『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』という作品・脚本の嫌いなところだけを記すシリーズです、はい。演じているジェンヌには無関係、植爺だけの話。
 重ねて言うが、ジェンヌさん個人のことじゃない。植爺の描くキャラクタのこと。


 今回のルイ16世はひどい。
 今まで観たどの『ベルばら』より酷い。

 わたしが不要だと思う3大場面とは、「第5場 王家の紋章」=おっさん3人が無意味な長話、「第7場 フェルゼンの屋敷」=メルシー伯爵のお説教、そして「第9場 宮殿の庭園A」=王様のお散歩。
 ぜーんぶ専科さんの場面。
 専科さんが悪いのではなく、専科さんの芸をそんな風にしか使えない植爺が悪い。

 この3つの場面は、等しく「不要だ」と思っている。

 そして今回は、王様のお散歩場面の話。ええ、ほんと不要。
 無意味説明台詞をただ垂れ流し続ける。しかも、話の内容に整合性がない。
 無意味なのは、ここで展開される情報に、なんの生産性もないためだ。
 大河ロマンを2時間にまとめなくてはならないのに、本筋にまったく関係ない話をえんえんやっている。まさか無意味な情報をこれだけ時間を掛けて展開するとはふつー思わないから、初見の観客は一生懸命咀嚼しようとして、混乱する。
 さらに、キャラクタの人格を破壊している。ルイ16世がどれだけ無能な人物であるかを、またしてもえんえん表現しているんだ。
 画面にいるのはルイ16世とマッシュルームヘアの子どもだけ。タカラヅカ的に美しい場面でもない。

 話の内容に「意味がある」か「簡潔でわかりやすい」か、あるいは、まーーったく意味もなくナニ言ってんのかすらわからない外国語を流しているのであったとしても、最低限「美しい」なら許されるが、この3つの要員をなにひとつ満たしていない。

 ストーリーに無関係のエピソードをわざわざ入れる場合、「ファンサービス」ならあり得る。『戦国BASARA』で伊達政宗@みーちゃんが登場したり、上杉謙信@みりおくんとかすが@べーちゃんで薔薇のシーンをやったり。
 本筋と関係なくても「観客を喜ばせるため」ならアリなんだ。

 でも、ルイ16世と子役は……誰得?
 ファンサービスですらない。植爺の自己満足。

 しつこいよーだが、演じている生徒さんの問題ではない。ルイ16世の中の人の味のある芝居や、子役たちのかわいらしさを否定するわけじゃない。
 この場面があること自体、間違っている。それだけだ。


 しかもこの「無意味」な場面……2006年の『フェルゼンとアントワネット編』より長くなっているんだ。
 ええ、ここでも百害あって一利なしの加筆をされているの。

第1幕
第9場 宮殿の庭園A


ル   ネ「陛下、あなたさまは国王でございましょう。それならば何故そのしきたりを変えようとはなさらないのです」
ルイ16世「私も以前はそう思った。お爺さまが亡くなって私が国王になった時、私は色々願った。しかし夜のお茶を飲むしきたりを変えるだけでも、この宮殿の中で二十何回も会議が開かれるのだ。ああ、それを思っただけでぞっとするではないか」

 これが、加筆された部分。

 ただでさえ、困惑する侍童を引きずり回す迷惑なおっさん。権力を笠に、逆らえない子どもを自由にしている。
 で、やっていることは夜のお散歩というショボさ。
 「王宮のしきたりや規則に縛られてガンジガラメ」であるという哀れさより、そんなことしか出来ない、こんな現状に甘んじている「無能さ」が表されている。
 しかも、子どもを相手に「私はどうも王妃が苦手なのだ」……上司にそんな打ち明け話をされて、どう返せと?? わたしが侍童の立場なら心底悲鳴をあげてるわ、「もう嫌だ、転職したいっ!」。

 それだけでも十分最悪なのに、加筆部分と来たら。

 無能さに加え、怠惰さまで説明するの?!

 たかだか20数回の会議で改善出来ることをせずに、20年毎日愚痴り続ける。
 改善する方法を知っていながら、結局ソレをしなかった。つまり、する必要がない、その程度のことだった。そして、自分ではナニも努力せず、その程度のショボいことを被害者ぶって愚痴る……。

 ほんとに加筆するたび、酷いことになっている。加筆した箇所はすべて、キャラクタの人格を貶め、破壊している。
 植爺はナニがしたいの。

 あと、2006年版にはあった「狩猟と錠前作りの細工」という趣味のくだりがカットされていた。
 無趣味で「夜の散歩」以外ナニもない男、ってこと? 哀れさよりも、情けなさが倍率ドン。

 今回のルイ16世は人格最悪だよー。勘弁してよー。
 なのに植爺は「ルイ16世は人格者」というつもりで描いている。その世界観のよじれっぷりが心底キモチ悪い。
 ルイ16世の印象が悪くなるだけの、本筋と無関係の場面。美しくも楽しくもなく、有益な情報もナニもないのだから、この場面は無用だ。全否定。

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