今までちゃんと語ることが出来てなかった、せしこさんについて、ちょっと語ってみる。
 というのもだ、『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』において、主要キャスティングでいちばん不満なのが不二子@せしこなの。

 すみませんすみません。
 わたしせしこ好きだけど。ずっと眺めてきてるけど。
 だからこそ、もどかしい。

 それを語る。
 不満点語りなので、読みたくない人はスルーしてください。


 せしこが不二子なのはわかる。消去法で彼女しかいないもの。

 しかし。

 つねづね、思っている。せしこのいちばんの課題は女性らしさだと。

 男役10年は伊達じゃない。つまり、10年も女役としての技術を磨くことなく舞台人をやってきたわけで、それでいきなり性転換したからといって、ベテラン女役にはなれないってことだ。
 簡単にできることなら、誰でもやってるし、そもそも男役娘役という区別はいらないってことになる。
 長い時間をかけて技術を磨く必要がある。だから素晴らしい。

 せしこはもともと美人だから、女装しても美女になれる。それは持って生まれたモノで、後天的に「技術」として美しく見せているわけじゃない。
 むしろ、美人なのに声が残念、美人なのに所作が行き届いてない、美人なのに色気がない……と、スキル部分に「美人なのに」という枕詞が付く。

 男役だったときから、色気のある人ではなかった。よかったと比較的話題になったのは『堕天使の涙』のヲカマ役とか、『ワンダーランド』や全ツ『ミロワール』の女役とか……素材の美しさが重要なイロモノの印象が強い。
 最高峰の評価を得たのは、『ロミジュリ』の愛。女役で台詞も歌もない、ダンサー役。得意のダンスに加え、いちばんの武器である美貌を存分に活かせた。
 ダンサーとしてはともかく、役者としては、器用なタイプではないんだろう……新公主演も含め、芳しい結果は残せていないと思う。
 芝居心はあると思うのだけど、いかんせんそれを表現するスキルが低くて。やっぱある程度の道具がないと、イメージ通りのモノは作れないのだと思うよ。

 器用ではないが、舞台を愛し、タカラヅカを愛し、誠実に役を演じている。男役時代はアツいキャラだった。今でいうまなはる系というか。その熱意を微笑ましく眺めていた。
 で、やっぱりなんつっても美人なので、舞台で映える。
 男役としては壁が大きすぎたとしても、女役に転向してこの花園に残ってくれたことを、心からうれしいと思う。
 また、そうやって残ってくれた美形スターなのだから、活躍して欲しい、大きな役をして欲しいとも思う。

 が。

 不二子はチガウやろ。と、思う。

 だってさ。
 色気がないんだもん。

 せしこのいちばんの弱点。女らしくない。色気がない。

 気っぷのいい姉御とか、カンチガイ系の年増女とかの色気は出せる。男役が演じる女役として。男勝りの女性、芯の強い気丈な人、も硬質な色気が出ていいと思う。
 でも、たおやかな女性、匂い立つ気品だーの、神格化されるほどの美女だーのは、苦手。
 『心中・恋の大和路』のかもん太夫はきつかった……顔立ちは美しいはずなのに、それ以外のスキルが低すぎて。
 バウ公演で下級生スターのお守りヒロインとして、「年上の美女」という記号ヒロインを立て続けに演じているけれど、美貌と芝居心で乗り切っているだけで、技術点はけっこーきわどい。

 まだ女役として足りないことだらけのせしこが、お色気美女不二子ちゃんを演じる……。
 や、不二子が重要な役ならそれでもいいと思うの。
 せしこはちゃんと芝居するから。足りないとこがあったって、それを補う誠実さで向き合うから。
 しかし。
 不二子が「有名キャラだから、とりあえず出しました」というだけのにぎやかしキャラだったら……評価されるのは「見た目」だけになってしまう!!

