私たちは罪びと、地獄に生きる。@ロミオとジュリエット
2013年6月9日 タカラヅカ わたしは未だに、「ベンヴォーリオ」というキャラクタを誤解しているらしい。
わたしのヅカヲタ人生最大のハマり方をしたのが、雪組『ロミジュリ』のベンヴォーリオ@まっつ。
そのために、わたしにとってベンヴォーリオはまっつが基準になってしまっている。
つまり、「ベンヴォーリオ=クール」。
天使のロミオ、ホットなマーキューシオ、クールなベンヴォーリオ。ロミオが王様でマーキューシオが将軍、ベンヴォーリオが軍師。
そーゆー思い込み。キャライメージ。
……チガウから。脚本にはそんなもんナイから。
脚本にあるのは、「女たらしのマーキューシオ」「粗忽者のベンヴォーリオ」。
ナイフ片手にキレまくり、女遊びをするマーキューシオの方がよっぽどクールな美形キャラ。
そこに心優しい美少年ロミオとくれば、3人目のベンヴォーリオは三枚目ポジションだ。ベンヴォーリオの勇み足で悲劇が起こるわけだし、ベンは場を和ませるうっかり八兵衛さんポジだろ。
月組のマギーベンヴォーリオを見て「クールじゃない! てゆーかホットな三枚目!!」ということに心底驚いた。マギーならキャラ的にもクールな二枚目を作ってきても不思議はないのに、しっかりとコメディ寄りのキャラになっていた。
そこで気がついたんだ。
違っているのは、まっつの方。マギーのベンヴォーリオの方が正しい。
だってベンヴォーリオは「粗忽者」なんだってば。おっちょこちょいの三枚目なんだよ。
まっつは、キャラクタを自分の方に引き寄せてしまった。つまり、クールな知性派に。軍師系に。
ベンヴォーリオ=クール、というイメージは間違い。
そう気がついた、はずなのに。
わたしは未だに、その思い込みを捨て切れていない。
いつかどこかで、クールなベンヴォーリオに会えると、無意識に期待してしまっている。
4つめの『ロミオとジュリエット』、役替わりBバージョン、歴代5人目のベンヴォーリオ、ベニー。
だからまたしても、勝手にワクテカしていた、らしい。
「ベニーのベンヴォーリオってどんなのだろ。礼くんがハートフルだったから、クールキャラ来るかな。来るよね、ティボルトとのキャラ差も必要だし」
らしい、というのは、自分では無意識だったからだ。ベニーにまっつ系のクールビューティキャラを期待していたこと。
ベニーのあのビジュアルでクールキャラを本気で演じたら、どんだけかっけーだろうかと。わくわくが止まらないっ。
が。
ベンヴォーリオ@ベニーは、お笑いキャラでした。
そこにいたのは、いつものベニー。
愉快な三枚目、笑いに走ったコメディアン。
ああああ。なんで。なんでお笑い一直線?!
クールキャラが見たかったのにっ。どうしてベニーだといつもこうなの、お笑い芸人系になるの?!
Bバージョン初日幕間、わたしは盛大に肩を落としてました。
初日に引き続き東京から駆けつけてきた星担友人に愚痴る。なんでお笑いに走るんだよベニーって! あんなのいつものベニー、見慣れたベニーぢゃないか。
わたしが見たかったのはあーゆーベニーぢゃない。
…………はい、理不尽な嘆きです。
そもそもベンヴォーリオって三枚目キャラ、月組マギーがそうだったでしょ、と諭される。
うん。そうなの。言われてみればその通りで、わたしだってちゃんと理解しているつもりだった。
だから無意識だった。ベニーへの期待は。
中日の抑えた貴公子役が素敵だったからさ、お笑いじゃないベニーを見たい、という気持ちも大きくてだな、勝手に盛り上がっていたのよわたし。
間違っているのはわたし。
勝手に別のキャラクタを期待して、勝手に落胆している。
そう自覚したとしても、やっぱり、しょぼん。
そして、第2幕を見て。
ボロボロと、目からウロコが落ちた。
終演後、友人掴まえて語った。
「あたし、このベンヴォーリオ好きっ!! めっちゃ好み!!」
「お、評価変わってる(笑)」
冷静に突っ込まれ、ちょい面映ゆかったりもしましたが、いやほんと、1幕観たときと感想変わりすぎ。
1幕はほんと、三枚目ベンヴォーリオにがっくりきていたの。しかもベニーだから、マギーの比ではなくお笑い盛ってるし。コメディアンベニーなんてもう見飽きた、劇団は、ベニーの中の人は、いつまで「紅ゆずる」をお笑い芸人扱いするんだ、紅ゆずるはタカラジェンヌであってお笑い芸人じゃないっつーの。
他の人が笑い盛りすぎベンヴォーリオをやってもここまで憤らない、プルギニョンだの紅子だのをやってきたベニーだから、「またかよ」と思ってがっくりきたんだ。
それが。
1幕であきれるくらい三枚目だったベンヴォーリオは、2幕で。
今まで観たどのベンヴォーリオよりも脆く、崩れ落ちた。
その、弱さときたら!!
