「人呼んで黒い風!」てな話・その2。@宝塚音楽学校第101期生文化祭
2015年3月5日 タカラヅカ 宝塚音楽学校第101期生文化祭の第2部演劇、作・演出は正塚先生。
文化祭の正塚作品は、主役だから出ずっぱりというわけではなく、いろんな人たちが「自分のターン」って感じに順番にセンター場面を受け持つ。
……不思議よねえ、正塚作品というと役が少ない、舞台に出て来る人数が少ない、という不満がファンから上がるのが基本の演出家なのに。路線男役スターすら、ろくに照明も当たらないところで「コロス」という名のタンゴを踊るだけの役割で終了、とか、ふつーにあったよーな気がするんだけど。文化祭だと逆の作風になるの。全員主役、全員に見せ場。
てことで、『追憶のバルセロナ』の焼き直し作品「黒い風の物語」もまた、わざわざ本筋以外の人々も登場。
『追憶のバルセロナ』にあった役と場面まんまなんだけど、90分作品を30分に短縮してなお残さなきゃいけないキャラでも場面でもないと思うのに、それでも残してあるのは「文化祭は全員が主役」という意図でだろうと思う。
3番手はコムちゃんが演じたジプシー青年(芹尚)。
まひる演じるジプシー娘に優しく、彼女が好意を寄せる主人公に突っかかりがち……なので、一見恋敵かと思える。
ぶっきらぼうだけど優しい、ワイルドでカッコイイ……って、若い男の子にはなかなかハードル高い役だな。
外見の格好良さはあんまりわかんなかったけど、正塚芝居っぽい喋り方はけっこう様になってた?
もともとオイシイ役なんだけど、見ていて『追憶のバルセロナ』と同じように「おっ」と思えたから、脚本を正しく表現していてくれたんだと思う。
最初よくある恋敵キャラかな、と思わせておいて、話が進むとそうじゃないんだ、そんな単純なところにいないんだ、ということがわかってくる、それで「おっ」なんだよね。
台詞による説明があるのではなく、会話の中から語られていない事情を察することで「おっ」と思うわけだから、それが伝わってきたので、元キャラファンとしては納得。
そーなんだ、わたし、『追憶のバルセロナ』好きだったのよ。
主人公とヒロインはどーでもよかったんだけど(笑)、ナルセの役とコムちゃんの役が好きだったの。
ナルセは長身のスタイル美形、大人っぽい持ち味の男役。反対にコムちゃんは小柄で中性的、女役も妖艶な美少年キャラ。
なのに『追憶のバルセロナ』ではナルセが女性的ともいえる繊細さを持った貴公子役で、コムちゃんが骨太でワイルドな大人の男の役を演じたんだよね。
これがもお、素敵で。
ナルセには萌え狂ったし、コムちゃんにはときめきまくったわー。
若者が演じても、やっぱいい役だよね。ナルセの役も、コムちゃんの役も。
で、ハリーのミューズ、ミサノエールの役(翼)。
この役、絶対いらない、なくていい、なのに絶対なくならないのは、ミサノエールのためにハリーが書き下ろした役だから。いやむしろ、ミサノエールを使いたいがタメに、わざわざいらない役を書き下ろす勢いで、こだわっている役だろうから。
うまい人が演じているのだと思う。ちゃんと笑いを取っていた。
そして、ミサノエールほど浮いていない……のは、いいのか悪いのか。や、芝居は別に浮いてない、文化祭レベル、周囲と同色。
が、ミサノエールの怪演がないと、ほんと役柄というか存在が浮く。脚本的に不要だから、ふつーの人が演じると脚本のおかしさが目立つというか。
つまりこの役だけがギャグ入ってるのね。それ以外シリアスなので、突然のお笑い展開にびっくりする。
ミサノエールは演技が突出していたので、そのままお笑いやっててもアリだったけど……。
そして、このお笑い場面、意外にツッコミ側の力量が必要。
つまり、コムちゃん役(芹尚)とか、しいちゃん役(青羽)とかの方。
ミサノエールはひたすら滑稽な芝居をしているんだけど、それにクールに突っ込みまくるコムちゃん役……うーん、大変。
正塚芝居の真骨頂は、文化祭では荷が重いわな……。
コムちゃん役の彼、大変なりに健闘していたので、彼の芝居をもっと見て見たいと思ったナリよ。
かっしー役の彼(彩音)、ビジュアルがんばれ(笑)。
プログラム見る限り素顔キレイだけど、舞台ではそれがあんまし活かせてない印象。
この役は、マジ美貌勝負、美形でなかったらただのまぬけなの、頼む美貌!(笑)
劇中劇に焼き直してあるため、『追憶のバルセロナ』にはない役がある。
語り部アルメディオラ。
エピソードぶつ切りになった作品を、ナレーションでつなぐ役目。
この役を演じた娘さん(凜香)が、うまかった。
『追憶のバルセロナ』なのに名作?!と思わせてくれたのは、この人の功績。
芝居技術もだけど、いちばんすごいと思ったのは集中力かな。
この人が気を張りつめているから、こちらも彼女が向かう先を一緒になって息を詰めて見つめたの。
『追憶のバルセロナ』って、「え、それ必要?!」な、とーとつな義賊が活躍する、アホっぽい展開の話だったのよ。主人公記憶喪失だし義賊だし、コレ書いたの中二?みたいな。
その「人呼んで黒い風!」てな、トホホな話なのに、そこを説得力持たせて支えきるのが、アルメディオラの仕事。
いや、よくやった!
