『コパカバーナ』はとびきりたのしかった。
 翻訳に難アリでも、キャラものとしてたのしめる。

 この公演でいちばん愉快だったのは、トウコのエロオヤジっぷりだ。

 えーと、トウコちゃん。
 あなた前回の星組公演では、オスカル様だったんですよね? あのいじらしくも魅力的な女の子、だったわけですよね?

 1幕のトウコの出番はオープニングの「スティーヴン@妄想中」のラテンシーン以来ほとんどなく、後半になってからよーやく登場するんだけど。

 登場シーンから、アゴが落ちた。

 ヒゲ?!

 初日ですから。誰も、トウコがこんな役作りで来るとは思ってません。ざわつく客席。
 そのざわめきは、トウコ的にツボったんでしょう。なんか彼、すっげー機嫌いいんですけどっ?(笑)

 たのしそうでした、トウコちゃん。
 日記書くのずーっと放置していたんで、すでに別の日にも『コパ』観に行ったんだけど、初日の方がトウコちゃんノリノリだった。すっげーたのしそうだった(笑)。

 安禄山再びっ。

 「へっへっへっ」と二枚目タカラヅカスターにあるまじき笑いをあげていた、あのすけべ中年男と同じですよ。
 安禄山よりダンディに決めてますが、スケベ度は同じ、ノリノリなのも同じ。安禄山は楊貴妃を襲う1シーンしか活き活きおやぢしてなかったけど、リコは全編活き活きしまくってますから!

 トウコちゃん……あなたって人は……。

 あまりにたのしそーなスケベオヤジっぷりに涙。大好きだ。

 やりすぎ。やりすぎだから!!

 
 でもって「やりすぎ」といえば。

 わたしはもともとあすかちゃん大好きなんだが、トウコ×あすかとくると、すごいね。
 なんなのあの濃さ。

 『コパカバーナ』はコメディで罪なく嘘臭く(笑)大げさに話が進む。コメディにはコメディのルールがあり、ストーリー展開もオチもそれを逸脱してはならない。
 リコもコンチータも、正しくコメディキャラとして作られている。トウコのオヤジっぷりは嘘臭いほどの大袈裟さに満ち、コンチータもまたみょーにべたべたした喋り方をする。カテゴライズされたキャラたち。

 なのに。
 ああ、なのに。

 クライマックス、トウコ×あすかのふたりがぶっちぎりでシリアス芝居をはじめる!!

 キミらソレ、変だから! 浮いてるから!
 そこで悲劇的に盛り上がっちゃイカンから! お笑いキャラなのに!!

 あーもー、大好きだ。

 他の全部ぶっとばして主役になってしまうリコとコンチータ。
 アツい、クドい、ネバい(笑)。
 ああ、いいなあ。
 トウコとあすかってほんと、芝居合うわー。このふたりでとことんアツくてクドくてネバネバした、ドシリアス悲劇恋愛モノとか観たい。

 リコとコンチータがあまりに悲劇ぶっちぎりだから、最後のオチの部分が活きる。

 スティーヴン@わたるの生きる世界と、彼の創造に過ぎなかった『コパカバーナ』の世界が重なる瞬間。

 車椅子に乗ったリコが、かわいすぎるっ!!

 なんなの、あの得意そうな顔! どこのいたずら坊主よ?
 そしてそれを受け止め慈しむ、幸福そうなコンチータの余裕ある笑顔。

 『コパ』のリコとコンチータの最期が悲劇的だっただけに、あたりまえにしあわせそうにしている現代のリコとコンチータの姿が、泣けて仕方がない。
 ちくしょー、このオチを知っていて、わざと泣かせの演技してやがるんだなっ、きたないぞっ。……と、理不尽なことを言いたくなるよーな鮮やかな転身。

 ストーリーの芯になる部分が好みで、キャラがハマッていて好みだったりすると、他のことに多少難があってもぜんぜん関係ないんだな、という見本のような作品だ。月組の『暁のローマ』と同じハートか(笑)。

 リコとコンチータが好きで好きでしょーがない。泣けて泣けてしょーがない。
 現代パートでは「笑わせる」ための演技をしているし、トウコちゃんなんかアドリブ満載で遊びまくっているのに。
 そんな姿に泣ける。笑いながら、だーだー泣いている。

 
 だから、とびきりハッピーな気分になれる。
「いいもん観たっ」とご機嫌になれる。

 大好き。
 だから、大好きな人たちがしあわせそうに笑うこの作品が好き。


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