「設定」と「現実」。@DAYTIME HUSTLER
2005年11月20日 タカラヅカ わたしがとまどっているのは、主人公ローレンスというキャラクタ。
雪バウ『DAYTIME HUSTLER』の話。
相変わらず予備知識ナシで観劇した。
知っているのはポスターのみ。
『DAYTIME HUSTLER』のポスターは、そりゃーもー美しかった。美貌の無駄遣いばっかしているかっしーを、これでもかっと美しく撮ってくれていた。
ものごっつー美しいかっしーと、花と銃。そして『DAYTIME HUSTLER〜愛を売る男〜』という、思わせぶりなタイトル。作者が小池修一郎だから、多大な期待はしないとしても、わくわくするよーなポスターだ。
あー、小池氏のオリジナル作品には懐疑的です、わたし。
近年アタマを抱えるよーな駄作ばかり見せられているので、「イケコ、終わったな」とか「オリジナルはやらなくていいから」とか思っておりましたとも。オサコンはただの奇跡かと(笑)。
それでも植爺だの太田だの石田だのより100万倍すばらしいクリエイターであることもたしかなので、「オリジナルは恥ずかしいモノの確率が高いけど、演出力はあるからそっちに期待」していた。
そして、チケ難(なんで? かっしーなのに?!)のなか、がんばってサバキGETし、客席に潜り込んだ1回目の観劇。
前もって手に入れていたチケットは1枚。それも、知人の厚意で譲ってもらったもののみ。自力では全滅してたのよねえ。そのたった1回の観劇日を待ってなんかいられなかった。少しでも早く観たかったのよ。これでもかしちゃんファンですから。ものすごーくツボったらヘビロテするかもしんないじゃん。少しでも早く、この目で確かめて、今後の予定を立てなきゃ! 後ろでも隅でも、とにかくまず観るの!!
そーしてわたしは、どーにものれないままに、客席をあとにした。
席が悪すぎたのかな。いちばん後ろのいちばん端っこで観たりしたから、感情移入しにくかったのかな。
次に超良席で観るから、そのときに期待だ!
…………そしてわたしは、いろいろ考えた。
壮くんトニーについても考えたし、いづるんシルヴィアについても考えた。
かっしーローリーについても、考えた。
ローリーが、わからない……。
わたしは脚本から受ける「設定」と、実際に舞台を観た上で感じる「現実」とのギャップに、とまどった。
脚本と舞台、別物過ぎ……?
「元不良」「悲しい生い立ち」「淫らな女関係」「詩人」「自堕落」「慟哭」「絶望」……脚本から見える「設定」のパーツ。
だけど、舞台を観れば。
「善人」「のんき」「陽気」「人気者」「大人はわかってくれない」「無力」「生活力ナシ」「鈍くさい」「イケてない」「ヲタク?」「とにかくいい人」……こんなパーツばかりが目に付く。
かしちゃんの醸し出す「いい人」オーラが、すべてを裏切る。
ポスターにあった「耽美」「花と銃」のかしちゃんは、そこに存在しなかった。
同じなのは、髪型だけ。
その髪型も……変。
最初にローリーが登場したとき、脚の短さに仰天したのは置いておいて、その美形さにもちゃんと感動したのよ。
ポスターと同じ髪型だーっ、かしちゃんきれーっ、素敵ー。
素直によろこんだ。
しかし。
物語が進むにつれ、首を傾げる。
あのすだれのよーな前髪のある髪型って……かっこいい二枚目の髪型、という意味でやってるんじゃ、ない?
だってローリーは、なにかというと目をすがめる。近眼の人が眼鏡なしでいるときのように、目を細くするんだ。
メイクもいつもとチガウ? 切れ長の目を強調した、日本物っぽい感じ?
なんで目をすがめるの? わたし、かっしーのくっきりした目、好きなんだけどなー。
前髪がうっといのかしら? それであんな目つきを?
それなら髪型変えればいいのに。
前が見えない不便な髪型をしているなんて、変な人。って、ひょっとして役作り?
実際ローリー青年は、人の善さだけが取り柄のイケてない男。歌い踊る高校生たちには人気だけど、大人たちには相手にされていない。
はっ。そうか。
あの髪型、ヲタクって設定だったんだ!!
アキバ系とかの男ヲタクが、髪の毛ぼさぼさで目が隠れちゃってる、アレだ。
身なりに構ってない、美容院なんか行かないのばしっぱなしの髪の毛。そーゆー意味なんだわ。
でもここはタカラヅカだから、ソレを美しく表現したらあーゆーすだれアタマになるんだ!
