博多座公演『フットルース』千秋楽にて。

 アドリブで個人的にツボだったのは、チャック@きんぐ。

 チャックがひとり町を出る場面で、おちゃらけているトラビス@まなはるにひとこと、声を掛けるんだけど、ここの台詞は公演途中から日替わりになった。
 トラビスは最初チャックのツレだったのに、物語半ばくらいからレン@キム側に付く。チャックから見て……見なくても……裏切り者だわなー。まあもともと、その程度の関係だったんだろう、てな?
 最後にチャックがトラビスを罵ることで、彼らの物語も一応決着がつく。ああやっぱチャック、快く思ってなかったんだ、町を出る理由の中には友だちに裏切られたこともあるんだろう、でも「裏切られた!」と騒ぐことすらない程度の間柄で、この台詞ひとつで終了なんだ、と。
 チャックがトラビスに言う台詞は、大体「どけよ」とかで、「てめーなんか相手にしてない」という意味が伝わることを、日替わりで言っていた。

 それが、千秋楽は違った。
 いつもの「罵り」ではなくて。

「じゃあな、トラビス」

 優しい……「兄貴」としての言葉になっていた。
 トラビスの裏切りも、許しているかのように。

 ちなみに、トラビスが「トラビス」と呼ばれたのは、はじめてだ。
 チャックが、じゃない。
 『フットルース』という作品通して、彼の名が呼ばれることはなかったんだ。
 名前だけ付いていて、一度も呼ばれることのないキャラは、他にもいる。そんなの、どんな舞台にも作品にもいくらでもいる。
 トラビスは、そんなキャラクタ。そんな位置の役。

 それが、はじめて、名前を呼ばれた。
 千秋楽。最後の場面、別れの場面で。
 リピートしていた観客だって、「あのめんたいこ君、トラビスって名前だったんだ!」とか、そもそも「名前ある役だったんだ!」とか、驚いた人がいたかもしれない。

 よかったね、トラビス。

 チャックというキャラクタには「負け犬」「成長してはいけない」という役割があったと思う。
 レンをはじめ、すべての人が成長して、己れに打ち克つのに、ただひとりチャックだけはなにひとつ変わらないまま、逃げ出していくんだよね。
 レンたちの対比キャラであり、とことんまで情けなくかっこ悪い、「わかりやすい侮蔑キャラ」でなくてはならない。例を挙げると、『タイタニック』のヒロインの婚約者みたいな。
 悪役という記号だから、成長したり改心したりしちゃいけないの。

 だけどここはタカラヅカで。
 2ヶ月の公演を通して、最後の最後に、チャックは成長した。キャラを変えた。

 自分を裏切った仲間に優しい言葉を掛けて旅立つことで、「負け犬」ではなくなった。
 すべてを受け入れた上で、納得して旅立つ男、になった。
 悪ぶっているのは口先だけのポーズ、ってことで。

 そんなチャックは『フットルース』の世界観に合っていない。正しくない。
 わかっているけど、それがいい。

 千秋楽だから。
 最後だから。
 祭りだから。

 …………いやその、もともとわたし、トラビス×チャック派だったので(かけ算はやめなさい)、まさか千秋楽にこんなことになるとは、思ってもみなかった。
 え、あたし絶対少数派だと思ってたのに、公式設定だったの?! みたいな驚きとうろたえ(笑)。
 いやあ、かけ算でいうなら、チャック×牧師が世の主流でしょうに……。トラビス公式来たかー。

 いや単にわたし、チャック@きんぐ大好きでね……もういろいろと、かわいすぎるよね彼(笑)。


 きんぐと言えば、カーテンコールでまっつにいじられているのを見るのが、まっつファンの楽しみのひとつだったはず。
 牧師様@まっつは、隣に立つきんぐをペンライトで刺したり突いたり、ろくでもないことを仕掛けるんだよなああ。
 んできんぐが「今日はナニをされるんだろう」とびくついてる感じなのがまた、たまらんかったし(笑)。
 たまにきんぐがやり返したら、次に倍返しするし。
 「今日はナニもしないよ」と油断させて、無防備になっているところを襲ったり。

 まっつ、ドS。

 千秋楽は、ペンライトを日本刀に見立てて、ばさーっと袈裟斬り。きんぐ、「やられた~~」リアクション。
 まっつ……。
 次が『JIN-仁-』だから? 武士の役だから?

 本編との差が、激しすぎる。
 牧師様の格好で、ナニやってんだ……(笑)。

 かわいすぎる。


 そーいやまつださん、最後の最後まで裏をかかれました、わたし。

 カラーバンドですよ。

 梅芸では、最初のウチはちゃんと、自分が選んだ「チェリー・ピンク」と「ブラック」を付けていた。
 それが後半は、「イエロー」と「ライム・グリーン」を付けていたの。
 ちょ……っ、すっげー苦労してまっつカラーを手に入れたのに、まっつとお揃いをしたかったのに、別の人のカラーまで押さえてないわよ~~!!

 仕方ないなあ、黒とピンクというまっつカラーに、キムくんカラーのイエローも付けておこう。
 と、梅芸楽に臨んだところ……楽だけは、自分カラーに戻してきた。
 えええ、イエロー付ける必要なかったじゃん!

 んで、博多座。
 わたしが観る限り、牧師様はずーーっと、「チェリー・ピンク」と「イエロー」をしていました。

 梅芸の「イエロー」と「ライム・グリーン」は、牧師ルックに合わせたコーディネイトだろう。
 そして博多座の「チェリー・ピンク」と「イエロー」は、反対色という意味でのコーデかな? 自分カラーのピンクに『フットルース』的カラーリングで、合う色ってことで。

 ったく、なんで自分カラー付けないんだよ、キムくんとか律儀に自分カラー付けてるじゃん。

 でもきっと、千秋楽は自分カラーにするよな。うん、梅芸でもそうだったし。
 よしっ、わたしも千秋楽は堂々とまっつカラーのバンドをして「まっつファンですがナニか?」って顔して生きるわ!!

 そう読んで、意気揚々と「チェリー・ピンク」と「ブラック」を付けていったのに。

 千秋楽まで、「チェリー・ピンク」と「イエロー」のままだった。
 ちょ……っ、黒を付けたわたしの立場は……っ。

 裏をかかれたっ。騙されたっ。きぃ~~っ。

 なによドSまっつ!


 ……自分カラーを無視して、博多公演中ずーっと「チェリー・ピンク」と「イエロー」のままだった、その理由が。

 自分の色=ピンク、キムくんの色=イエローを重ね付けすることでの、無言の友情アピールだと思って、萌えておくことにするわっ。ふんっ。←

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