雪組新人公演『ベルサイユのばら−オスカル編−』を観て思った。
 主役がオスカルなのはわかる。だが、準主役って?
 アンドレが準主役なのも、たしかだとは思う。だが、新公の扱いから客観的に考えて、アンドレひとりが準主役だとは思えない。

 アンドレとアラン、W2番手だよね?

 新人公演限定の話ね。

 第1幕において、アンドレは「いらない」存在として位置づけられている。プロローグに出たっきり、2幕になるまで出てこない。
 第1幕の「出来事」は、「オスカル隊長が衛兵隊を掌握する」と「ロザリー嫁に行く」だけ。このふたつの出来事は独立しており、より時間を掛けて描かれているのが「衛兵隊」の方だ。そして「衛兵隊」の中心となるのがアラン。
 1幕の「2番手」はまちがいなくアランだ。

 2幕になって、よーやくアンドレが登場する。オスカルがひとりでがんばって掌握した衛兵隊で、なんにもしなかったアンドレがえらそーに踊っている(笑)。
 そんななにもしないでオイシイとこ取りしている男が、「オスカルが俺のモノにならないなら、殺してやる」と決意するものすごい展開。
 ことの是非はともかく、第2幕ではアンドレが2番手。いきなり彼の露出が増えているから。

 1幕と2幕で、2番手役がチガウのね。
 それはそれで面白い試みだ。

 アンドレは名場面のある「名の通った」役だからちゃんとオイシイし、アランは「破綻していない」キャラだからやりがいがある。どちらも、オスカルを愛する男たち。
 いいバランスだと思うよ。

 
 最初に演目が発表になったとき、本公演には絶望したけれど、新人公演にだけは期待した。

「新公オスカルとアンドレって、かなめとオヅキだよね?」

 かなめ&オヅキで「今宵一夜」、見たい〜見たい〜見たい〜(笑)。

 と、仲間内で盛り上がっていた。

 でも実際にキャスティングが発表されると、かなめくんはアンドレで。オヅキはアランで。ちと拍子抜けした。

 つってもすぐに納得したけれど。
 最近のかなめくんを見ていて。

 この子に、オスカルやらせちゃダメだ。

 せっかくの恵まれた資質が、このままでは無駄になる。
 ただのなよっとしたきれいな男役、として小さくまとまってしまう。
 今、女役なんかやっている場合ではない。内股で歩いたりシナを作って坐ったりする「植爺オスカル」なんかやらせちゃいけない。
 かなめくんは、「男らしさ」の勉強をしなければ。
 包容力とか、たくましさとか。強引さとか、荒々しさとか。

 新公を見終わったあと、いろんな人から聞かれたんですが。
「で、かなめくんは壮化してた?」
 ……みんなの関心事はソレなの? かなめくんが、どんどん壮くんに似てくる件について。薄く、軽くなってくる件について。

 これ以上壮化しないためにも、かなめくんには今、がんばって欲しいのよ〜〜。

 だから、彼がオスカル役でなかったことには、納得した。純粋にオヅキ×かなめのラヴシーンが見たかったので、それだけは残念だったが。

 実際のところ、凰稀かなめという人は、すばらしい素質を持っていると思う。
 2幕部分である衛兵隊訓練シーンに、いきなり彼が混ざっていた……そのときの、あでやかさときたら。
 息をのんだ。
 他が全部セピア色なのに、彼ひとり原色だよ。彼ひとりが、色を持っているよ。
 美しい。
 華やか。
 美はすべてを凌駕する。
 アンドレっつーのはどーしよーもない破綻男なんだが、そんなことは誤魔化されてしまう。
 この美しい人を眺めていられるだけで、いい。そう思えてしまう。

 すげえよ凰稀かなめ。
 こんなに、美しいなんて。

 軍服が似合う。マントが似合う。
 真ん中に立つことが、あたりまえに見える。
 美しいってすごいや。

 ……実力はどうなんですかね。わたしにはわかりません。美貌ですべて帳消しになってしまうんで、判断できないんですよ(類似・星組名物綺華れい)。
 ただ、友人たちからの質問、「かなめくんは壮化してた?」に対しての返答なら出来ます。

