『ブラック・ジャック 許されざる者への挽歌』初日観劇。

 …………………すみません。
 ひとつ、聞きたいです。

 この芝居、面白いんですか?


 1幕が終わったあとの、ぽかーん感……。

 幕が閉じたんだっけか正塚らしくただ舞台暗転で客電が点いたんだか忘れたけど、1幕が終わったとき、客席は拍手もなくしーんとしていて、まっつのアナウンスが流れてよーやく「あ、終わりなんだ」とわかり、パラ、パラ、と拍手が起こる。
 そして、不穏なざわめき。
 「ついて行けなかった……」「わかんない」「わけわかった?」「さあ……」
 あちこちから、困惑の声が聞こえる……。

 すみません。
 わたしここでちょっと、ツボりました。
 そして、不安になりました。

 ツボったのは、不謹慎ですが、この客席のみょーな雰囲気。
 初日なんて、ファンがほとんどだろうに、それでも反応に困るような舞台って。

 不安になったのは、この客席のテンションの低さは、舞台越しにキャストにも届いているんじゃないかってこと。
 現実として、拍手、少なかったもん。
 初日の1幕が終わったんだよ? 作品の出来がどうあれ、観客は割れんばかりの拍手を送るでしょう、通常。

 なんか、『マラケシュ・紅の墓標』初日を思い出した。
 幕が閉じきるまで、芝居が終わったことに観客が気づかず、パラパラととまどいがちな拍手が起こる。
 「わかんない」「なにこれ……?」観客置き去り。

 いやあ、なつかしい空気だ(笑)。

 1幕が終わった段階で、客席のびみょーな空気も含めて、大変な話だな、どうなるんだこりゃ。と思った。
 それとは別に。

 わたしコレ、好きだわ。と、思った。

 なんか、正塚作品を観ている気がしなかった。
 オギー作品の匂いを感じて、ワクテカしていた。
 いや、もちろんまぎれもなく正塚作品で、正塚らしさ満載なんだけど。それでも。

 あちこちで登場する、幻想の少女(ピノコの影)。
 包帯だらけで、非人間的に横たわる少女(ピノコ)と、そんなニンギョウにしか見えないものに、やさしくあたたかく……かなしく、語りかけるBJ。

 ことさら台詞で説明されるわけではないのに、BJは強く傲慢に己れを貫き、周りを振り回しているのに……物語のあちこちに、透明なかなしみがつきまとう。
 なにかしら、「イタイ」ものがある。見え隠れしている。

 それは、BJを演じるまっつの特性かも知れない。
 どこか寂しげであること。
 影があること。


 初日で、客席の誰もが「これから観るモノ」を知らない。
 『ブラック・ジャック』は、名前こそ有名だけど、どんなものであるか熟知した人・原作信者は意外に少ないと思われる。なにしろ40年前の男性向けマンガだ。
 ヤンさん主演の舞台を観たヅカファンは多いだろうから、最初に抱いているイメージはそこがいちばん大きいんじゃないのかな。でも、再演ってわけでもないしな。

 つまり、心の立ち位置が定まっていないんだ。
 『ブラック・ジャック』って、なんだろう。これから、ナニを見せられるんだろう。
 わからないまま、幕が上がって、休憩時間になって。

 ぽかーん。

 ええっと、これ、どこに立ち位置を置けばいいのかな?
 笑っていいの? ハードボイルドなの? ファンタジーなの? くだらないの? 高尚なの?

