仕事しようよ。@フェット・アンペリアル
2006年6月10日 タカラヅカ 『フェット・アンペリアル』のいちばんの失敗って、わたし的に主人公がかっこわるいことだと思う。
わたしはヘタレ男が大好物だが、それとはまた別の話。
ウィリアムのキャラ造形、失敗してると思うんだけどなあ。
しいちゃんが演じることでハートフルになってるから、セーフだけど、文字だけで彼の言動を追ったらひでーことになってると思うんだけどなあ。
しいちゃんじゃなかったらわたし、この男逆ツボ直撃で嫌悪まで行っていたかもしれない。
わたしはどうにも、「仕事のできない人間」が好きじゃないんだ。
人間には能力差も向き不向きもある。だからなにをもって「仕事ができる・できない」を決めるかというと、難しいんだが。
純粋に能力だけでなく、仕事に取り組む態度だとか努力だとか、メンタル面も含めて「仕事ができない人間」が逆ツボ。
人並み以下の能力しか持たなくても、明るくはきはき働いて、場のムードをよくしている人とか、努力している人とかはいい。
無能なくせに努力もせず、不満ばかりを口にし、チームの足を引っ張る。他人の仕事の邪魔をする。義務はなにひとつ果たさないくせに、要求ばかりする。……そーゆーのが「仕事のできない人」で、わたしはどーにも好意を持てない。
ウィリアムとゆーキャラでいちばん引っかかったのは、オマエ、仕事しろよということだった(笑)。
まず、ウィリアムは自分の意志でスパイ稼業に脚を突っ込んだ。とても浅慮な理由で転属したようだから、「思ってたよーな仕事ぢゃない」と幻滅しても仕方ないっちゃー仕方ないが。
でもソレ、自分の責任じゃん。大人なんだから。
自分で選んだ仕事なのに、不満たらたら。大して使いモノにもならないし、あまつさえ命令無視の大暴走をやってのける。大事に至らなかったからよかったけど、個人の感情でプロジェクトをぶちこわすってなに。ありえない。
ウィリアムが無能なことしか描いてない脚本に疑問を持つ。
彼を浅慮で感情的な善人とするのはいい。だが、そーゆー人格面と仕事の能力は別。善人と有能、つーのはいくらでも並び立つ長所だ。
この芝居で描かれたウィリアムときたら、文字の上だけで判断すると、マイナス面ばかりだ。
・ダンスが下手、女の子に叱られ、ぶすったれる。
・女を口説くはずが、手玉に取られる。
・振られ男の演技をするが、大根。
・仕事への不満たらたら。
・命令無視、暴走。
これらのエピソードが愉快だったり、キャストがかわいかったりするのとは、別問題だからね。
ウィリアムというキャラクタを造形するために、これらのエピソードが必要だというのもいい。実際、しいちゃんが演じる以上、ハートフルでかわいいのだから。
だがそれなら何故、ウィリアムが有能な軍人であり、頼もしい男であるエピソードを入れないのか。
ダンスだの恋愛ゲームだのといったちゃらけた部分は苦手、よりによってその苦手分野の職に就いてしまった、本来は有能な軍人なんだ、ということにしてくれよ。中佐という階級は金で買ったわけぢゃないんだろう?
今のままじゃ、なんにもできないくせに文句ばっか言って仕事の邪魔をするうざい男だよ。
1幕で唯一、ウィリアムが「軍人」として「男」としてかっこいいシーンがある。
敵に銃を突きつけられてもおびえもせずに対峙し、余裕で会話する。……これって、わかりやすくかっこいいシーンだよね? ウィリアムとは本来こーゆー男なんだよね? ふつーに軍人やっているときは、銃や脅しに屈することなく堂々としているかっこいー人なんだよね?
ここしか、ウィリアムが有能であることを表すシーンがないのに……このシーンも、失敗してるし。
なんで、ウィリアムに銃を突きつけるのがふた回りも小さな、子どものような女の子なの?
