かのひとの美しさを讃えよう。@銀の狼
2005年11月11日 タカラヅカ「わたしにこの芝居を見せろ!」
とじたばたしている、全ツ『銀の狼』の感想、その4。
コム姫の美しさを語りましょう。
シルバ@コムの、美しいことといったら!
コムちゃんはやっぱり、ふつーの人じゃない方がハマるねっ。
記憶喪失の殺し屋だよ? 嘆きの銀髪だよ?
なにその設定、ありえない(笑)。
妻子アリのふつーの外科医だったなんて、そっちの方が嘘っぽいほど、トンデモ設定がハマるってのは、どーゆーことですか(笑)。
見たかった朝海ひかるですよ。
この地球とちがう重力の星にいるかのような、美しい生物。
硬質で、無機質で。でもたしかに感情があって。
「記憶がない」ことを悩んでいるらしいけど、たぶんソレ、チガウから。ふつーの人ほど気に病んでないから。
てゆーか、「記憶がない」ことを悩んでいるのはきっと、
「俺はふつーの人間だろうか。チガウような気がする。人間じゃないなら、なんだろう。ちょっとこまるな」
と思ってしまうので、ソレを打ち消すために記憶を求めているのよ。
人間としての「記憶」があれば、安心できるから。
とまあ、それくらい「別の生き物」ですよ、シルバ@コム姫。
シルバはとても自己完結しているので、レイ@水の愛に気づかない。カケラも。
そして、ミレイユ@まーちゃんとの関係も、とても硬質だ。
正直なところ、わたしにはシルバが最後ミレイユと手を取り合うのがわからない。
初演を観たときは不思議に思わなかったんだが、今回のシルバは謎だ。
だってコム姫、誰も愛してないし。(役名で言いましょう、誤解を受けます)
コムちゃんは恋愛濃度の低い人だけど、今回はそれがさらに際立った感じ。
クールさがより純粋に抽出されたみたい。
あまりにも「銀の狼」としてのシルバが美しすぎて、医師ミシェルとしての姿が見えない。
あんな大きな子どものいるおとーさんに見えませんて(笑)。
だから、彼の語る人生も苦悩も、どこか空々しい。
それは、『銀の狼』という芝居的には失敗なのかもしれない。
愛する家族のために復讐するのも、同じ闇を抱いた女ミレイユとの愛(もしくはソレに似たモノ)も、なんだかチガウんだ。
脚本に書いてあるモノ、初演でたしかにあったモノが、現在の舞台にはない。
失敗なのかもしれない。脚本に忠実、初演に忠実、という意味では。
朝海ひかるが、物語を変えてしまった。
人間ミシェルは影を潜め、銀の狼シルバの方が強く網膜に焼き付く。
人間の記憶を持たず、たしかなものを持たず、居場所を持たないままに彷徨う、孤独な狼。
感情を持たない美しいアンドロイドが、人間の真似をして苦悩し、真実を求めているような。
人間の真似だから、人間の苦悩より浅いとか楽だとかいう意味じゃないの。
アンドロイドの苦悩が、人間以下だなんて決めつける気はない。
「殺された妻子を思って嘆く人間の真似」をしているアンドロイドが、そうまでして人間の真似をしている事実にこそ、深い絶望を視るわ。
コム姫のシルバには、そんなせつなさがあって。
目が、離せない。
ミレイユ@まーちゃんは、さすがの美しさ。背筋の伸びた、聡明な女性。
大人の女っていいなあ。
強い人だからこそ、手を差しのべたくなるよね。甘えてもいいんだよ、頼ってもいいんだよ、って。
ジャンルイ@キムが、「利用するだけ」でなく、ほんとうは愛していた、というのも納得の女性ですよ、ミレイユ。
まーちゃんはどんどんいい女になる。
可憐な少女も、毅然とした大人の女性も、妖艶な悪女も、なんでもできちゃうんだもの。
キャラ紹介をするなら「舞風りら(妖精属)」って書かなきゃね。彼女の属性は「妖精」よ、まちがいなく。
コムちゃんのお嫁さんは、まーちゃんでなきゃダメだ。心からお似合いのふたりだと思う。
が。
今回は、まーちゃんをもってしても、「恋愛」とか「相手役」に見えなかったなー。
「同志」には見えたけれど。
なにしろコム姫、今回ぶっちぎりでヒロインだからなー(笑)。
