家族の問題と妻たち。@フットルース
2012年7月24日 タカラヅカ 『フットルース』についてあれこれ。
レン@キムの父は何故出て行ったか。
そりゃ間違いなく、エセル@ヒメのせいだよなー。
わたしは観客だし女だから、エセルを「いい女」だと思う。彼女の明るさと強さは心地いい。
しかし、アレが自分の妻だったら、いろいろウザいだろーなー(笑)。
『フットルース』は海外ミュージカルらしく、女たちの歌場面がある。(男役至上主義のタカラヅカではふつーない)
そこでヴァイ@きゃびいと共に、夫の態度について嘆いている。
「いつでも、『話は終わりだ』『またあとで』……会話は途絶えて」
ヴァイはそう言われたら黙って引くけれど、エセルは黙ってないだろうなと思う。
「話は終わりってどういうことよ、あなたっていつもそう! この間だって……」
と、ぽんぽん続けてそうだー。
疲れて帰ってきて、毎日これやられたら、そりゃ男は逃げるわー。
マコーマック氏@脳内キャスティング朝風くん(笑)は、レンのことはかわいがってたと思うんだ。突然出ていかれてレンが傷つくほどに。
ただ、妻との関係が限界だったんだろうなあ。
強く正しく、そのうえ口も立つ奥さんとでは、なかなかやすらげなかったのでは……?
妻とはやり直せなくても、息子とはどこかで和解しそうな気がする。
じゃあヴァイはいい妻だったのかというと、うーん、それも完全にはうなずけない。
たしかにムーア@まっつは問題だらけの夫であり、父親だけど。ヴァイが夫と娘の間で、どちらも愛しながら中立を保って家を守っているのは、すばらしいことだけど。
ヴァイってさあ……口は災いの元の人だよね?
最初のムーア家の場面。
夜遊びして遅く帰ってきたアリエル@みみが、仕事をしているムーアに話しかける。娘の素行に文句のあるムーアは感じ悪い態度を取る。
この場面でわたしがいちばんムカつくのって、ムーアではなく、ヴァイだ。
アリエルはまず、懸命にムーアに話しかけている。
父との関係を埋めるべく、努力しているのが見える。
会話する気がなさそうなムーアの気を引こうと、彼が好きな音楽の話をする。
「こういう音楽(クラシック)ならいいのね」とつぶやいたアリエルは、他意はないように見える。ほんとにただ、そう思ったから口にした。
なのに棘だらけになっているムーアは「皮肉」だと受け止めたらしい。「どういう意味だ」と詰問口調で言う。
ここでヴァイが「ただの冗談よ」と口を出す。
わたし、このヴァイの台詞がダメ。
アリエルは皮肉で言ったわけじゃない。ぽつんとこぼしてしまっただけ。それを悪く取るのはムーアがアリエルをうがって見ている(娘に対して怒っている)から。でも、すかさずヴァイが口を出すことで、アリエルの言葉を、悪意の一言にしてしまった。
「冗談」とフォローすることで、「アリエルは皮肉を言ったのだ」とレッテルを貼ったんだよ、ヴァイ。ただのつぶやきなら、そんなフォローはいらないから。
ムーアはヴァイの台詞は聞かなかったように、そのまま話を続ける。「こういう音楽は心を落ち着ける」と。ふつーに話せるんだから、ほんとにヴァイの一言は余計でしかない。
音楽の話はダメだ、と思ったアリエルは、話題を変えて「小さい頃の話」をする。まだ家族が壊れていなかった頃、幸せだった頃の話を。
だけどムーアがまた、ケンカを売ってくる。
「お前はあのころからずいぶん変わったな」と、今のアリエルを攻撃する。パパ大人げない。
さすがのアリエルも父の悪意を受け止める。「わたしなにか、父さんの気に障ること言った?」なんでさっきからケンカ売ってくるのよ、こっちは下手に出ているのに。
さあ、ここから父娘バトルか? ケンカになるとしても、ふたりは今、向き合って会話しようとしている。感情をぶつけあおうとしている。
が、ここですかさずヴァイが口を出す。
「父さんは今日とても疲れているのよ」
えーと、つまり、「話は終わりだ」ですか? 「またあとで」ですか?
横から口を出して、勝手にムーアの代弁をする。これひどい。
ムーアもそう思ったみたいで、「ヴァイ、私は自分で話せるよ」と妻に「口を出すな」と釘を刺す。
なのにヴァイは聞いちゃいねえ、「アリエル、食事の支度を手伝って」とさらに「話は終わりだ」とやる。
父には悪意をぶつけられ、それを問いただそうとしたら、母に邪魔され、アリエルは絶望して自分の部屋へ逃げていく。
で、ここまで父娘の会話の邪魔をしておきながら、ヴァイはしれっと「私が正義」の顔をして、
「アリエルに怒っているなら、ちゃんとそう言えばいいじゃない」
と、悪の夫を責める。
アンタが、言わせなかったんじゃん!!
