君は暗黒の大地に咲く薔薇の花。@マラケシュ・紅の墓標
2005年8月27日 タカラヅカ 金の薔薇、石の薔薇、そして紅い薔薇。
薔薇にはいろいろあるけれど♪
ギュンターが愛したのは、紅い薔薇。
ムラ・東宝版のギュンターは知りません。
オリガがわからなかったように、ギュンターもわからなかったので、考えないことにしてます。どーもらんとむギュンギュンには、お笑いの風が吹いていて……『エンレビ』のアレキンだっけ、昭和時代のアイドルみたいな美形キャラ、アレと同じ胡散臭さを感じてしまって、思考停止しちゃうのよ。
らんとむくんへの好意とは、別もんですのよ。彼のギュンターがわからなかったこととは。
だから、わたしが語るのは博多座『マラケシュ・紅の墓標』のギュンター。
オープニングで紅い薔薇を手にし、導入歌を歌う男。
オープニングのまがまがしさは、ものすごい。
彼が出てきた瞬間から、世界はすでにトップテンション、深紅の街がわたしたちに両手を広げている。
プロローグからすでにイッちゃってるギュンターは、愛しげに紅い薔薇を愛でる。
彼は美術鑑定家。愛好家でもある。
数年前、彼はパリですばらしい美術品に出会った。ロシア貴族ワレンコフ家の財宝、黄金の薔薇。
人間の手で作られた、至宝。
誰よりも美を愛するギュンターは、そのすばらしさを誰よりも理解していた。誰よりも深く魅せられていた。
美術品を愛し、その価値を鑑定する。それがギュンターという男の基本スキル。
だった、のに。
その金の薔薇をめぐって、事件が起きた。
人気女優の手に渡った金の薔薇、女優をめぐる三角関係、そして、男がひとり死んだ。
死んだのは、ギュンターに金の薔薇の存在を教えた男。
ギュンターをこの場に導き、勝手に舞台から降りた。
ギュンターは美術鑑定家であり、愛好家。
誰よりも「美」を愛し、理解する男。
何故ならば彼自身、とても美しいから。
「美」を愛し、「美」に愛されるに相応しい。
その美しい彼の手が、汚れた。
彼の目の前で死んだ男のせいで。
血に、汚れた。
手のひらを汚した、紅。
そのときから、ギュンターは変わる。
もう、美術鑑定家ではない。汚れてしまった彼は、「美」を量れない。愛せない。「美」から愛される資格がない。
彼は薔薇を追う。
金の薔薇を持った女優イヴェット。
「よっぽど貴女のことが好きなのね」
と、イヴェットの付き人は言う。突き放した言葉。
金の薔薇・イヴェット。
チガウ。
もう彼はそんなものを求めていない。
彼が求めているモノは。
はい。
博多座ギュンターが求めているモノは。
リュドヴィークだよね(笑)。
イヴェットのことは、なんとも思ってない。
彼女になにか執着があるなら、いつでも行動に移せたはずだ。
金の薔薇のことも、もう口実でしかない。
場所と持ち主がわかっているんだから、どうにでもなる。なのにしない。
このことから、ギュンターがストーカーに身を落としてまでも求めていたモノがなにかわかるよね。
イヴェットにくっついていれば、リュドヴィークに会えると思ってたんだ。
もう一度、彼に会いたい。
その想いだけで何年も。
妄執が募り、半分この世のモノでなくなった姿で彷徨いつつ(プロローグの姿)。
ギュンター、女キライだしなー。
マラケシュでかわいこちゃんにコナかけられても、すげー拒絶っぷり。「汚らわしいっ!」って感じで突き放す。
そーだよなー、君が愛してるのはリュドヴィークひとりだもんなー。女なんかケガラワシイよなー。
あの事件で、汚されたのは「金の薔薇」じゃない。
ギュンター自身だ。
汚された身体。汚された心。
「僕だ。僕がヤった。いいね。僕がヤッたんだ」
そして呪文が、彼の耳に降り注ぐ。
−−私を汚したのは、あの男。
彼は、薔薇を追う。
ギュンターの愛している薔薇って、リュドヴィークのことだよね。
汚されたんだから、責任取ってもらわなきゃ! てことで。
イヴェットを追ってマラケシュまでやって来たギュンターは、ついにリュドヴィークを見つける。
パリの回想シーンのあと、ギュンターはお散歩中のリュドとオリガを目撃するんだ。
ところどころで「この世のモノではない狂言回し」だったはずのギュンターは、リュドヴィークを見つけて、「確実にこの世にいる、ただの狂人」に立ち戻る。
リュドがギュンターを変える。
リュドヴィークを見つけたのだから、もうイヴェットに用はない。
ギュンターはイヴェットを追いつめ、自殺させる。彼女が持っている金の薔薇なんか、一顧だにしない。
そして、ようやく想いを遂げるんだ。
ギュンターを壊した、紅い血。
彼が欲しかったのは、リュドヴィークの血。
リュドを刺し、リュドの血に汚れた刃物で、刺し殺される。リュドヴィークの手で。
彼の身体の中で、汚れてしまった彼の身体のなかで、ふたりの血が混ざり合う。
究極の性交。
混ざり合う紅い体液。
う・わー。ハッピーエンドだぁあ。
しかも、エロシーンENDですよ。
ギュンターにとってのオーガズムはSEXではなく、リュドヴィークに貫かれる一瞬だったのだから。
迷惑な話だけどな、リュドヴィークにとっちゃ。
暗黒の大地に咲く紅い薔薇、ギュンター。
君は薔薇より美しい。
ギュンターにとっての薔薇は彼自身であり、彼を滅ぼすリュドヴィークでもあった。
ああ、薔薇薔薇薔薇。