男も女も、全員シルバに対して「攻」になってたもん(笑)。
ミレイユ×シルバ、レイ×シルバ、とかゆーふーになー。
だから作品的には、チガウのかも。失敗なのかも。シルバはアンドロイドではなく、人間でなきゃならないのだろうし。
ミレイユと手を取り合って終わらなければならないのだし。
でも、それはどーでもいいんだ。
初演の『銀の狼』は名作で、それとはまったく別物だけど、今回の『銀の狼』も名作。
なによりも、タイトルロールだと思う。
「銀の狼」という名の殺し屋。ふつーの人間とはチガウ存在。
それがはてしなく際立っている。
まちがってこの地球に降りてしまった、別の世界から来た天使。
人間の感情は持っていないけれど、人間の感情を理解したい、得たいと思って苦悩している美しいひと。
人間たちの欲望に、慟哭に、絶望に、添うようにして立つ黒衣の男。白銀の髪。
彼はただ、そのようにして「在る」。
美しい闇、美しい絶望。
シルバ@コム姫の、温度を持たない美しさが、すべてを支配する。
ところで。
シルバは、他人から寄せられる愛には気づかないと思うけど、欲望には敏感だと思うのよ。
ミレイユはシルバを愛していても、欲望を剥き出しにはしていない。だからあんなに、ふたりの間が硬質に見えてしまったのかなと思う。
いつかミレイユが必死に身につけている鎧がはずれ、彼女の生身の欲望が剥き出しになったとき、シルバはソレに応えるかもしれない。
……見てみたい、シルバに身を投げ出すミレイユ。それを受け入れ、むさぼるシルバ。
レイとシルバの関係がやたら色っぽいのは、レイが欲望をちらつかせているからだと思う。
そしてシルバは、それに気づいている。
愛には、カケラも気づいてないのにね。
愛には気づかず、欲望だけに気づく。
なんて残酷な狼。
ひとの美しいモノには気づかず、醜いモノにだけ気づくなんて。
誰だって、美しいところだけを見て欲しいと思っているのに。
…………レイとシルバで、色っぽいモノを書きたくて仕方ないですな…………(笑)。
とじたばたしている、全ツ『銀の狼』の感想、その4。
コム姫の美しさを語りましょう。
シルバ@コムの、美しいことといったら!
コムちゃんはやっぱり、ふつーの人じゃない方がハマるねっ。
記憶喪失の殺し屋だよ? 嘆きの銀髪だよ?
なにその設定、ありえない(笑)。
妻子アリのふつーの外科医だったなんて、そっちの方が嘘っぽいほど、トンデモ設定がハマるってのは、どーゆーことですか(笑)。
見たかった朝海ひかるですよ。
この地球とちがう重力の星にいるかのような、美しい生物。
硬質で、無機質で。でもたしかに感情があって。
「記憶がない」ことを悩んでいるらしいけど、たぶんソレ、チガウから。ふつーの人ほど気に病んでないから。
てゆーか、「記憶がない」ことを悩んでいるのはきっと、
「俺はふつーの人間だろうか。チガウような気がする。人間じゃないなら、なんだろう。ちょっとこまるな」
と思ってしまうので、ソレを打ち消すために記憶を求めているのよ。
人間としての「記憶」があれば、安心できるから。
とまあ、それくらい「別の生き物」ですよ、シルバ@コム姫。
シルバはとても自己完結しているので、レイ@水の愛に気づかない。カケラも。
そして、ミレイユ@まーちゃんとの関係も、とても硬質だ。
正直なところ、わたしにはシルバが最後ミレイユと手を取り合うのがわからない。
初演を観たときは不思議に思わなかったんだが、今回のシルバは謎だ。
だってコム姫、誰も愛してないし。(役名で言いましょう、誤解を受けます)
コムちゃんは恋愛濃度の低い人だけど、今回はそれがさらに際立った感じ。
クールさがより純粋に抽出されたみたい。
あまりにも「銀の狼」としてのシルバが美しすぎて、医師ミシェルとしての姿が見えない。
あんな大きな子どものいるおとーさんに見えませんて(笑)。
だから、彼の語る人生も苦悩も、どこか空々しい。
それは、『銀の狼』という芝居的には失敗なのかもしれない。
