『第二章』千秋楽観劇。

 諸事情あって、初日を観たっきり、次がいきなり千秋楽という。

 『おかしな二人』も初日・千秋楽を観た。そのときよりも、さらにくずれたというかこなれたというか、「タカラヅカ」っぽくなった印象だった。舞台が。
  ニール・サイモン原作だから、初日に作り上げたカタチが最大限のアレンジ、それ以上はくずしちゃいけないのかと勝手に思ってたから、「ここまでやっていいんだ」というのが、新たな発見。
 星組っぽい崩し方だなと思ったので、エマさんがいることが大きいのかもしれない。

 初日に引っかかった部分は、ほんとに「わたし、ナニに引っかかってたんだろう?」と首をかしげるくらい、なんともなくなってた。うーん、構えすぎてたのかなあ。
 苦手な海外翻訳物、苦手なイシダせんせ、ということで、神経質になりすぎてたかもな、初日は。

 だからもうあとは、とてもクリアーに、世界に酔うことが出来た。

 2回目だからか、引っかかりがなくなった分濃さも減ったのか、初日ほど泣きまくることはなかった。
 ただ、ひとつひとつの台詞や、会話のやり取りを味わい、トド様の表情を眺めていた。

 ストーリーがわかっているから、台詞を言う人を追う必要はない。
 存分に、トド様を見る。
 台詞がなく、話を聞いているだけ、電話の受話器を握っているだけの彼の芝居を、凝視した。
 その細かい表情の変化、感情の揺れを。
 追いかけた。

 やっぱこうして見ると、トド様年取ったなと思う。
 でも、加齢も含めてなお、彼を魅力的だと思うんだ。

 揺れる。
 そう表記するしかないほど、心が動いているのが見える。
 ジェニファー@ねねちゃんの言葉を聴き入っているときが、顕著。
 ひとの心は固まってなどおらず、絶えず揺れている。
 それが、わかる。見える。
 彼女の言葉のひとつひとつに、新鮮な動きを見せている。
 水面の光が、世界を映した色が、ちらちらとまたたき、変わり続けるように。


 4人の出演者。
 4人ともが個性的で、魅力的で、なんだかすごく愛しい。
 バウホールだからかな、こう、きゅっと手のひらの上に載せて、抱え込みたいような。
 空気が濃い。小さくキューブ状に凝縮された、とっておきの空間。

 フィナーレのはじけっぷりの楽しさってば。
 ええ、ねね様登場にきゃーきゃーになりましたよ、わかっていても! きゃーねね様すてきぃぃ!!
 エマさんとわかばちゃんのデュエットのクサさも大好物だ!(笑)

 フィナーレ、赤い口紅のトド様を見て、うっわー、タカラヅカやなあ、と思った。

 芝居中のジョージはもちろん、こんなどぎつい色の唇はしていない。
 ナチュラルな色の唇で、十分魅力的な姿なのに。

 フィナーレでは、これでもかという、口紅。
 べつに、こんな色付ける必要ないのに。トド様なら、フィナーレの派手さに負けてないのに。
 そう思っても、赤い唇で「男」を演じる姿に、わくわくする。
 どんだけ不自然でも、正気に返って考えると変なことでも。
 だって、それが「タカラヅカ」だもの!

 ヒャッホウなキモチになる。
 いいぞいいぞトドロキユウ。いいぞいいぞタカラヅカ。
 タカラヅカってすごいな、タカラヅカっていいな。
 そう思う。

 赤い口紅のままで、ラストはジョージっぽく演じて、幕が閉まる。
 ジョージはあんな唇してないのに。
 それでも、「芝居」に入ったトド様は、ちゃんと「男」で。赤い唇でも、違和感なくて。
 ああもう、好きだなと思う。


 楽しかった。
 いい舞台、いい公演だった。
 タカラヅカってほんと面白い。

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