駆け抜ける、一瞬の風のように。@JIN-仁-/GOLD SPARK!
2012年10月12日 タカラヅカ
芝居に、「中詰め」がありました。
ショーのお約束。
オープニング/場面1/場面2/中詰め/場面3/フィナーレ……という構成における意味での、中詰め。
オープニングに匹敵する、出演者総ラインアップの華やかな場面。
雪組公演『JIN-仁-』『GOLD SPARK!』初日観劇。
芝居の演出は、サイトーくん。
いいときと悪いときの当たり外れの振り幅が大きく、幕が上がるまで不安の方が大きいサイトーヨシマサ。
今回は、わたしの好きな方のサイトーくんでした。
いい悪いではなく、好き嫌いの話です。
すなわち。
おもちゃ箱をひっくり返して、ハイスピードで人生謳歌。
繊細さだーの深みだーのはないけれど、とにかく色とりどりで落ち着きなく、愉快に突っ走って「完」、という作風。
サイトーくんは、詰め込みまくった方が面白い。
ヘタに余白があると、余計なことして話(キャラ)が歪む。
それよりも、あれもこれもと話(キャラ)を詰め込んで、具が多すぎておにぎりうまく握れない!くらいの濃度がいい。
大きなストーリーがどうこうより、キャラとエピソード拾っていくだけで終始するから、「キャラ物」と割り切っていられる。
そのラノベ的というか、真夜中の1クールで終わるアニメ見てるみたいなお気楽さがいい。
こーゆー世界観なので、中詰めがあっても変じゃない。
ストーリーに関係なく、ただキャラの盛り上がるショー場面がどーんと入る。
『花恋吹雪』でさんざんやってた、アレ。『エル・アルコン』でやってた、アレ。
ああ、これが出るなら安心だ、これは良いサイトーくんだ(笑)。
わかりやすく登場人物全員が「使命」「使命」と口々に言ってくれる。おかげで、原作の持つ深みや旨味は全部、お手軽な「特撮モノ」「ヒーローアニメ」的テーマに統一されちゃう。
こんだけ「描くこと」を小さくまとめれば、あとは「キャラ物」としてがちゃがちゃやってても、なんとか話がまとまって見えてくれるってもん。
考えすぎないで、あとはキャラに萌えていればそれでよし。
役が多いって、いいね!!
観劇予習のためHPの「主な配役」をプリントアウトした人がさー、「『銀英伝』が長いのは覚悟していた。でも『JIN-仁-』はさらに長かった!」と感嘆していたのを、思い出した。
配役欄の、物理的な長さ。スクロールしてもスクロールしても、配役がある。
ふつーの作品より役が多く、配役ページが長い『銀英伝』。それよりもさらに、役の多い『JIN-仁-』! 『銀英伝』でA4用紙2枚だったのが、『JIN-仁-』では3枚いったってゆーからなー(笑)。
舞台の上にやたらめったら人がいて、彼らがみんな、それぞれに人生送っているわけですよ。役があって、生活してるの。
RPGの、ただ歩いていて、話しかけると「ここは江戸よ」と一言だけ決まった台詞を言って通り過ぎる、何回話しかけても「ここは江戸よ」と同じ台詞しか言わないNPCじゃない!っていうか。
役があってキャラクタがあって、下級生たちまですげー勢いで芝居している。
それを眺めているだけでも楽しい。
で、また、キャラクタが、合っている。
主要キャラから、モブの人々まで!
主人公の南方仁@キム。
タカラヅカ的な、心に傷を持つ美形天才ドクター。
この潔い設定!
現代日本の外科医のくせに、ロン毛でちょいやさぐれハート(笑)。天才だっつーのが周知の事実。「神の手を持つ医者」だと言われている。
江戸時代の人が、現代医学を知る仁先生のことを「神の手」と言うのはわかる。
そうじゃなくて、現代でも「神の手」なの。
原作ともドラマともチガウ、あくまでも「タカラヅカ」の仁先生。
キムくんへのアテ書き。
それが、心地いい。
仁先生にひたすらついて行く咲@みみちゃんもまた、キムみみふたりの関係に自然とオーバーラップする。
人間関係のドロドロ、策謀や裏切り、その他いろいろのアレなことは一切描かず、「人間っていいな!」だけを描いたストーリー。
出てくる障害は誤解とか時代・歴史上の仕方ないこと、であって、「仁先生はゴッドハンド」「仁先生はハートフル」ってだけで、全部、超えていける。この単純明快な、ストーリー展開!
単純だからこそ、心地よい。
余計なことに気を取られず、シンプルに人情劇に酔っていられる。
夕霧@あんなちゃんのとこから最後まで、なんやかんやで泣き通したよ……。
それまでだって、いろいろこみ上げるものはあったのに、杏奈様は反則だよ……ルーシーちゃん……!!
