星組新人公演『黒豹の如く』、キャスト感想覚え書き。

 すまん、セバスチャン@ひろ香くん、もっとうまいと思ってた。
 わたしは彼に常々過分に夢を抱いている節があるので、今回も「すっげーうまいはず! 歌も芝居も!」と決めつけて観てしまった。
 自分の中でイメージを作ってしまっており、実際に観ると「あ、あれ? それほどうまく……ない……?」とかっくんと肩を落としてしまった。
 だってだって、もともと彼、出来る男じゃん? その上、どんどんかっこよくなってるしさ。
 今まではほんとーに脇でキラリといい味出す人扱い、はじめてこんな「スター!」な役。二枚目だし腹芸するし銀橋までアリなのよ?!
 もともと実力あり、今まで地道に脇で格好良さを磨いてきた人が、ついにスポットライトを浴びる日が来た……! 脇育ちの底力を見よ、実力で輝いてみせるのよ……! てな。
 ……そうよね……こんな「スター!」で「二枚目!」な役、はじめてだもんね……。脇でキラリと実力出してるのとは、スキルも力の使い方もチガウよね……。
 芝居のくすみ具合とか、得意なはずの歌の映えなさとかに、スターをやることの難しさを感じた。

 たぶん、もっと若い頃にやらせてたら、勢いで出来ちゃったと思うの。
 研3のホタっちゃんが、3番手キムくんの役に抜擢されて、「この子誰?!」状態で、美貌と華勝負の役をやりきっちゃったみたいに。
 美貌と華で勝負するにはなんか持ち味ちがくね?と、誰もが思ったろうけど、そういう役を、とりあえずやりきっちゃったんだもん。そ、そうなのか、と観客は受け止めるしかない。
 男役として芝居をする、という基本スキルがあるから、あとは若いうちに華勝負の役を体験させて、耐性を付ける。そうすることで、選択肢が広がるんだと思う。

 でも、今回はちょっと、分が悪かったか……。
 本役さんはビジュアルの美しさ抜群! だけど、それ以外はかなりアレレな人なので、うまい人がこの役をやるとどう見えるのか、体験したかったんだ。
 それで余計に、期待をしすぎていたかもしれん。すまん。

 ひろ香くんはうまい人なので、初抜擢の研6くんとしてはかなりいい出来だったのではないかと。


 バンデラス侯爵@飛河くんが、うまい。
 同じように脇の実力者キャラだけど、おじさん役の他に『めぐ会い2nd』とかで「スター!」な役も体験し、さらにいい役者に成長している感じ。
 新公ではほんと、安定した芝居っぷりが頼もしいなあ。

 ……今回「スター!」な役を体験したひろ香くんも、これからさらに深みのあるスターさんになっていくってことよね。


 むずかしいなあ、と思ったのは、ラファエル+部下トリオ。
 差別化が……。
 トリオが区別つかなくなるのは予想の範疇だったけど、ラファエルもか……。

 もともと、そんな脚本でしかないんだけどね。
 新公だと、あおりをモロに喰らうなあ。


 アラルコン@まおくんは、うまくなってた! バウ主演経験は伊達じゃないね!
 本役さんより、ふつーの人に見えた。小物なんだけど、とりあえず、ふつうの範疇の人。
 ふつうの人が、なんであんなわけわかんないことをするのか、余計に謎になる気もするが、そりゃ脚本が悪いだけで、ふつーに二枚目なのはいいことだ。


 カテリーナ@キサキちゃんは、いろいろと説得力があった。
 なんつーんだ、きれいで薄くて流されてく感じが。
 人格なさそうな、お人形風味なとこが。
 とにかくきれいだから、それでいい。
 脚本がそう言っているわけだから、求められるモノをそのまま表現してくれてて、気持ちいい。
 ……ヘタに人格とか個性とか意志とか知性とか、ありそうに見えちゃうと、脚本が意味不明になるんだもん。生身の人間なら、あんな言動取らない!と。


 ことちゃんの実力を、気持ちよく浴びているだけで終始した新公。
 次こそはもっと下級生にまで役を……と考えて、次、海外ミュージカルかあ、と首をかしげる。
 海外ミュージカルはまた、別カテゴリだよなあ。

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