自分がナニに惹かれるかなんて、体験してみなきゃ、わかんない。
 いやまったく。

 『1789-バスティーユの恋人たち-』初日観劇。

 楽しかったし、見どころいっぱい、語りたいこともいっぱいある。
 だがわたしが、もっとも声を大にして語りたいことは。

 コマが、めちゃくちゃカッコイーー!!

 ちょっと、ノーマークでしたわよ、油断しまくりですわよ。
 なんなのあれ、コマさんがあんだけカッコイイとかナニそれ、聞いてないよ、どういうことよ、うきゃ~~。

 こちとら無教養ですから、原作ミュージカル知らないし、歴史も『ベルばら』以上には知りません。予習もしないから、コマつんがどんな役なのかもわかってない。
 最初の革命チームの顔見せらしき場面にいないから、もうすっかり存在を忘れてた。
 突然あたりまえみたいな顔して出て来て、ああコマつんいたんだ、と思い出し、あー、いつものコマつんねえ、男役はいいわねえ、前回は女役だったものねえ、と気楽に思いつつ眺めていただけだったんだけど。

 ダントン@コマ、かっこいい……っ。

 ダントンは出オチキャラっていうか、登場した最初の場面しか目立つところがない。あとは仲間の中にいるだけ。
 ……なんだけど、この仲間の中にいるだけ、が、かっこよすぎて息詰まる。

 台詞とか演出とか、ついてないからこその、かっこよさ。

 怒り、焦燥、決意、不安、……全部全部、演技だけでわかるの。
 でもってその台詞も見せ場もない、革命家チームでいちばんの脇キャラが、美しいの。
 コマつんやせた? 昔のほっぺたぱつんぱつん時代も知ってる身としては、シャープな男性らしい頬のラインにどきどきですよ。
 なんか理想的な「美しい青年」を形作ってる。
 その特上の外見で、男らしくて野性味のあるキャラクタで、そのくせ知性がしっかりと見えるのよ。

 そして。
 ああ、そして。

 哀しそうなの。

 台詞もなく踊っているとき、戦っているとき。
 孤独や悲哀が、その瞳に宿っているの。

 強い男なのに。戦士なのに。行動は男性的で力強く垂直に進んでいるのに……なのに、どこか哀しそうなの。

 そのかなしさは弱さではなく……もっと、暗いもの、よくないものに思える。
 狂気や、歪みといったもの。

 どこか、タガがはずれる恐怖。
 ひとつ掛け間違ったら、破滅に向かって、内側に向かってはじけそうな、そんな、言葉にならないあやうさ。

 強いガサツな男なのに、一抹のはかなさを持っている。

 それが……そっれっがっ、もおっ、好み過ぎて!!

 コマつんだ。
 うわああ、コマつんだ。
 わたしの好きなコマつんだーー!!

 『雪景色』のときの、狂気。
 死んでも、生き残っても、彼にあるのは狂気でしかない……そう背筋が寒くなった、あの美しさ。
 諦観でもない楽観でもない、不思議な乾きと暗さ、クリッツィ@『はじめて愛した』の魅力。
 シヴァーブリン@『黒い瞳』の荒んだ瞳。
 ちょー萌えキャラ、カーベットさん@『ルパン』の色気っ!!

 わたしの大好きなコマつん、大好物のコマつんが、史上最大のビジュアルと共に眼前に……!

 これはもう、猫にかつおぶし状態っすよ。ごちそうさまです、コマつんしか見えません。

 や、初見だからできるだけ全体観ようとがんばったんだけどね。
 どうしてもコマつんに引き寄せられてしまう……見逃すのがもったいない、惜しい。

 ちょっとほんと、楽しいな、『1789』。
 ダントン@コマのドラマをオペラで追いかけるだけでも、何回リピートしても楽しめそう。
 で、ダントンは単独キャラじゃない。友人がいて、仲間がいて、恋人もいる。
 友人たち、仲間たち、そして恋人と、リピートするたびドラマの輪は広がり、ダントンを中心に各キャラを追いかけるのも、彼らとの関係性を読み解いたり妄想したりするのも、楽しくて仕方ないはず。

 わたしはコマつんが好みだからコマつんに着地したけど、他のキャラもきっと、同じように楽しいはず。自分のご贔屓が、それぞれの立ち位置で、この世界に生きているなら、そのキャラを観てどきどきできると思うの。
 贔屓ってことは芝居の好みが合っているってことだろうし、この作品とこのキャラ配置で好みの芝居をしてくれたら、絶対観るのが楽しい。

 あー、予想外だったわ。
 そりゃもともとコマくん好きだけど、ここでこんなにど真ん中来るとは思ってなかった。
 体験してみなきゃわかんないねえ。
 幕が上がる前は、自分のオペラグラスがコマつん追いかけて終わるなんて、まったく思ってなかったよ。

 あああ、ダントンかっこいー……。

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