おかえり、君の場所へ。@New Wave! -花-
2013年12月13日 タカラヅカ 『New Wave! -花-』初日観劇。
どんな舞台になるのか、まったくわからないままでの観劇。
作品解説やポスターから、「主演なし」とか「主な出演者が3人連名だから、3人主役で学年順の考慮あり」とか。過去に『ハロー!ダンシング』のような「主演を置かないショー公演」もあったのだから。
わからないまま、観て。
わたしは、思い出した。
あれは『Victorian Jazz』千秋楽の日。
フィナーレで踊りながらだいもんは、まるで「終わる」ことを惜しむように劇場を見回している……ように、見えた。
いつもいつも「表現欲」を感じていた子。「もっと演じたい、もっと表現したい」、全霊を挙げてそう訴えているような芸風。
舞台が好きで、演じること、歌うことが天職で。
もっと、もっと。そう感じる、飢餓感を抱えた子。
もっと、与えればいいのに。この子が欲しがるモノを、欲しがるだけ、与えてみればいいのに。そうすればこの子は、どこまで表現してみせるんだろう。
そう思っていただいもんが、ようやく、「表現する場」を与えられた。
はじめての主演。
はじめての真ん中。
そして彼は、見事に務めを果たし、バウ公演は盛況のうちに千秋楽を迎えた。
その、最後のフィナーレで。
彼は、「終わってしまう」ことに耐えるような、惜しむような表情で、劇場を見回していた。
わたしには、そう見えた。
もっともっと、表現したい。歌いたい、演技したい、踊りたい。
なのに、終わってしまう。
戻っておいで。
そうだ、そのときわたしは、そう思ったんだ。
戻っておいで。
強い強い「表現欲」を持つ君。
戻っておいで。
もう一度、ここへ。いくらでも表現していい、舞台の真ん中へ。
一度バウ主演出来たって、次があるかどうかなんかわからない。劇団の胸のうちひとつで、ジェンヌの運命は決まる。
だいもんがこれからどうなるのか、そんなことはさっぱりわからないけれど、それでもわたしはそのとき思ったんだ。
とても、シンプルに。
戻っておいで。
ここが、君の居場所だから。舞台の、真ん中が。
君がいちばん、君らしく生きられる場所。
だから、戻っておいで。
君の主演する舞台が、また観たい。
そう思った。
そんな風に思ったのは、はじめてだった。
で、そんなことは、すっかり忘れてた。
……すまん、ほんとに、するっと忘れてた。思い出すことはあっても、いつも思い返しているわけじゃないから。
それを。
思い出したんだ。
『New Wave! -花-』初日、1幕のラスト。
「主な出演者が3人連名」だから、見せ場も順番、並ぶときは3人並んで、だけど学年的にだいもんセンターで、いろいろと仕事が多い。大変だなー、主演兼座長は、てな感じ。
なんというか、だいもんの「使命感っ!」という気負いが、肩からゆんゆん漂ってきていた。
MCもあるしさー。
キキくんは天然、この子末っ子ですか? なんか「許されてる」という前提でその場に存在している感じが、さいこーです(笑)。
あきらは……わたし、あきらの人となりをぜんぜんイメージすらしたことなかったんだなと改めて思った……この人真面目!! そして、わきまえてて、常識人!