本来なら、かっこいいシーンのはずなのに。
相手が華奢な女の子だってことで、台無し。
そりゃあ、あんな見るからに弱そうな女の子に銃を突きつけられたからって、脅威にはならんわな。ウィリアムが堂々としていたって、「そんなの、あたりまえじゃん」になってしまって、ちっともかっこよくない。むしろ、あんな弱そうな女の子に暴力を振るう男、みたいに見えてしまう。
どうしてここ、こんなことにしてしまったの?
同じように女を使っての謀略合戦、英国はウィリアムたち男も投入しているのに、某北の大国は女の子だけなの? なんで、女ふたりでウィリアムを脅しに現れなきゃなんないんだ。英国と同じように武装した男たちがわらわらと現れたっていいじゃないか。女はその後ろで冷たく構えていればいい。
武装した男たちを前に臆さず対峙し、勝ってしまうほどの冷静さと強さ。……これまで、エンマだのミス・ハワードだの、女たち相手にたじたじになっていた情けないウィリアムが?! と瞠目させるほどのインパクトで。
ウィリアムがちゃんと仕事もしている、できる人だと見せてくれたうえでなら、それを自分で覆すような行動を取ってもいいさ。
きちんと自分の義務を果たしてきた人間だからこそ、「嫌だ!」という理由でエンマをさらって逃げることの大きさが際立つ。
なにもできない仕事の足をひっぱるだけのお荷物男がさらに任務を投げ出してエンマと逃げたって、弱いじゃん。もともとバカだから、さらにバカなことをした。って、それだけになっちゃうじゃん。
あくまでも、脚本上の話ね。
実際の舞台では、役者の演技が加わるからチガウよ? しいちゃんウィリアムは納得のできる心のつながりで暴走してくれたよ。
でもさあ。
ほんとに、しいちゃんじゃなかったらコレ、どーなってたんだ、と思うよ。持ち味が無神経系の人がウィリアムをやっていたら、ほんとに目障りなバカになったろうなと。
今回、大野せんせの悪いところが出たなーと思ったのは、主人公の描き方。大野せんせの作品っていつも主人公はなにもしないんだけど、それをさらに楽な方に逃げた結果かなと。
そのキャラクタがどんな人であり、どんなバックボーンを持ち、どんなふうに動いて物語に絡み、動かしていくかではなく、「このエピソードがあれば、このキャラがかわいいよね」とか「この台詞言わせたらおもしろいよね」という、「キャラいじり」に重点が置かれ過ぎていたこと。
えーと、そーゆーのは同人誌がやることで、本編がやることじゃないよ?的っていうか。番外編でやるならいいけど、本筋薄くしてまでソレやらなきゃいけないの?的っていうか。
物語を動かす計算部分ってさ、書くの大変だし、難しいし、キャラのかわいいシーンを書くのはたのしくて簡単だけど。
大野せんせには、簡単な方に逃げて欲しくなかった。
2幕のウィリアムがダブルスパイを突き止めるくだりも、見事に手抜きされちゃってさ。
スパイものなのに、肝心のスパイものの醍醐味であるだろう場面がダンスで誤魔化されちゃうってなんなの。ウィリアムのかっこいいシーンのはずなのになあ……。
重ねて言うが、キャラがいいだけに、基本部分での失敗っつーか「手抜き?(首傾げ)」的なところが、くやしいの。
もっとちゃんと作り込んで欲しかった。
役者の持ち味に頼るのではなく、きちんと主人公をいい男にして欲しかった。
エンマとの出会いと別れを通してウィリアムが成長し、それ以後は仕事もできるようになりました、ということだから、作品中でどれほどバカでもいいの、とは思わないわ。最低限の社会常識を持った人間でいて欲しいから。そのうえで、悩みもし、傷付きもし、感情にまかせて走り出して欲しいの。
空気読めないバカだから平気でバカなことをする、では意味がない。