原作モノなのに、有りモノの主人公とその相手役なのに、キムみみが好きだーー!と叫べる作品。それくらい、ふたりに重ねて泣ける。
ナガさんは違和感なくいつものナガさん、わたしたちのナガさん!
はっちさんかっこよすぎるっていうか、花担やってた身としては、こちらも違和感なくいつものはっちさん。
みっちゃんも安定のクオリティ。見事に締めてくれる。
芝居があまりに専科さんなのでびびったが、ショーではちゃんと「スター!」さんな扱いだった。
龍馬@ちぎはこれまた見慣れた感じ。新公も観たし、渡会も観たし、的な?
愛されキャラで、ちぎくんぴったり。
とみもんとせしるのカップルが「江戸っ子」的にかっこいい。痛快。つか、せしる美女……いなせ……。
大ちゃんは期待通りの大ちゃん。突き抜けたキャラが素敵!! おフランスだもん、そうでなきゃね!!
あゆっち、芝居はうまいし華はある、そこはもう「さすが!」なんだが……顔の輪郭だけはどうにも「野風」「呼び出し花魁」という説得力に欠ける……でももうこれは、仕方ないのか……。
アントワネットも、似たよーなカツラになるよなあ。デコ全開にボリューミ~な感じ……が、がんばれあゆっち……。
まつださんは、いろいろ慣れなくて混乱。いや、わたしが(笑)。
まず若者役、つーのがすでに、混乱だわ……。
冒頭、サイトーくんお馴染みの映像キターー!と思ってぼーっと油断してたら、まつださん登場だもん……びびったわー。な、なるほど、サイトーだもんなあ。(赤ん坊アニメの微妙さの方が強く焼き付いてましたわ・笑)
ショー『GOLD SPARK!』は、あっという間。
1場面が短い上に、前半と後半のメインとなる場面が両方ともストーリー仕立てなので、あっけなさに拍車が掛かる感じ。
後半はクライマックスだからそのままとしても、前半はストーリーに頼らず、「ショー」としてガンガン行くべきだったのでは? とは、思う。
でも、楽しく観ました。
つかこっちも泣いた……。あー消耗した……。
芝居もショーも楽しく通えそうで、良かったっす。
本公演が2作連続このクオリティって、なんてありがたいんだろう。……これで退団公演でなければ、通常も公演でさえあれば、言うことないのに。
ショーのお約束。
オープニング/場面1/場面2/中詰め/場面3/フィナーレ……という構成における意味での、中詰め。
オープニングに匹敵する、出演者総ラインアップの華やかな場面。
雪組公演『JIN-仁-』『GOLD SPARK!』初日観劇。
芝居の演出は、サイトーくん。
いいときと悪いときの当たり外れの振り幅が大きく、幕が上がるまで不安の方が大きいサイトーヨシマサ。
今回は、わたしの好きな方のサイトーくんでした。
いい悪いではなく、好き嫌いの話です。
すなわち。
おもちゃ箱をひっくり返して、ハイスピードで人生謳歌。
繊細さだーの深みだーのはないけれど、とにかく色とりどりで落ち着きなく、愉快に突っ走って「完」、という作風。
サイトーくんは、詰め込みまくった方が面白い。
ヘタに余白があると、余計なことして話(キャラ)が歪む。
それよりも、あれもこれもと話(キャラ)を詰め込んで、具が多すぎておにぎりうまく握れない!くらいの濃度がいい。
大きなストーリーがどうこうより、キャラとエピソード拾っていくだけで終始するから、「キャラ物」と割り切っていられる。
そのラノベ的というか、真夜中の1クールで終わるアニメ見てるみたいなお気楽さがいい。
こーゆー世界観なので、中詰めがあっても変じゃない。
ストーリーに関係なく、ただキャラの盛り上がるショー場面がどーんと入る。
『花恋吹雪』でさんざんやってた、アレ。『エル・アルコン』でやってた、アレ。
ああ、これが出るなら安心だ、これは良いサイトーくんだ(笑)。
わかりやすく登場人物全員が「使命」「使命」と口々に言ってくれる。おかげで、原作の持つ深みや旨味は全部、お手軽な「特撮モノ」「ヒーローアニメ」的テーマに統一されちゃう。
こんだけ「描くこと」を小さくまとめれば、あとは「キャラ物」としてがちゃがちゃやってても、なんとか話がまとまって見えてくれるってもん。
考えすぎないで、あとはキャラに萌えていればそれでよし。
役が多いって、いいね!!