マーキューシオの死、ロミオの殺人と目の前にして、崩れちゃったよ。なすすべもなく。
そこにいるのは不良グループのリーダーでもなんでもない、ただのヘタレた少年だった。
弱く、幼い。
あのチャラい三枚目のお調子者が、キャパを超える自体に遭遇し、なすすべもなく膝を折る。
ほんとうに、どうしていいかわからないんだ。
だけど、なにかしなければ、という思いはある。
だからロミオをかばったり、復讐に燃える仲間たちを止めたりはする。
でも、あまりに無力。
ベンヴォーリオ自身、それを知っている。
なにもできないことを知りながら、なにもしないことの方がこわいから、よろよろと立ち上がり、声を上げている。
その、哀れさ。
ジュリエットの死をロミオに知らせるのも、友情とか優しさとか責任とか、プラスのものより、逃避とか彼自身の救いを求めてとか、マイナスの気持ちから起こした行動に思える。
マーキューシオが死に、ジュリエットが死んだ。日常が壊れ去り、残ったのは自分とロミオだけ。そう思ったら、ジュリエットの死をロミオに知らせずにはいられなかった。自分ひとりでは受け止められなかったんだ。
一蓮托生、ロミオにも重荷の一端を背負わせたかった。
逃避行動として、ベンヴォーリオはロミオに知らせた。
とことん、弱い。
ずるい。
そして、哀しい。
そんな卑しい行動の結果として、ロミオの死を知ったときも、ただ無力に崩れ落ちるし。
自分が救われたい一心で、ロミオがどうなるか、考えてなかっただろ。ずるい男。愚かな男。
そして彼は、報いを受ける。
親友の死というカタチで。
俺と君だけが生き残った……その、君が死に、世界で、ひとりぼっちになった。
弱さの報い、罪の代償を突きつけられた。
ベンヴォーリオは力なく膝を折り、放心する。
弱く卑小な者が打ちのめされる姿は、ただもう、痛々しい。
彼は、つみびとだ。
彼は、弱い。
彼の弱さが、この悲劇の原因のひとつ。
それが伝わる。刺さる。
モンタギュー、キャピュレット両夫人の歌声で起ち上がり、最終的に前を向くことになるのだけど……その変わり身の早さも、彼の弱さを表している気がする。
安い希望の歌とかで人生変えた気になる中二少年みたいなもんで、このときベンヴォーリオはほんとうに立ち上がっているんだと思う。そして「二度と争いは起こさない」と心から誓っているんだ。
……いや、もう。
このベンヴォーリオが、好み過ぎて悶える(笑)。
わたし、間違った人、大好物だからさー。
弱くて間違っていて、逃げることしか考えてなくて、その弱さゆえに傷つき続けている。
いや、本人は無自覚ですよ? 逃げてるとか思ってない、きっと「親友のため」とか「友情」とかで動いてるつもりなの。「それを伝えるのは俺しかいない」って!
でも、そんなうつくしいだけのもので行動したわけじゃないと、本能レベルでは気づいている……つーか、自分自身は騙しようがないから、自覚していない部分でさらに傷ついている。無自覚だから、悲鳴も上げられない。
そのズタボロな姿が、好み過ぎる。萌えすぎる。
しかも好みの顔の男がですよ? わたしベニーのビジュアル大好きなんですってば。
クールで知的なベンヴォーリオを、無意識に求めていた。
それゆえに1幕だけだと落胆した。
しかーしっ。
1幕でヘラヘラした三枚目であるからこそ、2幕の崩壊ぶりが痛々しさ倍増。
うおおお、楽しいぞBバージョン!!
