わたしには、「これって世間の常識だよねっ。世の中の人全員そう思ってるよねっ」と信じていることが、「いやソレ、ぜんぜんチガウから! 緑野さんだけだから!!」と言われることが多々ある。
 てゆーか、最近とみに多い。

 博多座『マラケシュ・紅の墓標』千秋楽の日。
 当日券の列にいちばんに並んでいた人が、「わたしは1公演しか買わないんで、残りの1公演はあなたの分を買いましょうか? 席はどこがいいですか?」と言ってくれた。
 えええっ。いちばんに並んでいた人は、とーぜん徹夜されているわけですよ。そんなにまでして得た権利で、見ず知らずのわたしの分を買ってくれるというの? わたし、夜が明けてから並んだ人ですよ? 順番で言ったら、10番目ぐらいの人なんですよ?
 たんに、並んでいる間そのかの話で盛り上がったというだけの縁で。

 ありがたやありがたや。

 いちばんの人が買うのは、もちろん千秋楽公演。でも、楽の日の昼公演は、買わない。その昼公演購入権利を、わたしに譲ってくれたの。
 いちばんの人の権利だから、わたしは、昼公演当日席をいちばんに買う権利得たわけ。
 博多座の当日販売席は、1階後方から、2階後方、3階、そして立ち見。「最悪、立ち見でもいい。劇場に入れさえすれば」と夜行に飛び乗ってきたわたしに、信じられない幸運。

 いちばん?
 わたしが選んでいいの? いちばんに?

 迷わず、「そのかに触れる席」を選んだ。


 当日券並びの2番目はnanakoさん。彼女の狙いは昼公演。千秋楽は良席GET済み。だもんで彼女もまた、2公演買えるうちの片方の権利、今度は千秋楽を買える権利をわたしに譲ってくれた。

 いちばんの人に昼公演を、2番のnanakoさんに楽を買える権利を譲ってもらった。
 つまりわたしは、昼公演をいちばんに、千秋楽を2番目に買うことができたの。

 なんて幸運なんでしょう。
 ひとさまの厚意で緑野は生きております。ありがとうありがとう。

 実際、2番目のnanakoさんの権利で千秋楽チケットを買おうとしたら、わたしがいちばん欲しかった席が残っていた。いちばんに並んだ人は、その隣を購入したらしい。
 だもんで、昼公演も楽も、わたしはまったく同じ席を手に入れることができたのよ。

 ちなわち。
 「そのかに触れる席」を。

 
 この話を、オサコン初日にいつもの面子に話した。

「昼も楽も、当日販売席でいちばんいい席を買うことができたってわけ」

 意気揚々と、報告するわたし。
 「ええー?」「すごーい」と感心の声を上げかけた友人たち……を、遮って、nanakoさん。

「いや、べつに、いちばんいい席じゃないから!!」

 えっ?!

「当日販売席で、いちばんいい席は上手側。下手は別に、大していい席じゃないから!」

 ええっ?!
 だってだって、下手は「そのかに触れる席」だよ? いちばんいい席に決まってるじゃん!!

「ソレ、緑野さんだけだから!」


 ええーーっ?!!

 「そのかに触れる席」って、いちばんいい席なんじゃないのっ?!
 それって世間の常識じゃないの? 世の中の人全員そう思ってるんじゃないの?!

「んなわけないって」

 知らなかった……わたしの常識は、世間とチガウの?
 がーーーーん。

 
 なんか、最近とみにこんなことがある。
 「いやソレ、ぜんぜんチガウから! 緑野さんだけだから!!」って、みんなして言うの。

 『Le Petit Jardin』で「アランは受だよね?(笑顔)」って言ったときも、『シバ魂』の「レークとオーキッドで同人誌作れるわっ」と言ったときも、誰ひとりわたしについてきてくれなかったわ!
 「そんなこと誰も思わないから! 緑野さんだけだから!!」って。
 ひどいー。

 
 でも、思うのよ。
 最近わたしがどうこうというより、周囲のみんなが、最近容赦なく突っ込むようになったってことなんじゃないかしら、コレ。

 ふつー、お義理でも「そうね」とか言わないかー?
 てきとーに賛同して、お茶を濁さないかー?

 みんな、正直者……。

 てか、周囲が総ツッコミ状態になるわたしが悪いのか……?
 で、でもでも、誰だって自分を基準に考えるよね? 「わたしが考えるよーなごくありきたりなことは、世間のすべての人も考えているだろう」って思うよねえ?
 そのへんはすごく、ふつーの心理展開だよねえ?
 う。どこでまちがえるんだろう。

 
 まあ、なにはともあれ。

 博多座楽でお世話になりましたいちばん並びの方。
 ありがとうございました。
 (んなとこで礼をゆっても、届くことはないだろーが。てか、目に留められたらそれはそれで恥ずかしいが)なにしろ書いてる内容がこんなブログ……。


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