目指せオスカル役替わりコンプリート……ってことで、予定外に腰を上げた。星組『ベルサイユのばら−フェルゼンとマリー・アントワネット編−』2回目。

 早めにムラに着いていたのに、チケットも買わず、ミスドでだらだらしていた。関東人のお友だち、kineさんとジュンタンがミスドにいたからだ。そう、kineさんてば、今年から関東人なのよー。わたしを残して、行ってしまったの……ほろほろ。(kineさんがいなくなっちゃって、さみしい緑野へのなぐさめの言葉、募集中・笑)
 他のみんなはチケ持ってて、持ってないのはわたしだけだったのに、つい、一緒になってそこで喋ってしまった。どうせ立ち見以外買う気がなかったので、まあいいか、と。

 作品が過去作品に比べてマシ(ひょっとしたら最高峰?)になっているとはいえ、所詮『ベルばら』だ。複数回の鑑賞に耐えうるよーなもんぢゃない。
 目当てはひたすら役替わり、オスカルのみ。

 ふたりめのオスカル役者は、雪組御曹司、かわいいおでこのかしちゃんだ!!
 

 えー、カシカルの感想。

 でかっ。

 長っ。

 デコっ。


 …………すみません。
 でかかったです、カシカル。トウドレと絡むともう。でけー女だなヲイ、って感じ。
 そして今まで特に感じたことがなかったんだけど、顔が長かったです。オサとか水にはいつも感じてたんだけど、かしちゃんに対してそんなことがここまで目に付くとは。
 男としてはふつーの長さでも、女としてはやっぱ、不自然に長いんでしょうな、彼の顔は。
 そいでもって、これはもう定番ですが。
 デコが広いっすね(笑)。

 カシカルは端正なイメージでした。
 教科書通りのような四角四面さ。
 雪組育ちの彼は、おそらく「植田歌舞伎」をそつなくこなす訓練ができているのでしょう。「ベルばら」であり「オスカル」であるという、たぶん500年前くらいからあった「型」を、空気のようにまとって演技しておりました。ん? 5000年前のまちがいだっけ? 植田芝居の古さって、それくらいだったよね?(笑顔)

 かっしーって、相当クラシカルな人なんだなー。

 組を出ると、その持ち味がよくわかる。
 以前星組に特出し、スーツ芝居をしたときは特にナニも感じなかった。かっしーいい人オーラ出まくりー。かっしー薄ーい(いや、髪の毛のことぢゃなくて!)。
 次に月組に特出し、日本物芝居に出たときに、その力が存分に発揮された。えええ、かっしーなのにかっこいい。かっしーなのにアタマよさそう。びっくり。
 そして今回、2度目の星組、ただし植田芝居。
 時代も空気も関係ない、5000年前から頑なに守られ続けたみょーちくりんな世界観と演技。独特の節回し、ありえない日本語。常識を捨て、「型」のみを追及させられる芝居。
 かっしーは、ふつうに、ハマッている。
 スーツ物だと薄いのになー……そうか、コスプレ歌舞伎ならついていけるのか。

 ついこの間の『DAYTIME HUSTLER』で、「現代」を無理に演じて自爆していたように、かしちゃんは「昭和」の似合う人だったのだわ……。あ、ごめん、もっと美しい言い回しがかっしーには相応しいわよね、「クラシカル」……そう、かっしーは「クラシカル」なのよ。

 時間の止まった感のある「タカラヅカ」という世界において、それはたしかに武器だと思う。
 現代的な人は『ベルサイユのばら』に合わないんだもの。
 かしちゃんは正しきタカラヅカのスターだわ。

 カシカルは正当ど真ん中の「正しい昭和時代のオスカル」だと思う。
 男尊女卑思想が自然に浸透している感じ。男の後ろを三歩下がって歩くような。女の子が一生懸命背伸びをして、男に張り合おうとして、でもぜんぜん足りていなくて、男たちが「くすっ」と笑っているような。
 植爺的には、とても「正しい」んだと思うよ。タカラヅカの『ベルばら』という作品に相応しいオスカルだ。

 だから。
 アンドレ@トウコの包容力が上がっている。

 カシカルが「強がっているけど、ほんとはぜんぜん強くなんかない女の子」であるだけに、そんな彼女の欠点や強がりを見越した上で見守っているトウドレがよりオトコマエになっていた。

 コムカルが「ひとりで生きていけますが、なにか?」てな男らしいオスカルだったからさー。
 トウドレの立場がなくて、印象が薄くて「アンドレの出番これだけ? ひどーい」とか思ったんだけど。
 カシカル相手だったら、ちゃんと存在意義が見えるし、印象も強いわ。

 やーん、トウドレかっこいー(笑)。
 うさんくさーい(誉め言葉)。
 でも小さーい(禁句?)。

 でかいけどヲトメなカシカルがなよっとしてみせるのを、小さなトウドレが「はっはっはっ」とドーンと受け止めているのが、バランス悪いけどバランスいい。(日本語変)
 

 さて、かしちゃんが植田歌舞伎をそつなくこなせる、という基本スキルを持ち得た上で。

 カシカルの本領発揮は、クライマックスのバスティーユだ。

 慟哭芝居、スイッチオン。

 かしちゃんは、おしゃれにナチュラルにかっこつけるのは苦手だけど、クラシカルに泥臭く地に足を着けて感情を発動させるのは得意なのね。

 アンドレを失い、私怨バリバリでバスティーユを攻撃するオスカル。
 その姿が。

 すっげー、かっこいい。

 こ、こんなにかっこよくていいの? かしげなのに?!(失礼)
 月組特出の鎌足を見たときと同じ狼狽。動揺。

 クラシカルに「型」芝居ができる、その上で爆発する暗い感情に、「美」を描ける人なんだわ。

 ……なんかほんとに、「雪組」だ。この人、正しく雪組御曹司だよ。雪組のDNAを持った人だ。
 地に足着けて泥臭くて。古典的に正しく「芝居」をする人。
 そりゃそーゆー芸風、人気はイマイチかもしんないけどさ、地味だしイマ風ぢゃないし。でもでも、好きな人は絶対好きだって!

 
 ラストのおたのしみ、「小雨降る径」では、他のなにより、かしちゃんの、あまりに潔すぎる髪型に度肝を抜かれて、よくおぼえていません。

 デコ全開。

 かっしー……。
 何故、セクシードレスの女役で、セクシーなデュエットダンスで、デコ全開
 一筋の乱れもないオールバックの、金髪ロングストレート。

 カオ、長い……。

 なにしろ人の数倍の面積を誇るデコを剥き出しにしているわけだから。その分カオの長さも伸びているわけで。
 すごい不自然な美女……。

 が、がんばれワタさん。君のオトコマエ度に、包容力にかかっているのだすべて。

 ラストシーンは、ドルチェ・ヴィータではありませんでした。かしちゃんはワタさんを振り返って「にやり」とはしなかった。
 ワタさんと同じくポーズを決めたまま、最後に笑って見せたけど。(ワタさんは無表情)
 でも、ドルチェ・ヴィータじゃない。あれは振付ではなく、コム姫オリジナルか。……溜息。


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