さてと。
 いいかげん、出演者の話でもするか。星組『ベルサイユのばら−フェルゼンとマリー・アントワネット編−』ね。

 とりあえずわたしは、オスカル役替わりコンプリートを目指しています。
 コムカルを見、かしカルを見、現在のとこきりカルまでは見ました。あと、水カルとゆひカルのチケットはすでに持っている。
 全部、立ち見とB席だけどな(笑)。
 『ベルばら』に金を使う気になれなくてなー。イベントとしていっちょかみしてるだけなので、A席以上の席種は、売っていても買う気になれなかった。
 (と言いつつ、雪組チケットはSとAしか買ってなかったりする……だって水×コムは前で見たいんだもん。オサ様もちゃんと見たいんだもん。水×コムは最前列GET済み・笑)
 

 最初に見たのは、華麗なる雪組トップスター、コム姫演じるオスカル。

 マンガ絵の中から登場した瞬間から、虜です、虜。

 美しい。

 わかっていたことだけど、なんなのこの美しさは。
 男装の麗人オスカル、という記号をこれ以上なく表す存在。
 フェルゼン@ワタさんとの映りもいい。

 うっをー、きっれーえやなああ。と、ぼーっと見ていたら。

 姿を裏切る、野太い男声。

 うっわー……なんつー男らしさ……(笑)。
 なんかさばさばと男らしいです、コムカル。必要以上に女女していない。
 やっぱアレだな。外見で勝っている自信があるから、必要以上に「女」を作らなくて良いんだな。
 さすがだコム姫。
 なんて男前なの。

 そしてコム姫のコム姫らしさ。ものすげー低温。

 クールなの。オスカルなのに(笑)。
 無機質で、硬質で。体温を持たない、美しい宝石。

 オスカルとしての型をなぞらえてはあるんだけど、ほんとにただなぞっているだけのようで。
 不思議な味のあるオスカルになってる。

 おかげで、アンドレが大変。

 コムカルってば男らしくてクールだから。
 アンドレ@トウコは手が出せない。
 ひとりでも立っていられるオトコマエに、手をさしのべても意味薄いもんなあ。

 全ツのとき、しいドレとよカルがラヴラヴいちゃいちゃの「こいつぅ」「いやぁん」「あはは」「うふふ」だった追いかけっこシーンが、温度低いです。そのうえ、乾燥してます。

 ふつーに男同士に見える……。えーと。
 しいドレととよカルも、『ベルばら』的にはまちがってたけど、アレはアレで愉快だったんだが。このトウドレとコムカルは、どう受け止めればいいのか。

 コムちゃんは中性的な持ち味を売りとするフェアリータイプの男役だ。
 小柄だし華奢だし、同じく小柄なトウコを相手役として、いちばん映りがいいのはコムちゃんだと勝手に思いこんでいた。
 ところが。
 実際見てみると、そんなことはない。

 コムカル、男前すぎ(笑)。

 アンタ、アンドレいなくても平気だろ(笑)、ってくらい、ふつーにかっこいいぞっ。
 外見はあんなに中性的に美しいのにな……声も性格も、超男前。

 トウドレはあまりに、分が悪すぎた。
 貫禄のあるコムカルに、振り回される印象が強い。
 実際、初見のときはアンドレの出番少なすぎ! トウコをもっと見せろ〜〜! と思ったもんだった。オスカルにまで大して必要とされていない役じゃ、そりゃ出番の印象薄いわ……。

 ふだんが乾いた冷たさに満ちているコムカルだから、自室の椅子に坐るときのカマっぽさが際立った。ふつーに男に見えていたのに、いきなりシナを作られてもなあ。引くよなあ(笑)。
 恋に目がくらんでいるトウドレは、引かなかったみたいだが。

 がんばれトウドレ! コムカルに負けるな!
 ……負けているまま、終わってしまったよーな気がする……。

 コム姫、おそるべし!!

 
 オスカルの出番は早々に終わってしまうが、最後にどかんと一発おたのしみがある。
 フェルゼンとオスカルのデュエットダンス「小雨降る径」だ。
 華やかなスパンコールつきの青い衣装で踊る、男と女。
 ワタさんは言うまでもなくかっこいい。余裕の包容力。
 対するコム姫は。

 ……美しい……。

 わたしが見たときは、ボリュームのあるブロンドにターバン姿だった。鎖骨丸見え、深いV字カットの胸元。太股までのスリットが入った大胆なドレス。
 ドレスをひるがえし、美女は長い脚をさらして踊る。
 その生命力。
 野生。

 獣がいる。
 本能のままに獲物に襲いかかる獣。おそろしいからこそ、美しい獣。
 しなやかに、大胆に。
 己れの意志以外のなにものも認めず、受け入れず。

 ダンスの最後、野生の美女は、獲物である男を手に入れた。
 男に後ろから抱きつきながら、すがりつきながら、勝利者は女なのだ。
 陶然と虚空を見つめる男と、同じ方向を向きながら。
 中央のセリが沈んでいくその最後の瞬間に、女は男の方を向き、ニヤリと笑う。
 魔の美貌で。

 ドルチェ・ヴィータだ。

 ワタさんを海の底に引きずり込んだ美しい女の姿の、魔物。
 黒いドレス、紅いくちびるの、温度を持たない美女。
 ドルチェ・ヴィータがいる……!!

 うろたえた。
 思いもしないところで、思いもしないものを見せられて。

 どきどきどきどき。
 あれは、ドルチェ・ヴィータだよ、どうしよう!
 わたしの愛した魔女が、あんなところにいるよう。

 
 『ベルばら』に絶望していたわたしが、「オスカル、フルコンプするか」と覚悟を決める最後の決め手となったのは、まちがいなくこのコム姫ゆえだ。
 ワタルくんとのこのデュエットダンスが、そりゃーもー、よかったのだ。
 このシーンだけで、『ベルばら』を観る価値があるってなもんで。

 他のオスカル役者の、「小雨降る」を見たい。
 誰もがドルチェ・ヴィータなのか? それともあれは、コム姫だけなのか? それをたしかめずには、いられない。

 kineさんと一緒に観る約束だったコムカル、nanakoさん、Be-Puちゃんと一緒に観る約束の水カル、千秋楽のゆひカル。わたしが前もって持っていたチケットはこの3枚だけだった。
 それを、「あと2回、たとえひとりででもムラまで行って、かしカルときりカルを観ることにするか」と思わせてくれたのは、コム姫ゆえだよ。
 ……まあ、所詮『ベルばら』なんで、1回ずつしか観る気にはなれないにしろ。

 コム姫万歳。


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