だから、ふたりとも、だいもんの助けになってない(笑)。
キキくんはだいもんの鬼気迫るムードなんかまーったく気にせず好きに振る舞ってるし、あきらは決して出過ぎない執事みたいなムードで立ってるし。だいもんの緊張は、ゆるむ暇がない。
ちょっと面白いです、こいつら(笑)。
みんなそれぞれ緊張して、必死に自分の仕事をしているんだろうけど……だからこそ、なんか漏れている性格や心の立ち位置が、楽しすぎる。
そんな「主な出演者が3人連名」というはじまり方で。
だいもんはめっちゃ力入っていて。
1幕のラスト。
「オルフェとユリディス」の物語がはじまる。や、プログラム見てなかったから、そんな設定知らないまま観たんだけど。
だいもんが陽水の「傘がない」を歌うところからスタート。
行かなくちゃ。君に会いに行かなくちゃ。
だけど、傘がない。
そして、不思議な、不安な、世界が広がる。
象徴的に現れるヒロイン、べーちゃん。彼女を追うだいもん。オルフェの物語だと知らないから、べーちゃんは幻とか、イメージだけの存在なのかと思ったよ。
同じ舞台の上で、違う世界にいるかのように、すれ違う。
ここで。
ナニか、変わったと思う。
物語が、はじまった。
望海風斗主演の。
そしてわたしは、思い出したんだ。
『Victorian Jazz』千秋楽の日、思ったことを。
戻っておいで。
ここが、君の生きる場所。
舞台の、真ん中。
そうだ。
そう思ったんだった。
だから。
おかえり。
心の中で、そう返していた。
おかえり、だいもん。君の場所へ。
1幕ラストの「オルフェとユリディス」は、圧巻だった。
響く歌声とダンス、そして、表現力。
彼が、舞台の真ん中。この世界を牽引する者。
下級生2名と連名で、座長で、公演を創らなければならない、引っ張らなきゃならない、そんな使命感にぴりぴりした空気は、別のモノに変換していた。
だいもんが、「世界」に入っていた。
彼が世界に入り、世界を吸収し、再び放出し、作り替えていた。
走り出した。
彼の創った世界で。
彼が、真ん中の世界で。
ぞくぞくした。
これが出来るから、「真ん中」なんだ。真ん中でないと出来ないし、してはいけない。そして彼の「表現欲」は、これを欲していた。
表現したい。
世界を、作り替えたい。
目の前の世界が、裏返る。
だいもんを中心に、布が巻き取られるみたいにいったん引いて、裏返って別のモノになる。
物語が、はじまった。
彼を、中心に。
役者って。
役者って、こういうもの?
こういうことをやってのけるのが、俳優というものなの?
なんかもお、すげーもん見た。
そして、だいもんが主役のまま、1幕は、「オルフェとユリディス」の物語は劇的に幕を閉じる。
ほんとに、そこで終わる。
だいもんに、スイッチ入った。エンジンかかった。
2幕はもお、ふつーにだいもん主演だし。
だいもんセンターで、その後ろにあきら・キキ。トップスターとW2番手の扱い。そういう立ち位置、演出。
3人横並びだったのは、1幕の前半だけか。
冴え渡る、歌声。
歌える、ってすごい。これだけの力になるんだ。
舞台に加わる、説得力。
彼がセンターである、まぎれもない力。
仙名さんもすげー歌声響かせるし。
歌ウマがマジで場を与えられ、力を解放すると半端ナイな。
わたしが今いろいろといっぱいいっぱいなせいもあるけど、泣けて仕方なかった。
どんな舞台になるのか、まったくわからないままでの観劇。
作品解説やポスターから、「主演なし」とか「主な出演者が3人連名だから、3人主役で学年順の考慮あり」とか。過去に『ハロー!ダンシング』のような「主演を置かないショー公演」もあったのだから。
わからないまま、観て。
わたしは、思い出した。
あれは『Victorian Jazz』千秋楽の日。
フィナーレで踊りながらだいもんは、まるで「終わる」ことを惜しむように劇場を見回している……ように、見えた。
いつもいつも「表現欲」を感じていた子。「もっと演じたい、もっと表現したい」、全霊を挙げてそう訴えているような芸風。
舞台が好きで、演じること、歌うことが天職で。
もっと、もっと。そう感じる、飢餓感を抱えた子。
もっと、与えればいいのに。この子が欲しがるモノを、欲しがるだけ、与えてみればいいのに。そうすればこの子は、どこまで表現してみせるんだろう。
そう思っていただいもんが、ようやく、「表現する場」を与えられた。
はじめての主演。
はじめての真ん中。
そして彼は、見事に務めを果たし、バウ公演は盛況のうちに千秋楽を迎えた。
その、最後のフィナーレで。
彼は、「終わってしまう」ことに耐えるような、惜しむような表情で、劇場を見回していた。
わたしには、そう見えた。
もっともっと、表現したい。歌いたい、演技したい、踊りたい。
なのに、終わってしまう。
戻っておいで。
そうだ、そのときわたしは、そう思ったんだ。
戻っておいで。
強い強い「表現欲」を持つ君。
戻っておいで。
もう一度、ここへ。いくらでも表現していい、舞台の真ん中へ。
一度バウ主演出来たって、次があるかどうかなんかわからない。劇団の胸のうちひとつで、ジェンヌの運命は決まる。
だいもんがこれからどうなるのか、そんなことはさっぱりわからないけれど、それでもわたしはそのとき思ったんだ。
とても、シンプルに。
戻っておいで。
ここが、君の居場所だから。舞台の、真ん中が。
君がいちばん、君らしく生きられる場所。
だから、戻っておいで。
君の主演する舞台が、また観たい。
そう思った。
そんな風に思ったのは、はじめてだった。
で、そんなことは、すっかり忘れてた。
……すまん、ほんとに、するっと忘れてた。思い出すことはあっても、いつも思い返しているわけじゃないから。
それを。
思い出したんだ。
『New Wave! -花-』初日、1幕のラスト。
「主な出演者が3人連名」だから、見せ場も順番、並ぶときは3人並んで、だけど学年的にだいもんセンターで、いろいろと仕事が多い。大変だなー、主演兼座長は、てな感じ。
なんというか、だいもんの「使命感っ!」という気負いが、肩からゆんゆん漂ってきていた。
MCもあるしさー。
キキくんは天然、この子末っ子ですか? なんか「許されてる」という前提でその場に存在している感じが、さいこーです(笑)。
あきらは……わたし、あきらの人となりをぜんぜんイメージすらしたことなかったんだなと改めて思った……この人真面目!! そして、わきまえてて、常識人!