愛する家族のために復讐するのも、同じ闇を抱いた女ミレイユとの愛(もしくはソレに似たモノ)も、なんだかチガウんだ。
脚本に書いてあるモノ、初演でたしかにあったモノが、現在の舞台にはない。
失敗なのかもしれない。脚本に忠実、初演に忠実、という意味では。
朝海ひかるが、物語を変えてしまった。
人間ミシェルは影を潜め、銀の狼シルバの方が強く網膜に焼き付く。
人間の記憶を持たず、たしかなものを持たず、居場所を持たないままに彷徨う、孤独な狼。
感情を持たない美しいアンドロイドが、人間の真似をして苦悩し、真実を求めているような。
人間の真似だから、人間の苦悩より浅いとか楽だとかいう意味じゃないの。
アンドロイドの苦悩が、人間以下だなんて決めつける気はない。
「殺された妻子を思って嘆く人間の真似」をしているアンドロイドが、そうまでして人間の真似をしている事実にこそ、深い絶望を視るわ。
コム姫のシルバには、そんなせつなさがあって。
目が、離せない。
ミレイユ@まーちゃんは、さすがの美しさ。背筋の伸びた、聡明な女性。
大人の女っていいなあ。
強い人だからこそ、手を差しのべたくなるよね。甘えてもいいんだよ、頼ってもいいんだよ、って。
ジャンルイ@キムが、「利用するだけ」でなく、ほんとうは愛していた、というのも納得の女性ですよ、ミレイユ。
まーちゃんはどんどんいい女になる。
可憐な少女も、毅然とした大人の女性も、妖艶な悪女も、なんでもできちゃうんだもの。
キャラ紹介をするなら「舞風りら(妖精属)」って書かなきゃね。彼女の属性は「妖精」よ、まちがいなく。
コムちゃんのお嫁さんは、まーちゃんでなきゃダメだ。心からお似合いのふたりだと思う。
が。
今回は、まーちゃんをもってしても、「恋愛」とか「相手役」に見えなかったなー。
「同志」には見えたけれど。
なにしろコム姫、今回ぶっちぎりでヒロインだからなー(笑)。
男も女も、全員シルバに対して「攻」になってたもん(笑)。
ミレイユ×シルバ、レイ×シルバ、とかゆーふーになー。
だから作品的には、チガウのかも。失敗なのかも。シルバはアンドロイドではなく、人間でなきゃならないのだろうし。
ミレイユと手を取り合って終わらなければならないのだし。
でも、それはどーでもいいんだ。
初演の『銀の狼』は名作で、それとはまったく別物だけど、今回の『銀の狼』も名作。
なによりも、タイトルロールだと思う。
「銀の狼」という名の殺し屋。ふつーの人間とはチガウ存在。
それがはてしなく際立っている。
まちがってこの地球に降りてしまった、別の世界から来た天使。
人間の感情は持っていないけれど、人間の感情を理解したい、得たいと思って苦悩している美しいひと。
人間たちの欲望に、慟哭に、絶望に、添うようにして立つ黒衣の男。白銀の髪。
彼はただ、そのようにして「在る」。
美しい闇、美しい絶望。
シルバ@コム姫の、温度を持たない美しさが、すべてを支配する。
ところで。
シルバは、他人から寄せられる愛には気づかないと思うけど、欲望には敏感だと思うのよ。
ミレイユはシルバを愛していても、欲望を剥き出しにはしていない。だからあんなに、ふたりの間が硬質に見えてしまったのかなと思う。
いつかミレイユが必死に身につけている鎧がはずれ、彼女の生身の欲望が剥き出しになったとき、シルバはソレに応えるかもしれない。
……見てみたい、シルバに身を投げ出すミレイユ。それを受け入れ、むさぼるシルバ。
レイとシルバの関係がやたら色っぽいのは、レイが欲望をちらつかせているからだと思う。
そしてシルバは、それに気づいている。
愛には、カケラも気づいてないのにね。
愛には気づかず、欲望だけに気づく。
なんて残酷な狼。
ひとの美しいモノには気づかず、醜いモノにだけ気づくなんて。
誰だって、美しいところだけを見て欲しいと思っているのに。
…………レイとシルバで、色っぽいモノを書きたくて仕方ないですな…………(笑)。
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