時の刻印。@アルバトロス、南へ
2006年8月8日 タカラヅカ「天使の夢を見たわ」
という少女の透明な歌声ではじまる、美しい悪夢。
天使、として描かれるのは、ひとりの美しい少年。性を超越した美しさ、重力を超越した軽やかさ。
最初少年は無邪気に踊る。無垢という美しさ。
壊れる寸前の、水で出来た王冠のよう。
次に少年が現れたとき、彼はまがまがしい色に身を染めている。黒衣の堕天使として、地獄の王の僕として踊る。人間を誘惑する。
そして、最後に。
無垢な天使の姿で、この世のうつくしいものはかないものの象徴のように光の中に現れた少年は、泣く。
うつくしいひかりのなかで、なく。
そして、背を向けて去っていく。
世界では、男と女が別れていく。恋人たちが壊れていく。うつくしいはずのものが、終わっていく。
背を向けた少年は、重力を超えた天使ではなく、疲れた人間のようにその脚で大地を踏んで去っていく。つかれたにんげんのように、こわれたにんぎょうのように。
そして。
時は流れた。
同じ白い光の中に、あのときの少年がいる。
いや、彼はもう少年じゃない。天使でもない。
「天使の夢を見たわ」
同じ歌が響くけれど、そこにはもう、あのときの天使はいないの。
人間の青年が、踊っているんだ。
すべてにおいて。
いつかのコムの舞台なのに、コムが演じた役なのに、すべてが「今の姿」になっているの。
なつかしい記憶と、そこにはもう戻れないことを、見せつけて。だからこそ、愛しさに胸がかきむしられる。
時が流れている。
決して止まることはない。
それがいとしく、せつない。
コムの運命を変えた『エリザベート』のルドルフだって、今演じればまったく別のものになってしまうんだね。
「舞台」という「リアルタイム」の芸術は、なんて興味深く、そしておそろしいんだろう。
なんて、おもしろいんだろう。
リアルタイムで、触れて。感じて。
過ぎて戻らないものだからこそ、「時を刻印」して。
☆
ところで、阪急交通社「朝海ひかるBOXプラン」、ショボすぎ。
『アルバトロス、南へ』のバウホール公演を、阪急交通社企画のツアーで取ると、「朝海ひかるBOXプラン」という謎の商品になり、9300円かかる。
チケット代は7000円だから、差額の2300円の言い訳として、「朝海ひかるBOX」という「中身は、届いてからのおたのしみ♪」なおまけが付くらしい。
自力でチケットを取る甲斐性のなかったわたしは、チェリさんからこのツアープランをひとり分譲ってもらった。
2300円UPで『アルバトロス』を観られるなら、安いもんだ。そのうえなにか、おまけが付く……? ありがたいありがたい。わたしは「非売品」とか「レアグッズ」とか「初回特典」とか大好きな俗物だ。このすばらしい公演絡みのレアグッズが手に入るなら、それほどうれしいことはない。
「朝海ひかるBOX」……なんだろう?
食べ物ではないらしい。
イメージとしては、白い小さな箱だ。
白地に箔押しで小さく「アルバトロス、南へ」とか「朝海ひかる」とかロゴが入っている。
中身はブロマイドとかかな。あとはしょぼいステイショナリーにロゴだけ付け加えました、程度の。下級生お茶会のおみやげレベルというか、そのあたりの小物かな。ポスター写真使い回しのポストカードとか。そこに「阪急交通社」とか、いかにも「ウチのオリジナル企画ですからね!」と自己主張文字を入れてみたり?
まあ、公演ロゴが入っていれば、「これも記念か」と思えるから、どんなものでもいっかー。
たしかに「参加した」とわかるもの、「時を刻印」したのだとわかるものなら、どんなにちゃちいものでもいいや。
で。
公演数日前によーやく、チケットと「朝海ひかるBOX」が到着し。
梅田の某喫茶店で、チェリさんから受け取った。
……ショボっ!!