 たぶん、2日目からは、変わる。
 観客が、「ポジション」を決めて観るから。
 初日だけ、この「ぽかーん」感は。

 どう変わるのか。
 それを感じることが、楽しみでならない。


 2幕になると、客席の雰囲気も変わっていた。
 ポジションが「わかって」きたからだ。
 ああそうなんだ、これはこーゆー愉しみ方をすればいいんだ。

 だから物語が終わったとき、芝居の幕が下りたとき、大喝采になった。
 割れんばかりの拍手になった。

 1幕最後のパラパラ拍手が、嘘のようだ。

 や、だって初日だし。
 所詮、ファンばかりの空間だし。


 真面目に、聞きたいです。
 いろんな人に。
 いろんな方面の人に。

 まっつファンに。
 ともみんファンに。咲ちゃんファンに。
 出演者のファンに。
 組ファンに。
 ヅカファンに。

 原作ファンに。
 タカラヅカも観る、演劇ファンに。
 はじめてタカラヅカに触れた人に。

 この芝居、面白いんですか?

 ……いやそのわたし、マジで、さっぱりわかりません。
 面白いんですか、これ。
 「観る」立ち位置に迷うような、混乱するような話。
 どの立場の人に、どんな風に映るんだろう?

 冗長な場面がいくつかあること、盛り上がりに欠けること、つかクライマックスどこよ?とか、「かわらぬ思い」が名曲なのはわかるが使いすぎだろう!とか、BJの指の話はどーなったんだとか、空港のシーン長過ぎだろとか、ぶっちゃけBJあんまし活躍してなくね?とか、そもそも「許されざる者」って誰? 「挽歌」ってナニ? どこにいた? あった? と、いろいろいろいろツッコミはあるんだが。
 そこを突かれるとぐうの音も出ない気もするが。

 まっつヲタとしてまっつのダンス少なすぎ。せめてフィナーレで踊らせろ。と、声を大にして言いたいですが。

 わたし、この話好きだ。

 1幕が終わって、客席の雰囲気微妙で、「どーしたもんかね」と思いつつ、ニヤニヤが、止まらなかった。

 どうしよう。
 好きだ、これ!!(笑)

 リピートするのが楽しみだ。
 発見がたくさんあるだろう。

 鉱脈を掘り当てた気分。
 きっとこれから、楽しくなる。
 もっともっと、愉しめる。

 その予感に、ふるふるする。


 とりあえず。

 BJ@まっつ、好きだーーっ!!

 ナニあの萌えキャラっぷり!!
 ついでに、総受っぷり!!

 美しくてかわいくて(笑)、持って帰りたいです、マジ!
 うおお、BJ先生、ちっこい! どこ見てもちっこい!
 だけどえらそーで、強くてカッコ良くて、面白くてかわいくて(また言った)、たまらん萌えキャラっぷりです。

 そして、まさかの総受!!(笑)
 バイロン侯爵@ともみんに後ろから抱きつかれた日にゃあ……ちょ、すっぽり、腕の中にすっぽり!! 「なにをする、やめろ」って腕の中で抵抗して、ついには床に転がって、上にともみんが馬乗りになって……。

 ちょ、マジすごいもん見た!!

 カイト@咲ちゃんのことも、すっかり虜にしてるしなー。
 「一生掛けて」ですよ、ふふふ。

 山野@まなはるの前で、無防備に仰向けに横たわるのやめてーっ、誘ってる? ソレ誘ってるの?!!(違います)

 なにより、トラヴィス@ホタテマンですよ!!
 ほたっちゃん、うますぎ!! 『はじめて愛した』でも素敵だったけど、正塚に気に入られてるよなー、絶対。
 BJ先生のツンデレ炸裂してますわ。
 ホタテマン、完璧にオチてますわ……。(役名で言いましょう)


 萌えだらけで、大変です。
 ピノコ@桃ひなちゃんに対するBJ先生は、すべて萌えです。たまりません。
 いちいち拾って書けないほど、萌えどころがあり過ぎるっ。


 世間の評価は、まったくわかりません。
 1幕終了時の「ぽかーん」とパラパラ拍手、あれが正しい評価なのかも知れない。

 それでも、わたしはこの作品が好き。
 助かった。いやその、リピートするのに、性に合わなかったらつらすぎるから。
 通える作品で良かったっ。

 まっつ好き。
 正塚せんせも、雪っこたちも、みんなみんなありがとー!

コメント

日記内を検索