そう気づけば納得。
なにしろ「詩集を自費出版」だ。同人誌を作ってコミケで売るヲタクと同じことをしているわけだ。
ほんとは美形なのに、なにしろ身なりに構わないヲタクだから、大人たちからはキモがられているんだ。
と、考えてもべつに変に思わなかったのよ……あたしは……。
「ほんとは美形」「いい人」「善人」「ヲタク」なローリーが、イケメンホストに変身。
あら、わかりやすいドリーミング・ストーリー。
ぼさぼさ髪と似合わないジーンズのせいで、ダサ男と思われていたけど、なーんとこんなに美形だったのよ!! 服装変えたらあら不思議、ぼさぼさ髪もオシャレに見えるわ! という設定なのかと。
目で見えるもの、舞台から感じられるモノだけを信じるわたしは、そうやって主人公を受け止めていたわけだ。
だから、目で見、心で感じているものとまったく接点のない「情報」を告げられるたびに混乱した。
すなわち、「元不良」「悲しい生い立ち」「淫らな女関係」とか、詩を書けない苛立ちから恋人にあたり、死へ追いやったことなど。
え、えーと?
いくら台詞で「情報」として「設定」を並べられても、ソレ、「現実」に舞台の上にはありませんがな?
だってソレを語るローリーは、やっぱり「平和」に「いい人」で。「ひだまり」のよーな人で。
美形だけど、どっか鈍くさくて、親しみがあって。
「はつこひのおもひで☆」という恥ずかしいコンセプトの詩集を自費出版しちゃうよーな、ヲタクのかほりのする男で。
どっか夢見がちで、地に足がついてなくて。
ぬけてるけど、そこがかわいくてたまらない男で。
「設定」として書かれている、暗い過去を持つ大人の男。才能も美貌もあるが、恋人を死に追いやったトラウマで今はくすんだ生活をしている。彼の才気あふれる真の姿は、純粋な若者たちにのみ理解されている。傷ついた鷹は爪を隠したまま、あえて冴えない三枚目的な生活をしている。……というよーな部分はどこにあるのか。
わ、わからない。
「設定」と「現実」の差に、ついて行けない。
かしちゃん、いい人過ぎ。
いつものかっしーだ……美貌を無駄遣いしてる、いつものかしげさんがいるよ……。
影と剛が欲しいの。耽美が欲しいの。
ポスターの大嘘つき。
たしかに、ローリー@かしげはきれいだよ。素敵だよ。たとえ似合わないジーパン穿いてたってな。
でも、かしちゃんが美形なのは、あたりまえだから。
そーじゃなくて、かっしーの新しい魅力とか、ふだんやらせてもらえないよーな役を、見たかったのよ。
あー、でも。
「設定」には影と剛があるよな……でもそれを舞台で表現できていないとしたら……それはかしげのせいか……とほ。
雪バウ『DAYTIME HUSTLER』の話。
相変わらず予備知識ナシで観劇した。
知っているのはポスターのみ。
『DAYTIME HUSTLER』のポスターは、そりゃーもー美しかった。美貌の無駄遣いばっかしているかっしーを、これでもかっと美しく撮ってくれていた。
ものごっつー美しいかっしーと、花と銃。そして『DAYTIME HUSTLER〜愛を売る男〜』という、思わせぶりなタイトル。作者が小池修一郎だから、多大な期待はしないとしても、わくわくするよーなポスターだ。
あー、小池氏のオリジナル作品には懐疑的です、わたし。
近年アタマを抱えるよーな駄作ばかり見せられているので、「イケコ、終わったな」とか「オリジナルはやらなくていいから」とか思っておりましたとも。オサコンはただの奇跡かと(笑)。
それでも植爺だの太田だの石田だのより100万倍すばらしいクリエイターであることもたしかなので、「オリジナルは恥ずかしいモノの確率が高いけど、演出力はあるからそっちに期待」していた。
そして、チケ難(なんで? かっしーなのに?!)のなか、がんばってサバキGETし、客席に潜り込んだ1回目の観劇。
前もって手に入れていたチケットは1枚。それも、知人の厚意で譲ってもらったもののみ。自力では全滅してたのよねえ。そのたった1回の観劇日を待ってなんかいられなかった。少しでも早く観たかったのよ。これでもかしちゃんファンですから。ものすごーくツボったらヘビロテするかもしんないじゃん。少しでも早く、この目で確かめて、今後の予定を立てなきゃ! 後ろでも隅でも、とにかくまず観るの!!
そーしてわたしは、どーにものれないままに、客席をあとにした。
席が悪すぎたのかな。いちばん後ろのいちばん端っこで観たりしたから、感情移入しにくかったのかな。
次に超良席で観るから、そのときに期待だ!
…………そしてわたしは、いろいろ考えた。
壮くんトニーについても考えたし、いづるんシルヴィアについても考えた。
かっしーローリーについても、考えた。
ローリーが、わからない……。
わたしは脚本から受ける「設定」と、実際に舞台を観た上で感じる「現実」とのギャップに、とまどった。
脚本と舞台、別物過ぎ……?
