あのころは、ケロがいた。@湖月わたる退団発表。
2006年2月13日 タカラヅカ 現在プレイ中の『SIREN2』のヅカキャスティングを書きながら、2年ちょい前に発売された『SIREN』のことを、なつかしく思い出していた。
2003年11月。
『王家に捧ぐ歌』の成功も華々しく、新生星組に、そしてそこにいるケロに、無限の可能性を信じていたころ。誰かが欠けるなんてこと考えもせず、「次の作品はどんなだろ」「どんな役が似合うだろう」と夢ばかり見ていた。
そのころのケロ友といえばチェリさんだけだったので、ふたりで「ケロにこんな役をやってほしい」とか「こんな衣装を着て、こんなシチュエーションで出てほしい」とか、よく話していたよ。
そんなころだから当然、『SIREN』のキャスティングを妄想するのだって、星組でさ。ワタさんと檀ちゃんを中心にさ。
ダークヒーロー宮田がワタさん。闇の聖女・八尾さんが檀ちゃん。多感な高校生主人公・恭也がトウコで、盲目のヒロイン(会話は命令形)の美耶子がウメちゃん、てなふーに。
ケロはニヒル(笑)な大学教授・竹内だったなー。
『SIREN』がヅカで上演されるはずもないが、キャラをあてはめてはたのしんでいた。
『SIREN』を夢中でプレイしていたころ。
あのころはまだ、ケロがいた。
星組は代替わりしたばかりで、ワタさんも檀ちゃんもケロもしいちゃんも、組替えしてきたばかりで。
みんなでがっしり肩を組んで、雄叫びあげながら前進しているような。
そーゆー暑苦しくも頼もしい、「フロンティア」なパワーがあって。
好きだったよ。
あの昂揚感。
はじまりの力。
なにかのはずみで自分の昔の日記を目にして、妄想配役にケロの名前があると、せつない。
あのころは、現在進行形で夢を見ていられたんだ。
ありえないことはわかっているけど、勝手にキャスティングをしてはひとりでたのしめた。
ワタさんがいて、檀ちゃんがいて、トウコちゃんがいて、ケロがいて、しいちゃんがいて、まとぶがいて、すずみんが、れおんが、かのちかが、恵斗くんが、せんどーさんが、ウメが。
無邪気に、夢を見ていた。
「今」のまま。
『SIREN2』が発売になった。
待ちに待った続編。
やっぱり、ヅカでキャスティングを考える。
……そして、思い出す。『SIREN』のキャスティングを、2003年の星組で、わくわく考えていたこと。
あのころが、もう、存在しないこと。
時は流れるのだということ。
祭りはいつか終わるのだということ。
終わり、そしてはじまり、永遠に永遠に、回り続けるのだということ。
あのころは、ケロがいた。
そしてわたしは、幸福だった。
今が不幸なわけではなくて、ただ、あのころはあのころのしあわせがあった。光があった。
そしてそこには、絶対に、ワタルくんがいた。
わたしはとくにワタさんファンではなかったと思うけれど、それを超えて、彼は不動の存在だった。
太陽ってのは、そういうもんだろう。
そこにあるのが前提だから、ふだんは顧みもしない。わたしは影を好み、あの人の影やこの人の影、自分の影を追いかけて、終わらない影踏み遊びをしている。
光があるから。太陽があるから。
だからわたしは安心して、太陽に背を向けて影を追って遊んだ。
太陽がなくなったら、もう影踏みできないね。
「もういいよ」を言ってもらえなくて、いつまでも数を数えつつけている鬼になったような気分だ。
あのころは、ケロがいた。
でも、「あのころ」が過ぎてしまってなお、太陽はわたしをしあわせにしてくれていたんだね。ずっと。あたりまえに。
だから今、こんなに寂しい。
覚悟はしていたつもりだったので、存外の喪失感におどろいている。
2006年2月13日。湖月わたる、退団発表。
……ごめん、ちょっと泣いた。
きっと、これからもっと泣く。
2003年11月。
『王家に捧ぐ歌』の成功も華々しく、新生星組に、そしてそこにいるケロに、無限の可能性を信じていたころ。誰かが欠けるなんてこと考えもせず、「次の作品はどんなだろ」「どんな役が似合うだろう」と夢ばかり見ていた。
そのころのケロ友といえばチェリさんだけだったので、ふたりで「ケロにこんな役をやってほしい」とか「こんな衣装を着て、こんなシチュエーションで出てほしい」とか、よく話していたよ。
そんなころだから当然、『SIREN』のキャスティングを妄想するのだって、星組でさ。ワタさんと檀ちゃんを中心にさ。
ダークヒーロー宮田がワタさん。闇の聖女・八尾さんが檀ちゃん。多感な高校生主人公・恭也がトウコで、盲目のヒロイン(会話は命令形)の美耶子がウメちゃん、てなふーに。
ケロはニヒル(笑)な大学教授・竹内だったなー。
『SIREN』がヅカで上演されるはずもないが、キャラをあてはめてはたのしんでいた。
『SIREN』を夢中でプレイしていたころ。
あのころはまだ、ケロがいた。
星組は代替わりしたばかりで、ワタさんも檀ちゃんもケロもしいちゃんも、組替えしてきたばかりで。
みんなでがっしり肩を組んで、雄叫びあげながら前進しているような。
そーゆー暑苦しくも頼もしい、「フロンティア」なパワーがあって。
好きだったよ。
あの昂揚感。
はじまりの力。
なにかのはずみで自分の昔の日記を目にして、妄想配役にケロの名前があると、せつない。
あのころは、現在進行形で夢を見ていられたんだ。
ありえないことはわかっているけど、勝手にキャスティングをしてはひとりでたのしめた。
ワタさんがいて、檀ちゃんがいて、トウコちゃんがいて、ケロがいて、しいちゃんがいて、まとぶがいて、すずみんが、れおんが、かのちかが、恵斗くんが、せんどーさんが、ウメが。
無邪気に、夢を見ていた。
「今」のまま。
『SIREN2』が発売になった。
待ちに待った続編。
やっぱり、ヅカでキャスティングを考える。
……そして、思い出す。『SIREN』のキャスティングを、2003年の星組で、わくわく考えていたこと。
あのころが、もう、存在しないこと。
時は流れるのだということ。
祭りはいつか終わるのだということ。
終わり、そしてはじまり、永遠に永遠に、回り続けるのだということ。
あのころは、ケロがいた。
そしてわたしは、幸福だった。
今が不幸なわけではなくて、ただ、あのころはあのころのしあわせがあった。光があった。
そしてそこには、絶対に、ワタルくんがいた。
わたしはとくにワタさんファンではなかったと思うけれど、それを超えて、彼は不動の存在だった。
太陽ってのは、そういうもんだろう。
そこにあるのが前提だから、ふだんは顧みもしない。わたしは影を好み、あの人の影やこの人の影、自分の影を追いかけて、終わらない影踏み遊びをしている。
光があるから。太陽があるから。
だからわたしは安心して、太陽に背を向けて影を追って遊んだ。
太陽がなくなったら、もう影踏みできないね。
「もういいよ」を言ってもらえなくて、いつまでも数を数えつつけている鬼になったような気分だ。
あのころは、ケロがいた。
でも、「あのころ」が過ぎてしまってなお、太陽はわたしをしあわせにしてくれていたんだね。ずっと。あたりまえに。
だから今、こんなに寂しい。
覚悟はしていたつもりだったので、存外の喪失感におどろいている。
2006年2月13日。湖月わたる、退団発表。
……ごめん、ちょっと泣いた。
きっと、これからもっと泣く。
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