あたたかさを求めていたから。@花組千秋楽。
2005年12月14日 タカラヅカ 花組千秋楽の話、その2。
いろいろと、びびった千秋楽だった。
わたしの知っている「千秋楽」とちがうことがたくさんあったんだ。
本公演まではふつうだった。
サヨナラショーも、まだふつーだったとは思う。……たぶん。
ふーちゃんのワンマンショーではなく、路線男役取っかえ引っかえのバラエティショーだったので、みんな男たちを見るのに必死って感じで。(男たちが出ると、周囲のオペラグラスが一斉にあがる。ふーちゃんひとりになると、一斉に下がる。その繰り返し)
空気に冷たいモノが混ざりだしたのが、サヨナラショー終盤。
ふーちゃん以外の退団者たちの見せ場がほとんどない、とわかったあたりから、チリッとしたものが感じられた。
それでもまだ、他の退団者に対してはあたたかい空気があった。
いちばん盛り上がったのが、七星きらちゃんあたり。周囲のすすり泣きも絶好調。次の歌花さんもそのまま盛り上がり……。
退団者の最後のひとりになって、空気はすっと冷めた。
この温度差。
潮が引くように、というのか。
正直、びびった。
相当びびった。
わたしだって、ふーちゃんが得意なわけじゃない。ひさしぶりに遭遇した苦手ジェンヌだ。
でも、苦手云々よりも、わたしは「タカラヅカ」が好き。家族みたいにあたたかく見守る世界観が好き。
内輪受けでも学芸会でもかまわない。舞台上とひとつになって卒業を見送る雰囲気が好き。
だからいつも、それまで存在や名前さえ知らなかった下級生の挨拶とかにも、ボロボロ泣くことができるんだよ。彼らの新しい人生に幸あれと心から祈ることができるんだよ。
相手が誰であれ、卒業の雰囲気に酔って泣きながら見送る気満々で千秋楽に参加している人間だから。
空気がすっと冷めていったことに、心底びびった。
予想だにしない現実だった。
なにがあろうと、あたたかい気持ちで見送るのがヅカの「卒業」じゃなかったの?
そりゃ、人間だから内心いろいろあるときだって、あるかもしれないけどさ。
雰囲気にびっくりして、わたしはすっげーおどおどしてふーちゃんを見送りました。
や、わたしがおどつく必要はどこにもないんだが。
この冷めた空気の中で、彼女がなにを言うのか。なにをするのか。
いらぬ心配をしました。
実際彼女は、いろいろつっこまれそうな言動をしたし。この空気の中で、わざわざソレを言うか! と、他人事ながらびくびくしたよ。
が。
ふーちゃんを見ていて、杞憂だとゆー気になった。
客席がしんと引いているのに、それでもふーちゃんはものすっげーマイペースだった。
天然な笑顔で、爛漫な物言いをしていた。
なるほどなあ。こーゆー人なんだ。
わたしは彼女のことはよく知らないし、そもそもあまりちゃんと見たことがない(すまん)のでなにもわからないんだけど、彼女のこの空気を読まないマイペースさをよしとするかそうでないかで、評価が分かれるんだろうな。
ふーちゃんは、きれいな笑顔で挨拶をした。
退団者がまとう澄み切ったオーラを発散して。
客席の温度も劇場の空気も関係もなく。
わたしがびびっておどつく必要は、どこにもない。ふーちゃんはそんなの、ぜんぜん気にしてない。
わたしは所詮オサファンなので、彼がふーちゃんに冷たい態度を取ることで、彼の男としての度量のなさが露呈することの方がつらかったのよ。だから、オサ様がふーちゃんにどういう態度を取るかどんな目で見ているか、そっちの方がいつも気になるわけで。ふーちゃん本人を見ている余裕なんかなかったもんよ。
千秋楽もまた、真ん中で笑っているふーちゃんがきれいな退団者オーラを放っていることだけ確かめたら、あとはオサ様見るのに必死だったよ。(いやその、まっつのことも見てますが)
オサ様は、とてもご機嫌さんで。
今までになくふーちゃんを見つめ、ニコニコしていて。
ほっとした。
ほっとした、けど……劇場の空気は、低いままだった。
拍手に包まれて、幕が下りる。
もちろん客電は点かない。拍手も鳴りやむことなく、すぐにもう一度幕が上がる。お約束のうちだな、1回目のカーテンコール。
あれ?
