『白夜の誓い ―グスタフIII世、誇り高き王の戦い―』を観ているとき、いろんな作品を思い出したんだ。

 まず最初は『太王四神記II』。プロローグで彷彿としたのはわたしの偏った思い込みゆえ。
 でも、なんかあちこちで思い出した。親友同士が争い、片方が死んじゃうあたり。グスタフ陛下@かなめくんの最期は、ホゲ様の最期を思い出したわ。
 「みんなを守る王になる」と誓う少年とその幼なじみの忠臣……フランス留学時代のグスタフとヤコブ@ヲヅキは、『銀英伝』のよう。ヲヅキがキルヒアイスだったら、こんな感じだったのかあ。
 また、ふたりの「対等な話し方」から、『ベルばら』も思い出した。オスカルとアンドレね。
 王子様と貴族青年が、たったふたりだけで「徒歩」で国境越え……もとい、悪役の領地へ入るくだりもまた、『ベルばら』を思い出した。逆ギレフェルゼンと筋肉ジェローデルが警備隊相手にチャンバラするやつね。遠い目。
 あー、この「王子様がお供1名だけ」で徒歩帰国も目が点だったけど、「王宮(しかも王の執務室!)に簡単に単身忍び込む田舎者の一平民」にも盛大に突っ込んだわね……オスカル様、ロザリーに教えてあげて、王宮ってのは建物一戸が「王宮です」とぽつんとあるんじゃなく、そこを取り巻く施設や土地全部が田舎もんが足を踏み入れられなくなってるんだってことを。
 カーテン前に1列に並んでひとことずつ喋る人々に植爺芝居のデジャヴ、海戦シーンは『エル・アルコン』(『TRAFALGAR』はわたしの記憶からかなり薄くなってるため、思い出すのはこっち)。

 そしてなんといっても、『黒い瞳』。
 ストーリー上とてつもなく唐突に、脈絡もなく、ソフィア@みりおんとエカテリーナ@せーこがカーテン前で「いい話」をおっぱじめる。
 この「取って付けた感」はひどい。それまでの話の流れと、あきらかに別モノ。どこかから別のモノを貼り付けたように見える。
 別のモノ……『黒い瞳』のマーシャとエカテリーナの場面。
 「名場面」だと有名な、女性ふたりの場面。
 マーシャとエカテリーナの場面が「名場面」なのは、それまでしっかりとマーシャが描かれているからだ。彼女の生き方、彼女の愛が、彼女の行動と共に描かれているから、ここでこの会話なのだとわかる。また、エカテリーナも物語冒頭から登場し、強く厳しい「揺るぎない女帝」として描かれていた、それゆえに彼女がここで見せる人間性、女としての顔が観客の胸を打つんだ。
 それをまあ、表面だけなぞって、人格描写皆無のヒロインと、ついさっきちらりと顔見せしました、なだけの「アンタ誰?」な描き方の女帝で猿真似……ゲフンゲフン、再現、するって……。唖然。

 いやその、再現でもなんでもなく、原田くんはまったくのオリジナルでエカテリーナとソフィアの場面を一から創り上げたのかもしれないけどな。
 だとすると、この場面の脈絡のなさや物語の中でのおかしさを理解せずに作ったってことで、ますます彼の構成力というか認識力に疑問を持っちゃうけど。
 エカテリーナ相手にどうこうやる時間があるなら、まともにソフィアの「ヒロインとして」「トップ娘役が演じている役として」の基本書き込みをしようよ。グスタフと心が通じ合う場面を描こうよ。

 あとは先日欄に書いた通り、『ブルボンの封印』を思い出した。無意味なヒロイン設定において。

 全体的に、えんえんえんえん、これなんだっけ、なにか思い出すぞ、と記憶を探るのに意識の何割かは持って行かれる感じの公演だった。

 この世のなににも、まったく似たところ皆無のモノなど存在しないのだから、似ててもかまわないと思うけど……似ているところが多すぎてちょっととまどう。
 これが、かなめくん出演作品にのみ酷似している、とかなら「退団公演ゆえにオマージュしました」と考えられんこともないが、のべつまくなしなので、そういう意図は感じられないなー。

 ま、いいや。
 原田くんだし。(ばっさり)

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