バブルがはじけることなく、どうか。
2015年2月4日 タカラヅカ 『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』は、人気公演だった。
なんだかぴんとこないんだが、実際そうだった。
劇場に行くと、平日でもわんさか人がいて、土日は立見まで出てた。立見まで完売した日もあったようだ。
千秋楽も当然、立見まで完売。
……えーと、ムラのいいところは、千秋楽でも新公でも、手ぶらでふらりと行って観られることだったんだがな……。
いつもの感覚で劇場へ行き、立見しか買えなかったり、千秋楽はチケットなくてマジでぽかーんだった。サバキ取れたのは、ほんと運が良かった。
なんつーか、「100周年バブル」だなあ、と感慨深かった。
や、雪組だけでなく、いろんなところでチケット取れなくて、友人たちと「100周年バブルすげえ」と言い合っているもので。
ヅカヲタやってると、「この公演ならこんな感じ」というチケット事情が肌でわかるじゃん? それをことごとく覆されるのなー。今年はなんか変、いつもとチガウ、と。
宝塚歌劇100周年! って、2014年冒頭からマスコミへの露出が多くなって、それが積み重なって集客というかライト層を動かすところに結びついたのが、2014年後半になってからかなあ、と思う。
その勢いに乗って、『ルパン三世』も注目を集めたなと。
プロデュースがヘタな劇団にしては、うまくやってくれたなあと。
や、もちろん、作品や出演者の力もある、それはどの組も前提ですよ。
その上での、100周年というお祭りが持つ、勢い。
それを、感慨深く思う。
というのもだ。
昔は、途方に暮れたもんじゃったんだ。
大劇場の客席が、ガラガラで。
全国からファンが駆けつけるであろう、トップスターのお披露目公演初日の2階席が、両サイドブロックごと誰もいないとか。
平日3時公演の2階S席に、最前列センターにようやく数人しか客がいないとか。
それを自虐っぽくこぼしたら、別の組ファンの人から「うちの組なんてこの間、1階席15列目までしか人がいませんでしたよ」と、さらにすげー自虐を返されて、反応に困ったりとか。
そんなのが、あたりまえだった。
このままタカラヅカ、なくなっちゃったり、しないよな?
それが心配になるほど。
なくなりさえしなければ、別に客席が寒くても、一観客でしかないわたしは、別にかまわないんだけどね。
でも、わたしの好きな物が、好きな人たちが、世間的に求められていない、というのを見せつけられるのは、やっぱさみしいよ。
こんなにステキなんだから、もっともっとたくさんの人に観てほしいと思うよ。
いちばん肩を落としたのは、『スカーレット・ピンパーネル』と『ソロモンの指輪/マリポーサの花』のときだな。
わたし、『スカピン』は初日に観て、震えたの。
すごい。
この作品、すごい!! って。
今わたし、歴史に立ち会ってる、ものすごい作品が生まれた、その瞬間に立ち会っているんだ!! てな、震え。
物語自体は他愛ないんだけど、舞台ってのは総合芸術だから。音楽・脚本・役者・美術、すべてが揃ってものすげーエンタメになっている。
……が、客席は、ガラガラだった。
2000円の当日B席だけ客がいて、目の前に誰もいないからとてもすっきり舞台を観られるわー、てな。
アフタートークもいろいろやってたから、わたしはそれ目当てでリピートしたりもしてたんだけど。
こんなにこんなに面白い、上質のエンタメなのに、どうしてみんな観に来ないんだろう?
海外ミュージカルだから?
「タカラヅカ」のオリジナルじゃないから? ショーがないから?
トップスターらしい役じゃないから?
他愛ないおとぎ話だから?
…………まあ、そうかもな。
オリジナルじゃなくて、海外ミュージカルだもんな。
楽しくて浅くて、広く一般向けで、ディープさはまったくないもんな。
そう思った直後が、『ソロモンの指輪/マリポーサの花』で。
これがまた、すっげー、不安になるくらい、ガラガラで。
これまた当日B席だけ客がいて、その前はS席最前列まで誰もいない、てなブロックもふつーにあってだな。
『スカピン』は、広く浅くのエンタメだった。誰にでもお勧め出来ます、てな勧善懲悪のライト作品だった。
それゆえに濃いヲタからそっぽ向かれたのだとしたら……。
どうして『ソロモンの指輪/マリポーサの花』に駆けつけないの??
