タカスペの組ごとのコントは、「今年1年を振り返る」ものだと思ってた。
 実際、これまでのタカスペはそうだった。

 だけど今回の宝塚歌劇100周年フィナーレイベント『タカラヅカスペシャル2014-Thank you for 100 years-』は、そうではないみたい。
 やっぱナニ、100周年だから? 記念の年の特別なイベントなんで、いつもと同じことはしませんよってか?

 まあ、それならそれでいいんだけど。
 特別な年だから、ふつーのことはしません、なのはいいとして。
 そんじゃ一体、どこに焦点当ててたの?

 「今年1年を振り返る」だと、「今現在の客に向けてのイベント」だとわかる。
 「タカラヅカ好き~~」と言っている人でも、「10年くらい観てないけどぉ」と言っている人は、タカスペのコントを観ても楽しめない。元ネタが1年間限定だからだ。
 今現在のタカラヅカを観ている人、でも、「自分の組しか観てなーい」という場合は、「うちの組のお芝居面白かった、すっごく笑った~~、でも他の組はわかんなかったー」ということになる。でもま、「やっぱうちの組は最高! 他の組は面白くないから観なくていいわ」と、自組愛が深まったりして、それはそれで効果あるんぢゃね?
 もちろん、「わかんないけど楽しかった」「わかんないのは観てないからだろうし、来年は他の組も観てみよう」と思う人もいるだろうし。

 んじゃ今年は、どこへ向けて作られたコントなのか?

星組 今年の『眠らない男・ナポレオン』『The Lost Glory』がメイン。『REON!!』も今年になるのか?
宙組 あれ? 『風共』も『モンテ・クリスト伯』も2013年だよね……?
雪組 『JIN-仁-』2012年メイン、今年の別箱公演2つ、来年の別箱公演。
花組  『戦国BASARA』2013年メイン、『虞美人』2010年、来年の別箱公演。

 「今現在のファン」に向けて作られていたのは、星組のみ。
 「今年も去年も同じようなもんだ。今年観ていた客は、去年も観ていたさ」ということ? 「今年観ていた客は、去年はもちろん、一昨年だって観ていたさ」ということ?
 そうやって、「今年観ていた客は去年も一昨年も一昨昨年もその前も……(略)……100年前も観ていたさ」という考え方=「100周年のファイナルイベント!!」ということ?

 わたしは、逆だなあ。

 今年タカラヅカは、「100周年!」「100周年!」と騒いで、メディアにもいろいろ取り上げてもらい、良くも悪くも注目度が高かった。
 どんな公演もふつーに観ている者として、「100周年効果」によって、客席がにぎわっていくのを肌で感じた。
 それは今年はじめよりあとになればなるほど、雪だるま式に大きくなっていった。

 劇団が考えている(?)「今年観ていた客は、去年はもちろん、一昨年だって観ていた」だと、この「100周年バブル」は説明が付かないんだ。
 だってそれまでは、こんなにお客いなかったじゃん!

 何年も前からいるずーーっと同じ顔ぶれだけを相手にしていて、実際同じ客しか劇場に来ていないというなら、100周年祭りにかけた莫大な宣伝費は無駄だったということになる。
 新規客や、観劇には至らずにいた潜在客を取り込むことに成功した、それゆえの100周年バブル現象でしょう?
 宣伝した甲斐があったんでしょう?

 100周年祭りは成功した。宣伝した分、話題と集客を得た。
 実際のプラマイがどうかは外野であるわたしにはわかんないけれど、劇場が賑わっていることだけわわかるので、成功と考える。

 「100周年だ!」とぶちあげることで、新しい客が来た。
 そこで、「100周年ファイナルイベント」を開催する。

 となれば、企画意図はどこに据える?

 100周年祭りで増えた新規客、および、すべてのタカラヅカファンに向けて。

 ……一昨年とか去年とかのファンに向けてじゃない。

 100周年バブルゆえ、良くも悪くも「過去を知らない」客がいる。
 そこには「10年前は観ていたけれど」「独身時代は観ていたけれど」という、出戻り組も多くいる。
 そんな人たちに「2~3年前を知らないと楽しめない」モノを見せても仕方ない。
 今年限定とするならば、「100周年の今年だものね」と納得されるかもしれないが……何故数年前。しかも、組ごとにバラツキがある。

 増えた新規客、100周年という区切りの年、内外からの注目、伝統と歴史……それらを踏まえて組ごとのコントを企画するなら。わたしなら。

 「タカラヅカ」名作パロディにする!

 ここ数年ヅカを観ていない人でも、100周年ではじめてヅカファンになった人でも、自分の組以外観ていない人でも。
 みんなが楽しめるモノ、が起点。

 なにしろタカラヅカには、100年の歴史がある。
 名作、有名作があるんだ。
 実際に観ていなくても話が通じる、共通認識にまでなった作品が、たくさんある。
 それらをネタにすればいい。
 植爺祭りにはなるだろうけれど(笑)。

 『ベルばら』『風共』『エリザベート』、最近の再演の多さから『ロミジュリ』『ミーマイ』もアリ。
 著作権の壁が厚いなら、海外ミューなしになっちゃうけど、それなら『ノバ・ボサ・ノバ』とかショー作品入れてもいいもんなー。『ベルばら』はオスアンとフェルマリの2作に分けてもいいし。

 100年の歴史に、敬意を示して。

 パロディは元ネタを知っているかどうかで、面白さがまったく違ってくる。
 組ファンならどこで行われた別箱少人数公演でも追いかけて全部観ているだろうけれど、それ以外の人はせいぜい本公演のみでしょう。
 東京で短期間だけ、宝塚で短期間だけ上演された別箱公演を両方観ている人は、どれくらいいるんだろう……。そんな分母の少ない公演と、2年前2代前のトップさん時代の作品を元にコントをやらされた雪組、東京で短期間だけ上演された別箱少人数公演をメインに、4年前2代前のトップさん時代の作品を元にコントをやらされた花組……ネタは今年の『エリザ』だったけど、10年前の『Ernest in Love』がそもそも大きなネタ振りになってるし。
 これ、どんだけの人が元ネタわかってるんだろう……見ながら首をかしげた。

 生徒が出ていれば、ファンとしてはなんでもかわいいし面白いし、元ネタなんか知らなくても生徒さんへの愛情ゆえに楽しい、それゆえに今年のコントも温かい笑いに包まれていたけれど。

 劇団の姿勢には、盛大に疑問を持った。

 「歌を聴かせることより、100曲こなすことが大事」の100曲メドレーとか。
 どの層に向けて作ったのかわからない、練られてもいない投げっぱなしのコントとか。

 どこの誰に向けての企画なのか、わからない。

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