『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』では、主人公のBJ@まっつを幹に、バイロン侯爵@ともみんとカイト@咲ちゃんという枝が伸びて、1本の大きな木になっている。

 カイトは正塚らしい正塚キャラ。
 そしてバイロン侯爵は正塚らしくないものばかりで出来上がったキャラ。

 で、侯爵とカイト、ふたりのキャラクタの配役が、侯爵がともみん、カイトが咲ちゃん、てのが、すばらしいと思う。

 ともみんなら、カイトも十分ハマると思う。
 アタマの悪い体育会系不良青年なら、ともみんの得意分野……つーか、引き出しに十分ある役。
 それこそ、千吉だーのアンソニーだーので、誰もが彼に「アテ書き」してきたタイプ。

 「アツい」「体育会系」「単純」「いい人」……ともみんの、愛すべき個性。

 てゆーか、ともみんに、「高貴」「神秘的」「耽美」を求めるって、どんだけチャレンジャーなの、正塚。
 正反対のイメージばかり。

 いやその、バイロン侯爵って、設定からして「青い血が流れる神秘的な美青年」なわけでしょ? コム姫がやりそうな。
 お耽美な人でしょ?

 …………それを、ともみんが。

 おかげで、素敵なことに(笑)。

 「耽美? ナニそれ、おいしいの?」ってくらい、別次元!!

 ともみん侯爵は熱血火の玉アツ苦しい青春野郎だ。

 火を噴く勢いの暴走特急。
 体育会系まっしぐら。

 お耽美キャラだから不老不死に近い存在なのではなく、頑丈・高温・型破りだから、とーぜん長生きなんですよHAHAHA!!って感じ。

 設定だけなら耽美なのに……いつもの、ともみん……(笑)。

 カイト役がともみんなら、そこに発見はなかったかもしれない。いつものともみん、いかにもともみんらしい役、ってことで。
 それが、本来正反対の役をやることで、バイロン侯爵というキャラクタも、そしてともみん自身も、相乗効果でいい味を出している。

 ああ、ほんとにもお、侯爵、好きだわ。いいキャラ過ぎる~~(笑)。

 星組育ちならではの「コスチュームと大芝居任せろ!」な芸風だし。
 ひとりだけ芝居浮きまくってるけど、そこがまた愛しい。

 歌との相性の問題か、ソロが演歌風になっているのもまた、みょーにツボる。
「♪あンのン微笑み~~ン、よンみンがえれば~~」「♪とンめどンない~~」て、何故そうなる!的なこぶしの回った歌声は、癖になります、はい。
(星担の友人には「ともみんはもともと演歌歌唱ですよ」と、今頃ナニ言ってんの?って感じにすっぱり言われちゃいましたわ……)

 2幕なんてほんと、説明台詞ばっかりだし、正塚せんせが熱烈ラブに慣れていないのか、なんか微妙に変な台詞も立て板に水っちゅーかダム放水並だし。
 本筋的には不要っちゅーか、あっても別にいいけどなくてもかまわない場面だし。
 そんなこんな、大変なあれやこれやを、ともみんが、力尽くでぶっ飛ばす!!
 それが、快感。

 耽美設定なんか無視無視、アレは生命力強すぎるイキモノだから、長生きなのよ~~。
 そりゃ500年でも1000年でも、平気で生きるわ! 何百年でも平気で愛してくれるわ! 嫁に行きたいわ!てな。


 で、最初の話に戻る。
 正塚先生は、どの役もすべて、自分でまず演じてみせる。だからいわゆる「正塚節」はそのまま役者に振り写しされる。

 じゃあ、バイロン侯爵は?

「バイロン侯爵が誰かに似てるってずっとひっかかってたんだけど、わかった。ボルディジャール皇太子だ」
 初日の翌日、友人の言葉にその場にいた全員が膝を打った。
 ソレだ。

 『マジシャンの憂鬱』のパッショネイト皇太子。
 喋り方、声色、性格、言動、そのままだ。つか、設定も根っこが同じか。失った妻を取り戻そうと、金と権力を遣って主人公に助力させる。

 なにもかも、そっくり。

 正塚喋りは、正塚せんせ自身が演じて見せることで、生徒たちに継承されていく。
 いわゆる「正塚的」なアウトローキャラは、カイト。愛を口にする高貴キャラは、バイロン侯爵。
 正塚のなかには、ふたつしかタイプがないらしい。
 ……不自由な演出家だなー(笑)。

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