宙組『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』千秋楽の日付だけど、まだ他の感想書ききってないので、順番にいく。

 初日スキーなので、『白夜の誓い』も初日に張り切って観に行った。
 そして、脚本のアレさにアタマを抱えつつも、なにより配役つーか番手制度無視した居心地の悪い作りに首をかしげた。

 それでもテルキタスキーでヲヅキファンなので、真ん中のふたりに集中している分には楽しめた。

 グスタフ@かなめくんがアホの子で、ヤコブ@ヲヅキは常識人。この関係性は、けっこうツボだ(笑)。
 アホというと言葉が悪いが、「常人に理解出来ない感性の人」だと無理矢理思って観ることが、出来ないでもない。
 そんな「アタマに翼のある人」を愛し、彼に振り回される常識人、というのは、好きな人がやっている分には萌えシチュになったりもする。
 天才と凡人のコンビものって、需要あるよねえ? ホームズとワトソンとか。
 たぶんグスタフとヤコブも、そーゆー路線を目指して、作家の力不足でぐちゃぐちゃになってるんだと思う。

 わたしとしては、脚本には期待してないんで、あとは板の上の役者たちに、物語の方向性を決めて欲しかった。
 台詞は決められていても、方向性を変えることは可能だと思う。その昔、植爺の超々々駄作『長崎しぐれ坂』が、キャストの力でムラ初日と東宝ではまったく別モノになっていたように。

 そして。

 千秋楽まであと少しというあたりに、わくわくとチケット握りしめて『白夜の誓い』観に行った。自分的良席、奮発席だぞぉ、と。

 で。
 実際、初日とは芝居が変わっていた。

 かなめくんが。

 えっと。

 グスタフさんは、クライド化してました。

 …………『凍てついた明日』の。

 …………えええ??

 虚無的というか退廃的というか、深い悲しみをたたえ、胸の奥に闇を抱えている。
 すべてに投げやり。

 ちょっと待て、なんなのこの既視感。

 わたしこれ知ってる。記憶に新しい。
 『ベルサイユのばら―オスカル編―』でも、後半日程でかなめ様はクライド化してた。
 オスカル様が絶望を抱いているのを見て、わたしは胸がきゅんきゅん、切なさに大泣きしたもんじゃった。

 しかし……。

 再度、見せられると……。
 感動するよりも、引く……。

 クライドもオスカルもグスタフも、全部別人です。別のキャラクタです。
 なのに、全部同じところに持って行ってしまう、というは。

 かなめくんって、こういう癖のある人だったのか。
 ひとつの役を長くやると、こっちに引きずられちゃうの?
 クライドがかなめくんアテ書きだったとしたら、かなめくん自身の色、本人のいちばんやりやすいところに、落ち着いてしまう?

 オスカル様は所詮個人なので絶望して投げやりになっていても自己責任だけど、グスタフはチガウでしょ? 王様が投げやりになってちゃダメだって、偉大なる王って脚本では祭り上げてるんだから、そのつもりでいないと!

 オスカルで感動した分、別の役と作品で同じことをされてしまうと、オスカルの感動にも水を差される思いで、なんかつらい。

 ということで、同じクライド化なのに、『ベルばら』とは雲泥の差の気分で、観ていました。

 考えてもみてくださいよ、ただでさえグスタフはアホの子なんです。脚本がそうなってるんです。
 なのに、そのうえ、演じている人が投げやりだと、どうなります?

 アホの上にいい加減なんですよー、たまりませんよー、無理ですよー。

 クライドは投げやりでもよかったの。彼は絶望していて、破滅に向かって歩いていたんだから。
 オスカル様も、希望よりは限界を見ていて、力尽きることを覚悟していた。原作とはチガウけど、原作の世界観の中で許される範囲の美しい解釈だと思う。
 だがしかーし!
 グスタフはチガウ。彼は自分の国を自分の力で、自分の信じる方向へ進めていく、その途中で親友の誤解と裏切りに遭って命を落とす、悲劇の王なわけでしょ? 最初から「国民道連れ自殺」するつもりじゃないでしょ?
 だから、あきらめの極地で投げやり風、はチガウのよ!!

 かなめくーん、待って待って、そっち行かないでーー!
 そっちへ流れるのが癖だとしても、今回はチガウと思うの。
 グスタフが正しく「天才」として描かれていたら、投げやりでも様になったかもしれないけど、実際にはアホの子だから!
 原田くんの筆力不足なだけで、かなめくんには「グスタフは天才だから、天才として演じて」と指示したために、こんなことになってるのかもしんないけど。
 でも、実際わたしの目に映っているモノは、なかなかどうしてアタマを抱えるモノだった……。


 この変化だけでも、わたしをあわてさせるに十分だったのだけど。

 対するヤコブ@ヲヅキさんも、芝居を変えてきていた……。
 これがまた……。

 わたしの好みから遠く……というか、正反対の進化を遂げていたんだ。
 いやその、わたしの好みに合わせる謂われはないんで、ほんと、わたし個人の好みの話ですよ?
 あうう。

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