『ソロモンの指輪/マリポーサの花』は、『スカピン』とは正反対、まさに対極にある作品だった。
ディープで間口が極細、「わかる人だけわかればよし」「ライト層お断り、深く深く耽溺出来る人だけリピートしてくれ」というスタンス。
オギーの最後の作品『ソロモンの指輪』は、クオリティはめちゃくちゃ高いが、その分めちゃくちゃディープで、めちゃくちゃヲタ向きだった。
ハリーの『マリポーサの花』はいい出来ではまったくないが、トップと2番手ファンならば狂喜して通い詰めるようなパワーを持った作品だった。そして、トップと2番手ファンってのは、組ファンをグラフ化した場合かなり多くの割合を占めているはずなので、ここがオイシイ作品は人気になるはずだった。
ヅカファンに大人気のオギーのショー、そしてトップと2番手ファンだけが楽しい芝居。
これってある意味すげー「タカラヅカ!!」という公演。
……まあ、ドレスのお姫様と白い王子様がラヴラヴする芝居でも、スターたちが歌い継ぐ定番ショーでもなかったから、そういう意味ではヅカ王道公演ではなかったが。
「タカラヅカ」の濃縮エッセンスで出来上がった公演だったのよ。
なのに、そのものすげー「タカラヅカ!!」なディープな公演も、浅く広くライトなエンタメ公演も、どちらも、客が入らない。
どうしろっていうんだ。
エンタメもダメ、ヅカヅカしたものもダメ。
これでダメなら、ほんとにもう、タカラヅカってダメなのかも……。
そう、震撼した。
方向性のまったく違う、だけどどちらも上質な公演だったのに。
どちらもまったく求められないんじゃ、他にどうすればいいんだ。
翌年は95周年で、劇団は伝家の宝刀、「トップスター退団公演」と『ベルばら』を連発した。それによって、なんとか乗り切った。
乗り切ったけどさ……。
なんか、ねえ。
しょぼん。
それをおぼえているから……つーか、忘れられない苦い記憶だったりするから。
100周年が盛り上がってうれしい。
たくさんの人が劇場に来て、たくさんの人がタカラヅカを楽しんでいる。
わたしの好きな物が、たくさんの人によろこばれている。
それが、うれしい。
ただもう、シンプルに。
トップお披露目公演、って、ふつー客足は厳しいはずなのに、ちぎくんの『ルパン三世』が大盛況で、すごくうれしい。誇らしい。
これが有名原作の力だとしても、それによって足を運んだ人たちが、タカラヅカや雪組の魅力に目覚めてくれるといいなと思う。
次の公演も、観に来てくれたらいいなと思う。
もっともっと、タカラヅカ。
100年先も、この花園が美しく咲き誇っていて欲しい。
なんだかぴんとこないんだが、実際そうだった。
劇場に行くと、平日でもわんさか人がいて、土日は立見まで出てた。立見まで完売した日もあったようだ。
千秋楽も当然、立見まで完売。
……えーと、ムラのいいところは、千秋楽でも新公でも、手ぶらでふらりと行って観られることだったんだがな……。
いつもの感覚で劇場へ行き、立見しか買えなかったり、千秋楽はチケットなくてマジでぽかーんだった。サバキ取れたのは、ほんと運が良かった。
なんつーか、「100周年バブル」だなあ、と感慨深かった。
や、雪組だけでなく、いろんなところでチケット取れなくて、友人たちと「100周年バブルすげえ」と言い合っているもので。
ヅカヲタやってると、「この公演ならこんな感じ」というチケット事情が肌でわかるじゃん? それをことごとく覆されるのなー。今年はなんか変、いつもとチガウ、と。
宝塚歌劇100周年! って、2014年冒頭からマスコミへの露出が多くなって、それが積み重なって集客というかライト層を動かすところに結びついたのが、2014年後半になってからかなあ、と思う。
その勢いに乗って、『ルパン三世』も注目を集めたなと。
プロデュースがヘタな劇団にしては、うまくやってくれたなあと。
や、もちろん、作品や出演者の力もある、それはどの組も前提ですよ。
その上での、100周年というお祭りが持つ、勢い。
それを、感慨深く思う。
というのもだ。
昔は、途方に暮れたもんじゃったんだ。
大劇場の客席が、ガラガラで。
全国からファンが駆けつけるであろう、トップスターのお披露目公演初日の2階席が、両サイドブロックごと誰もいないとか。
平日3時公演の2階S席に、最前列センターにようやく数人しか客がいないとか。
それを自虐っぽくこぼしたら、別の組ファンの人から「うちの組なんてこの間、1階席15列目までしか人がいませんでしたよ」と、さらにすげー自虐を返されて、反応に困ったりとか。
そんなのが、あたりまえだった。
このままタカラヅカ、なくなっちゃったり、しないよな?
