ロバート・アルバート♪@新人公演『ロシアン・ブルー』
2009年8月20日 タカラヅカ いい加減まともに新人公演『ロシアン・ブルー』の感想を書こう。
大野せんせ自身で演出した今回の新公は、「スクリューボール・コメディ」というより、「ドタバタ・コメディ」だ。
より笑いへ走った印象。
それもわかるんだ。
技術のない若者たちに、間で笑わせる芝居をさせるのは難しい。
それよりも、あたって砕けろ系の力業なお笑い舞台にした方が、まとまりやすい。
舞台は下世話に、下品になるけれど、空中分解よりはマシ。
おしゃれにまとめてうんちくに溺れがちな本公演から、ずいぶんな転身だなと思う(笑)。
小ネタなギャグ満載とはいえ、この舞台をより「お笑い作品」にしているのは、役者のパワーバランスも関係していると思う。
本筋がわかりにくいごちゃごちゃ芝居の中で、「ここが真ん中、コレが本筋」とまとめあげるのがトップスターの仕事なんだが……ええっと、新公ではそれほど主役がその仕事をこなせていなかった。
主人公のロバート@キングがあまり強くなく、レベル1からスタートしたロバートくんが、魔法というワープ航法利用で最終マップにいきなりたどりつき、アイテムひとつで都合良くラスボス@がおりを倒しました、な話になっていたよーな。
主人公パーティがよわよわで、悪者チームがやたらめったら強すぎるので、その力関係とどんでん返しっぷりが、よりマンガ的だなと。
水しぇんが演じていた役はアルバート様だけど、新公でキングが演じているのは、本公演の自分の役、ロバートくんだよね?
あの愉快でアホアホなロバートくんが主役のスピンオフだよね、コレ。
長身でハンサムで、ヘタレなロバートくん、てゆーか君、ラドルズのティム@『シルバー・ローズ・クロニクル』だよね? いや、中里くん@『忘れ雪』だっけ? まあつまり、いつものキングってことなんだけど。
てゆーか、なんで『君を愛してる』に続いての新公主演が、『ロシアン・ブルー』なのよ?
キングはコメディ担当なのか? いやそのたしかに、彼にアテ書きするとヘタレ坊やになっちゃうのかもしんないけど、コメディだと「いつものキング」になっちゃうから、彼の持ち味と程遠い役をやらせてあげて下さいよ……。
ビジュアルはいいし、銀橋で歌うロバートくんを見て、「そうか、キングって歌える子だった」と再認識するくらい、歌はとりあえず及第点なんだし、二枚目として育ててほしいっす。
「愉快な役をやらせる」のは、若手を売り出すのに即席お手軽ツールだとは思うけどさ。
せっかくの長身なのに、スーツの着こなしが残念過ぎてトホホだが、時折見せる「ハート」のある表情がイイ。
そーだよ、ろくに役が付かない下級生時代、ガッツとハートだけで目立っていたぢゃないか。あのころは肉食系に見えていたよ。
初ヒロイン、イリーナ@あゆちゃんは、「アテ書き」の苦労をもっとも強く背負わされた人だと思う。
イリーナってのはあらゆる意味で、みなこちゃんを魅力的に見せる、という意図で描かれた役だ。
それを新公で演じるあゆちゃんは、分が悪い。
まん丸可愛い子ちゃんなあゆちゃんは、そのやわらかい外見を覆い隠せるほどの骨太な演技力を、今のところ持っていない。
衣装の着こなしも含め、「鉄の女」に見えないんだな。
かわいい、背伸びをしている女の子に見えてしまった。
でも、それはそれでいいのだと思う。本公演といろいろ変えてある新公だから。
「鉄の女」ではなく、「ふつーの女の子」のイリーナは、表情豊かでヒステリック。心の揺れを、とにかく怒鳴って誤魔化す。
お調子者のロバートくん……もとい、アルバート@キングを責めている彼女は、きつい言葉を連ねながら、男の表情が変わったことに気が付く。
あ、言い過ぎた……そう気づいても、途中で止められない。
だからさらにヒステリックに言葉を叩きつけ、感情的になって逃げていく。
