愛を知り、希望に微笑む。……絶望に微笑むのと同じように。@ファントム
2006年7月24日 タカラヅカ 機嫌良く『ファントム』に通っている。
春野寿美礼のファンである以上、この公演はたのしい。「エリック」はまちがいなく「春野寿美礼」であるからだ。他の誰でもない、「春野寿美礼」が演じるこその「エリック」だからだ。
リュドヴィークもヴィットリオもウルフもそうだったけれど、春野寿美礼は絶望に微笑うタイプなのよね。ほんとうにつらいとき、絶望の淵で生きているとき、微笑むの。泣くのではなく。
ふつーならそこは取り乱して泣き叫ぶところだろう、苦悶に顔をゆがめるところだろう、てな精神状態のときに、なにもかもあきらめたように、悟りきったように、微笑む。これはもー、春野寿美礼クオリティなんだろう。
よーするに、エリックもまた「諦観」が根底にある、かわいそうな子どもなんだな。
彼のおかれている状況は悲惨で、ゆがんでいて、あわれで、全世界を呪いながら生きていてもおかしくないのに。
それでもエリックは、どこかひょうひょうと穏やかに微笑んで生きている。生い立ちは不幸だけれど、母に愛され、父に見守られ、すくすくと成長したんだろー。
「限界」を知り、それ以上を欲しがることもなく、与えられた箱庭の中でそれでも幸福そうに生きる。……はじめから、あきらめているから。手に届かないものを、欲しがらない。そうやって余分な苦しみを、自分にもキャリエールにも与えない。
「僕が生まれてきた意味」とまで言うクリスティーヌのことにしても。
かなしいほど、いつもあきらめている。
花組版のエリックは、あわれでいたいけで、愛しい子どもだ。
クリスティーヌに拒絶されたあと、絶叫する春野寿美礼の背中に、子役野々すみ花の背中と絶叫が重なって見える。
あんまりだ。
あんまりだよ。
可哀想すぎるよ。
愛しすぎるよ。
エリックがかなしくて、泣けて仕方がない。
オペラ座の「怪人」であった宙組版とちがい、花組のエリックは「周囲の理解のなさゆえに怪人にまつりあげられた無邪気な少年」であり、性格付けも設定もいろいろちがっている。
実在の存在なのかあやしい従者(設定はどうあれ、舞台上で彼らについての説明はない)を従え、自分のテリトリーを犯す者は容赦なく殺す宙エリック。殺人は彼にとって大した禁忌ではなく、まためずらしいことでもないんだろう。
明確な「ゆがみ」と「狂気」を持ちつつも、少年の夢見がちさと潔癖さを持つ、あやうい魅力。圧倒的な美貌(スタイル)と熱のある激しい性格。……うおー、ダイスキだたかこエリック。
……とはまったくチガウ、花組版。町で拾った浮浪者(この台詞、やめようよ……)を養い、ひょうひょうと、いたずらを繰り返して生きる花エリック。キャリエールのことを父だとわかったうえで、愛されている確信のうえでわがままを言う、甘えっこ。
オサエリックは殺人はしない。そんなことをしなくても、周囲の人は勝手に彼を「怪人」だと、「仮面の悪魔」だと決めつける。
彼がその手を汚すのは、愛する少女の復讐のため。子どもらしい激しさでカルロッタを殺す、あれが最初で最後の殺人なら、「怪人」ゆえではないよね。「人間」ゆえだよね。浅慮で愚かだけど。それすら、人間らしいだろう。警官相手のときも、殺意はなさそーだもんな。天井を狙って撃ったりな。恋敵フィリップには多少含むところがあるよーだが(笑)。
花『ファントム』が大好きだし、なによりオサエリックがかわいくて仕方がないのだけど、まったく萌えない(笑)。
カップリングしようがないからなぁ。
宙『ファントム』ではキャリエール×エリックでも、キャリエール×フィリップでも盛り上がれたんだけど、花では無理。
理由はわかる。
1.エリックが、純真無垢なガキ。(あたしゃ、ショタの気はまったくありません)
2.エリックが、クリスティーヌにベタ惚れ。(オサちゃん、鼻の下のびすぎ!ってゆーか、ええっと。若い嫁にめろめろになっているのがわかりやすくて、かわいくてたまりません……うおーっ、オサ様好きだぁぁあ)
3.キャリエール、いい人過ぎ。(歪んでないのよこの人。ふつーに善人でハートフル)
4.フィリップ、若造で初恋ムードぶっちぎり。(がんばれおぼっちゃま)
これだけ重なると、腐女子妄想もできませんて。ちぇっ(笑)。
nanaタンと言ってたんだけど。
「宙キャリエールの過ちは、女の子騙して妊娠させて、生まれた子どもをオペラ座の地下に閉じこめて育てたことだけど、花キャリエールの過ちは、エリックを溺愛してわがまま放題に育てちゃったことだよね」
宙キャリは鬼畜。花キャリは親バカ。
……あー、あー、あー……。
「エリックでもファントムでもない、アレは、『春野寿美礼』というイキモノ」
……そう言って、愛でてきた花『ファントム』とオサエリック。
ゆみこに愛されてるのはデフォルトで、そのうえであやねにデレデレかよ、ったくよぉ。……と、オサファン的見地からも、実にたのしい。
愛さずにはいらない、かわいいエリック。わがままで気まぐれな猫。フーフー毛を逆立てて威嚇したり、あわれな声で鳴いてみせたり。そのくせ要所要所で諦観に微笑み、見ている者のハートを鷲掴みにする(笑)。
