「TCAには、いい思い出ないから」
 と、チェリさんは言う。
「出演者が発表になるころは、入るか落ちるかで胃が痛いし、入ったら入ったでどんな扱いかで胃が痛いし……」

 もちろん、ケロちゃんのことだ。
 そうだよねえ、ケロはいつも微妙なところにいたからねえ。いちばんいい扱いを受けたのって、2003年のTCAだっけ、フランツ@『エリザベート』やった……。ちなみに、まっつもあのときがいちばん扱いよかったよーな……?(ブラックジャック大先生の影役。そりゃーもー、ノリノリで寿美礼サマにいじられてました) 微妙なポジの人に惚れるのは、カルマでしょう(笑)。

 ケロはいつも微妙。いつも脇、いつも隅っこ。
 それを探して追いかけて、オペラグラスでガン見するのが醍醐味だった。

 そして。
 ケロの隣には、いつもゆーひがいた。
 隣だったり対の位置だったり。共に脇、共に微妙。
 わたしはケロを眺めて、ゆーひくんを眺めるのが日常だった。ケロとゆーひはいつもセットだったもん。

 だからさ。

 すごく、感慨深いんですけど。現在の大空祐飛さんの立場。

 現在のゆーひくん。『TCAスペシャル2006 ワンダフル・ドリーマーズ〜人は夢見る〜』において。

 幕開き、トド様+トップスターが歌い、次にトップ娘役たちが歌って去るわけですよ。
 そしたらその次に、ゆーひさんが出てくるわけですよ!!
 2番手たちを率いて!!

 や、わかってるよ。ただの学年順でしょ? 現2番手の中で別格扱いのトウコをのぞくと、ゆーひが最年長だから、そーゆー扱いになるんだってこと、わかってるけど。

 トップの次に、2番手を率いて出てきたら、びびるよ!

 えええ。
 なになになに、その登場の仕方。み、水くんより先ですか! タニちゃんより先ですか! もったいつけてひとりずつ出てくるなら、最初に出る人がいちばん下っ端で最後が大物、とわかるけど、わーっと一緒に出てくるときの先頭って、「率いている」感じがしてびびる。
 1幕の最初の登場と2幕の最後の登場の、「2番手行きまーす」とわらわらみんなで階段降りしてくるとき、2度ともゆーひが最初だったの。
 学年順だとしても、すげーよ。
 ほんとに、月組のW2番手なんだなあ。昔を知る者としては、感心するばかり。シューマッハ、とユニット売りされていても、トップ路線は、スーパーウルトラ路線のタニ、スーパー路線のきりやんーー断固たる境界線ーーケロ、ゆーひ、だったのになあ。で、その下にはふつうに路線のさららんやほっくんがいて。
 そこから、ここまで来たのか……。
 トップ云々はともかくとして、2番手の中に彼が入っている現状に感動だ。
 どんどん輝きを増して、きらきらしたかっこいーにーちゃんになってるもんなあ。あれほどやばかった歌も、まだ聴けるよーにはなってきているし。

 笑えたのは、ここでもわざわざ、あさゆひの絡みがあること。

 1幕の月組さんコーナーで、ゆーひはちゃんとあさこと絡むの。エロが売りの彼らしく、ビジュアルが売りの彼らしく。
 あさこを中心に、ゆひきりが左右にいるシーンだから、ゆーひと絡んだあとはきりやんと絡むんだろうなと思ったら、きりやんとは近寄るだけで特に絡まず。
 誰だよ、こんな振付したの(笑)。
 ファンのニーズをわかっているぢゃないか(笑)。わたしはあさゆひ萌えはとくにない人間だが、世の中的にこれは正しい選択だなと思い、ウケました。

 脇を見るのが醍醐味だと思っているTCAだけど、やっぱりゆーひくんは特別。
 ずっと特別。

 あの横には、ケロがいたね。

 その幻影ごと、とても特別。とても大切。

 
 さて、「TCAは贔屓の扱いが心配で胃が痛い」と言っていたチェリさん。
 最初は、もうTCAなんて関係ないわ、と言っていたのに。
「オヅキ出るんですかっ?!」
 と、目の色を変えてチケ取りに参戦したよ、この人。「脇のオヅキを見るなら全体が見える2階席」と狙って。

 歴史は繰り返す。
 好みは繰り返す。

 微妙路線の人に惚れる人は、やっぱり微妙路線の人に惚れるものなんだ。

 や、まだ完全にヲヅキオチしたわけでもないんだろうけど、それでもオヅキオヅキと繰り返しているよね、チェリさん(笑)。

 さあ、胃の痛む日々がキミを待っている。
 ゆーひくんのように、脇から真ん中まで行く人は稀。ふつーは脇は脇のまま。
 だがソレもまた、ときめきがあっていいのかもしれない。贔屓の立ち位置に一喜一憂できるのは、真ん中以外の人のファンの醍醐味だ。トップレースとは関係ないところで、どきどきするのさ。

 TCAに出るか出られないかの瀬戸際あたりの人に惚れる。
 これは、カルマ。これは運命(笑)。

 と、ケロからまっつへ行った人が、つぶやいておきますよ。


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