『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』という作品・脚本の嫌いなところだけを記すシリーズです、はい。演じているジェンヌには無関係、植爺だけの話。
 いちいち冒頭でくり返しているのは、なんかのはずみでこの項にだけたどり着いてしまう人がいるかもしれないため。
 植爺のことです、脚本のことです。役者とは無関係。


 「第1幕 第11場 宮殿の庭園C」において、フェルゼンはオスカルが自分を愛していたことに気づく。そして「失いたくないただ一人の素晴らしき親友」と結論づける。
 2006年『フェルゼンとアントワネット編』では、

オスカル「云わないで下さい…私は近衛隊の軍人です。この軍服を着ているときは、自分の心に封印をしています」(何故か突然ですます調でなよなよ)

 で終了しているので、言葉遣いを変えることなく「親友」と終わらせている今回は、ずっとよくなっていると思う。

 でもさ。
 なにより先に、思うわけよ。

 まずお前、謝れよ。

 フェルゼンさ、前の場面でオスカルにナニを言った?
 「不倫は終わりにしてくれ、それがふたりのためだ」と必死に言ってくれた「親友」に対し、「見損なったぞ! 初めて会ったときからもう少し心の苦しみが分かる人だと思い込んでいたのに! 女でありながら女を捨てた君にはこの苦しみはいくら説明してもとうてい理解してもらえないのだな!」って言ったよな?
 心配してくれる相手に逆ギレして、もっとも弱いところを攻撃したよな? 相手の人格、全否定したよな?

 で、結局オスカルの言った通りになって。オスカルは正しくて、なのに正しいオスカルに「心の苦しみがわからない人」「女でありながら女を捨てた、人間以下の存在」と罵ったよな?

 謝れ。手を付き、泣いて謝れっ。

 なんで平気な顔して「オスカル? もしかして…君はぼくを?」なんて言ってられるんだ?
 ったくこの最低男、どの面下げて……っ。

 「なんだこいつ、俺に惚れてたんだ。んじゃ、謝らなくていっか」と思ったみたいじゃん。人生舐めてるっ。


 続いて。
 「第12場 宮廷の広間」無意味さを、どうにかしてください。

 プロバンス伯爵、ランベスク公爵が貴婦人たちに取り囲まれて世間話をする場面。

 ここで話している内容が、ひどい。
 無意味説明台詞をただ垂れ流し続ける。しかも、話の内容に整合性がない。

 ここで話題になるのは、
「フェルゼンが帰国する」→それ、前の場面で聞いた
「反国王派を名乗る貴族がいる」→それ、前の場面で聞いた
 と、見事なまでに新しい情報が、ナニもない。

 また、ここの説明台詞で登場する固有名詞は、この舞台に登場しない、不要な知識だ。無用な固有名詞乱発は、観客の理解を妨げるだけ。混乱させるだけ。説明になっていない。

プロバンス伯爵「そうですとも! それが証拠にご覧なさい! この王官はいつもの通りこんなに華やかに、何も変わったことはないではありませんか!」
 と言うけれど、致命的です、びんぼーくさい書き割りセットしかありません!
 歌もダンスもなく、地味で寂しい『ベルばら』……。
 プロバンス伯爵の台詞に説得力がない……。

 それでもこの場面は、貴重な、組子の出番としてだけ、意味がある……。

 本当なら、いらない場面だ。
 なにひとつ新しい情報はなく、無駄に時間を費やしているだけ。

 でも、組子の多くはプロローグ以来、出番がない。15場中11場ではじめて登場する人々がほとんど。
 せっかくの雪組中堅の美女たちが、この「無意味な説明台詞」を横1列に並んで順番に喋るだけ……が、唯一の台詞、てな勢いだ。

 組子の出番、組子の台詞。
 ただそれだけに、意味がある。それ以外に、なんの意味もない。

 なんで歌い踊らないのかなあ。
 もう知っている、聞かされる必要のない台詞を喋らせるくらいなら、歌い踊ればいいのに。
 ほんっと最悪。

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