わたしのヅカヲタ人生最大のハマり方をしたのが、雪組『ロミジュリ』のベンヴォーリオ@まっつ。
そのために、わたしにとってベンヴォーリオはまっつが基準になってしまっている。
つまり、「ベンヴォーリオ=クール」。
天使のロミオ、ホットなマーキューシオ、クールなベンヴォーリオ。ロミオが王様でマーキューシオが将軍、ベンヴォーリオが軍師。
そーゆー思い込み。キャライメージ。
……チガウから。脚本にはそんなもんナイから。
脚本にあるのは、「女たらしのマーキューシオ」「粗忽者のベンヴォーリオ」。
ナイフ片手にキレまくり、女遊びをするマーキューシオの方がよっぽどクールな美形キャラ。
そこに心優しい美少年ロミオとくれば、3人目のベンヴォーリオは三枚目ポジションだ。ベンヴォーリオの勇み足で悲劇が起こるわけだし、ベンは場を和ませるうっかり八兵衛さんポジだろ。
月組のマギーベンヴォーリオを見て「クールじゃない! てゆーかホットな三枚目!!」ということに心底驚いた。マギーならキャラ的にもクールな二枚目を作ってきても不思議はないのに、しっかりとコメディ寄りのキャラになっていた。
そこで気がついたんだ。
違っているのは、まっつの方。マギーのベンヴォーリオの方が正しい。
だってベンヴォーリオは「粗忽者」なんだってば。おっちょこちょいの三枚目なんだよ。
まっつは、キャラクタを自分の方に引き寄せてしまった。つまり、クールな知性派に。軍師系に。
ベンヴォーリオ=クール、というイメージは間違い。
そう気がついた、はずなのに。
わたしは未だに、その思い込みを捨て切れていない。
いつかどこかで、クールなベンヴォーリオに会えると、無意識に期待してしまっている。
4つめの『ロミオとジュリエット』、役替わりBバージョン、歴代5人目のベンヴォーリオ、ベニー。
だからまたしても、勝手にワクテカしていた、らしい。
「ベニーのベンヴォーリオってどんなのだろ。礼くんがハートフルだったから、クールキャラ来るかな。来るよね、ティボルトとのキャラ差も必要だし」
らしい、というのは、自分では無意識だったからだ。ベニーにまっつ系のクールビューティキャラを期待していたこと。
ベニーのあのビジュアルでクールキャラを本気で演じたら、どんだけかっけーだろうかと。わくわくが止まらないっ。
が。
ベンヴォーリオ@ベニーは、お笑いキャラでした。
そこにいたのは、いつものベニー。
愉快な三枚目、笑いに走ったコメディアン。
ああああ。なんで。なんでお笑い一直線?!
クールキャラが見たかったのにっ。どうしてベニーだといつもこうなの、お笑い芸人系になるの?!
Bバージョン初日幕間、わたしは盛大に肩を落としてました。
初日に引き続き東京から駆けつけてきた星担友人に愚痴る。なんでお笑いに走るんだよベニーって! あんなのいつものベニー、見慣れたベニーぢゃないか。
わたしが見たかったのはあーゆーベニーぢゃない。
…………はい、理不尽な嘆きです。
そもそもベンヴォーリオって三枚目キャラ、月組マギーがそうだったでしょ、と諭される。
うん。そうなの。言われてみればその通りで、わたしだってちゃんと理解しているつもりだった。
だから無意識だった。ベニーへの期待は。
中日の抑えた貴公子役が素敵だったからさ、お笑いじゃないベニーを見たい、という気持ちも大きくてだな、勝手に盛り上がっていたのよわたし。
間違っているのはわたし。
勝手に別のキャラクタを期待して、勝手に落胆している。
そう自覚したとしても、やっぱり、しょぼん。
そして、第2幕を見て。
ボロボロと、目からウロコが落ちた。
終演後、友人掴まえて語った。
「あたし、このベンヴォーリオ好きっ!! めっちゃ好み!!」
「お、評価変わってる(笑)」
冷静に突っ込まれ、ちょい面映ゆかったりもしましたが、いやほんと、1幕観たときと感想変わりすぎ。
1幕はほんと、三枚目ベンヴォーリオにがっくりきていたの。しかもベニーだから、マギーの比ではなくお笑い盛ってるし。コメディアンベニーなんてもう見飽きた、劇団は、ベニーの中の人は、いつまで「紅ゆずる」をお笑い芸人扱いするんだ、紅ゆずるはタカラジェンヌであってお笑い芸人じゃないっつーの。
他の人が笑い盛りすぎベンヴォーリオをやってもここまで憤らない、プルギニョンだの紅子だのをやってきたベニーだから、「またかよ」と思ってがっくりきたんだ。
それが。
1幕であきれるくらい三枚目だったベンヴォーリオは、2幕で。
今まで観たどのベンヴォーリオよりも脆く、崩れ落ちた。
その、弱さときたら!!
