花開き、咲き誇る。@日のあたる方へ
2013年10月9日 タカラヅカ 娘役さんって、急激に成長するよなあ、と感動した。
『日のあたる方へ ―私という名の他者―』の、ジュリア@はるこちゃん。
はるこちゃんがうまい人なのはわかってる。ヒロイン力というか、「主人公力」のある人。
『メイちゃんの執事』とか『天使のはしご』とか、男役本位の「タカラヅカ」で、「主人公」としてしっかり演じきった実績あり。
でも今回はそれに比べて、「いい女力」をどーんと見せてくれたなあと。
市長の娘ジュリアって、まあぶっちゃけ、いてもいなくてもいい役なんだけどね。
キムシン芝居らしく、ほんと役は少ないし、必要な役はさらに少ない。ジュリアは、役の頭数を増やしただけみたいな役。あってもいいけど、なくても問題ないあたり。
お金持ちのお嬢様らしく派手な美人で、自信家。ジキルくん@マカゼを好きで、彼と結婚したいから、パパに頼んで彼の研究費の援助をしてもらっている。
このままお金と権力で、好きな男を手に入れるんだろうな、というよーな、よくあるヒロインのライバルキャラ的な設定。
なんかものすげー服を着て現れるし、どうしてこんな派手な女性があの地味なジキル氏を好きなのか、ちょっと見にはわかんない。
ジキル氏が若き天才なので、彼のステイタスに惚れている、アタマの軽い金髪美女、という、物語によくあるタイプのお嬢様キャラ、を狙ったのかもしれない。
ジュリアが場違いに見えるのはたぶん、ジキル氏の地味さのせい。
マカゼくん、美形だけどその、「時代の寵児! カリスマ!」的な派手さには欠けるんだよなあ。
たとえば、マミさんとかリカちゃんとがが、この「若き天才」の役をやっていたら、そりゃおっぱい強調した派手服の金髪美女が鼻をツンツンさせてまとわりついてくるのも、よくわかる。
マカゼくんの「地味さ」「実直さ」が、金持ちお嬢様が好んでやって来るタイプの「天才」に見えないんだよなあ。
このジキル氏に惚れるのは、彼の真面目さを心地よく思う、真面目な女性だろうになあ。
こんなキャラ配置からしても、キムシンがこの作品を「マカゼのために」書き下ろしたとは思えない……。
まあともかく。
設定上求められている役割を、華やかにこなしているはるこちゃんに、感動したわけですよ。
最初の登場では、よくある「ライバルキャラ」風の女性なんだけど、悪い子ではまったくないと、あとでわかるわけだしね。
結果的に、彼女も事件の犠牲者ってことになる。事件ゆえに、父親からジキルとの結婚を却下されるのだから。ジキル自身に振られるのと、それ以前に父親に脅迫さるのとでは、ショック具合や納得具合が違ってくるもんな。
このいろいろと困惑しきりの舞台で、唯一素直に感情移入出来るのが、ジュリアだった。
はるこちゃん、いいわー。
まず、見た目の記号的な意味を、きちんと満たしている。
これまで彼女の持ち味や得意分野からは、はずれた役だと思う。新公のテス@『オーシャンズ11』は同種の華やかさを必要としていたけれど、完璧に満たしていたとは思えなかった。
それゆえに、ここでこう来たかと。
テスで足りなかった分、ちゃんと成長してモノにして、こうして見せてくれるのかと。
それでいて、中身というか、ジュリアという女の子の良い部分……恋に一途なかわいい女性の部分は、はるこちゃんの得意分野、リアルに血肉を持ってどーんと演じてくる。
「ライバルキャラ」として登場しただけに、この逆転劇、「えっ、ほんとはいい子じゃん!」はあざやかで。
また、脚本のジュリアの描き方が中途半端で、彼女のことなんかどーでもいい・書き込んでるヒマはないと思っている感じが透けて見えるだけに、「え、これだけ?」というぶった切られたエピソードがまた、後を引く。それであの子はどうなったの?って。
それっきり、ちゃんと書いてくれない、放置っていうか、てきとーにモブに混ざって出てきて終了してんですけどね。
書いてくれてないから、「きっといろいろあったんだろうなあ」と想像させられるというか。
そうやって、ろくに大切にされてない風なのに、そこにキモチが行くほどに、いい芝居でした。
娘役さんって、成長度合いが大きいというか、男役に比べて寿命が短いためもあるのか、早回ししてるみたいにぎゅーんと変わることがあるよね。
ちょっと前まで、若さを前面に出したかわい子ちゃんだったのに、気がついたらそれだけではない実力を、ばーんと見せてくれたりする。
最近では、星組にいたれみちゃん。
若手のかわい子ちゃんだったのに、花を添える存在だったのに、あるときから急にスピードが変わって、どんどんいい女に変貌していった。
人生に、加速が付く。
そのあざやかさに息を飲むし……生き急いでる感に、どきどきしたりもする。
タカラジェンヌは10年くらいの短い寿命の中で、花を開くわけだからなあ。
蕾までの間がやたらゆっくりで、いったんほころぶと早送り再生映像みたいに、急激に形を変える人もいる。
はるこちゃんもまた、今花盛り。
ヒロインをばんばんやっていた頃とはちがったカタチに、あざやかに開花している。
こういう娘役力のあるジェンヌさんを、活かせる脚本や公演を望む。
