『カリスタの海に抱かれて』は、面白い。
 なにしろ、次に話がどっちへ進むのか、予測が付かないのだ。

 ってことで、選択肢を挙げての「どっち?」を考える、アドベンチャーゲーム的に楽しい物語を語る。


 はい、選択場面6.の続きからです。

 すっかり親友、仲良しのカルロとロベルト。
 ロベルトはカリスタの救世主たるべき自分の宿命に疑問を持っていることを、カルロに打ち明ける。心を開いている証拠ですな。
 そこでカルロは、アリシアがロベルトの許嫁だと知る。

 カルロはおそらく、ロベルトからアリシアを奪う選択はしないだろう。
 親友を裏切る男じゃない。アリシアとは別れるはず。
 アリシアとの恋も、淡い初恋テイストの描き方だから、「誰を裏切っても傷つけても、世界を滅ぼしてもこの恋を貫き通す、Ah~~!」てな描き方はしていないわけだし。

→ 選択肢はひとつ、「アリシアと別れる」

 問題は、「アリシアと別れるタイミング」と「ロベルトがふたりの関係を知るタイミング」。これによって三角関係モノはいろんな可能性が広がる。

 てことで、選択肢。
→a.なかなか別れられない、もつれているところをロベルト目撃
 最悪のパターンってやつ。カルロは誠実に生きようとしているのに、ロベルトに「裏切り者」呼ばわりされ、仲間たちからの信頼も失う。
→b.ぐだぐたせずに、別れ話へ。だが、よりによってその最後の抱擁だのキスだのを、ロベルトに目撃される
 最悪のタイミングってやつ。もうアリシアとは別れたのに、ロベルトには「裏切り者」呼ばわり、仲間たちもさよーなら。カルロは恋人のアリシアも、親友のロベルトも両方失う。

 友情か恋か、で、友情を取る場合の鉄板展開。
 恋より友情を取った以上、その友人に誤解されないとドラマにならない。わざわざこの設定でストーリー作る意味がない。
 aだと、別れるつもり、とキモチは友人を裏切ってないんだけど、彼女と別れきれずにいるから、結果的に裏切っているのと同じ。だから、罵られても言い訳出来ない。最悪~~。
 bはもう別れてるのに……誤解だからつらい~~。

 どうするんだろー、わくわく。この定番展開ゆえに、どう味付けるか・盛り上げるかが腕の見せどころ、作家の個性ってもん。

 まさか。
→c.即断即決、すぐさま別れて、ロベルト目撃なし

 えええ~~。こう来るか~~。
 予想外。つか、斜め上。

 だって、これでキレイに別れちゃったら、三角関係になんないじゃん!
 もったいないことするなあ。


7.三角関係解決。これでドラマの半分は終わっちゃった……?
 と、思いきや。

 カルロに別れ話を切り出されたアリシアが、アジトに戻るなり、ロベルト相手に逆ギレ。八つ当たり、逆恨み。

 えーーーーー!!

 せっかくカルロが断腸の思いで別れ話したのに。全部台無しにするヒロイン。カルロが苦労して苦労して積み上げた積み木を、「ちくしょーー、やってられっかぁーー!!」とひっくり返した。
 自分が傷ついた分、カルロもロベルトも傷つけばいい! てなもん?

 や、わかる、わかるよ?
 人として、そういうキモチになることはわかる。
 べつにロベルトのせいじゃないとわかっていても、「あんたのせいで、あたしは不幸になったのよ!」と逆恨みしたくなる気持ちはわかる。傷ついた分、誰かを傷つけずにはいられない、そんなキモチになることはある。

 で、逆恨みの標的にされたロベルトは。
「カルロに裏切られた!」
 あのー、もしもし? 人の話聞いてます? カルロは君を裏切らないためにアリシアを振ったんですよ?

 や、わかる、わかるよ?
 人として、そういうキモチになることはわかる。
 べつにカルロのせいじゃないとわかっていても、「あいつのせいで!!」と逆恨みすることはあるだろう。

 わかるけど……アリシアにしろロベルトにしろ、わざわざ「逆ギレ」「逆恨み」にしているのは、何故だろう。

 先に述べたように、ロベルトに誤解させる方法は、定番としてあるんだ。なにもヒロインが逆ギレ逆恨みなんて、どす黒い展開にしなくても。
 誤解だったんです、誰も悪くないのに、運命のいたずらで、3人が3人とも傷つき、つらい思いをしたのです……という展開では、なんでダメだったんだろう。

 そんな定番はくだらない、ひとの心の闇を描きたかったのよ!
 人の弱さを繊細に描いているのよ!

 て、ことかな?
 そうなのかもしれないけど、なにしろ今までがかなり雑な展開なので、突然こんな繊細な心の闇を描かれても、雑やな、と思ってしまうっす……。

 いやあ、思わぬ方向へ曲がる物語だわー。
 予想が付かなくて、面白い。


 続く~~。

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