 せしこは美人だ。だから一見合っている。
 しかし……色気が……女役としての所作が……。テレビじゃないんだから、顔立ちの美しさよりも、動きの美しさの方が重要だろう!
 『ロミジュリ』の愛のように、しなやかに美しい動きは出来る……しかし、不二子に求められるのは、女豹ちゃんだ、セクシーダイナマイト、ワイルドで挑発的な、ある意味デフォルメされた「おんな」だ。
 せしこの苦手分野……いちばんの弱点……。

 実際、不二子ちゃん@せしこが、これみよがしなセクシーポーズをしながら「不二子です!」とやっているのを見て……ああ、がんばってるなあ、と思った。
 がんばってる……持ち得ていないから、がんばって、作ってる……。

 でも、がんばってるから、いいのか……。
 美人だしな……。
 って、せしこの女役って、未だに「男役の女装」と同じカテゴリで語られている気がする。わたしもだし、わたしの周りの狭い狭い範囲でも。

 雪組には昔、杏奈様とかリサリサとか、したたるようにセクシーな美女たちがいらっしゃってな……「おんな、であることの武器」を正しく使えるおねーさまたちを、なつかしく思い出す。
 ああいう色気を、せしこに求めるのは酷だと思う……からこそ、せしこ以外で見たかったなあ、と。

 じゃあ誰が、というと、娘役では適任者はいない。
 キムくん時代なら、2番手娘役として確固たる地位を築いていたあゆっちが演じたろう……谷間を描く必要もなく、グラマラスな曲線を武器にして。キャラ的に合っているかどうかよりも、ポジションゆえに。
 でも今の雪組に、当時の「別箱ヒロイン・準ヒロイン総ナメ状態」の、次期トップ娘役候補はいない。
 扱いだけでいうと、せしここそがポストあゆっちだ。「別箱ヒロイン・準ヒロイン総ナメ状態」だから。
 だからせしこが不二子をやるのはポジション相応である。……って、それはわかってるのよ。最初に書いた通り。娘役・女役で選ぶなら、消去法でせしこしかいない。

 娘役だといないけれど、男役なら、いくらでもいると思う。

 せしこが女役だから女役スキルの低さが気になるわけで、それなら男役が演じてもいいんじゃね?
 男役がやるからこその色気と迫力を期待出来るから。


 ……てなんか、えらく辛辣になっちゃたなあ。
 不二子が物語の中心にいて、その心情だの繊細な芝居だのを真正面から描くなら、せしこでもよかったと思うんだけど……「記号としての不二子」だと、ポーズや動きの不自然さが気になってなああ。
 やっぱ娘役さんってすごいんだよなあ。キュートでセクシーなポーズをちゃんと決められるんだもの。
 匂い立つような色気、女としての美しさが欲しいのよおお。せしこだと、作り物感がするのよおお。

 や、わたしひとりがこう思っているだけで、世の中では「せしこセクシー!!」と評価されているんだと思います。
 わたしだってある部分ではそう思う。
 美人はなにやったって美人だもん、美人がお色気ポーズとってるんだから、そりゃセクシーだろうとは、思うのよ。
 でも、もっと、できると思うの。
 美人じゃない子が、セクシー美女になるのが舞台女優。役者。せしこはまだ、美貌を完全に生かし切ってない。それがもどかしいの。
 「いつか女役として開花するはず!」と期待して眺めて来ているだけに、いつかっていつだろう、『BJ』の台詞もなくダンスだけだった1幕は「素晴らしい美女!」だったのが、2幕で動いて喋り出したらズコーーー!!だったときから、「い、いつかきっと美貌に相応しい美しい女役さんになってくれるはず」と希望を胸に待ち続け、ちょっと待ち時間が長くなってきて、忙しさにかまけてせしこ語りをろくに出来ずにいた、その分一気に語っちゃって、マイナスばっかあげつらってるみたいになっちゃったよどうしよう。嫌いで言ってるわけじゃないんだよ。嫌いならこんなに時間と文字数懸けて語らねーよ。

 もっともっと、せしこを見たいんだ。活躍して欲しいんだ。だから、武器を、技術を、得て欲しいんだ。
 たのむよせしこ~~。もっともっとセクシーになって、わたしをノックアウトしてくれ~~。

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