観劇予習のためHPの「主な配役」をプリントアウトした人がさー、「『銀英伝』が長いのは覚悟していた。でも『JIN-仁-』はさらに長かった!」と感嘆していたのを、思い出した。
配役欄の、物理的な長さ。スクロールしてもスクロールしても、配役がある。
ふつーの作品より役が多く、配役ページが長い『銀英伝』。それよりもさらに、役の多い『JIN-仁-』! 『銀英伝』でA4用紙2枚だったのが、『JIN-仁-』では3枚いったってゆーからなー(笑)。
舞台の上にやたらめったら人がいて、彼らがみんな、それぞれに人生送っているわけですよ。役があって、生活してるの。
RPGの、ただ歩いていて、話しかけると「ここは江戸よ」と一言だけ決まった台詞を言って通り過ぎる、何回話しかけても「ここは江戸よ」と同じ台詞しか言わないNPCじゃない!っていうか。
役があってキャラクタがあって、下級生たちまですげー勢いで芝居している。
それを眺めているだけでも楽しい。
で、また、キャラクタが、合っている。
主要キャラから、モブの人々まで!
主人公の南方仁@キム。
タカラヅカ的な、心に傷を持つ美形天才ドクター。
この潔い設定!
現代日本の外科医のくせに、ロン毛でちょいやさぐれハート(笑)。天才だっつーのが周知の事実。「神の手を持つ医者」だと言われている。
江戸時代の人が、現代医学を知る仁先生のことを「神の手」と言うのはわかる。
そうじゃなくて、現代でも「神の手」なの。
原作ともドラマともチガウ、あくまでも「タカラヅカ」の仁先生。
キムくんへのアテ書き。
それが、心地いい。
仁先生にひたすらついて行く咲@みみちゃんもまた、キムみみふたりの関係に自然とオーバーラップする。
人間関係のドロドロ、策謀や裏切り、その他いろいろのアレなことは一切描かず、「人間っていいな!」だけを描いたストーリー。
出てくる障害は誤解とか時代・歴史上の仕方ないこと、であって、「仁先生はゴッドハンド」「仁先生はハートフル」ってだけで、全部、超えていける。この単純明快な、ストーリー展開!
単純だからこそ、心地よい。
余計なことに気を取られず、シンプルに人情劇に酔っていられる。
夕霧@あんなちゃんのとこから最後まで、なんやかんやで泣き通したよ……。
それまでだって、いろいろこみ上げるものはあったのに、杏奈様は反則だよ……ルーシーちゃん……!!
原作モノなのに、有りモノの主人公とその相手役なのに、キムみみが好きだーー!と叫べる作品。それくらい、ふたりに重ねて泣ける。
ナガさんは違和感なくいつものナガさん、わたしたちのナガさん!
はっちさんかっこよすぎるっていうか、花担やってた身としては、こちらも違和感なくいつものはっちさん。
みっちゃんも安定のクオリティ。見事に締めてくれる。
芝居があまりに専科さんなのでびびったが、ショーではちゃんと「スター!」さんな扱いだった。
龍馬@ちぎはこれまた見慣れた感じ。新公も観たし、渡会も観たし、的な?
愛されキャラで、ちぎくんぴったり。
とみもんとせしるのカップルが「江戸っ子」的にかっこいい。痛快。つか、せしる美女……いなせ……。
大ちゃんは期待通りの大ちゃん。突き抜けたキャラが素敵!! おフランスだもん、そうでなきゃね!!
あゆっち、芝居はうまいし華はある、そこはもう「さすが!」なんだが……顔の輪郭だけはどうにも「野風」「呼び出し花魁」という説得力に欠ける……でももうこれは、仕方ないのか……。
アントワネットも、似たよーなカツラになるよなあ。デコ全開にボリューミ~な感じ……が、がんばれあゆっち……。
まつださんは、いろいろ慣れなくて混乱。いや、わたしが(笑)。
まず若者役、つーのがすでに、混乱だわ……。
冒頭、サイトーくんお馴染みの映像キターー!と思ってぼーっと油断してたら、まつださん登場だもん……びびったわー。な、なるほど、サイトーだもんなあ。(赤ん坊アニメの微妙さの方が強く焼き付いてましたわ・笑)
ショー『GOLD SPARK!』は、あっという間。
1場面が短い上に、前半と後半のメインとなる場面が両方ともストーリー仕立てなので、あっけなさに拍車が掛かる感じ。
後半はクライマックスだからそのままとしても、前半はストーリーに頼らず、「ショー」としてガンガン行くべきだったのでは? とは、思う。
でも、楽しく観ました。
つかこっちも泣いた……。あー消耗した……。
芝居もショーも楽しく通えそうで、良かったっす。
本公演が2作連続このクオリティって、なんてありがたいんだろう。……これで退団公演でなければ、通常も公演でさえあれば、言うことないのに。
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