で、『1789-バスティーユの恋人たち-』の、構成のいびつさはなんなんだろう。

 物語のヒロインはオランプなのに、トップ娘役のちゃぴはオランプではなく、別の役をやっている不思議。
 ちゃぴ演じるアントワネットは重要な役だけど、ロナン@まさおを中心にした物語には関わってこない。
 だから、物語がブレる。
 群像劇であるというなら、やはりロナンの立ち位置はおかしい。革命の中心人物のような描かれ方をしている……。
 ロナンに対して直接の敵役はペイロール@マギーであるのに扱いは軽く、ロナンからすればどーでもいい位置のアルトワ@みやるりが、すげー唐突に場面をもらっていたりする。

 いびつな積み木。
 ここが飛びだしているのはおかしい、ここがへこんでいるのはおかしい。きちんと並べ直したくなる。積み直したくなる。

 原作は知らないよ。
 「もともとのミュージカルがこうだから」は関係ナシ。今、宝塚歌劇の舞台の上にあるモノだけで考える。語る。

 群衆劇だと考えるなら、ロナンを他のキャラクタたちと同等の扱いにする。主軸がロナンでなくなれば、場面ごとにセンターの変わるアイドル曲みたいな作りだと思えばいいんじゃね?
 正塚せんせが文化祭で書いてる芝居みたいなやつ。ひとりずつ必ず1場面はセンター。
 公平でいいかもしんないけど、「桃太郎5人、シンデレラも5人、だって主役がひとりだけなんて不公平」理論、「徒競走は差別です、手をつないで横並びで走りましょう」理論みたい。
 タカラヅカはトップスターを頂点としたピラミッド制の劇団。「手をつないで横並び」は違うと思う。群像劇がアリなのは、入団前の文化祭までだ。

 だからやっぱ、正しいのはロナンを主人公として、彼と関わる比重で役を付け、構成し直す、ことだよなあ。
 主人公がロナンなら、ヒロインはオランプ。敵役はペイロール。アントワネットたち王族さんたちの出番も比重も落とす。フェルゼンは出ない。
 ロナンが物語を引っ張らないといけないから、革命チームのリーダーはロナン。もしくは、革命チームの3人横並びをやめて、ひとりをリーダーとして確立、そのリーダーが一目置く相手としてロナンを設置。ゆえに革命でロナンがセンターに立つ。
 「バスティーユの恋人たち」という副題遵守するため、革命家チームの恋愛事情をクローズアップ。「恋人たち」と複数形だから、ロナンとオランプだけじゃダメ。かといって、ロナンとオランプ、アントワネットとフェルゼンはおかしい。ロナンと関係ない人は出さない、軸がぶれるから。
 一本モノで役が少ないのはNGだから、アルトワやラマールたちがいてもいいのだけど、比重が低くなるから、演じる人も違う。
 全50話の大河ドラマやるわけじゃないんだから、視点を決めて、そこから逸脱しない作りを。

 ふつーにロナン@まさお、オランプ@ちゃぴ、でよかったのにね。

 2番手が誰かわかんないから、イケコ定番の「オイシイ歌う悪役」は誰がやればいいのかしら。
 『PUCK』でみやるりがやってたんだから、もうみやるり2番手でがっつり黒い役やればいいのにー。アルトワは「歌う悪役」だから該当しているかもしんないけど、主人公と関係ない人、てのが痛いんだよな。主人公の恋人に横恋慕してるけど、主人公にもヒロインにも相手にされてないので、脅威になってないのな。
 ペイロールなら、主人公の憎しみが確実に向かっているから、双方向性の関係が成立したのに。で、役割ではペイロール、おいしい場面はアルトワ、と分割してしまっているので、どっちもハンパな役に。

 革命家たちの小物感、横並び感はどうしたら。
 横並びの弊害。
 きちんと番号振られた方が腰が据わって、個性が出る。
 どっちつかずなことをするから、全員がつまらないことに。
 ヅカファンが大好きなロベスピエールをピックアップして、順位明確にするだけで、かなりすっきりするはず。
 いかなるときもロナンと対話するのはまず、ロベスピエール。他のふたりはくっついているだけ。リーダーはロベスピエール、その親友がロナン。矢印が明確になれば、群衆場面も締まる。

 ロナンが民衆代表、思想も学もなくなんとなく時代に流されて悲劇っちゃいましたてへぺろ、てなことをタカラヅカで本気で描きたいと思っているなら、なおさら革命をきちんと書き込み、奔流を外側から眺める・巻き込まれるロナンを浮き上がらせるべき。

 ……細かいことは置いておいて、とにかくヒロインを、トップ娘役に演じさせようや。
 話はそれからだ。な。

 ちゃぴアントワネットも、ルイ16世@さやかさんの話も好きだけど、すごくよかったけど。
 比重落とすべきだわ、物語の構成だけ考えたら。


 なんでこんな、いびつな話になってるんだ?

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