あくまでも、私感だけどなー。「仕事のできない人」好きじゃない、つーのは。
とゆー、わたしの逆ツボ直撃キャラでありながら、それでも魅力的に演じてくれたしいちゃんに喝采。
わたしはヘタレ男が大好物だが、それとはまた別の話。
ウィリアムのキャラ造形、失敗してると思うんだけどなあ。
しいちゃんが演じることでハートフルになってるから、セーフだけど、文字だけで彼の言動を追ったらひでーことになってると思うんだけどなあ。
しいちゃんじゃなかったらわたし、この男逆ツボ直撃で嫌悪まで行っていたかもしれない。
わたしはどうにも、「仕事のできない人間」が好きじゃないんだ。
人間には能力差も向き不向きもある。だからなにをもって「仕事ができる・できない」を決めるかというと、難しいんだが。
純粋に能力だけでなく、仕事に取り組む態度だとか努力だとか、メンタル面も含めて「仕事ができない人間」が逆ツボ。
人並み以下の能力しか持たなくても、明るくはきはき働いて、場のムードをよくしている人とか、努力している人とかはいい。
無能なくせに努力もせず、不満ばかりを口にし、チームの足を引っ張る。他人の仕事の邪魔をする。義務はなにひとつ果たさないくせに、要求ばかりする。……そーゆーのが「仕事のできない人」で、わたしはどーにも好意を持てない。
ウィリアムとゆーキャラでいちばん引っかかったのは、オマエ、仕事しろよということだった(笑)。
まず、ウィリアムは自分の意志でスパイ稼業に脚を突っ込んだ。とても浅慮な理由で転属したようだから、「思ってたよーな仕事ぢゃない」と幻滅しても仕方ないっちゃー仕方ないが。
でもソレ、自分の責任じゃん。大人なんだから。
自分で選んだ仕事なのに、不満たらたら。大して使いモノにもならないし、あまつさえ命令無視の大暴走をやってのける。大事に至らなかったからよかったけど、個人の感情でプロジェクトをぶちこわすってなに。ありえない。
ウィリアムが無能なことしか描いてない脚本に疑問を持つ。
彼を浅慮で感情的な善人とするのはいい。だが、そーゆー人格面と仕事の能力は別。善人と有能、つーのはいくらでも並び立つ長所だ。
この芝居で描かれたウィリアムときたら、文字の上だけで判断すると、マイナス面ばかりだ。
・ダンスが下手、女の子に叱られ、ぶすったれる。
・女を口説くはずが、手玉に取られる。
・振られ男の演技をするが、大根。
・仕事への不満たらたら。
・命令無視、暴走。
これらのエピソードが愉快だったり、キャストがかわいかったりするのとは、別問題だからね。
ウィリアムというキャラクタを造形するために、これらのエピソードが必要だというのもいい。実際、しいちゃんが演じる以上、ハートフルでかわいいのだから。
だがそれなら何故、ウィリアムが有能な軍人であり、頼もしい男であるエピソードを入れないのか。
ダンスだの恋愛ゲームだのといったちゃらけた部分は苦手、よりによってその苦手分野の職に就いてしまった、本来は有能な軍人なんだ、ということにしてくれよ。中佐という階級は金で買ったわけぢゃないんだろう?
今のままじゃ、なんにもできないくせに文句ばっか言って仕事の邪魔をするうざい男だよ。
1幕で唯一、ウィリアムが「軍人」として「男」としてかっこいいシーンがある。
敵に銃を突きつけられてもおびえもせずに対峙し、余裕で会話する。……これって、わかりやすくかっこいいシーンだよね? ウィリアムとは本来こーゆー男なんだよね? ふつーに軍人やっているときは、銃や脅しに屈することなく堂々としているかっこいー人なんだよね?
ここしか、ウィリアムが有能であることを表すシーンがないのに……このシーンも、失敗してるし。
なんで、ウィリアムに銃を突きつけるのがふた回りも小さな、子どものような女の子なの?