だから、ふたりとも、だいもんの助けになってない(笑)。
キキくんはだいもんの鬼気迫るムードなんかまーったく気にせず好きに振る舞ってるし、あきらは決して出過ぎない執事みたいなムードで立ってるし。だいもんの緊張は、ゆるむ暇がない。
ちょっと面白いです、こいつら(笑)。
みんなそれぞれ緊張して、必死に自分の仕事をしているんだろうけど……だからこそ、なんか漏れている性格や心の立ち位置が、楽しすぎる。
そんな「主な出演者が3人連名」というはじまり方で。
だいもんはめっちゃ力入っていて。
1幕のラスト。
「オルフェとユリディス」の物語がはじまる。や、プログラム見てなかったから、そんな設定知らないまま観たんだけど。
だいもんが陽水の「傘がない」を歌うところからスタート。
行かなくちゃ。君に会いに行かなくちゃ。
だけど、傘がない。
そして、不思議な、不安な、世界が広がる。
象徴的に現れるヒロイン、べーちゃん。彼女を追うだいもん。オルフェの物語だと知らないから、べーちゃんは幻とか、イメージだけの存在なのかと思ったよ。
同じ舞台の上で、違う世界にいるかのように、すれ違う。
ここで。
ナニか、変わったと思う。
物語が、はじまった。
望海風斗主演の。
そしてわたしは、思い出したんだ。
『Victorian Jazz』千秋楽の日、思ったことを。
戻っておいで。
ここが、君の生きる場所。
舞台の、真ん中。
そうだ。
そう思ったんだった。
だから。
おかえり。
心の中で、そう返していた。
おかえり、だいもん。君の場所へ。
1幕ラストの「オルフェとユリディス」は、圧巻だった。
響く歌声とダンス、そして、表現力。
彼が、舞台の真ん中。この世界を牽引する者。
下級生2名と連名で、座長で、公演を創らなければならない、引っ張らなきゃならない、そんな使命感にぴりぴりした空気は、別のモノに変換していた。
だいもんが、「世界」に入っていた。
彼が世界に入り、世界を吸収し、再び放出し、作り替えていた。
走り出した。
彼の創った世界で。
彼が、真ん中の世界で。
ぞくぞくした。
これが出来るから、「真ん中」なんだ。真ん中でないと出来ないし、してはいけない。そして彼の「表現欲」は、これを欲していた。
表現したい。
世界を、作り替えたい。
目の前の世界が、裏返る。
だいもんを中心に、布が巻き取られるみたいにいったん引いて、裏返って別のモノになる。
物語が、はじまった。
彼を、中心に。
役者って。
役者って、こういうもの?
こういうことをやってのけるのが、俳優というものなの?
なんかもお、すげーもん見た。
そして、だいもんが主役のまま、1幕は、「オルフェとユリディス」の物語は劇的に幕を閉じる。
ほんとに、そこで終わる。
だいもんに、スイッチ入った。エンジンかかった。
2幕はもお、ふつーにだいもん主演だし。
だいもんセンターで、その後ろにあきら・キキ。トップスターとW2番手の扱い。そういう立ち位置、演出。
3人横並びだったのは、1幕の前半だけか。
冴え渡る、歌声。
歌える、ってすごい。これだけの力になるんだ。
舞台に加わる、説得力。
彼がセンターである、まぎれもない力。
仙名さんもすげー歌声響かせるし。
歌ウマがマジで場を与えられ、力を解放すると半端ナイな。
わたしが今いろいろといっぱいいっぱいなせいもあるけど、泣けて仕方なかった。
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