ぶっちゃけて言う。

 わたしは、テルキタ集大成が観たかったのだ。

 間違っていようと、いびつだろうと。
 いいも悪いもなく、ただ、わたし、が。
 わたしの個人的な思い入れ、趣味のみで。

 『凰稀かなめサヨナラショー』において。

 わたしは、テルキタスキーである。
 ヲヅキさんを好きで、それとは違ったハートで、かなめくんも好きである。
 そして、「タカラヅカ」が好きで、「タカラヅカ」の番手制度、ピラミッドにこだわりを持っている。トップコンビと2番手以下の、序列のはっきりした並びで公演運営をして欲しいと思っている。
 テルキタは好きだけど、番手制度を、ピラミッドを遵守した上で、その余白部分でやってくれ、と思っている。

 これが、それまでわたしが思い描いていた「わたしの前提」だ。
 わたしの立ち位置というか。

 自分で、そう思ってたんだ。

 そんなわたしが、『サヨナラショー』を観て、大層ショックを受けた。

 ヲヅキの扱いに。

 『凰稀かなめサヨナラショー』のヲヅキさんは、番手相応だった。

 彼が宙組にやってきて、はじめて、番手相応の扱いを受けていたんだ。

 つまり、新公主演していない、脇の上級生スター、という。

 退団するトップスターのワンマンショーの合間、彼がお着替えをする時間稼ぎに、同時退団者に出番が与えられる……それが定番。ワンフレーズずつ声を出し、みんなで歌いながら銀橋を渡る。
 バウ主演クラスのスターの退団者がいた場合は、それプラス銀橋1曲がその人の持ち分。
 退団者の出番は、その「同時退団者コーラスコーナー」だけ、というのが最小ライン。
 あとはトップの考え方なのか演出なのか、誰が決めるのかわかんないけど、トップさんの場面にまざったり、数組で踊ったりなど、出番が他にもある場合がある。

 そしてヲヅキは、その「最小の扱い」だった。
 同時退団者という以外には、一切出番・見せ場なし。

 新公・バウ主演なし研15、という立場なら、銀橋1曲+同時退団者コーラスコーナーでも上々の扱いだろう。
 しかし。
 大劇場本公演で、トップスターの相手役をした人だよ?
 トップ娘役や次期トップスターをエトワールにして、トップスターの前に階段降りする人だよ?

 今さらなんで、こんな「ふつーの扱い」するの?!


 えー、わたし、自分では、「ピラミッドを守って欲しい」と思ってました。そのつもりでした。
 でも、実際にこうして、「ピラミッドを守った」扱いをされて、ショックでした。

 いやあ、ダブスタも甚だしいですね。恥ずかしいですね。
 でもほんと、そういうことだったの。
 みりおんがトップ娘役として扱われないことやまぁくんが2番手扱いされないことに疑問を持っていたけれど、本当に彼女がトップ娘役として彼が2番手として大々的に扱われ、ヲヅキが「その他の退団者」でしかない扱いされてるのを観て、ショックだったの!!

 わたしのなかでは、ヲヅキってほんと、テルの相手役、宙組のトップ娘役認識だったのね(笑)。
 「同時退団者はお着替えがあるから、最後まで舞台にいてトップスターを見送れない」って知ってるはずなのに、「でも、トップ娘役なら最後まで舞台にいるわ! だから可能だわ!」と過去の例に直結する。
 お着替えの時間なら、組長さんのスピーチで時間を調節して作ることができる。だから、ヲヅキが最後まで舞台にいて、トップスターとして華々しく大階段を上がっていくかなめくんを見送ることが出来るはず。同時退団のトップ娘役がしてきたように。できるのにやらないんだから、わざとだー! ひどーい! なんで? ヲヅキは相手役なのに!