本来なら、かっこいいシーンのはずなのに。
相手が華奢な女の子だってことで、台無し。
そりゃあ、あんな見るからに弱そうな女の子に銃を突きつけられたからって、脅威にはならんわな。ウィリアムが堂々としていたって、「そんなの、あたりまえじゃん」になってしまって、ちっともかっこよくない。むしろ、あんな弱そうな女の子に暴力を振るう男、みたいに見えてしまう。
どうしてここ、こんなことにしてしまったの?
同じように女を使っての謀略合戦、英国はウィリアムたち男も投入しているのに、某北の大国は女の子だけなの? なんで、女ふたりでウィリアムを脅しに現れなきゃなんないんだ。英国と同じように武装した男たちがわらわらと現れたっていいじゃないか。女はその後ろで冷たく構えていればいい。
武装した男たちを前に臆さず対峙し、勝ってしまうほどの冷静さと強さ。……これまで、エンマだのミス・ハワードだの、女たち相手にたじたじになっていた情けないウィリアムが?! と瞠目させるほどのインパクトで。
ウィリアムがちゃんと仕事もしている、できる人だと見せてくれたうえでなら、それを自分で覆すような行動を取ってもいいさ。
きちんと自分の義務を果たしてきた人間だからこそ、「嫌だ!」という理由でエンマをさらって逃げることの大きさが際立つ。
なにもできない仕事の足をひっぱるだけのお荷物男がさらに任務を投げ出してエンマと逃げたって、弱いじゃん。もともとバカだから、さらにバカなことをした。って、それだけになっちゃうじゃん。
あくまでも、脚本上の話ね。
実際の舞台では、役者の演技が加わるからチガウよ? しいちゃんウィリアムは納得のできる心のつながりで暴走してくれたよ。
でもさあ。
ほんとに、しいちゃんじゃなかったらコレ、どーなってたんだ、と思うよ。持ち味が無神経系の人がウィリアムをやっていたら、ほんとに目障りなバカになったろうなと。
今回、大野せんせの悪いところが出たなーと思ったのは、主人公の描き方。大野せんせの作品っていつも主人公はなにもしないんだけど、それをさらに楽な方に逃げた結果かなと。
そのキャラクタがどんな人であり、どんなバックボーンを持ち、どんなふうに動いて物語に絡み、動かしていくかではなく、「このエピソードがあれば、このキャラがかわいいよね」とか「この台詞言わせたらおもしろいよね」という、「キャラいじり」に重点が置かれ過ぎていたこと。
えーと、そーゆーのは同人誌がやることで、本編がやることじゃないよ?的っていうか。番外編でやるならいいけど、本筋薄くしてまでソレやらなきゃいけないの?的っていうか。
物語を動かす計算部分ってさ、書くの大変だし、難しいし、キャラのかわいいシーンを書くのはたのしくて簡単だけど。
大野せんせには、簡単な方に逃げて欲しくなかった。
2幕のウィリアムがダブルスパイを突き止めるくだりも、見事に手抜きされちゃってさ。
スパイものなのに、肝心のスパイものの醍醐味であるだろう場面がダンスで誤魔化されちゃうってなんなの。ウィリアムのかっこいいシーンのはずなのになあ……。
重ねて言うが、キャラがいいだけに、基本部分での失敗っつーか「手抜き?(首傾げ)」的なところが、くやしいの。
もっとちゃんと作り込んで欲しかった。
役者の持ち味に頼るのではなく、きちんと主人公をいい男にして欲しかった。
エンマとの出会いと別れを通してウィリアムが成長し、それ以後は仕事もできるようになりました、ということだから、作品中でどれほどバカでもいいの、とは思わないわ。最低限の社会常識を持った人間でいて欲しいから。そのうえで、悩みもし、傷付きもし、感情にまかせて走り出して欲しいの。
空気読めないバカだから平気でバカなことをする、では意味がない。
あくまでも、私感だけどなー。「仕事のできない人」好きじゃない、つーのは。
とゆー、わたしの逆ツボ直撃キャラでありながら、それでも魅力的に演じてくれたしいちゃんに喝采。
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