『日のあたる方へ ―私という名の他者―』の、ジュリア@はるこちゃん。
はるこちゃんがうまい人なのはわかってる。ヒロイン力というか、「主人公力」のある人。
『メイちゃんの執事』とか『天使のはしご』とか、男役本位の「タカラヅカ」で、「主人公」としてしっかり演じきった実績あり。
でも今回はそれに比べて、「いい女力」をどーんと見せてくれたなあと。
市長の娘ジュリアって、まあぶっちゃけ、いてもいなくてもいい役なんだけどね。
キムシン芝居らしく、ほんと役は少ないし、必要な役はさらに少ない。ジュリアは、役の頭数を増やしただけみたいな役。あってもいいけど、なくても問題ないあたり。
お金持ちのお嬢様らしく派手な美人で、自信家。ジキルくん@マカゼを好きで、彼と結婚したいから、パパに頼んで彼の研究費の援助をしてもらっている。
このままお金と権力で、好きな男を手に入れるんだろうな、というよーな、よくあるヒロインのライバルキャラ的な設定。
なんかものすげー服を着て現れるし、どうしてこんな派手な女性があの地味なジキル氏を好きなのか、ちょっと見にはわかんない。
ジキル氏が若き天才なので、彼のステイタスに惚れている、アタマの軽い金髪美女、という、物語によくあるタイプのお嬢様キャラ、を狙ったのかもしれない。
ジュリアが場違いに見えるのはたぶん、ジキル氏の地味さのせい。
マカゼくん、美形だけどその、「時代の寵児! カリスマ!」的な派手さには欠けるんだよなあ。
たとえば、マミさんとかリカちゃんとがが、この「若き天才」の役をやっていたら、そりゃおっぱい強調した派手服の金髪美女が鼻をツンツンさせてまとわりついてくるのも、よくわかる。
マカゼくんの「地味さ」「実直さ」が、金持ちお嬢様が好んでやって来るタイプの「天才」に見えないんだよなあ。
このジキル氏に惚れるのは、彼の真面目さを心地よく思う、真面目な女性だろうになあ。
こんなキャラ配置からしても、キムシンがこの作品を「マカゼのために」書き下ろしたとは思えない……。
まあともかく。
設定上求められている役割を、華やかにこなしているはるこちゃんに、感動したわけですよ。
最初の登場では、よくある「ライバルキャラ」風の女性なんだけど、悪い子ではまったくないと、あとでわかるわけだしね。
結果的に、彼女も事件の犠牲者ってことになる。事件ゆえに、父親からジキルとの結婚を却下されるのだから。ジキル自身に振られるのと、それ以前に父親に脅迫さるのとでは、ショック具合や納得具合が違ってくるもんな。
このいろいろと困惑しきりの舞台で、唯一素直に感情移入出来るのが、ジュリアだった。
はるこちゃん、いいわー。
まず、見た目の記号的な意味を、きちんと満たしている。
これまで彼女の持ち味や得意分野からは、はずれた役だと思う。新公のテス@『オーシャンズ11』は同種の華やかさを必要としていたけれど、完璧に満たしていたとは思えなかった。
それゆえに、ここでこう来たかと。
テスで足りなかった分、ちゃんと成長してモノにして、こうして見せてくれるのかと。
それでいて、中身というか、ジュリアという女の子の良い部分……恋に一途なかわいい女性の部分は、はるこちゃんの得意分野、リアルに血肉を持ってどーんと演じてくる。
「ライバルキャラ」として登場しただけに、この逆転劇、「えっ、ほんとはいい子じゃん!」はあざやかで。
また、脚本のジュリアの描き方が中途半端で、彼女のことなんかどーでもいい・書き込んでるヒマはないと思っている感じが透けて見えるだけに、「え、これだけ?」というぶった切られたエピソードがまた、後を引く。それであの子はどうなったの?って。
それっきり、ちゃんと書いてくれない、放置っていうか、てきとーにモブに混ざって出てきて終了してんですけどね。
書いてくれてないから、「きっといろいろあったんだろうなあ」と想像させられるというか。
そうやって、ろくに大切にされてない風なのに、そこにキモチが行くほどに、いい芝居でした。
娘役さんって、成長度合いが大きいというか、男役に比べて寿命が短いためもあるのか、早回ししてるみたいにぎゅーんと変わることがあるよね。
ちょっと前まで、若さを前面に出したかわい子ちゃんだったのに、気がついたらそれだけではない実力を、ばーんと見せてくれたりする。
最近では、星組にいたれみちゃん。
若手のかわい子ちゃんだったのに、花を添える存在だったのに、あるときから急にスピードが変わって、どんどんいい女に変貌していった。
人生に、加速が付く。
そのあざやかさに息を飲むし……生き急いでる感に、どきどきしたりもする。
タカラジェンヌは10年くらいの短い寿命の中で、花を開くわけだからなあ。
蕾までの間がやたらゆっくりで、いったんほころぶと早送り再生映像みたいに、急激に形を変える人もいる。
はるこちゃんもまた、今花盛り。
ヒロインをばんばんやっていた頃とはちがったカタチに、あざやかに開花している。
こういう娘役力のあるジェンヌさんを、活かせる脚本や公演を望む。
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