かしちゃん、組替えしちゃやだあぁぁ〜〜っ!!

 と、幕開きからスイッチオン、いきなり泣けたんですが。

 なんかもー、今さら感漂う、雪組『ベルサイユのばら−オスカル編−』、千秋楽の話。

 前々から言っているように、わたしはコム姫とかしげの並びを「正しくない」と思っていた。
 持ち味的に、致命的に合っていない。
 互いの長所を打ち消す、最悪な並びだと。

 「少しも早く」このトップと2番手の配置をなんとかするべきだ。
 トップが組の顔であり、変更できないのなら、2番手を動かすべきだ。
 コムちゃんがトップになってしまった以上、かしげが組替えされるのは仕方ないと思っていた。それがお互いのためであり、また、組のためだとも思っていた。

 わたしは長々と雪組ファンをやっており、かしちゃんのことはかれこれ10年見守っている。
 かしちゃんに出て行って欲しいわけじゃない。
 ただ、コムちゃんとでは、かしちゃんの魅力が活かせないのなら、コムちゃんの魅力をも相殺してしまうのなら、組替えは仕方ないと納得していただけのことだ。

 水くんが組替えでやってくるとわかったときに、とてもよろこんだ。水くんなら、コム姫との相性がいい。互いの長所を高め合うことのできるコンビだ。

 ずっとかしちゃんの組替えをのぞんできたし、水くんがやってくることで、組替えの予告をされようなものだと、覚悟もしていた。
 わかっていたんだ。この日が来ることは。

 なのに。

 コム姫お披露目公演からずっと、「かっしー組替え」を唱え続けていた、このあたしが。

 それなのに。

 かしちゃんに、どこにも行って欲しくない。

 ここにいて。
 このまま、雪組にいてよお。出ていっちゃ、いやだよお。

 ……と、詮無きことを思っては、びーびー泣きました。

 
 「組」ってのは、「組子」ってのは、そーゆーもんなんだよなあ。
 合っていよーがいまいが、やっぱり、コムちゃんの隣に、かっしーにいてほしかったんだよ。

 わたしの愛した雪組に、かっしーにそのまま、いてほしかったんだよ。

 
 とまあ、組替え関連の話は置くとして。

 
 楽まで取っておきました、かしげアンドレ。
 うまいことなんかわかってる、きれいなことだってわかっている。
 ジェローデルがあれだけきれいで、貴族然としているんだ。アンドレも、きれいすぎて品があって、平民に見えなかったりするんだろーな。

 そう勝手に思ってはいた。ええ、思ってました。が。

 プロローグでせり上がってきた白軍服+白マントのカシドレを見て。

 どこの王子様ですか、あーた。

 本気で、アンドレに見えなかった。美しすぎて。

 かしちゃん……ほんとに、美貌の人やな……その美貌がまったく活かされないままここまで来ちゃったのに、こんなとこでまたその王子様力を発揮してからに……。

 と、彼の無駄なまでも美貌に大ウケしました。や、その、「組替えしちゃやだ」とスイッチ入って泣きながらも。

 とまあ、プロローグはそうだったのよ。
 問題は、そのあとだ。
 ストーリーに入ってから。

 
 正直、おどろいた。
 かしちゃんならきっとこんなふう、と、勝手に思っていたモノがあったから。

 男臭いアンドレがいた。

 あ、あれ?
 かしちゃんなのに?

 白くて薄い(や、髪の毛のことぢゃなくて!)きれーなだけのいい人俳優・貴城けいだろ?
 なにやっても「いい人」、なにやっても「アタマ悪そう」、なにやっても「きれいだけど、それだけ」の貴城けいさんでしょう?!
 アンドレやったって、きれーでひとのいい「幼なじみ」を「薄く」演じるんじゃなかったの? お人形みたいな美貌に、あったかい笑顔浮かべて。

 なんか、男らしいんですけど?

