ところで、あんまりキムシンらしさを感じなかったんですが。
 『日のあたる方へ ―私という名の他者―』

 おっさんふたりが真剣に話している最中に、オカマさんたちのサンバダンサーが登場して踊りまくったあたりぐらい? うわキムシン(笑)、と思ったの。

 むしろ、小池オリジナル? って感じがして、あちこち混乱したわー。
 舞台の使い方や、映像、照明……ネタ自体も。
 なんつーか、イケコの黒歴史、『MIND TRAVELLER』を彷彿とする。

 なんで黒歴史かって、まあもちろん単純に話がトンデモ過ぎて、加えてチケットもぜんぜん売れず、興行的にも大変なことになってた、ってことなんだけど。
 なにしろ、公演が決まったとき、わざわざ「あの小池修一郎演出の新作ミュージカル!」ってチラシが単体で作られたんだもん。主演のまとぶさんより、イケコがクローズアップされたチラシ。そんなの、他では見たことナイ。
 で、そうやってイケコの名前で売り出した公演なのに、興行的にはえーらいこっちゃで、責任はイケコにも大きかったのか、青年館ではイケコが自分でチケットの取り次ぎをしていたという。イケコ本人がいたわけじゃないけど、生徒さんの会チケ手渡しテーブルと同じように、イケコテーブルもあった、と。外部なら演出家取り次ぎ窓口もあるだろうけど、ヅカではありえない。他では見たことナイ。
 てなことから、黒歴史だろーなと、わたしが勝手に思っている。や、わたしは『MIND TRAVELLER』2桁観劇しましたから、めっちゃ観ましたから!(笑)

 キムシンを期待して行ったらイケコで、なんかぽかーんな感じ。


 そういえば、キムシンというとポスターが凝っていて楽しい、というのがあった。
 オサ様の『不滅の棘』の美しかったこと! 当時DCのチラシはレアで(数を刷っていなかったらしい)、チケットを購入した人が1枚につき1枚、それも申告しなければもらえない、大変貴重な物だった。ひとりで2枚購入したら、1枚しかもらえなかったんだよ。「2枚買ったんだから、チラシも2枚ください!」って言わないと、もらえなかった。先行販売で買った場合、会員証持って「チケットをたしかに買いました」と証明しないと、チラシをもらえなかった。
 かなり大変な思いをして手に入れた、美しいチラシ。
 『王家に捧ぐ歌』や『スサノオ』も迫力あったなあ。『オグリ!』や『バラの国の王子』 もインパクトあった。

 残念になったのは、『ドン・カルロス』から?
 とにかく主演の顔アップにしときゃーいいんだろ、みたいなやっつけ仕事感……。

 そして、今回の『日のあたる方へ』のポスターは、さらに手抜き感が強いっちゅーか……。

 プログラムはいいんだよ。ポスターの別撮影写真とか使って、マカゼ氏ひとりどーんと載って。めくってもめくってもマカゼ、ファンにはこれうれしい。
 「めくる」「連続」という作用のあるプログラムなら、白背景に主役ひとりどーん、も効果的。
 でも、ポスターはそうじゃない。

 『日のあたる方へ』という、小説っぽいというか、内容の想像つかない、あまりキャッチーではないタイトルに、なんか苦悩しているっぽいマカゼが写っているだけ。
 ……わかりにくいタイトルに、わかりにくい写真。
 なにを表し、なにをアピールしているのか、伝わらない。
 なにも知らない人がいきなりこのポスターを見て、魅力や興味を感じるだろうか。

 これって、ディナーショーのポスターだよね? 方法論が。
 主役ひとりどーん、で、抽象的なタイトルがあるだけ。チケットを売る対象者は、主役のファンだけだから、主役がきれいに写っていればヨシ。ファン以外はそもそもチケットを買わないから、演目自体に興味を持たせる必要はない。

 数百人サイズの会場で数回行うだけのディナーショーと、900席のドラマシティ、1300席の青年館で何十回と公演する舞台のポスターが、同じ方法論で作られるなんて。

 もっと内容がよくわかるデザインのポスターにするか、多少盛ることになったとしても、あざとい画面にしてみるとか、なにかしら客の興味を引くように、努力するべきだろうに。
 もしくはタイトルを、一般人にもわかりやすく、興味をかき立てるモノにするとか。
 文学的なタイトルをいじりたくない、というなら、キャッチーなコピーを付ける。

 わたしなら、いろんなことをするけどなあ。
 画像デザインするの、好きだしなあ。コピー考えるのも好きだしなあ。や、所詮素人だけど、素人なりにいろんなこと考えるのよ。

 「ジキルとハイド」が元ネタだって、小さな字まで辛抱強く目を通す人にしか、気づいてもらえない。原作まんまをやるつもりじゃない、元ネタに過ぎないから、大きく名前を出したくなかったんだろうけど。
 有名原作なら、そのネームバリューを利用すれば良いのに。

 つくづく、生田くんのポスターへのこだわりは素晴らしいよなあ。
 と、同じマカゼ主演の『ランスロット』ポスターのクオリティを、なつかしく思う。
 画面のこだわりようと、厨二病前回の恥ずかしいコピーが、実に観劇意欲を誘った。


 キムシン、どうしちゃったのかなあ。
 またゴテゴテこだわったポスターが見たいなあ。

 なによりも、キムシン節前回の説教臭いオペラが観たいけど。

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