「朝海ひかるBOX」つったじゃん。BOXって!!
箱ではありませんでした。
袋ですらなかった。
コム姫のサイン色紙がナイロン袋にそのまま入れられておりました。
言い訳のように、黄色いリボンがかけてある。
な、なんじゃこりゃ。
たしかに、サイン色紙は、まあ、うれしい……かな……。
わたしはコム姫好きだし、コム姫のサインなんか持ってないし。
でもぶっちゃけあんまし興味な……ゲフンゲフン。
わたしが欲しかったのは、『アルバトロス、南へ』関連商品だ。
だってコレ、『アルバトロス、南へ』ツアープランなんだから。
なのにどう見たって、そのサイン色紙は、『アルバトロス、南へ』とはなんの関係もない色紙だった。
コム姫の写真が貼ってあるけれど、『アルバ』の写真じゃない。いつかの公演のスチールっぽい。
極めつけは、色紙に同封されていたポストカード。
過去の阪急交通社貸切公演無料配布の、残り物でした。
うわー……『霧のミラノ』だぁ……『ワンダーランド』だぁ……。
色紙もポスカも、残り物かよ……っ!!
『アルバトロス、南へ』のオリジナルぢゃないんだ。
倉庫にあるものてきとーに詰めただけで、「朝海ひかるBOX」のできあがりかよっ。
いやその、コム姫グッズはうれしいんですよ。わたしはグッズ好きですし。
ただ。
ひとめで残り物とわかるクオリティにされてしまってもな……。
せめて色紙の写真、『アルバ』のものと貼り替えればよかったのに。いつかの「貸切公演、座席番号で抽選、縦一列同じ番号の人にサイン色紙プレゼント」の残り物であったとしてもだ。
阪急交通社め……(笑)。
つーことで、わたしの部屋には今、コム姫のサイン色紙(黄色いリボン付き)が飾ってあります。
サイン色紙は、トドロキ(92.12.18の日付入り。サイン会に行った)のしか持ってなかったから、これで記念すべき2枚目ですな。
という少女の透明な歌声ではじまる、美しい悪夢。
天使、として描かれるのは、ひとりの美しい少年。性を超越した美しさ、重力を超越した軽やかさ。
最初少年は無邪気に踊る。無垢という美しさ。
壊れる寸前の、水で出来た王冠のよう。
次に少年が現れたとき、彼はまがまがしい色に身を染めている。黒衣の堕天使として、地獄の王の僕として踊る。人間を誘惑する。
そして、最後に。
無垢な天使の姿で、この世のうつくしいものはかないものの象徴のように光の中に現れた少年は、泣く。
うつくしいひかりのなかで、なく。
そして、背を向けて去っていく。
世界では、男と女が別れていく。恋人たちが壊れていく。うつくしいはずのものが、終わっていく。
背を向けた少年は、重力を超えた天使ではなく、疲れた人間のようにその脚で大地を踏んで去っていく。つかれたにんげんのように、こわれたにんぎょうのように。
そして。
時は流れた。
同じ白い光の中に、あのときの少年がいる。
いや、彼はもう少年じゃない。天使でもない。
「天使の夢を見たわ」
同じ歌が響くけれど、そこにはもう、あのときの天使はいないの。
人間の青年が、踊っているんだ。
すべてにおいて。
いつかのコムの舞台なのに、コムが演じた役なのに、すべてが「今の姿」になっているの。
なつかしい記憶と、そこにはもう戻れないことを、見せつけて。だからこそ、愛しさに胸がかきむしられる。
時が流れている。
決して止まることはない。
それがいとしく、せつない。
コムの運命を変えた『エリザベート』のルドルフだって、今演じればまったく別のものになってしまうんだね。
「舞台」という「リアルタイム」の芸術は、なんて興味深く、そしておそろしいんだろう。
なんて、おもしろいんだろう。
リアルタイムで、触れて。感じて。
過ぎて戻らないものだからこそ、「時を刻印」して。
☆
ところで、阪急交通社「朝海ひかるBOXプラン」、ショボすぎ。
『アルバトロス、南へ』のバウホール公演を、阪急交通社企画のツアーで取ると、「朝海ひかるBOXプラン」という謎の商品になり、9300円かかる。
チケット代は7000円だから、差額の2300円の言い訳として、「朝海ひかるBOX」という「中身は、届いてからのおたのしみ♪」なおまけが付くらしい。
自力でチケットを取る甲斐性のなかったわたしは、チェリさんからこのツアープランをひとり分譲ってもらった。
2300円UPで『アルバトロス』を観られるなら、安いもんだ。そのうえなにか、おまけが付く……? ありがたいありがたい。わたしは「非売品」とか「レアグッズ」とか「初回特典」とか大好きな俗物だ。このすばらしい公演絡みのレアグッズが手に入るなら、それほどうれしいことはない。
「朝海ひかるBOX」……なんだろう?