 と、まあ、そんなショック。

 ……落ち着いてくださいよ、こあらさん。ヲヅキさんはトップ娘役ぢゃないです。


 これでショックを受けることで、自分が無意識にナニを求めていたかがわかった、ということです。はい。

 口では「ピラミッドがー」「宙組がー」「タカラヅカがー」と言いながら、単なるテルキタスキーだったんですね。


 でもさ。
 言い訳させてもらうとさ。

 なんでヲヅキは、本公演であんな扱いだったの?

 わたしが誤解するくらい、特別扱いだったじゃん?
 本公演でみりおんやまぁくんをないがしろにしてまでテルキタやって、サヨナラショーで「ふつーの扱い」って、なんで?
 ふつー逆じゃね?
 本公演では番手遵守、サヨナラショーで「仲良し演出」よね?
 キタさんがテル支えた功労者だとしても、本公演ではふつーにみりおんとラヴラヴしてまぁくんとカッコ良く対立したり親友したりして、ヲヅキはその枠の外側のおいしいとこあたりにいるもんじゃないの?
 そしたらふつーのタカラヅカファンも、娘役ファンも、2番手その他路線ファンも、みんな心穏やかだし、それぞれの立場で楽しんだり応援したり、できたんじゃ?
 で、最後の最後にサヨナラショーでテルキタやって、ああやっぱりこのふたりいいね、テルキタだね、でほっこり締めて良かったんじゃないの?

 なんだかなあ。

 それまでさんざん本公演でテルキタで相手役か2番手かってな扱いで、最後の最後にサヨナラショーで扱い落とされるのってさー。

 公の場で正妻扱いされない日陰の身みたいで、いやん。

 それまでは正妻だーの後継者だーのを押しのけて、ご主人様のいちばん近くで権勢をふるっていたのに。
 葬儀の席には出させてもらえず、門の外で立ち尽くしてるお妾さんみたいじゃん……。喪主として堂々と挨拶している正妻や、今後の方針を語る後継者を、雨に濡れながら遠く眺める図……。

 勝手なイメージですまんのう。発想が昭和だわ、年寄りじゃからのう。

 どこのデュ・バリー夫人やねんっていう。国王様亡き後は追放ですかい、てな。


 今までさんざんテルキタだったんだから、最後までテルキタ貫いてくれ。
 や、最後の最後に「やっとまともに2番手扱いされた!」とまぁくんファンがよろこんでるのもわかるし、それをよろこぶくらい今までの扱いに疑問を持っていたその現実に切なくなるし、今までの扱いこそがおかしいんだってことも、重々わかっているのだけど。

 まちがっていること・正しいこと、と、納得すること・落胆すること、は、別カテゴリなんだよなあ。

 アタマではわかってる。でも。
 最後の最後に手を離された感が、大きくてなあ。


 ヲヅキさんの扱いが「ふつー」だったことへの驚き、違和感以外では、感動的なサヨナラショーだったんだと思います。
 「明日へのエナジー」はいいよなああ!!

 最後の最後に、かなめくんは「正しいタカラヅカのピラミッド」「ごくふつーのサヨナラショー」をきっちり務めて卒業していくんだ。
 これが彼の真意なら、本公演のみょーな配置はなんだったんだろう……。劇団のすることってわかんない。


 なんかいろいろ、考えさせられたし、気づかされた。

 わたしほんと、ヲヅキさん好きだったよ。
 ご贔屓より好待遇で疑問符飛ばしたりもしたけれど。
 それでも、彼の朴訥なキャラクタや、厚みのある芝居が好きだった。

 テルキタが好きだった。
 『銀薔薇』のオープニングでハクハクした。『凍てついた明日』で涙した。
 退団公演中、やたらと思い出していたよ、『ソロモンの指輪』の片翼の天使。かなめくんの美しさ、ヲヅキの「耽美、似合わねえ」感……(笑)。


 千秋楽は、当日券並びに行かなかった。
 心折れましたの……。まあどうせ、行っても当たらなかったと思うし。
 遠く見守ります。

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