原作アホっぽかったのに、なんか感動したわ、あのオチ。
と、演劇はほんとに楽しかったです。
ここ数年でいちばん楽しかった。ハリーの文化祭用芝居では、「MONOLOGUE」シリーズ(笑)が好きなんだけど、この「黒い風の物語」もいいわ~~。
2019/02/28(名前)追記
文化祭の正塚作品は、主役だから出ずっぱりというわけではなく、いろんな人たちが「自分のターン」って感じに順番にセンター場面を受け持つ。
……不思議よねえ、正塚作品というと役が少ない、舞台に出て来る人数が少ない、という不満がファンから上がるのが基本の演出家なのに。路線男役スターすら、ろくに照明も当たらないところで「コロス」という名のタンゴを踊るだけの役割で終了、とか、ふつーにあったよーな気がするんだけど。文化祭だと逆の作風になるの。全員主役、全員に見せ場。
てことで、『追憶のバルセロナ』の焼き直し作品「黒い風の物語」もまた、わざわざ本筋以外の人々も登場。
『追憶のバルセロナ』にあった役と場面まんまなんだけど、90分作品を30分に短縮してなお残さなきゃいけないキャラでも場面でもないと思うのに、それでも残してあるのは「文化祭は全員が主役」という意図でだろうと思う。
3番手はコムちゃんが演じたジプシー青年(芹尚)。
まひる演じるジプシー娘に優しく、彼女が好意を寄せる主人公に突っかかりがち……なので、一見恋敵かと思える。
ぶっきらぼうだけど優しい、ワイルドでカッコイイ……って、若い男の子にはなかなかハードル高い役だな。
外見の格好良さはあんまりわかんなかったけど、正塚芝居っぽい喋り方はけっこう様になってた?
もともとオイシイ役なんだけど、見ていて『追憶のバルセロナ』と同じように「おっ」と思えたから、脚本を正しく表現していてくれたんだと思う。
最初よくある恋敵キャラかな、と思わせておいて、話が進むとそうじゃないんだ、そんな単純なところにいないんだ、ということがわかってくる、それで「おっ」なんだよね。
台詞による説明があるのではなく、会話の中から語られていない事情を察することで「おっ」と思うわけだから、それが伝わってきたので、元キャラファンとしては納得。
そーなんだ、わたし、『追憶のバルセロナ』好きだったのよ。
主人公とヒロインはどーでもよかったんだけど(笑)、ナルセの役とコムちゃんの役が好きだったの。
ナルセは長身のスタイル美形、大人っぽい持ち味の男役。反対にコムちゃんは小柄で中性的、女役も妖艶な美少年キャラ。
なのに『追憶のバルセロナ』ではナルセが女性的ともいえる繊細さを持った貴公子役で、コムちゃんが骨太でワイルドな大人の男の役を演じたんだよね。
これがもお、素敵で。
ナルセには萌え狂ったし、コムちゃんにはときめきまくったわー。
若者が演じても、やっぱいい役だよね。ナルセの役も、コムちゃんの役も。
で、ハリーのミューズ、ミサノエールの役(翼)。
この役、絶対いらない、なくていい、なのに絶対なくならないのは、ミサノエールのためにハリーが書き下ろした役だから。いやむしろ、ミサノエールを使いたいがタメに、わざわざいらない役を書き下ろす勢いで、こだわっている役だろうから。
うまい人が演じているのだと思う。ちゃんと笑いを取っていた。
そして、ミサノエールほど浮いていない……のは、いいのか悪いのか。や、芝居は別に浮いてない、文化祭レベル、周囲と同色。
が、ミサノエールの怪演がないと、ほんと役柄というか存在が浮く。脚本的に不要だから、ふつーの人が演じると脚本のおかしさが目立つというか。
つまりこの役だけがギャグ入ってるのね。それ以外シリアスなので、突然のお笑い展開にびっくりする。
ミサノエールは演技が突出していたので、そのままお笑いやっててもアリだったけど……。
そして、このお笑い場面、意外にツッコミ側の力量が必要。
つまり、コムちゃん役(芹尚)とか、しいちゃん役(青羽)とかの方。
ミサノエールはひたすら滑稽な芝居をしているんだけど、それにクールに突っ込みまくるコムちゃん役……うーん、大変。
正塚芝居の真骨頂は、文化祭では荷が重いわな……。
コムちゃん役の彼、大変なりに健闘していたので、彼の芝居をもっと見て見たいと思ったナリよ。
かっしー役の彼(彩音)、ビジュアルがんばれ(笑)。
プログラム見る限り素顔キレイだけど、舞台ではそれがあんまし活かせてない印象。
この役は、マジ美貌勝負、美形でなかったらただのまぬけなの、頼む美貌!(笑)
劇中劇に焼き直してあるため、『追憶のバルセロナ』にはない役がある。
語り部アルメディオラ。
エピソードぶつ切りになった作品を、ナレーションでつなぐ役目。
この役を演じた娘さん(凜香)が、うまかった。
『追憶のバルセロナ』なのに名作?!と思わせてくれたのは、この人の功績。
芝居技術もだけど、いちばんすごいと思ったのは集中力かな。
この人が気を張りつめているから、こちらも彼女が向かう先を一緒になって息を詰めて見つめたの。
『追憶のバルセロナ』って、「え、それ必要?!」な、とーとつな義賊が活躍する、アホっぽい展開の話だったのよ。主人公記憶喪失だし義賊だし、コレ書いたの中二?みたいな。
その「人呼んで黒い風!」てな、トホホな話なのに、そこを説得力持たせて支えきるのが、アルメディオラの仕事。
いや、よくやった!
原作アホっぽかったのに、なんか感動したわ、あのオチ。
と、演劇はほんとに楽しかったです。
ここ数年でいちばん楽しかった。ハリーの文化祭用芝居では、「MONOLOGUE」シリーズ(笑)が好きなんだけど、この「黒い風の物語」もいいわ~~。
2019/02/28(名前)追記
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