食べ物ではないらしい。
イメージとしては、白い小さな箱だ。
白地に箔押しで小さく「アルバトロス、南へ」とか「朝海ひかる」とかロゴが入っている。
中身はブロマイドとかかな。あとはしょぼいステイショナリーにロゴだけ付け加えました、程度の。下級生お茶会のおみやげレベルというか、そのあたりの小物かな。ポスター写真使い回しのポストカードとか。そこに「阪急交通社」とか、いかにも「ウチのオリジナル企画ですからね!」と自己主張文字を入れてみたり?
まあ、公演ロゴが入っていれば、「これも記念か」と思えるから、どんなものでもいっかー。
たしかに「参加した」とわかるもの、「時を刻印」したのだとわかるものなら、どんなにちゃちいものでもいいや。
で。
公演数日前によーやく、チケットと「朝海ひかるBOX」が到着し。
梅田の某喫茶店で、チェリさんから受け取った。
……ショボっ!!
「朝海ひかるBOX」つったじゃん。BOXって!!
箱ではありませんでした。
袋ですらなかった。
コム姫のサイン色紙がナイロン袋にそのまま入れられておりました。
言い訳のように、黄色いリボンがかけてある。
な、なんじゃこりゃ。
たしかに、サイン色紙は、まあ、うれしい……かな……。
わたしはコム姫好きだし、コム姫のサインなんか持ってないし。
でもぶっちゃけあんまし興味な……ゲフンゲフン。
わたしが欲しかったのは、『アルバトロス、南へ』関連商品だ。
だってコレ、『アルバトロス、南へ』ツアープランなんだから。
なのにどう見たって、そのサイン色紙は、『アルバトロス、南へ』とはなんの関係もない色紙だった。
コム姫の写真が貼ってあるけれど、『アルバ』の写真じゃない。いつかの公演のスチールっぽい。
極めつけは、色紙に同封されていたポストカード。
過去の阪急交通社貸切公演無料配布の、残り物でした。
うわー……『霧のミラノ』だぁ……『ワンダーランド』だぁ……。
色紙もポスカも、残り物かよ……っ!!
『アルバトロス、南へ』のオリジナルぢゃないんだ。
倉庫にあるものてきとーに詰めただけで、「朝海ひかるBOX」のできあがりかよっ。
いやその、コム姫グッズはうれしいんですよ。わたしはグッズ好きですし。
ただ。
ひとめで残り物とわかるクオリティにされてしまってもな……。
せめて色紙の写真、『アルバ』のものと貼り替えればよかったのに。いつかの「貸切公演、座席番号で抽選、縦一列同じ番号の人にサイン色紙プレゼント」の残り物であったとしてもだ。
阪急交通社め……(笑)。
つーことで、わたしの部屋には今、コム姫のサイン色紙(黄色いリボン付き)が飾ってあります。
サイン色紙は、トドロキ(92.12.18の日付入り。サイン会に行った)のしか持ってなかったから、これで記念すべき2枚目ですな。
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