『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』の感想あれこれ。

 ロアン枢機卿@きんぐ、楽しそうだな(笑)。

 きんぐはいつも楽しそうに舞台に立っていると思って見ているけれど、今回はいつもにも増して楽しそうに見える。
 ロアン枢機卿って、きんぐの得意分野の役だよね? 任せろ!だよね? つか、アテ書きだよね?(笑)

 だからこそ……なんか「チガウ」と思うなあ、今回。

 悪のりしてるように見える……。

 きんぐのきんぐらしい役で、本領発揮で、見せ場も出番もあって、今までのきんぐの扱いからいって格段にいい役で、だからすごくうれしいのはわかるけど……。
 むー……。

 もう少し、「芝居」として作って欲しいなあ。

 小柳たん作品ではきんぐの扱いは総じて良いし、買われているんだと思う。
 人柄の良さの見えるところが、きんぐの美点。きれいな顔でスタイルも良くて、笑顔がかわいくて、ガンサーで釣り師で赤面系で、実力的にはいろいろ微妙だけど、すべてひっくるめて愛しくて仕方ないキャラクタ。
 くそーっ、きんぐ好きだーー!!

 ……てなことは置いておいて、今回はちょっと残念。
 得意分野でアテ書きで、というときにこそ、ガツンと濃いぃのをカマして欲しかった。

 それでもノリノリの壁ドンからおしり撫で回しまで、いつもオペラでがっつり見てますけどね、きんぐ好きーー!! おいしくいただいてますけどね、きんぐステキーー!!(言動不一致)


 相棒も悪かった。
 マリー・ルゲイ@ヒメも、悪のり系の人。
 つーかきんぐと違って確信犯(間違った意味で)だと思うな、この人は。それも含めてヒメというキャラクタ、というイメージ。

 きんぐとちがってヒメには、舞台的な実力がある。ダイレクトに客席へ伝える力は、彼女のが絶対強い。
 それをうまく使うときのヒメはすげー心強いんだけど、暴走するとなかなかにクラッシャーなのよねえ。

 リピーターだから日替わりのお笑いシーンは楽しいけれど、初見の人向けではないよなあ。
 笑いを取ることに情熱を傾けすぎて、「ナニをしているか」という情報を伝えることが二の次になっている。

 ヅカをほとんど観ない(見ても理解出来ない)母が「久しぶりにタカラヅカ観たい」と言い出したので連れて行ったんだけど、やっぱりなにひとつ理解出来なかったらしい。
 「お話も出ている人もなんにもわからなかったけれど、生の音楽を聴いて、きれいなものを観て楽しかったわ」と言う母がただひとつ、「きんきん声の歌がつらかった」とだけ触れていた。

 初日はあそこまできんきん声の歌ではなかったと思うし、ロアンを騙す場面も、台詞の意味が汲み取れないほどおかしな抑揚はつけてなかったと思うんだが?
 テクニックがある分、遊びすぎている気がする。

 ヒメはそれでも技巧を感じるんだけど、きんぐを巻き込むのはやめて、きんぐのゆるさとかわいさは、そーゆーとこにはナイの。
 ってわたしほんとに、きんぐに甘い。


 この公演のヒメの躍進ぶりというか、新体制になってポジションアップしたのって実はヒメがいちばん顕著なんじゃ?と思った。
 ゆめみちゃんが卒業したことにより、「歌手」ポジを独り占め、っつーか。別にヒメひとりですべての歌を歌っていたわけじゃないが、これまでの倍的な体感量。芝居もショーも併せて。
 わたしはヒメの歌声が好きなので、初日はおおっとよろこんでたんだけど、回数観るたびにそのパワーアップぶりに置いてゆかれた。
 も少し落としてくれるとうれしい……。

 ヒメには長くいてほしい。その実力、そのパッション、その個性に感動している。ヒメに活躍の場があるのがうれしい。
 だからこそ、全開出力で周りを吹っ飛ばす癖をなんとかしてほしい……。たぶん、ヒメはヒメが思っている以上に力があるんだよ。昔のヒメならいくらフルスロットルでもクラッシュしなかったろうけど、昔とは学年が違うんだ、経験が違うんだ。
 「ザザちゃん絶好調!!」の『ノン ノン シュガー!!』は拍手喝采だったけど、今はもうザザちゃんじゃダメだと思うの。

 と書きつつも、ヒメのフルスロットル舞台を観てみたい気持ちもある。
 『New Wave!』の上級生版が観たい。みとさん、ヒメ、にわにわ中心に『Old Wave! -雪-』やってくれたら大よろこびで行くけどなー。
 みとさんの歌声も好きだー。にわにわはもちろんのこと。


 ポリニャック公爵夫人@きゃびいが、なんか好きだ。

 や、新しいポリニャック夫人だわ。
 アントワネット様に、タメ口。てゆーか、ナチュラルに、上から。

 でもこのポリニャック夫人ゆえに、アントワネット@みゆちゃんの人となりがわかる。

 つまり、ふつーに、友だちのいる女の子。

 『ベルサイユのばら』のアントワネットには、取り巻きはいても友だちは皆無なのね。ポリニャック夫人を「大切なお友だち」と呼んでいるけれど、ポリニャック夫人は野心家だし、アントワネットも身分と立場で一線を引いてるし、ぜんぜん友だちに見えない。
 ただ、アントワネットをヨイショしているだけの存在に見える。
 そんな相手にころっと騙されて大金をむしり取られるアントワネットの愚かさだけが印象に残る。

 現実的に考えて、友だちひとりいない成人女性って、どうよ?
 なにかしら問題あるから、他人が近づかないわけよね?

 そんな「本人の問題」を軽々否定したのが、今回のアントワネット。
 「ふつーの女の子」だから、もちろんふつーに「友だち」がいる。

 ポリニャック夫人は打算ありでアントワネットに近づいたのかもしれないが、それはそれとして、このアントワネットとポリニャック夫人には友情があるんだろうと思う。
 でないと、王妃様へのタメ口なんて、許されてないでしょ。

 窓からの侵入者、怪しい上に無礼なルパン@ちぎくんに対しても、じつに素直な対応だったアントワネット。好意の上でなら、タメ口をきかれても怒らない子なんだ。

 ふつーにタメ口でガールズトークできる友だちがいて、ナンパしてきた男に気安く対応出来る、そんな「ふつーの女の子」アントワネット。
 ポリニャック夫人の一言で、なにもかも線でつながる。

 マリーちゃんとポリニャック夫人が、普段どんな風に話しているのか、想像出来るもんなあ。
 その厚みのある設定が、楽しい。

 きゃびいがまた、いかにもな強さを持っていて、頼もしい。
 そりゃこの貫禄ある貴婦人なら、王妃様相手でも臆さず親友するでしょうよ、と。

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