1回目のカテコなのに、舞台上にはふーちゃんひとりしかいなかった。
ふつー1回目のカテコは全員そのままいるよねえ? 退団者だけになるのは、何回目かのカテコででしょ?
ふーちゃんが袖を振り返り、他の退団者たちを呼び、退団者たちだけで一礼。そこで幕。
もちろん客電は点かないし、拍手もやまない。つっても、なんとも熱のない拍手だったけど。
幕はすぐに上がった。
今度は出演者全員が舞台上にそろっていた。
一礼して幕。
どの場合も中心はふーちゃん。
退団するトップ娘役らしく。
しかし。
この、たった2回のカテコで、拍手はぴたりと鎮火したんだ。
えええ??!
わたしは、心底おどろいて、きょろきょろしちゃったよ。
千秋楽だよ?
ただの千秋楽でももっと何度もカテコはあるもんだし、退団者がいようものなら、拍手の熱が高まりスタオベになり、もっともっととカテコをねだるものなんじゃないの??
あのお約束気分でしかないテンションの低い拍手と、お約束のうちのカテコだけで、終わり?
そんなバカな。
ありえない。
客電が点き、寿美礼ちゃんのアナウンスも流れた。みんな立ち上がり、帰り出す。
わたしは、隣のnanakoさんやハイディさんと共に、場の空気に乗り切れず「?」をとばしていた。
なんでみんな、とまどわないの? 変じゃないの、コレ?
わたしの知っている千秋楽とあまりにちがい、びびりまくった。
えーとえーと、前回の『マラケシュ』ムラ楽は、こんなじゃなかったよねえ? あのときはこんなこと、なにも感じなかったよ? 「知ってるのとチガウ!」なんて、カケラも思わなかった。
気持ちよく泣いた。あたたかい気持ちいっぱいで、見送った。
生の舞台は、こんなにこわいんだ。
観客の温度がダイレクトに伝わるんだ。
だからこそ、舞台は魅力のある場所なんだろう。
そこで生きることを許された舞台人たちは、特別の存在なのだろう。
サヨナラパレードは、パスした。
ごめん、とても見送れない。
退団者のみなさんが、幸福でありますようにと、遠く祈るのみ。
いろいろと、びびった千秋楽だった。
わたしの知っている「千秋楽」とちがうことがたくさんあったんだ。
本公演まではふつうだった。
サヨナラショーも、まだふつーだったとは思う。……たぶん。
ふーちゃんのワンマンショーではなく、路線男役取っかえ引っかえのバラエティショーだったので、みんな男たちを見るのに必死って感じで。(男たちが出ると、周囲のオペラグラスが一斉にあがる。ふーちゃんひとりになると、一斉に下がる。その繰り返し)
空気に冷たいモノが混ざりだしたのが、サヨナラショー終盤。
ふーちゃん以外の退団者たちの見せ場がほとんどない、とわかったあたりから、チリッとしたものが感じられた。
それでもまだ、他の退団者に対してはあたたかい空気があった。
いちばん盛り上がったのが、七星きらちゃんあたり。周囲のすすり泣きも絶好調。次の歌花さんもそのまま盛り上がり……。
退団者の最後のひとりになって、空気はすっと冷めた。
この温度差。
潮が引くように、というのか。
正直、びびった。
相当びびった。
わたしだって、ふーちゃんが得意なわけじゃない。ひさしぶりに遭遇した苦手ジェンヌだ。
でも、苦手云々よりも、わたしは「タカラヅカ」が好き。家族みたいにあたたかく見守る世界観が好き。
内輪受けでも学芸会でもかまわない。舞台上とひとつになって卒業を見送る雰囲気が好き。
だからいつも、それまで存在や名前さえ知らなかった下級生の挨拶とかにも、ボロボロ泣くことができるんだよ。彼らの新しい人生に幸あれと心から祈ることができるんだよ。
相手が誰であれ、卒業の雰囲気に酔って泣きながら見送る気満々で千秋楽に参加している人間だから。
空気がすっと冷めていったことに、心底びびった。
予想だにしない現実だった。
なにがあろうと、あたたかい気持ちで見送るのがヅカの「卒業」じゃなかったの?
