で、大作一本モノの新人公演というのは、なんとか95分強に短縮されてしまうモノなのです。
 や、挨拶分も入れて、もうちょい長めに上演時間は取ってあるけれど。
 できるだけ、通常の新公と同じ長さにしようと、してある。

 で、一本モノの大半は、新公を観て2時間半いらんやん、1幕モノでええやん!と思う。
 植爺の『ベルばら』とか『風共』とか、わざわざ一本モノにする意味ナシ、90分で終わらせて、55分のショーと二本立てにしようよ!!
 タカラヅカオリジナル大作とやらは、大抵そんな感じ。
 新公で1幕モノにできるんだから、本編からやれよ、てな。
 その程度の濃度しかない作品。

 でも、『エリザベート』『スカーレット・ピンパーネル』『ロミオとジュリエット』などの海外ミュージカルは、「やっぱ短縮版はダメだな、全編観たい」となる。
 わたしはね。

 じゃあ鳴り物入り海外ミュージカル巨編であるところの『1789-バスティーユの恋人たち-』はどうだろう?
 上記のイケコ大作と同じくくりなんだから、新公観て「ああっ、あの場面もカット、この場面もカット、もったいない、残念、つまんない、もっともっと観たい! 聴きたい!」となったかというと。

 2時間半いらんやん、1幕モノでええやん! と、思いました……。

 新公の尺にして、幕間休憩のあとは新作ショー。
 その方がよくないか?

 新公は、ふつーにオランプがヒロインでした。アントワネットの見せ場のひとつである、ベルサイユのカジノ場面ナシ、ふつーに会話から登場。
 ロナン@トップスター、オランプ@ヒロインでやれば、アントワネットに時間割く必要ないから、こんなにさくさく、1時間半でまとめられるよー。

 わたしが初っぱなから絶望した、あの地味で盛り上がらないオープニングは全カット、どうせ地味なら物語からスタートでええやん、ロナン父が殺されるとこからスタート。
 アントワネットの馬鹿騒ぎカットでこちらもドラマから。

 あら、ロナンが突然デムーランたちと親友みたいになってるわ、友情を育む場面がカットされたのかしら……って、されてません、本編からして「出会った」→「大親友」だもん。

 そして新公でもっとも素晴らしいカットは、ロナンとフェルゼンのチャンバラカット。
 フェルゼンをしょーもない悪役に落とす演出がなくなっていて、ふつーに毒にも薬にもならない貴公子止まりで済んでる。

 サービスシーン(?)の拷問もさくっと終わらせて、それよりロナンとオランプのいちゃいちゃをそのまま描きましょう。

 イケコミュージカルの素晴らしいところは、1幕ラストの盛り上がりがすごいことなんだけど……『1789』も確かに良かったけど……物語的に、なくていいしね。
 『スカピン』他上記作品みたいに「物語的に動きがあるから必要!」ってわけじゃないしね。
 ストーリーが大きく変化する、ゆえに盛り上がって「2幕に続く!」になるわけじゃなくて、「そろそろ時間だからいったん終わるよー、とりあえずお約束だから全員集合して盛り上げるよー」だからなー。

 1幕ラストの全員集合カットで、2幕アタマのテニスコートでボディパーカッションになる。内容的に、こっちをちゃんとやってれば、1幕ラストはいらないんだよね。

 重複しているところを細かくカットして、同じ意味のやりとりは1回にまとめる。
 それで大きなエピソードはほぼそのままで、終了。
 フィナーレはなく、人権宣言で幕が降りるから、全員登場出来る。
 何故かアルトワいないよ? とかいう事態にならない。主要人物全員等しくロナンと共に合唱し、感動を盛り上げることが出来る。
 その絶頂で幕、という潔さ。


 え~~、これ、1幕モノでええやん~~。
 ショーと二本立てやったら、贔屓組で再演してくれてもぜんぜんええわ。曲いいし、盛り上がるし。
 「人物の書き込みの甘さや、展開の唐突さは、1幕モノに無理にまとめたせいね」って思えるし(笑)。
 休憩のあとは、まったく毛色の違う、下級生まで大活躍出来るオリジナルショーで盛り上がればいいし。
 大階段に大羽根いっぱい、きらきらにぎやかに「ザ・タカラヅカ!!」すればいいし。

 ふつーにオランプヒロインで、1幕モノで十分っす。
 新公演出で十分っす。

 そう思えてしまう、鳴り物入り海外ミュージカル巨編。

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