして、純粋に「作品」としての面だけでなく、人事的「大人の事情」が絡む作品だということも、よーっく知っている。
『エリザベート』はタカラヅカのドル箱、上演すれば満員御礼祭りになることがわかっている大作だ。
そして、大作は大作であるがゆえに配役に「大人の事情」が絡む。
お金もかかっていない、誰も注目しない作品なら、純粋にその興行1作のことだけ、その作品のことだけ考えられるだろうけど、祭り作品はそうもいかない。タカラヅカが商業演劇である以上仕方ない。
劇団は大作では、人事に絡んだ配役をする。
内外に注目される公演で、「売りたい商品」を並べるのは商売として当然のことだ。
無茶な配役、無理な役替わりなど。
人気男役スターだったあさこがヒロインのエリザベートを演じたり、他組の無名下級生(新公主演すらしていない、組ファン以外には認知されていない)男役で、トート役よりフランツ役よりルドルフ役の一部より長身のカチャをエリザベート役として「特別出演」させたり。
他組でトップ娘役をやっていたとなみが、出戻りスライドしてさらにトップ娘役を続ける・2番手も組替えで組の顔ぶれ刷新力技人事の勢いづけにされたり。
蘭ちゃんがまさかの残留でエリザベート役だったり。
……作品を考えただけでない、なにかしら、不可思議なことをする。
最初は、『エリザベート』で役替わりするとか、信じられなかったもんなあ。そんなことしていいのは、紙芝居の植爺作品ぐらいのもんで、『エリザ』のような高密度の作品にそんなもん不要だっ、と思ってた。
今も、思っている部分はある。ベストキャストなら、そのキャストで芝居を深めていって欲しい。
でも、ルドルフ役でチャンスをもらえる人が多いのは、それでも意味のあることだと思うし。
劇団が役替わりをする場合、推したいのはメンバーの中の最下級生。推し生徒単独で大役を任せられないから、仕方なく上級生と役替わりにする。……だとしても、路線外上級生のルドルフが観られるのはうれしかったりするし。
そんな、ポジションや持ち味得手不得手以外に、不透明な事情の絡む『エリザ』配役。
トートとシシィがトップとトップ娘役なのは前提なので置くとして。
劇団が重要視しているのは、ルキーニとルドルフ。
ルキーニは作品の花形。
日本初演の雪組『エリザ』をなんの予備知識もないまま観て、「ルキーニおいしすぎ。それに比べてフランツはいいとこなし、やらされる人可哀想」と思った。そんなわたしだから、実感を持って、「ルキーニ重要」と思う。
目の肥えた人なら最初からフランツという役の大きさがわかるんだろうけど、アホなわたしは見た目の派手さにばかり目を奪われた。
特別なイベントで、特別なお客様やたくさんのお客様に、特別に売り込みたい商品は、いちばん華やかな演出で披露するよね。
現在の売り上げトップ商品に宣伝費かけるのは当然だけど、現行商品だけじゃ行き詰まる、いつだって新製品を次々発売してつないでいくのだから。
その特別な演出で宣伝したい新製品……現トップ以外の、未来のトップスターが、ルキーニをやる。
ルキーニは派手でオイシイ。
そして、技術が足りなくても、なんとかなる。
役が派手なので、暴れているだけで格好が付く。
……もちろん、観客としてはヘタなルキーニは勘弁、狂言回しはうまい人にやって欲しいと思うけど。劇団的には、作品クオリティより、新商品の宣伝の方が大事。おかげで歴代『エリザ』には、へたっぴなルキーニもいました。
フランツは、作品を支える大事な役。
縁の下の力持ち系の役割り。わかりやすくかっこいい役ではなく、ぱーんと盛り上がる見せ場がないのに、技術的には大変なことばかり求められる。
ルキーニはへたっぴでも出来る。が、フランツだけは一定ライン以上の技術を持った人しか出来ない。
フランツがへたっぴだと、作品が崩壊する。
だから劇団的には、ルキーニに超路線を、フランツに新専科など「トップにする予定のない、しかし実力はある人」を配したりする。
そして、まだ時期は未定だが、将来的にトップになるための特別コースに入った人を、ルドルフにする。役替わりの場合は、メンバー最下級生にして、入れる。
ルドルフはルキーニと同系統の「わかりやすいおいしさ」があり、かつ、ルキーニほど大きな役ではないので、さらにへたっぴでも……もとい、経験不足の若手でも、ねじ込める枠だからだ。
新製品売り込み、宣伝という意味でのルキーニとルドルフ。
売りたい商品の陰で、イベント自体を支えるフランツ。
すべてがこの通りではないよ。そのときの布陣によって差異はある。
でも、基本の枠組みはこんな感じ、だと思っている。
てうだうだ前振りした上で、次回の宙組『エリザベート』に思いを馳せる(笑)。
翌日欄が本題。
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