そりゃ、人間だから内心いろいろあるときだって、あるかもしれないけどさ。
雰囲気にびっくりして、わたしはすっげーおどおどしてふーちゃんを見送りました。
や、わたしがおどつく必要はどこにもないんだが。
この冷めた空気の中で、彼女がなにを言うのか。なにをするのか。
いらぬ心配をしました。
実際彼女は、いろいろつっこまれそうな言動をしたし。この空気の中で、わざわざソレを言うか! と、他人事ながらびくびくしたよ。
が。
ふーちゃんを見ていて、杞憂だとゆー気になった。
客席がしんと引いているのに、それでもふーちゃんはものすっげーマイペースだった。
天然な笑顔で、爛漫な物言いをしていた。
なるほどなあ。こーゆー人なんだ。
わたしは彼女のことはよく知らないし、そもそもあまりちゃんと見たことがない(すまん)のでなにもわからないんだけど、彼女のこの空気を読まないマイペースさをよしとするかそうでないかで、評価が分かれるんだろうな。
ふーちゃんは、きれいな笑顔で挨拶をした。
退団者がまとう澄み切ったオーラを発散して。
客席の温度も劇場の空気も関係もなく。
わたしがびびっておどつく必要は、どこにもない。ふーちゃんはそんなの、ぜんぜん気にしてない。
わたしは所詮オサファンなので、彼がふーちゃんに冷たい態度を取ることで、彼の男としての度量のなさが露呈することの方がつらかったのよ。だから、オサ様がふーちゃんにどういう態度を取るかどんな目で見ているか、そっちの方がいつも気になるわけで。ふーちゃん本人を見ている余裕なんかなかったもんよ。
千秋楽もまた、真ん中で笑っているふーちゃんがきれいな退団者オーラを放っていることだけ確かめたら、あとはオサ様見るのに必死だったよ。(いやその、まっつのことも見てますが)
オサ様は、とてもご機嫌さんで。
今までになくふーちゃんを見つめ、ニコニコしていて。
ほっとした。
ほっとした、けど……劇場の空気は、低いままだった。
拍手に包まれて、幕が下りる。
もちろん客電は点かない。拍手も鳴りやむことなく、すぐにもう一度幕が上がる。お約束のうちだな、1回目のカーテンコール。
あれ?
1回目のカテコなのに、舞台上にはふーちゃんひとりしかいなかった。
ふつー1回目のカテコは全員そのままいるよねえ? 退団者だけになるのは、何回目かのカテコででしょ?
ふーちゃんが袖を振り返り、他の退団者たちを呼び、退団者たちだけで一礼。そこで幕。
もちろん客電は点かないし、拍手もやまない。つっても、なんとも熱のない拍手だったけど。
幕はすぐに上がった。
今度は出演者全員が舞台上にそろっていた。
一礼して幕。
どの場合も中心はふーちゃん。
退団するトップ娘役らしく。
しかし。
この、たった2回のカテコで、拍手はぴたりと鎮火したんだ。
えええ??!
わたしは、心底おどろいて、きょろきょろしちゃったよ。
千秋楽だよ?
ただの千秋楽でももっと何度もカテコはあるもんだし、退団者がいようものなら、拍手の熱が高まりスタオベになり、もっともっととカテコをねだるものなんじゃないの??
あのお約束気分でしかないテンションの低い拍手と、お約束のうちのカテコだけで、終わり?
そんなバカな。
ありえない。
客電が点き、寿美礼ちゃんのアナウンスも流れた。みんな立ち上がり、帰り出す。
わたしは、隣のnanakoさんやハイディさんと共に、場の空気に乗り切れず「?」をとばしていた。
なんでみんな、とまどわないの? 変じゃないの、コレ?
わたしの知っている千秋楽とあまりにちがい、びびりまくった。
えーとえーと、前回の『マラケシュ』ムラ楽は、こんなじゃなかったよねえ? あのときはこんなこと、なにも感じなかったよ? 「知ってるのとチガウ!」なんて、カケラも思わなかった。
気持ちよく泣いた。あたたかい気持ちいっぱいで、見送った。
生の舞台は、こんなにこわいんだ。
観客の温度がダイレクトに伝わるんだ。
だからこそ、舞台は魅力のある場所なんだろう。
そこで生きることを許された舞台人たちは、特別の存在なのだろう。
サヨナラパレードは、パスした。
ごめん、とても見送れない。
退団者のみなさんが、幸福でありますようにと、遠く祈るのみ。
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