 YES。まだまだ、壮くんです。

 壮くんだってさ、組替えしてきた当初は、そりゃー輝いていたんだよ。『Over The Moon』のときとかさ、群舞の中にいる壮くんを見て、その華やかさに息をのんだものさ。
 今はすっかり雪に馴染んで、地味になってるけどさ……ゲフンゲフン。ヘタレ好きのわたしとしては、きらきら華やかだったころの壮くんより、自爆気味の今の方が愛しいんだが……ゲフンゲフン。

 壮くんは壮くんひとりでいいので、かなめくんは独自の魅力を開花させて欲しい。
 これほどの美しさを持っているのだから。
 ここに「大きさ」が加われば、無敵だと思うよ、ほんと。

 
 主役であるところのオスカル@コマちゃんに関しては、語る言葉をわたしは持たない。
 あんまし見てないんだ〜〜。よそ見ばっかししてたからさ〜〜。
 本役のコム姫よりは正しいオスカルだったんじゃないかな。温度があったからさ。ふつーに。
 ただビジュアルのキツさは今後の課題なんだろうな。スポーツ報知3/2の巨大新公舞台写真、マジで「あー、ベルナールとロザリーのシーンかぁ」と思ったもの。次の瞬間、「新公にハマコ出てないよ? てことはコレ、オスカル?!」とおどろいたさ……。
 本公演の方がコマちゃんオトコマエだから、オスカルのカツラや衣装が似合ってなかったんだね。

 ロザリー@かおりは、うまかった。外見の健康的さは相変わらずだけど、的確に「可憐な少女」を演じている。安定している、てのは強みだよなあ。
 演出のせいもあるし、オスカルに温度があったせいもあるだろうけど、ロザリーというキャラが人格崩壊まではしてなかった。本公演の方はえらいことになってるのに、新公ではそれほど変じゃない。
 「若さ」と「温度」で、多少妙なところも押し通せてしまうってことか。

 そーいやジャルジェ将軍とその奥方が、お人形のような美形カップルで、ツボったなあ(笑)。
 そらくんとリサちゃんかよ。美男美女がこんな役なんだー。ほんとに役ないよなあ、『ベルばら』。

 美形といえば、さすが新公、衛兵隊の美形度がすげー下がっていた(笑)。うわー、丸い〜〜。みんなむちむちしてる〜(笑)。
 今回研7生たちはもう出演してないんだもんねえ。そのぶん下級生たちががんばっているわけで……うわー。
 そんななか、メルキオール@せしるの美貌だけが、浮き上がっていた。
 冗談みたいに美しいねえ、せしる……。あの小さな後ろアタマとか、完璧だよねえ。これで美貌に釣り合う実力があれば言うことないのに……いやその、がんばってましたとも。ええ。

 この公演から娘役に転向した純矢ちとせちゃんは、おねーさまズのひとり。台詞はひとつかふたつあったかな程度。
 本公演でもドレス着て踊ってるけど、ほんとに違和感ない。ふつーにきれいな娘役さんだ。目でかいー。カエル顔がとなみちゃん系? 台詞なくてもアツく小芝居していたので、お芝居好きな娘役さんとしてがんばってほしい。

 
 客席には、本役さんたちがずらり着席。
 わたしは相変わらず、まちかさんを見ていました(笑)。横顔きれいだよね、とか、他の人に言って同意を得られなかったりな(笑)。もうこうして、現役ジェンヌのまちかさんを客席で見かけられるのは、最後なのか……そう思うとしょぼんな気持ち。
 わたしの席からいちばん近いのが壮くんで、いちばん見やすいのがまちかで、やっぱり水くんは遠くてろくに眺めることも出来なかった……そんな客席ウォッチング。


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