怒濤のヅカ耐久ロードの中、いちばん割を喰ったのは宙組『エンカレッジコンサート』だと思う。

 わたしの記憶も他のものに上書きされちゃってあんまし残ってないし、公演自体星組祭りに紛れちゃって気の毒な感じになっていた。
 土日祝の公演で、通常なら恵まれた日程のはずだ。それがなんてこったい、日祝が星前楽・楽とまるかぶり。チケットの価格も、初日の土曜日と日曜の午前のみがとりあえず定価以上になるが、日曜午後、祝日午前と人気は落ち、千秋楽は当日券有りときたもんだ。
 みんな、星組を観るついでにエンカレも、って感じでチケット探してたんだな……。サヨナラショー公演とかぶる回は人気いまひとつ、って。宙組にもエンカレにも興味ナシ、というのがありありとわかるチケット販売状況がきつい。
 それに、楽はファンの出待ち、どうなったんだろう。通常バウの出待ちをする場所が星組のパレードで占領されていたけど。……もともとバウ楽屋口へ続く階段、工事中だったからいいのかな。
 なんにせよ、星組祭りでごった返すなか、ぽつんとコンサートをやっているのが不憫な印象を持った。……もっと考えて日程組んでくれよ劇団。
 ええ、花組エンカレも不憫でしたよ、たかはな祭りの真っ直中に、ぽつんとコンサートやっててな……まあ、千秋楽とかぶってなかっただけが救いだったが。

 エンカレの、わたしのいちばんの関心事は、「1幕トリが誰か」。
 月組もりえ、星組しゅん、雪組コマと、劇団が路線として売るつもりの子たちはみんな、1幕のトリを単独で勤めている。トリの彼が熱唱し、感動冷めやらぬうちに幕。トップスターのみに許されるよーな演出。
 ……ともちだよね? 1幕の、幕を降ろすのはともちだよね? 世間ではほっくんに下克上されたよーな扱いだと言われているが、まだともちだって路線だよね?
 まず、プログラム見て、ヘコみました。ともち、トリぢゃない……。
 いやそれでも、まっつよりは路線として扱ってもらっているから、大丈夫か。
 まっつにつづき、ともちまで逸れていくよーだと、わたしは自分を「貧乏神」認定したくなりますよ……いやその、もともと微妙だったまっつとちがい、ともちは真ん中が似合う人だからさー。わたしが好きになる途端、みんな真ん中から逸れていくなんてあんまりだ。
 や、もともと真ん中の人はあまり好みぢゃない、脇にばかり惹かれる性質なんだけどさ……わたしが好きになると脇に逸れる、なんて自分ジンクスは作りたくない。

 ともちの扱いには多少ナーヴァスになりつつも。

 コンサート自体はとてもよかったっす。

 ああ、ともち。
 ともち、かっこいー。

 つい先日、宙組の男の子たちのヅカ基本値の低さにショックを受けたところだったから。
 ともちが「男役として」きちんと美しい人であることを知り、心からよろこんだ。
 かっこいい。大きなカラダを武器にして持て余すことなくカタチを作っている。ダイナミックスさと端正さ。あああ、かっこいいよー。
 歌も充分及第点。歌手、というほどうまくはないが、スターでこれだけ歌えれば問題ないでしょ。

 たっちんとふたり、この公演のトップコンビ、という位置づけもいい。作品自体が安定する。

 エンカレのよさは、「16名の出演者横並び」なのかもしれないけれど、わたしはやはり、最低限の「スター」と「ピラミッド」は必要だと思う。
 通常公演のように「スターとその他大勢」でなくていいから、せめて、「真ん中」がどこかは決めておいてほしい。「発表会」ではなく「エンタメ」ならば。

 ともちとたっちんが「真ん中」の役目を果たし、華と実力で公演自体を導き、他の実力ある人々がそれぞれ見せ場をもらいながら盛り上げていく。
 素直に、たのしかった。
 感動できるコンサートだった。

 たっちんの歌声は期待通りの心地よさ。
 ただ意外だったのは、「千の風になって」が、ただきれいなだけで素通りしてしまったこと。きっとものごっつー感動できるはず、と勝手に思いこんでいたのが悪かったのか。
 かなみちゃんの歌声の方が深みがあるのかな。たっちんの歌はほんとにきれいでうまかったのだけど、なにか違ったみたい。
 学年もキャリアもチガウから、とーぜんっちゃー当然だが。

 2幕ラストのともち×たっちんのデュエットから、フィナーレソングの『グランドホテル』2曲、すげー気持ちよかった。
 ドラマティック。「ミュージカル」という醍醐味。わーい。

 2幕は前半に歌のヤバイ人をまとめ(笑)、後半はひたすら盛り上げてくれたから、ものすごーく気持ちいいまま、昂揚したまま終わることが出来た。

 
 なんか、プログラム紛失しちゃったんで(わたしの部屋にはイタヅラな妖精さんがいるのよ……)、記憶だけで書いてるので、他出演者のこととか記憶をたどることすらできないんだが。

 宙組にも、歌の下手な子がいるんだね。

 なんかわたし、「宙組=コーラスの組」で、みんな歌はふつーにうまいんだと思い込んでいた。だから数名えらいこっちゃな実力の子が混ざっていて、おどろいたというかほっとしたというか。
 まあなあ、タニちゃんがいる、という段階で「宙組の子はみんな歌がうまい」というのが誤解であることは、わかりそーなもんなのに……。思いこみってこわいなー。

 宙組下級生については、他の組よりさらになにも知らないんだけど、そんなわたしでも名前を知っている人たちは、そりゃーうまかったっす。
 スカステで見かける太めの彼女の歌声もよかったし、市長は歌ってるときほんとにオトコマエだ、ヤンブラのゴツい婚約者も芸達者で芝居心のある歌声で素晴らしい、博多グラディスまいらちゃん、なんかさらに歌うまいぞすげー、たまちゃん何故に松田聖子?!
 あと名前わかんないけど、とてもドラマティックにうまい女の子がいたなー。

 そして、心の星だぞ暁郷。

 マジに歌うまいし、なによりも芝居っけたっぷりなのがたまらん。

 2幕のオープニング、全員でサワヤカに笑顔で「セピア色の写真」を歌っているのに、GOひとり、顔を歪めてせつなげに熱唱。
 たしかに、「セピア色の写真」はさわやかな曲調とうらはらに、帰らない過去を歌うせつない歌なんだけど……GO、やりすぎだからキミ!!(笑)

 いいなあ、GOアカツキ。そーゆーとこが好きだ。

 でもさあ。
 宙エンカレでGOの歌う「世界に求む」を聴いたその足で、星前楽に参加、ワタさんの歌う「世界に求む」を聴いたわけよ。

 ……今同じ時間、GOも歌ってんじゃないの、同じ曲。
 やっぱり、宙エンカレを星祭りと丸かぶりさせた劇団の無神経さに絶句するわ。

 花ムラ『ファントム』と宙東宝楽サヨナラショーで、エリックが同時にふたり存在したことと同じ理不尽さ。
 某ネズミーランドのミッキーネズミと同じで、何人スペアのミッキーがいても、絶対に同時刻に別の場所には存在させないのが、「夢の国」のルールであると思うのよ。


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