「元不良」「悲しい生い立ち」「淫らな女関係」「詩人」「自堕落」「慟哭」「絶望」……脚本から見える「設定」のパーツ。
だけど、舞台を観れば。
「善人」「のんき」「陽気」「人気者」「大人はわかってくれない」「無力」「生活力ナシ」「鈍くさい」「イケてない」「ヲタク?」「とにかくいい人」……こんなパーツばかりが目に付く。
かしちゃんの醸し出す「いい人」オーラが、すべてを裏切る。
ポスターにあった「耽美」「花と銃」のかしちゃんは、そこに存在しなかった。
同じなのは、髪型だけ。
その髪型も……変。
最初にローリーが登場したとき、脚の短さに仰天したのは置いておいて、その美形さにもちゃんと感動したのよ。
ポスターと同じ髪型だーっ、かしちゃんきれーっ、素敵ー。
素直によろこんだ。
しかし。
物語が進むにつれ、首を傾げる。
あのすだれのよーな前髪のある髪型って……かっこいい二枚目の髪型、という意味でやってるんじゃ、ない?
だってローリーは、なにかというと目をすがめる。近眼の人が眼鏡なしでいるときのように、目を細くするんだ。
メイクもいつもとチガウ? 切れ長の目を強調した、日本物っぽい感じ?
なんで目をすがめるの? わたし、かっしーのくっきりした目、好きなんだけどなー。
前髪がうっといのかしら? それであんな目つきを?
それなら髪型変えればいいのに。
前が見えない不便な髪型をしているなんて、変な人。って、ひょっとして役作り?
実際ローリー青年は、人の善さだけが取り柄のイケてない男。歌い踊る高校生たちには人気だけど、大人たちには相手にされていない。
はっ。そうか。
あの髪型、ヲタクって設定だったんだ!!
アキバ系とかの男ヲタクが、髪の毛ぼさぼさで目が隠れちゃってる、アレだ。
身なりに構ってない、美容院なんか行かないのばしっぱなしの髪の毛。そーゆー意味なんだわ。
でもここはタカラヅカだから、ソレを美しく表現したらあーゆーすだれアタマになるんだ!
そう気づけば納得。
なにしろ「詩集を自費出版」だ。同人誌を作ってコミケで売るヲタクと同じことをしているわけだ。
ほんとは美形なのに、なにしろ身なりに構わないヲタクだから、大人たちからはキモがられているんだ。
と、考えてもべつに変に思わなかったのよ……あたしは……。
「ほんとは美形」「いい人」「善人」「ヲタク」なローリーが、イケメンホストに変身。
あら、わかりやすいドリーミング・ストーリー。
ぼさぼさ髪と似合わないジーンズのせいで、ダサ男と思われていたけど、なーんとこんなに美形だったのよ!! 服装変えたらあら不思議、ぼさぼさ髪もオシャレに見えるわ! という設定なのかと。
目で見えるもの、舞台から感じられるモノだけを信じるわたしは、そうやって主人公を受け止めていたわけだ。
だから、目で見、心で感じているものとまったく接点のない「情報」を告げられるたびに混乱した。
すなわち、「元不良」「悲しい生い立ち」「淫らな女関係」とか、詩を書けない苛立ちから恋人にあたり、死へ追いやったことなど。
え、えーと?
いくら台詞で「情報」として「設定」を並べられても、ソレ、「現実」に舞台の上にはありませんがな?
だってソレを語るローリーは、やっぱり「平和」に「いい人」で。「ひだまり」のよーな人で。
美形だけど、どっか鈍くさくて、親しみがあって。
「はつこひのおもひで☆」という恥ずかしいコンセプトの詩集を自費出版しちゃうよーな、ヲタクのかほりのする男で。
どっか夢見がちで、地に足がついてなくて。
ぬけてるけど、そこがかわいくてたまらない男で。
「設定」として書かれている、暗い過去を持つ大人の男。才能も美貌もあるが、恋人を死に追いやったトラウマで今はくすんだ生活をしている。彼の才気あふれる真の姿は、純粋な若者たちにのみ理解されている。傷ついた鷹は爪を隠したまま、あえて冴えない三枚目的な生活をしている。……というよーな部分はどこにあるのか。
わ、わからない。
「設定」と「現実」の差に、ついて行けない。
かしちゃん、いい人過ぎ。
いつものかっしーだ……美貌を無駄遣いしてる、いつものかしげさんがいるよ……。
影と剛が欲しいの。耽美が欲しいの。
ポスターの大嘘つき。
たしかに、ローリー@かしげはきれいだよ。素敵だよ。たとえ似合わないジーパン穿いてたってな。
でも、かしちゃんが美形なのは、あたりまえだから。
そーじゃなくて、かっしーの新しい魅力とか、ふだんやらせてもらえないよーな役を、見たかったのよ。
あー、でも。
「設定」には影と剛があるよな……でもそれを舞台で表現できていないとしたら……それはかしげのせいか……とほ。
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