ムーアとアリエルの会話を逐一邪魔して、余計なことを言って火に油を注いで、自分は正義かつ被害者顔……。
この人、きっつい……。
ムーア家が荒れている原因は、ヴァイの「口は災いの元」ゆえぢゃないの……?
余計なことを言ってムーアを怒らせたレンに対し、ヴァイがフォローするくだりも、わたしにはよくわからない。「あなたのお母さんも大概よね」って、悪口ですから、ふつーに!
冗談を言って和ませているつもりだろうけど、ここにいない人の欠点を挙げることで笑いを取るのは、ヘタなやり方ですよ。
レンが笑ってくれたから救われたけど、面と向かって母親の悪口言われて、怒ったり傷ついた入りするかもしんないじゃん。
エセルとヴァイが仲良しだという場面がそれまでにあるならともかく、町の人がマコーマック親子に冷たいっていう表現しかされていないのに。
ヴァイの言葉って、脚本だけ見るとひどいんですが。
ムーアは「悪い人」設定、妻や娘を傷つける人設定なので、偏屈で身勝手でもいいのよ。そういう設定で、わざとそう書かれているんだから。
でもヴァイはちがう。「いい人」設定で、良妻賢母の鑑、やさしい人格者として書かれているのに、やっていることが設定と真逆、というのがきついの。
ヴァイを「いい妻」「いい母親」にしているのはきゃびいの演技ゆえであって、ヴァイ自身は言葉の選び方が身勝手でヘタ、空気読めない人になってますがな。
前日欄でわたし、「今のままの『フットルース』で、なんの不満もない、演出変更は必要ナイ」と書いているけど、欲を言えば、ヴァイだけは書き直して欲しいっす……。
前述のアリエルとムーアの会話部分は、いっそなにも言わなくていいよ……。レンに対しても、もっと言葉選んでよ……。
アリエルは父親似で、死んだボビー@脳内キャスティングちぎは母親似かなあ。
どんな家庭だったのか、考えるのは楽しいっす。
マコーマック家とムーア家、どちらも、父親は息子大好きだったろうな、と思う。
夢と希望を息子に注ぎ込んでいたことだろう。
だからレンはあんなにまっすぐに育ったし、父を失って傷ついた。
だからムーアはあんなに深く心閉ざした。
描かれていない部分まで目に浮かぶのは、いい作品だからこそ。
レン@キムの父は何故出て行ったか。
そりゃ間違いなく、エセル@ヒメのせいだよなー。
わたしは観客だし女だから、エセルを「いい女」だと思う。彼女の明るさと強さは心地いい。
しかし、アレが自分の妻だったら、いろいろウザいだろーなー(笑)。
『フットルース』は海外ミュージカルらしく、女たちの歌場面がある。(男役至上主義のタカラヅカではふつーない)
そこでヴァイ@きゃびいと共に、夫の態度について嘆いている。
「いつでも、『話は終わりだ』『またあとで』……会話は途絶えて」
ヴァイはそう言われたら黙って引くけれど、エセルは黙ってないだろうなと思う。
「話は終わりってどういうことよ、あなたっていつもそう! この間だって……」
と、ぽんぽん続けてそうだー。
疲れて帰ってきて、毎日これやられたら、そりゃ男は逃げるわー。
マコーマック氏@脳内キャスティング朝風くん(笑)は、レンのことはかわいがってたと思うんだ。突然出ていかれてレンが傷つくほどに。
ただ、妻との関係が限界だったんだろうなあ。
強く正しく、そのうえ口も立つ奥さんとでは、なかなかやすらげなかったのでは……?
妻とはやり直せなくても、息子とはどこかで和解しそうな気がする。
じゃあヴァイはいい妻だったのかというと、うーん、それも完全にはうなずけない。
たしかにムーア@まっつは問題だらけの夫であり、父親だけど。ヴァイが夫と娘の間で、どちらも愛しながら中立を保って家を守っているのは、すばらしいことだけど。
ヴァイってさあ……口は災いの元の人だよね?