大好き。
春野寿美礼のファンである以上、この公演はたのしい。「エリック」はまちがいなく「春野寿美礼」であるからだ。他の誰でもない、「春野寿美礼」が演じるこその「エリック」だからだ。
リュドヴィークもヴィットリオもウルフもそうだったけれど、春野寿美礼は絶望に微笑うタイプなのよね。ほんとうにつらいとき、絶望の淵で生きているとき、微笑むの。泣くのではなく。
ふつーならそこは取り乱して泣き叫ぶところだろう、苦悶に顔をゆがめるところだろう、てな精神状態のときに、なにもかもあきらめたように、悟りきったように、微笑む。これはもー、春野寿美礼クオリティなんだろう。
よーするに、エリックもまた「諦観」が根底にある、かわいそうな子どもなんだな。
彼のおかれている状況は悲惨で、ゆがんでいて、あわれで、全世界を呪いながら生きていてもおかしくないのに。
それでもエリックは、どこかひょうひょうと穏やかに微笑んで生きている。生い立ちは不幸だけれど、母に愛され、父に見守られ、すくすくと成長したんだろー。
「限界」を知り、それ以上を欲しがることもなく、与えられた箱庭の中でそれでも幸福そうに生きる。……はじめから、あきらめているから。手に届かないものを、欲しがらない。そうやって余分な苦しみを、自分にもキャリエールにも与えない。
「僕が生まれてきた意味」とまで言うクリスティーヌのことにしても。
かなしいほど、いつもあきらめている。
花組版のエリックは、あわれでいたいけで、愛しい子どもだ。
クリスティーヌに拒絶されたあと、絶叫する春野寿美礼の背中に、子役野々すみ花の背中と絶叫が重なって見える。
あんまりだ。
あんまりだよ。
可哀想すぎるよ。
愛しすぎるよ。
エリックがかなしくて、泣けて仕方がない。
オペラ座の「怪人」であった宙組版とちがい、花組のエリックは「周囲の理解のなさゆえに怪人にまつりあげられた無邪気な少年」であり、性格付けも設定もいろいろちがっている。
実在の存在なのかあやしい従者(設定はどうあれ、舞台上で彼らについての説明はない)を従え、自分のテリトリーを犯す者は容赦なく殺す宙エリック。殺人は彼にとって大した禁忌ではなく、まためずらしいことでもないんだろう。
明確な「ゆがみ」と「狂気」を持ちつつも、少年の夢見がちさと潔癖さを持つ、あやうい魅力。圧倒的な美貌(スタイル)と熱のある激しい性格。……うおー、ダイスキだたかこエリック。
……とはまったくチガウ、花組版。町で拾った浮浪者(この台詞、やめようよ……)を養い、ひょうひょうと、いたずらを繰り返して生きる花エリック。キャリエールのことを父だとわかったうえで、愛されている確信のうえでわがままを言う、甘えっこ。
オサエリックは殺人はしない。そんなことをしなくても、周囲の人は勝手に彼を「怪人」だと、「仮面の悪魔」だと決めつける。
彼がその手を汚すのは、愛する少女の復讐のため。子どもらしい激しさでカルロッタを殺す、あれが最初で最後の殺人なら、「怪人」ゆえではないよね。「人間」ゆえだよね。浅慮で愚かだけど。それすら、人間らしいだろう。警官相手のときも、殺意はなさそーだもんな。天井を狙って撃ったりな。恋敵フィリップには多少含むところがあるよーだが(笑)。
花『ファントム』が大好きだし、なによりオサエリックがかわいくて仕方がないのだけど、まったく萌えない(笑)。
カップリングしようがないからなぁ。
宙『ファントム』ではキャリエール×エリックでも、キャリエール×フィリップでも盛り上がれたんだけど、花では無理。
理由はわかる。
1.エリックが、純真無垢なガキ。(あたしゃ、ショタの気はまったくありません)
2.エリックが、クリスティーヌにベタ惚れ。(オサちゃん、鼻の下のびすぎ!ってゆーか、ええっと。若い嫁にめろめろになっているのがわかりやすくて、かわいくてたまりません……うおーっ、オサ様好きだぁぁあ)
3.キャリエール、いい人過ぎ。(歪んでないのよこの人。ふつーに善人でハートフル)
4.フィリップ、若造で初恋ムードぶっちぎり。(がんばれおぼっちゃま)
これだけ重なると、腐女子妄想もできませんて。ちぇっ(笑)。
nanaタンと言ってたんだけど。
「宙キャリエールの過ちは、女の子騙して妊娠させて、生まれた子どもをオペラ座の地下に閉じこめて育てたことだけど、花キャリエールの過ちは、エリックを溺愛してわがまま放題に育てちゃったことだよね」
宙キャリは鬼畜。花キャリは親バカ。
……あー、あー、あー……。
「エリックでもファントムでもない、アレは、『春野寿美礼』というイキモノ」
……そう言って、愛でてきた花『ファントム』とオサエリック。
ゆみこに愛されてるのはデフォルトで、そのうえであやねにデレデレかよ、ったくよぉ。……と、オサファン的見地からも、実にたのしい。
愛さずにはいらない、かわいいエリック。わがままで気まぐれな猫。フーフー毛を逆立てて威嚇したり、あわれな声で鳴いてみせたり。そのくせ要所要所で諦観に微笑み、見ている者のハートを鷲掴みにする(笑)。
大好き。
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