マーキューシオの死、ロミオの殺人と目の前にして、崩れちゃったよ。なすすべもなく。
そこにいるのは不良グループのリーダーでもなんでもない、ただのヘタレた少年だった。
弱く、幼い。
あのチャラい三枚目のお調子者が、キャパを超える自体に遭遇し、なすすべもなく膝を折る。
ほんとうに、どうしていいかわからないんだ。
だけど、なにかしなければ、という思いはある。
だからロミオをかばったり、復讐に燃える仲間たちを止めたりはする。
でも、あまりに無力。
ベンヴォーリオ自身、それを知っている。
なにもできないことを知りながら、なにもしないことの方がこわいから、よろよろと立ち上がり、声を上げている。
その、哀れさ。
ジュリエットの死をロミオに知らせるのも、友情とか優しさとか責任とか、プラスのものより、逃避とか彼自身の救いを求めてとか、マイナスの気持ちから起こした行動に思える。
マーキューシオが死に、ジュリエットが死んだ。日常が壊れ去り、残ったのは自分とロミオだけ。そう思ったら、ジュリエットの死をロミオに知らせずにはいられなかった。自分ひとりでは受け止められなかったんだ。
一蓮托生、ロミオにも重荷の一端を背負わせたかった。
逃避行動として、ベンヴォーリオはロミオに知らせた。
とことん、弱い。
ずるい。
そして、哀しい。
そんな卑しい行動の結果として、ロミオの死を知ったときも、ただ無力に崩れ落ちるし。
自分が救われたい一心で、ロミオがどうなるか、考えてなかっただろ。ずるい男。愚かな男。
そして彼は、報いを受ける。
親友の死というカタチで。
俺と君だけが生き残った……その、君が死に、世界で、ひとりぼっちになった。
弱さの報い、罪の代償を突きつけられた。
ベンヴォーリオは力なく膝を折り、放心する。
弱く卑小な者が打ちのめされる姿は、ただもう、痛々しい。
彼は、つみびとだ。
彼は、弱い。
彼の弱さが、この悲劇の原因のひとつ。
それが伝わる。刺さる。
モンタギュー、キャピュレット両夫人の歌声で起ち上がり、最終的に前を向くことになるのだけど……その変わり身の早さも、彼の弱さを表している気がする。
安い希望の歌とかで人生変えた気になる中二少年みたいなもんで、このときベンヴォーリオはほんとうに立ち上がっているんだと思う。そして「二度と争いは起こさない」と心から誓っているんだ。
……いや、もう。
このベンヴォーリオが、好み過ぎて悶える(笑)。
わたし、間違った人、大好物だからさー。
弱くて間違っていて、逃げることしか考えてなくて、その弱さゆえに傷つき続けている。
いや、本人は無自覚ですよ? 逃げてるとか思ってない、きっと「親友のため」とか「友情」とかで動いてるつもりなの。「それを伝えるのは俺しかいない」って!
でも、そんなうつくしいだけのもので行動したわけじゃないと、本能レベルでは気づいている……つーか、自分自身は騙しようがないから、自覚していない部分でさらに傷ついている。無自覚だから、悲鳴も上げられない。
そのズタボロな姿が、好み過ぎる。萌えすぎる。
しかも好みの顔の男がですよ? わたしベニーのビジュアル大好きなんですってば。
クールで知的なベンヴォーリオを、無意識に求めていた。
それゆえに1幕だけだと落胆した。
しかーしっ。
1幕でヘラヘラした三枚目であるからこそ、2幕の崩壊ぶりが痛々しさ倍増。
うおおお、楽しいぞBバージョン!!
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