最初のムーア家の場面。
夜遊びして遅く帰ってきたアリエル@みみが、仕事をしているムーアに話しかける。娘の素行に文句のあるムーアは感じ悪い態度を取る。
この場面でわたしがいちばんムカつくのって、ムーアではなく、ヴァイだ。
アリエルはまず、懸命にムーアに話しかけている。
父との関係を埋めるべく、努力しているのが見える。
会話する気がなさそうなムーアの気を引こうと、彼が好きな音楽の話をする。
「こういう音楽(クラシック)ならいいのね」とつぶやいたアリエルは、他意はないように見える。ほんとにただ、そう思ったから口にした。
なのに棘だらけになっているムーアは「皮肉」だと受け止めたらしい。「どういう意味だ」と詰問口調で言う。
ここでヴァイが「ただの冗談よ」と口を出す。
わたし、このヴァイの台詞がダメ。
アリエルは皮肉で言ったわけじゃない。ぽつんとこぼしてしまっただけ。それを悪く取るのはムーアがアリエルをうがって見ている(娘に対して怒っている)から。でも、すかさずヴァイが口を出すことで、アリエルの言葉を、悪意の一言にしてしまった。
「冗談」とフォローすることで、「アリエルは皮肉を言ったのだ」とレッテルを貼ったんだよ、ヴァイ。ただのつぶやきなら、そんなフォローはいらないから。
ムーアはヴァイの台詞は聞かなかったように、そのまま話を続ける。「こういう音楽は心を落ち着ける」と。ふつーに話せるんだから、ほんとにヴァイの一言は余計でしかない。
音楽の話はダメだ、と思ったアリエルは、話題を変えて「小さい頃の話」をする。まだ家族が壊れていなかった頃、幸せだった頃の話を。
だけどムーアがまた、ケンカを売ってくる。
「お前はあのころからずいぶん変わったな」と、今のアリエルを攻撃する。パパ大人げない。
さすがのアリエルも父の悪意を受け止める。「わたしなにか、父さんの気に障ること言った?」なんでさっきからケンカ売ってくるのよ、こっちは下手に出ているのに。
さあ、ここから父娘バトルか? ケンカになるとしても、ふたりは今、向き合って会話しようとしている。感情をぶつけあおうとしている。
が、ここですかさずヴァイが口を出す。
「父さんは今日とても疲れているのよ」
えーと、つまり、「話は終わりだ」ですか? 「またあとで」ですか?
横から口を出して、勝手にムーアの代弁をする。これひどい。
ムーアもそう思ったみたいで、「ヴァイ、私は自分で話せるよ」と妻に「口を出すな」と釘を刺す。
なのにヴァイは聞いちゃいねえ、「アリエル、食事の支度を手伝って」とさらに「話は終わりだ」とやる。
父には悪意をぶつけられ、それを問いただそうとしたら、母に邪魔され、アリエルは絶望して自分の部屋へ逃げていく。
で、ここまで父娘の会話の邪魔をしておきながら、ヴァイはしれっと「私が正義」の顔をして、
「アリエルに怒っているなら、ちゃんとそう言えばいいじゃない」
と、悪の夫を責める。
アンタが、言わせなかったんじゃん!!
ムーアとアリエルの会話を逐一邪魔して、余計なことを言って火に油を注いで、自分は正義かつ被害者顔……。
この人、きっつい……。
ムーア家が荒れている原因は、ヴァイの「口は災いの元」ゆえぢゃないの……?
余計なことを言ってムーアを怒らせたレンに対し、ヴァイがフォローするくだりも、わたしにはよくわからない。「あなたのお母さんも大概よね」って、悪口ですから、ふつーに!
冗談を言って和ませているつもりだろうけど、ここにいない人の欠点を挙げることで笑いを取るのは、ヘタなやり方ですよ。
レンが笑ってくれたから救われたけど、面と向かって母親の悪口言われて、怒ったり傷ついた入りするかもしんないじゃん。
エセルとヴァイが仲良しだという場面がそれまでにあるならともかく、町の人がマコーマック親子に冷たいっていう表現しかされていないのに。
ヴァイの言葉って、脚本だけ見るとひどいんですが。
ムーアは「悪い人」設定、妻や娘を傷つける人設定なので、偏屈で身勝手でもいいのよ。そういう設定で、わざとそう書かれているんだから。
でもヴァイはちがう。「いい人」設定で、良妻賢母の鑑、やさしい人格者として書かれているのに、やっていることが設定と真逆、というのがきついの。
ヴァイを「いい妻」「いい母親」にしているのはきゃびいの演技ゆえであって、ヴァイ自身は言葉の選び方が身勝手でヘタ、空気読めない人になってますがな。
前日欄でわたし、「今のままの『フットルース』で、なんの不満もない、演出変更は必要ナイ」と書いているけど、欲を言えば、ヴァイだけは書き直して欲しいっす……。
前述のアリエルとムーアの会話部分は、いっそなにも言わなくていいよ……。レンに対しても、もっと言葉選んでよ……。
アリエルは父親似で、死んだボビー@脳内キャスティングちぎは母親似かなあ。
どんな家庭だったのか、考えるのは楽しいっす。
マコーマック家とムーア家、どちらも、父親は息子大好きだったろうな、と思う。
夢と希望を息子に注ぎ込んでいたことだろう。
だからレンはあんなにまっすぐに育ったし、父を失って傷ついた。
だからムーアはあんなに深く心閉ざした。
描かれていない部分まで目に浮かぶのは、いい作品だからこそ。
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