それが心配になるほど。
なくなりさえしなければ、別に客席が寒くても、一観客でしかないわたしは、別にかまわないんだけどね。
でも、わたしの好きな物が、好きな人たちが、世間的に求められていない、というのを見せつけられるのは、やっぱさみしいよ。
こんなにステキなんだから、もっともっとたくさんの人に観てほしいと思うよ。
いちばん肩を落としたのは、『スカーレット・ピンパーネル』と『ソロモンの指輪/マリポーサの花』のときだな。
わたし、『スカピン』は初日に観て、震えたの。
すごい。
この作品、すごい!! って。
今わたし、歴史に立ち会ってる、ものすごい作品が生まれた、その瞬間に立ち会っているんだ!! てな、震え。
物語自体は他愛ないんだけど、舞台ってのは総合芸術だから。音楽・脚本・役者・美術、すべてが揃ってものすげーエンタメになっている。
……が、客席は、ガラガラだった。
2000円の当日B席だけ客がいて、目の前に誰もいないからとてもすっきり舞台を観られるわー、てな。
アフタートークもいろいろやってたから、わたしはそれ目当てでリピートしたりもしてたんだけど。
こんなにこんなに面白い、上質のエンタメなのに、どうしてみんな観に来ないんだろう?
海外ミュージカルだから?
「タカラヅカ」のオリジナルじゃないから? ショーがないから?
トップスターらしい役じゃないから?
他愛ないおとぎ話だから?
…………まあ、そうかもな。
オリジナルじゃなくて、海外ミュージカルだもんな。
楽しくて浅くて、広く一般向けで、ディープさはまったくないもんな。
そう思った直後が、『ソロモンの指輪/マリポーサの花』で。
これがまた、すっげー、不安になるくらい、ガラガラで。
これまた当日B席だけ客がいて、その前はS席最前列まで誰もいない、てなブロックもふつーにあってだな。
『スカピン』は、広く浅くのエンタメだった。誰にでもお勧め出来ます、てな勧善懲悪のライト作品だった。
それゆえに濃いヲタからそっぽ向かれたのだとしたら……。
どうして『ソロモンの指輪/マリポーサの花』に駆けつけないの??
『ソロモンの指輪/マリポーサの花』は、『スカピン』とは正反対、まさに対極にある作品だった。
ディープで間口が極細、「わかる人だけわかればよし」「ライト層お断り、深く深く耽溺出来る人だけリピートしてくれ」というスタンス。
オギーの最後の作品『ソロモンの指輪』は、クオリティはめちゃくちゃ高いが、その分めちゃくちゃディープで、めちゃくちゃヲタ向きだった。
ハリーの『マリポーサの花』はいい出来ではまったくないが、トップと2番手ファンならば狂喜して通い詰めるようなパワーを持った作品だった。そして、トップと2番手ファンってのは、組ファンをグラフ化した場合かなり多くの割合を占めているはずなので、ここがオイシイ作品は人気になるはずだった。
ヅカファンに大人気のオギーのショー、そしてトップと2番手ファンだけが楽しい芝居。
これってある意味すげー「タカラヅカ!!」という公演。
……まあ、ドレスのお姫様と白い王子様がラヴラヴする芝居でも、スターたちが歌い継ぐ定番ショーでもなかったから、そういう意味ではヅカ王道公演ではなかったが。
「タカラヅカ」の濃縮エッセンスで出来上がった公演だったのよ。
なのに、そのものすげー「タカラヅカ!!」なディープな公演も、浅く広くライトなエンタメ公演も、どちらも、客が入らない。
どうしろっていうんだ。
エンタメもダメ、ヅカヅカしたものもダメ。
これでダメなら、ほんとにもう、タカラヅカってダメなのかも……。
そう、震撼した。
方向性のまったく違う、だけどどちらも上質な公演だったのに。
どちらもまったく求められないんじゃ、他にどうすればいいんだ。
翌年は95周年で、劇団は伝家の宝刀、「トップスター退団公演」と『ベルばら』を連発した。それによって、なんとか乗り切った。
乗り切ったけどさ……。
なんか、ねえ。
しょぼん。
それをおぼえているから……つーか、忘れられない苦い記憶だったりするから。
100周年が盛り上がってうれしい。
たくさんの人が劇場に来て、たくさんの人がタカラヅカを楽しんでいる。
わたしの好きな物が、たくさんの人によろこばれている。
それが、うれしい。
ただもう、シンプルに。
トップお披露目公演、って、ふつー客足は厳しいはずなのに、ちぎくんの『ルパン三世』が大盛況で、すごくうれしい。誇らしい。
これが有名原作の力だとしても、それによって足を運んだ人たちが、タカラヅカや雪組の魅力に目覚めてくれるといいなと思う。
次の公演も、観に来てくれたらいいなと思う。
もっともっと、タカラヅカ。
100年先も、この花園が美しく咲き誇っていて欲しい。
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