その、浅慮で瞬間的な行動が、取り乱し方が、いっそ切ない。
そんな彼女に対するアルバートもまた、少年のような素直な男で。
露悪的にねちねち攻撃してくるイリーナの言葉に、本気で傷つくんだ。お調子者オーラで誤魔化せないくらい、本気で「致命傷」を受けた顔をする。イリーナが取り乱すくらい、心底傷ついた顔をする。
そして浅慮な彼は、イリーナが取り乱したことすら気づかない、自分の傷だけしか見えない。
男も女も、どちらも幼い。
ジュブナイル小説の、主人公みたいだ。
主人公サイドがこんなふたりだから、悪玉チーム@がおり&さゆが、目立つ目立つ。
同志エジェフ@がおりくんは、押しも押されもせぬ2番手ポジション。
歌って踊って冷酷非情な、愉快な美形悪役。
新公主演者は、次の新公でハマコの役をやるという雪組の掟に則った配役かと思ったら、本公・新公で別作品の大野くん、こだわりの2番手ポジだったわけね。
主人公と敵対する、華のある役ですよ。派手にキメてもらわないと。
このラスボスとその相棒@さゆちゃんが、見事に「悪の華」を咲かせている。
共に主演経験者で、キャリアも実力もある。
その余裕を見せつけて、かーるがると、自在に歌い踊り、大暴れ。
よわっちい主人公パーティと、強い派手派手悪役チーム。
そのバランスで「よもや、危機一髪!」とまで盛り上げて、禁じ手のハメ技で強引にクリア! なんじゃそりゃ?! と、観客からのツッコミ待ち、な展開が、いかにも「ドタバタ・コメディ」だ。
笑わせてナンボだから、あの最強キャラたちが、最強なまんま主人公たちに媚を売る姿は、とっても愉快。
豪快に笑い飛ばせるのは、正しい展開。
正攻法では絶対勝てないよなあ……。
強すぎるよ、がおり&さゆ……。
魔法の存在を、素直に受け入れられる展開(笑)。
オシャレ度が下がり、下世話にドタバタお笑い一直線、補足説明もしてよりわかりやすく、庶民的・大衆的になりました!な、本公演とはあえて別になった新公でした。
これはこれで楽しいのよ。
大野せんせ自身で演出した今回の新公は、「スクリューボール・コメディ」というより、「ドタバタ・コメディ」だ。
より笑いへ走った印象。
それもわかるんだ。
技術のない若者たちに、間で笑わせる芝居をさせるのは難しい。
それよりも、あたって砕けろ系の力業なお笑い舞台にした方が、まとまりやすい。
舞台は下世話に、下品になるけれど、空中分解よりはマシ。
おしゃれにまとめてうんちくに溺れがちな本公演から、ずいぶんな転身だなと思う(笑)。
小ネタなギャグ満載とはいえ、この舞台をより「お笑い作品」にしているのは、役者のパワーバランスも関係していると思う。
本筋がわかりにくいごちゃごちゃ芝居の中で、「ここが真ん中、コレが本筋」とまとめあげるのがトップスターの仕事なんだが……ええっと、新公ではそれほど主役がその仕事をこなせていなかった。
主人公のロバート@キングがあまり強くなく、レベル1からスタートしたロバートくんが、魔法というワープ航法利用で最終マップにいきなりたどりつき、アイテムひとつで都合良くラスボス@がおりを倒しました、な話になっていたよーな。
主人公パーティがよわよわで、悪者チームがやたらめったら強すぎるので、その力関係とどんでん返しっぷりが、よりマンガ的だなと。
水しぇんが演じていた役はアルバート様だけど、新公でキングが演じているのは、本公演の自分の役、ロバートくんだよね?
あの愉快でアホアホなロバートくんが主役のスピンオフだよね、コレ。
長身でハンサムで、ヘタレなロバートくん、てゆーか君、ラドルズのティム@『シルバー・ローズ・クロニクル』だよね? いや、中里くん@『忘れ雪』だっけ? まあつまり、いつものキングってことなんだけど。
てゆーか、なんで『君を愛してる』に続いての新公主演が、『ロシアン・ブルー』なのよ?