 ちょっとした表情のひとつひとつ、言葉の端々。
 どっちかっつーと、荒い。粗い、ぢゃないわよ、荒い、よ。

 平民で、馬丁やってるの、わかるわ……。
 おぼっちゃまにはない、野生を感じる。

 荒いモノを持つ男だからこそ、やさしく在れる、みたいな。

 ちょ……ど、どうしよう。

 カシドレが、かっこいいです。ドキドキドキ。

 なにしろ、アンドレは所詮アンドレなので。とくに、今回の『ベルばら』は「ペガちゃん登場、ロザリーの夜這い付き」という、お笑い巨編だ。アンドレにときめくことなんて、前提からありえなかった。
 役者の持ち味をたのしむのみの、イベントとしてしか、考えてなかったんだ。

 なのになのに、カシドレったら、マジでかっこいいです。どーしよー!!
 ワイルドなアンドレ! きゃーっ!

 アンドレなのに、かっしーなのに、ときめいちゃってるわよーっ。(かしファンを名乗りながら、その失礼な言いぐさはなんですか)

 あーもー、かっしーって油断しているとこに「来る」んだよなあ。いつもいつも。
 無防備なとこにガツンとくるから、堪えるのなんのって。
 

 でも実際、組替え栄転が決まってから、かっしーは変わったと思う。
 ジェローデル役ででも、短いフィナーレででも。
 今までにない「力」を感じる。

 かしちゃんは、真ん中にいてこそ輝ける人だと思う。
 彼の持つ、一般的な感覚ど真ん中の美しさや、白さや薄さは、「主人公」にこそ求められるモノだ。
 これは、持って生まれるモノだ。後天的にどうこうできるモノぢゃない。
 色の濃い役や悪役は、誰がやってもある程度格好良く見せることができる。オイシイ役と呼ばれる由縁だ。
 かしちゃんは、そーゆー「誰がやっても魅力的に見える役」をやって魅力が最大級に出る人じゃない。
 白い、薄い、「真ん中」の役をやってこそ、正しく能力を発揮できる人。
 「真ん中」にいないときは、その白さと薄さゆえに目立たないけれど。濃い持ち味の人が演じる濃い役や悪役ほどの強い光も発することはできないけれど。
 「真ん中」に行けば、輝ける人だよ。
 わたしはそう信じている。

 雪組にいる今はまだ「真ん中」ではないけれど。
 その自覚を持って立っているのが、わかるから。

 輝きだした。

 アンドレは「白い役」だもんなあ。辛抱役で、とらえどころのない、まさに「主役」的な役。
 なるほど、この役を魅力的に見せることが、トップスターの条件のひとつだよなあ。

 
 ああ……かしちゃん、好きだー。かっこいーよー。

 
 フィナーレで、かし水がそろって踊るシーンがある。ほんと一瞬だけど。
 これが見たかったんだと、心から思ったよ。
 水くんが来て、いずれかしちゃんは組替えで去るだろう。ならばせめて、ふたりが共に舞台に立つ短い間に、このふたりががっちり組んだシーンが見たかった。

 ものすげー贅沢じゃん? かっしーと水だよ? これほどの男役をふたり並べて使えるんだよ?

 だからこそ、このふたりが並び立った貴重な公演が『霧のミラノ』と『ワンダーランド』と『ベルサイユのばら』いう大駄作揃いなのが、くやしい。くやしいくやしいくやしい〜〜っ!!
 かし水の無駄遣いばっかしやがって! どこが座付きだ、役者をまともに使うこともできないくせに〜〜っ。

 行かないでかしちゃん。
 まだ、済んでないよ。せっかくの、コムかし水の夢の並び、ちっとも堪能してないってば。
 まともな作品で、まともにお芝居している姿が見たいよ。そーよ、『銀の狼』やってよ、『銀の狼』。ショーは『ドリーム・キングダム』で! 水がトドのポジに入って。
 再演モノでいいから! まともなモノで、納得させて。
 かしちゃんが、行ってしまうことを。

 
 しょぼん。
 と、肩を落としながら。

 かしちゃんの新しい組での人生に、幸多きことをこころから祈る。

 や、まだ東宝あるけどさ。(チケットないけど、とりあえず行くつもりではいる)


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