月組ワークショップ『Young Bloods!!-sparkling MOON-』、おぼえている限り、キャストの感想を書いておこう。

 作品自体は、とってもサムかった。
 1幕目は現代物のミュージカル『ハーフムーン狂想曲』。

 タカラヅカは「現代」を表現するのにいちばんそぐわない劇団だ。「男役」という存在がすでに現実ではありえないのだから、無理に「現代」を舞台にする必要がどこにあるのか。
 たんに、藤井くんが大好きなJ-POPを使いたかっただけなんじゃないの? と、勘ぐってしまう。

 ふつーの大学生RYU@まさきは、恋人のREMI@れみと他愛ないことでケンカをしてしまう。そんな彼らが迷い込んだのは、ゲームの世界。ミスタープレイ@白鳥かすが、ミスメリイ@みっぽーが人間をコマにして遊んでいるらしい。
 そこでRYUたちは、さまざまな「いい男」「いい女」に出会いながら、本当の恋人を探すことになるが……。

 話はもちろん、「青い鳥は家にいました」ね。いろんな人に出会うけれど、結局いちばん素敵なのは元々の恋人、という。

 これがもー、すばらしく寒い!
 なんつーんですか、この感覚。「ナウい」とか、そーゆー感じ? 「昭和」時代の「青春モノ」?
 とても現代とは思えない遅れまくった感覚でありながら、さも「イケてる」顔して作られているのが、恥ずかしいやらかなしいやら。
 これでストーリーなり場面なりがよければまだ救いもあるが。
 藤井くんってほんと、ストーリーは作れないんだね……。整合性とか起承転結とか辻褄とか、一度でいいからまともな作品が見てみたい……。

 そんなとんでもない駄作を。
 実力も経験値もない若者たちが、体当たりで演じていました。

 たぶんこの脚本とセンスじゃ、演技巧者なトップスターが演じたって、寒かったと思うよ……。そりゃ舞台のクオリティは上がったろうけど、誰が演じても痛々しかったろう。そんな作品。

 だもんで、いっそなにもできない若者たちがやっている方が、作品の粗だかキャストの力不足だか、こんがらがってわからなくなっているのでまだよかったのかもしれない。

 ただ、「お勉強」としてのネタの料理の仕方はうまいと思う。
 「いい女」「いい男」を探すゲームなので、名もなき若手くんたちがそれぞれ必死になって「いい女」「いい男」を演じている。
 あるときはセクシーな美女、あるときはホスト、てなふーに、これでもかっ、な典型キャラを演じるのは勉強になったろう。
 若手くんたちはそーゆー「型」のお勉強、真咲やれみちゃんは「主役」として物語を動かしていくお勉強。

 実際、真咲もれみちゃんも「主役」としてなんの遜色もない。ふつーに主役だ。うまい。
 ふたりともスタイルよくてきれいで、目にもたのしい。
 ただしRYU真咲、そのジャケットはなんとかしてくれ。君の責任じゃないことはわかっているが、いくらなんでも「現代」で「ふつーの大学生」でソレはありえねーよ……。

 まだ研7のみっぽーちゃんが「大人の女」として違和感がないこともすごい。へんだなあ、小柄なかわいこちゃんなのになあ。ついこの間まで、少女役とかふつーにやっていたはずなのになあ。
 研5のひまりちゃん、こちらもふつーにうまい。丸くて表情があざやかで、アニメちっくなキャラクタが似合う。

 女の子はいいんだ。
 娘役は、男役よりずっと早く成長するものだから。研4ぐらいで完成しても不思議はない。

 男役は大変だ。
 研5の白鳥かすがくん、研4の光月るうくん……が、がんばれー。
 白鳥くんは芝居では「大人の男」だし、光月くんは「狂言回し」だ。どっちも基本値が低いときつい。
 それでも彼らはまだ、「男役」の型ができている方。そのうえで「ワンランクアップ」した役だったので、大変そうだった。

 次に役らしい役があったのは、理想の女@萌花ゆりあと、理想の男@流輝一斗。

 萌花ゆりあちゃんは研5ですか、なるほどきれーな子だぁ。スタイルが整っていて、ドレス姿がきれい。しかもなんか、えっちなカラダ……(笑)。

 いちばんガタイがよく、スーツ姿がかっこいい流輝一斗くん、研3……。しかも中卒ってことは、まだハタチっすか……。
 流輝くんは1幕のホストスーツのラインがみょーにきれいだった(笑)。みょーに、というのは、他になにができているわけでもないのに、それだけがとても目立ったから。
 お顔がまだぷくぷくしていて、役とガタイとのギャップが大きかったのもまた目立った要因かしら(笑)。

 ところで、謎の女装演歌歌手@貴千碧くん……千秋楽ではアドリブとばしてました。内輪受けらしくて、よくわかんないネタだったけど。真咲のものまね?
 わたし、この子おぼえてるわ。去年の文化祭で、いちばん濃かった子だ……。
 そう、去年。つまりまだ研1。それで、舞台の上でアドリブでものまねやりますか。大物だわー。

 作品があまりにアレだったので、わたしは余計に真咲に感謝した。
 ありがとうありがとう龍真咲。もしコレで君が学年通り、新公での役付通りのなにもできないルーキーくんだったら、どれほどおそろしい空間と時間になっていただろう。
 真咲が「ワタシ、ふつーにスターですが、なにか?」てな人だったから、まだ耐えられたんだよ。
 新公主役5回くらい経験しているよーな貫禄で演じてくれたから、なんとかカタチになったんだ。

 ああ、よかった……。

 
 長くなるので、いったん切る。


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