キングはコメディ担当なのか? いやそのたしかに、彼にアテ書きするとヘタレ坊やになっちゃうのかもしんないけど、コメディだと「いつものキング」になっちゃうから、彼の持ち味と程遠い役をやらせてあげて下さいよ……。
ビジュアルはいいし、銀橋で歌うロバートくんを見て、「そうか、キングって歌える子だった」と再認識するくらい、歌はとりあえず及第点なんだし、二枚目として育ててほしいっす。
「愉快な役をやらせる」のは、若手を売り出すのに即席お手軽ツールだとは思うけどさ。
せっかくの長身なのに、スーツの着こなしが残念過ぎてトホホだが、時折見せる「ハート」のある表情がイイ。
そーだよ、ろくに役が付かない下級生時代、ガッツとハートだけで目立っていたぢゃないか。あのころは肉食系に見えていたよ。
初ヒロイン、イリーナ@あゆちゃんは、「アテ書き」の苦労をもっとも強く背負わされた人だと思う。
イリーナってのはあらゆる意味で、みなこちゃんを魅力的に見せる、という意図で描かれた役だ。
それを新公で演じるあゆちゃんは、分が悪い。
まん丸可愛い子ちゃんなあゆちゃんは、そのやわらかい外見を覆い隠せるほどの骨太な演技力を、今のところ持っていない。
衣装の着こなしも含め、「鉄の女」に見えないんだな。
かわいい、背伸びをしている女の子に見えてしまった。
でも、それはそれでいいのだと思う。本公演といろいろ変えてある新公だから。
「鉄の女」ではなく、「ふつーの女の子」のイリーナは、表情豊かでヒステリック。心の揺れを、とにかく怒鳴って誤魔化す。
お調子者のロバートくん……もとい、アルバート@キングを責めている彼女は、きつい言葉を連ねながら、男の表情が変わったことに気が付く。
あ、言い過ぎた……そう気づいても、途中で止められない。
だからさらにヒステリックに言葉を叩きつけ、感情的になって逃げていく。
その、浅慮で瞬間的な行動が、取り乱し方が、いっそ切ない。
そんな彼女に対するアルバートもまた、少年のような素直な男で。
露悪的にねちねち攻撃してくるイリーナの言葉に、本気で傷つくんだ。お調子者オーラで誤魔化せないくらい、本気で「致命傷」を受けた顔をする。イリーナが取り乱すくらい、心底傷ついた顔をする。
そして浅慮な彼は、イリーナが取り乱したことすら気づかない、自分の傷だけしか見えない。
男も女も、どちらも幼い。
ジュブナイル小説の、主人公みたいだ。
主人公サイドがこんなふたりだから、悪玉チーム@がおり&さゆが、目立つ目立つ。
同志エジェフ@がおりくんは、押しも押されもせぬ2番手ポジション。
歌って踊って冷酷非情な、愉快な美形悪役。
新公主演者は、次の新公でハマコの役をやるという雪組の掟に則った配役かと思ったら、本公・新公で別作品の大野くん、こだわりの2番手ポジだったわけね。
主人公と敵対する、華のある役ですよ。派手にキメてもらわないと。
このラスボスとその相棒@さゆちゃんが、見事に「悪の華」を咲かせている。
共に主演経験者で、キャリアも実力もある。
その余裕を見せつけて、かーるがると、自在に歌い踊り、大暴れ。
よわっちい主人公パーティと、強い派手派手悪役チーム。
そのバランスで「よもや、危機一髪!」とまで盛り上げて、禁じ手のハメ技で強引にクリア! なんじゃそりゃ?! と、観客からのツッコミ待ち、な展開が、いかにも「ドタバタ・コメディ」だ。
笑わせてナンボだから、あの最強キャラたちが、最強なまんま主人公たちに媚を売る姿は、とっても愉快。
豪快に笑い飛ばせるのは、正しい展開。
正攻法では絶対勝てないよなあ……。
強すぎるよ、がおり&さゆ……。
魔法の存在を、素直に受け入れられる展開(笑)。
オシャレ度が下がり、下世話にドタバタお笑い一直線、補足説明もしてよりわかりやすく、庶民的・大衆的になりました!な、本公演とはあえて別になった新公でした。
これはこれで楽しいのよ。
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