『ルパン三世―王妃の首飾りを追え!―』新人公演にて、もっともうまかったのは、間違いなく銭形警部@あすくんだ。

 他の出演者と、段違いだったと思う。
 格が違うというか。

 さすが、あすくん。

 客席も、もっともあすくんに対してアツく盛り上がっていた。実力正直、観客正直。

 でも。

 わたし、今回のあすくん、ダメだ。

 最後の最後に、こんなにがっかりすることになるとは。

 ずっとずっとあすくん好き好き言ってきて、新公主演出来なかったと肩を落とし劇団にぐちぐちこぼし、実はお茶会行ったこともありますテヘ、てな、ゆるいけどいちおーあすくんスキーであるわたしです。

 あすくんは、すごかった。うまかった。
 見事なまでに、アニメの銭形を、コピーしていた。

 下睫毛描いて、顔もアニメに似せて。
 声もアニメのだみ声。
 動きや演技も、もちろんぬかりなく。

 すごいよ。こんなに、アニメになりきるなんて。

 でもさー。

 アニメまんまになりきることに、なんの意味があるの?

 わたしは、タカラヅカでアニメの銭形なんか、観たくなかったよ。
 本役のともみんも大概だと思うけど、彼は技術的に高い人ではナイので、そこまでコピーしきることは出来ないのな。
 でもあすくんは、やってしまう。出来てしまう。

 うまいこと、器用なことはわかった。
 でもわたし、そんなの求めてない。

 最後の新公なんだよ。
 あすくんの立場で、次に銀橋ソロもらえることが、いつあるだろうか。
 わたしは、「久城あす」が観たかった。アニメの銭形ではなくて。

 あすくんの、きれいな声が聴きたかった。

 器用なあすくんは、最初から最後まで、「銭形の声」で喋り、「銭形の声」で歌った。
 あすくんの声じゃない。
 あすくんの、きれいで聞きやすい、聞き取りやすい男役声じゃない。
 彼が7年間培ってきた、美しい芝居声でも、歌声でもなかった。

 求められているのが「アニメのコピー」じゃないか、銭形の役割は原作ファンによろこんでもらうことであって、タカラヅカファン向けじゃナイ。むしろ、銭形がアニメまんまであるからこそ、タカラヅカとのコラボが際立つんだ……という意義は、よくわかってる。
 わかっていて、なお、ってことだ。

 あすくんなら、やってくれると思ってたんだ。
 アニメコピーまんまの小柳タンの脚本でも、「タカラヅカ」として料理してくれるんじゃないかって。
 だってあすくんには、それだけの実力がある。技術がある。
 ビジョンがあったって、やる気があったって、それを実行出来るだけの技術がなけりゃ、空中分解だ。どんだけ素晴らしい演技プランを持ってたって、現実に表現出来なければ「ナイ」のと同じ。
 あすくんなら、あのひどい「銭形」を「タカラヅカ」として表現してくれるんじゃないかと、勝手に期待してたんだよ……。
 まさか、さらに「タカラヅカ」とは反対方向へ行くとは思ってなかったさ……。

 脚本が「アンチ・タカラヅカ」だからなあ。
 『ジャン・ルイ・ファージョン』の景子たんもそうだったし、古くは『ワルフザケ』のマサツカとか、『ベルばら』題材にする人って「アンチ」入るよなー。ヅカの『ベルばら』否定っていうかさ。みんなそれだけ植爺の『ベルばら』に疑問持ってるんだろうけど。
 「タカラヅカ」を軽んじているというか、愛の薄い作りだから、描かれていることをそのままやると、「タカラヅカ」から離れてしまう。
 あすくんが脚本の悪いところを加速させてしまったのが、わたしにはすごく残念。

 ……なーんてことを言っているのは、偏屈なわたしだけで、きっと世の中的にはあすくんの銭形は絶賛なんだと思う。

 うまかったもの。
 圧倒的に。


 ……東宝では役作り変えてくんないかなあ。

 「あすくん」の銭形が観たい。
 や、チケットないからもう観られないんだけど。

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