薔薇にはいろいろあるけれど♪
ギュンターが愛したのは、紅い薔薇。
ムラ・東宝版のギュンターは知りません。
オリガがわからなかったように、ギュンターもわからなかったので、考えないことにしてます。どーもらんとむギュンギュンには、お笑いの風が吹いていて……『エンレビ』のアレキンだっけ、昭和時代のアイドルみたいな美形キャラ、アレと同じ胡散臭さを感じてしまって、思考停止しちゃうのよ。
らんとむくんへの好意とは、別もんですのよ。彼のギュンターがわからなかったこととは。
だから、わたしが語るのは博多座『マラケシュ・紅の墓標』のギュンター。
オープニングで紅い薔薇を手にし、導入歌を歌う男。
オープニングのまがまがしさは、ものすごい。
彼が出てきた瞬間から、世界はすでにトップテンション、深紅の街がわたしたちに両手を広げている。
プロローグからすでにイッちゃってるギュンターは、愛しげに紅い薔薇を愛でる。
彼は美術鑑定家。愛好家でもある。
数年前、彼はパリですばらしい美術品に出会った。ロシア貴族ワレンコフ家の財宝、黄金の薔薇。
人間の手で作られた、至宝。
誰よりも美を愛するギュンターは、そのすばらしさを誰よりも理解していた。誰よりも深く魅せられていた。
美術品を愛し、その価値を鑑定する。それがギュンターという男の基本スキル。
だった、のに。
その金の薔薇をめぐって、事件が起きた。
人気女優の手に渡った金の薔薇、女優をめぐる三角関係、そして、男がひとり死んだ。
死んだのは、ギュンターに金の薔薇の存在を教えた男。
ギュンターをこの場に導き、勝手に舞台から降りた。
ギュンターは美術鑑定家であり、愛好家。
誰よりも「美」を愛し、理解する男。
何故ならば彼自身、とても美しいから。
「美」を愛し、「美」に愛されるに相応しい。
その美しい彼の手が、汚れた。
彼の目の前で死んだ男のせいで。
血に、汚れた。
手のひらを汚した、紅。
そのときから、ギュンターは変わる。
もう、美術鑑定家ではない。汚れてしまった彼は、「美」を量れない。愛せない。「美」から愛される資格がない。
彼は薔薇を追う。
金の薔薇を持った女優イヴェット。
「よっぽど貴女のことが好きなのね」
と、イヴェットの付き人は言う。突き放した言葉。
金の薔薇・イヴェット。
チガウ。
もう彼はそんなものを求めていない。
彼が求めているモノは。
はい。
博多座ギュンターが求めているモノは。
リュドヴィークだよね(笑)。
イヴェットのことは、なんとも思ってない。
彼女になにか執着があるなら、いつでも行動に移せたはずだ。
金の薔薇のことも、もう口実でしかない。
場所と持ち主がわかっているんだから、どうにでもなる。なのにしない。
このことから、ギュンターがストーカーに身を落としてまでも求めていたモノがなにかわかるよね。
イヴェットにくっついていれば、リュドヴィークに会えると思ってたんだ。
もう一度、彼に会いたい。
その想いだけで何年も。
妄執が募り、半分この世のモノでなくなった姿で彷徨いつつ(プロローグの姿)。
ギュンター、女キライだしなー。
マラケシュでかわいこちゃんにコナかけられても、すげー拒絶っぷり。「汚らわしいっ!」って感じで突き放す。
そーだよなー、君が愛してるのはリュドヴィークひとりだもんなー。女なんかケガラワシイよなー。
あの事件で、汚されたのは「金の薔薇」じゃない。
ギュンター自身だ。
汚された身体。汚された心。
「僕だ。僕がヤった。いいね。僕がヤッたんだ」
そして呪文が、彼の耳に降り注ぐ。
−−私を汚したのは、あの男。
彼は、薔薇を追う。
ギュンターの愛している薔薇って、リュドヴィークのことだよね。
汚されたんだから、責任取ってもらわなきゃ! てことで。
イヴェットを追ってマラケシュまでやって来たギュンターは、ついにリュドヴィークを見つける。
パリの回想シーンのあと、ギュンターはお散歩中のリュドとオリガを目撃するんだ。
ところどころで「この世のモノではない狂言回し」だったはずのギュンターは、リュドヴィークを見つけて、「確実にこの世にいる、ただの狂人」に立ち戻る。
リュドがギュンターを変える。
リュドヴィークを見つけたのだから、もうイヴェットに用はない。
ギュンターはイヴェットを追いつめ、自殺させる。彼女が持っている金の薔薇なんか、一顧だにしない。
そして、ようやく想いを遂げるんだ。
ギュンターを壊した、紅い血。
彼が欲しかったのは、リュドヴィークの血。
リュドを刺し、リュドの血に汚れた刃物で、刺し殺される。リュドヴィークの手で。
彼の身体の中で、汚れてしまった彼の身体のなかで、ふたりの血が混ざり合う。
究極の性交。
混ざり合う紅い体液。
う・わー。ハッピーエンドだぁあ。
しかも、エロシーンENDですよ。
ギュンターにとってのオーガズムはSEXではなく、リュドヴィークに貫かれる一瞬だったのだから。
迷惑な話だけどな、リュドヴィークにとっちゃ。
暗黒の大地に咲く紅い薔薇、ギュンター。
君は薔薇より美しい。
ギュンターにとっての薔薇は彼自身であり、彼を滅ぼすリュドヴィークでもあった。
ああ、薔薇薔薇薔薇。
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