やってきました、雪組『ベルサイユのばら-フェルゼン編-』最後の特出祭り。
 月組トップスターまさおくんがアンドレ、我らが雪組2番手スターちぎくんがオスカル。
 ワクテカと3回目の初日に駆けつけました。

 そして。

 爆笑した。

 おもしろい。
 おもしろすぎるぞ、まさおアンドレ!!

 いやその、まさおだから、ちょっとは期待していたけど。
 その期待のはるか斜め上をぶっちぎる、すばらしいアンドレでした!

 途中から口元押さえてたよ。声殺すの必死。
 いやいや、祭りはこうでなきゃ!

 なんというか、空気読まない自己陶酔系アンドレ。植田歌舞伎とも違う、独特の節回しと溜め。
 オリジナル道まっしぐら。

 中でも愉快だったのは、まさおVSともみん!
 ナニこの夢のカード!

 大ちゃんVSきんぐのあはんあはんウインク合戦に心震えたのと同じカラーのわくわく感。

 まさおは人の話聞かずにぶっ飛ばしてるわ、ともみんはそんなまさおになんとか絡もうと、さらに高温高速回転してるわで、カーテン前の短い芝居が見事に別次元。
 おもしろすぎる。

 同期なんだよね、このふたり。
 不思議な魅力を増幅していたので、まさお&ともみんでまた別の芝居も見てみたい……どこかで機会があるといいな。

 もうひとりの同期、ちぎくんはというと……。
 えーと、こちらは正直なとこ、あまり、相性は良くなかったかと……。

 なんかしみじみ、ちぎくん、真面目だなあ、と思った。

 本能のみで疾走している野生のまさおくんに、ちぎくんが理性とか常識とかで懸命に追いすがっていた。そこはどんだけ勤勉さとか計算とかで立ち向かっても無理だよ、次元が違い過ぎるよ。

 前に読んだ新聞記事では、「同期だから大丈夫」的なことを語っていたけれど、……同期と言っても別人種過ぎる……(笑)。

 同期なら誰でも相性がいいってわけじゃないよね、当然。
 キムくんとまっつだって、最初はさほど合ってなかったし。
 長く一緒に芝居をすることで、変わってくるんだと思う。キムくん治世後半のキムまつの息の合い方はすごかった……『フットルース』は奇跡。

 まさちぎも、これからずっと一緒にやっていくなら、化学反応を起こしていくのだと思う。
 でもそんな時間はなく、たった3日間だけの公演なんだから、祭りでいいじゃん。
 息の合った神クオリティの芝居なんか期待してない、どかんと楽しければそれでいい。
 お稽古時間もろくになく、3日間だけの「お客様」出演で、同じ釜の飯を何年も一緒に、苦楽を共にした組子たちよりも神呼吸で芝居されたら、その方が問題ぢゃね?(笑)
 わかっているから今はただ「祭り」感に酔う。楽しむ。

 ひとりでぶっちぎってるまさおに、なんとかついて行こうとテンパりながらあがいている、ちぎくんが大変愛しい(笑)。

 ちぎくんにとっても、「毒殺シーン」ははじめて演じる場面、雪組通常版にはないからなー。
 3日間だけのお楽しみ、なんだけど……いやあ、しみじみ、大変そうだなと。
 まさおアンドレが不思議な節回しで絶叫したりグネグネしたりしている横で、ちぎオスカルはリアル路線で苦悩……。
 まさドレに向き直られたとき、ちぎカルがマジでびくっと震えたのが、なんとも迫真過ぎて。……そりゃこわいわな、あの変な人にロックオンされたら。

 「今宵一夜」はなんつっても、最後のキス!!
 まさドレは何故か、キスの前に「どおおおっ」て感じに上体を後ろへと反らし、そのあとで「ぐぁばああっ」って感じにちぎカルに覆い被さるの。
 後ろに反り返ったりしてるもんだから、余分に時間がかかって、キスする前に、カーテンが閉まった(笑)。

 も、ツボ直撃!! おもしろすぎておかしすぎて、膝を打ったわ。
 まさお、最高!!

 見た目はほんとーにきれいなんだけどなあ、まさちぎ。
 美しい人ふたりで眼福、しかし芸風の差があり過ぎて、なんとも破壊力のあるコンビに。

 雪組版にはない「小雨降る径」のダンスも、なんか調和していない。まさおってほんと、相手役見ないなあ(笑)。
 ちぎくんはあんなに美人さんなのに、何故か素敵にヲカマ風味だし。や、それでこそ男役、頼もしい。

 素敵にヲカマ……なんだけど、オスカルは女々しくなっていた。植爺オスカルは女々しいのが基本だけど、それでもちぎカルは比較的凛々しいオスカルだったのに。
 ドレス姿の小雨は男らしくて、軍服姿のオスカルは女々しい……不思議なまさお効果。


 2回目の他組トップスター特出ということになるんだが、いろいろと違うんだ。
 なにしろ前回の特出はトップスターふたりだったからなあ。
 ふたり分、組子が押し出されていたわけで。
 月組『オスカルとアンドレ編』のアンドレ特出も役替わりも全部観たけど、特出しているのがらんとむでもえりたんでも、特出版の月組子の役は変わってなかった。ひとつずれるだけ。
 それが雪組では、ちえテル時はふたりずれて、まさお特出時はひとりずれるだけとか、出番増える人がいるとか、なんともいびつ。

 特出版なのに、ベルナールが翔くんなんだ、アランが咲ちゃんなんだ、という画面の不思議さ。

 フィナーレの「愛の柩」ではともみんがえりたんの上手横で踊っているし。ナナメ後ろを見れば、あすくんがすげーいい笑顔で踊ってるし。
 特出による、2種類のずれがある、って、やっぱなんか、変。

 まさお特出版を観て、改めて思った。
 ちえテル特出って、なんだったんだろう、と。彼らが悪いわけではまったくないが、ほんと、乗っ取り感ハンパなかったなー。

 劇団のスターランクへのこだわりって、いろいろめんどくさい。
 特出トップスター様と一緒にはできんのだろうが、オープニングのセリ上がりは、ちぎカルも一緒に出してほしかったよ……。
 ちえドレ、テルカルが白い軍服姿で抱き合うようにして登場、は、すごくドラマチックでテンション上がったのに。次の特出時はちぎくんでコレが観られるんだと思ったのに。
 まさドレひとりせり上がり登場して、ますますちえテルが特異だったと思い知らされた。
 劇団事情優先、観客が二の次になっている感じが全面に出ていて、やだなあ。

 特出自体は『ベルばら』名物、お祭りとして良いことだと思ってるんだけどね。

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