第92期音楽学校文化祭の日は、彼らの初舞台公演チケットの発売日で、その前日には芸名と口上日程が発表されていた。……からといって、なんの意味もない。
 文化祭は芸名ではなく本名で出演するからだ。誰が誰だかわかりゃしねえ。わたしは彼女たちの個人情報なんぞに興味はなく、「舞台人」としてしか考える気がないので、「本名なんぞ知らなくていいから、芸名を教えてくれ」と思う。
 そして、本名でしかない女の子たちだと、こーゆーところで感想を書きにくい。毎年、名前を出さないようにしか感想を書いてないしな。本名の、「ふつーの女の子」たちの名前を列記するのは、「タカラヅカ」という「夢の世界」にそぐわない気がしてなー。
 つーことで今回もまた、名前は出さずにてきとーな感想いってみよー。

 
 このブログをはじめたばかりのころ、わたしは一度だけ「すみれ売り」を見学に行った。ちょーど無職になったところでヒマだったんだ。こんなにヒマなのは今だけだろうから、この際イベントごとはなんでも参加しちゃえ、という気分で。(まさかそれからずっとそのヒマ状態が続くとも思わずにな……)
 そーやって音校生時代からなんとなく見ていると愛着も湧くが、いきなり文化祭だけを見ても、ぴんと来ない。わたしのよーな一般人は、文化祭をリピートできるわけでもないし。1回限りの観劇じゃ、個人識別なんて難しい。
 いきなり文化祭だけを観に行った去年と一昨年は、とくに誰かが鮮明に印象に残り続ける、ということはなかったよ。

 されど今年は、劇団で音校生参加のイベントがあった。
 『花の道』なんちゃらかんちゃらというヤツ。イベント自体は「客をナメてんのか?」とゆーよーなひどいものだったが、部分的にはたのしめた。
 それに、音校生たちも参加していたんだな。

 『花の道』と言えば、サトリちゃんだ。
 わたしとサトリちゃんはふたりして「麻実れい様すてき〜〜!!」と意気投合、みょーに盛り上がっていた。

 そのサトリちゃんが言うんだ。
「大劇場公演観劇の日が、たまたま『すみれ売り』の日だったんですよ。そのときに、いいな、と思う子がいて……」
 ええ? どれどれ、どの子?
 『花の道』イベントでは、小林大先生様の指揮で歌うために、気の毒な音校生たちが狭い大階段にみっちり整列させられている。
 サトリちゃんが言うところの「あの子」は、わたしにはよくわからなかった。該当の場所にいる子を見ても、立見位置からじゃ遠すぎてよくわかんない。

 だもんで、そのとき見た顔も聞いた名前も、わたしはきれーに忘却した。

 
 そして、文化祭を観て。その日のうちに、仲間内前提の某所で感想を書き散らした。そっちでは、音校生たちの実名出して。

 そのあとで会ったサトリちゃんに言われたんだ。

「ねー? **さん、よかったでしょー?!!」

 そうか、**さん。
 『花の道』のときサトリちゃんが言っていた子だ!
 あのときは、ぜんぜんなんとも思わなかった。遠目で見ても、それほどきれいとか好みとか思わなかったし。
 名前も聞いていたのに、そんなのすっかり忘れていたよ。

 サトリちゃんオススメの子だってわかっていたら、もっとちゃんと、最初から注目していただろう。のーみそのシワの少ないわたしは、友人の言葉なんかきれーに忘れて観劇したんだ。

 最初から気になっていたわけじゃない。ネット全盛期のこの世の中だ、音校入学前の芸歴が取り沙汰されていたりするんで、開演前にプログラムを見て「ああ、あの芸歴をとやかく言われている子が、この子か」ぐらいの認識。
 実際に幕が上がってしまえば、そんなことはどーでもよくなる。てゆーか、忘れる、わたしのアタマぢゃ(笑)。

 そうやって、なんにも先入観の残っていないまま、観て。

 顔でなく「舞台人」としていちばん印象に残ったのが、そのサトリちゃんオススメの子だった。

 まず目につくのが、「笑顔」。
 ただ笑っているだけでなく、「わかった」笑顔なの。
 素顔はともかく、化粧顔はべつに美形ではない。線目。輪郭もあか抜けていない。
 だがこの線目男、アピールしまくるのだ。目を線にして笑いまくるのだ。
 客席にいて、確実に「目線」が来るの。「アナタを見ていますよ」てな笑顔が来るのよ。
 わたしは水くん似の某さんを眺めていたかったのに、気がつくとこの線目くんをガン見している。だってだって、向こうがわたしを見ているんだもん! わたしに微笑みかけてくるんだもん! おばさん、視線はずせなくなっちゃったよぉー!
 ……カンチガイでもなんでも、「釣られる」のはたのしいですよほんと。

 第1部はこの線目くんに持って行かれました。
 ポピュラー・ヴォーカルでちらりとソロがあったんだが、声がいちばん好みだった。他のお上手な人たちよりも、いちばん好きな声だったのよ。びっくりした。

 お芝居がどうなのか、台詞の声がどうなのかを知りたかったけれど、残念ながらこの線目くんは、わたしの観た回の芝居担当組ではありませんでした。あーあ。

 第3部のダンスでは、それほど見せ場はなかったかな。他の子に目移りしている間に終わってしまったよーな(笑)。

 第1部の「ヴォーカル」が、「舞台人」スキルをいちばん発揮できる演目だと思う。
 第2部の芝居や第3部のダンスは、純粋な「技術」の方に重点が置かれている気がして。まず下手っぴじゃ話にならんだろー、というか。とくにダンスなんか、個人技ではなく団体技であるせいもあるかな。スターひとりが踊ってあとはバックダンサー、とかではないからさ。抜け駆けナシ、調和が第一というか。
 でも第1部はソロやデュエットが基本、少人数で舞台に立つ。たったひとりで空間を埋めなければならなかったりするから。
 歌の技術はともかく(それほどものすげー差が出るもんでもない。下手な子はソロもらえてないし)、「自己アピールの仕方」には顕著に差が出る。
 所作や姿勢、「舞台」との関わり方に、本人の意識が出るのな。

 それでいちばん目がいったのが、サトリちゃんオススメの線目くんだったのだわ。
 あくまでも、わたしにはね。

 あとで調べたところ、この線目くんの初舞台口上初日は、4月4日11時です。……観に行けるかなあ?

 他の感想は、翌日欄に。


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