彼と彼のコントラスト。@BourbonStreet Blues
2005年7月23日 タカラヅカ あれは、ドラマシティの『睡れる月』を観たあとだった。
もずえさんと、初対面のパクちゃんと、わたしの3人で乾杯をした。
そのときの、乾杯の音頭が。
「さららんエルマーに、乾杯!」
ちょっと待て。
わしらが観たのは『睡れる月』だってば。『睡れる月』にさららんエルマー出てないから!
「いいんじゃないですか、ちょうど3人だし」
「そうか、ハンガリーの革命家トリオねっ」
と、わたしとパクちゃんが言っていると、
「じゃ、あたしはツェップスで!」
もずえさんが真顔で言う。
ちょっと待て。
ツェップスはチガウから。革命家トリオのウチじゃないから。
「やだー、絶対ツェップス〜〜!!」
それじゃ4人になっちゃうじゃん。わたしら、3人しかいないのに。
3人だから、3人組にちなんで乾杯! という理由がつかなくなる。
でもそれは、すぐに解決した。
「じゃあ、そこの空いている席がめおちゃんジュラということで」
「あっ、透明人間なのね」
「さすがめおちゃん」
なんの説明も必要なく、革命家トリオでもっとも存在感のないめおちゃんジュラが、空席扱いとなった。
さららんエルマー、大好きだったよ……。
みんなみんな、アツいアツい彼を、熱すぎてどっかまちがったまま暴走している彼を、まったりと愛していたよ。
そしてそんなエルマーを顧みず、やはり勝手にかっこつけてるマイペースほっくんシュテファンと、すっかり引率の先生のようだった越リュウツェップスも大好きだった。
集合写真の撮影日に欠席し、アルバムでは別枠で顔だけ掲載、「あれ? あいつあんとき休んでたっけ?」「えー、おぼえてないー」とかクラスメイトに言われていそうな、そんな存在感のないめおちゃんジュラも、ツボでしたよ(笑)。
『BourbonStreet Blues』は、なんとももどかしい物語だ。
とくに1幕は、先が見えない。
はらはらドキドキ、先が見えないおもしろさ! というのではなく、「この話、どこへ行くんだろう、なにがしたいんだろう」という先の見えなさだ。
それはそのまま、主人公ジェフ@さららんの生き方とシンクロしている。
なにをしたいのか、なにができるのかわからない。あっちふらふら、こっちふらふら、なにも考えていない男の子なので、流されるまま。
そのジェフの流される目線まんまに物語も進む。
この冗長さは、ジェフの一人称では間が持たないってことだ。
「なにがしたいかわからない」と流されているだけの子の一人称じゃあ、焦点がぼやけるよ。
強力な楔が必要だったな。
ジェフがふらふらして「俺は悪くない」とか言ってる横で、きちんと自分の役割と意識を持っているキャラクタの物語を展開させるべきだったなと。
たぶんそれは、デイモン@めおちゃんの役目だ。
主人公ひとりじゃ弱い場合、ライバルを立たせる。そしてふたりのコントラストで物語を進める。
今はギャングに飼われているちんぴらでしかないが、いずれこの世界でのし上がってやる、と思ってメラメラしている男、とかゆー位置づけでライバルキャラを立たせる。
なにをすればいいのかわからない主人公と、自分の道を歩いているライバル。
そしてひょんなことから、なーんにも考えてない主人公が、ギャングのボスに気に入られてしまう。ライバル、ショ〜ック! 地道にやってきた俺がいつまでも使い走りで、なにも考えてないあいつがいきなり運転手?
嫉妬メラメラ、天才に対する努力する凡人の図。
ギャングの世界に入っても、やっぱり主人公は「俺、これでいいのかなー」とのんきに首を傾げているし。
ジェフの性格も立ち位置も物語の流れも、全部そのままでいいから、デイモンの比重を上げようよ。
ジェフに対し、不穏な気持ちを持っている存在が見え隠れするだけで、緊張感が高まるから。このままですむはずがない、とあちこちで思わせるだけで、のちの物語への「引き」になるから。
あのわけのわからないDJはいらないから。
ものすげー「とってつけた感」があるんだよな、DJ。
わたしもやったことあるよ、あーゆーの。書いた文章がどうにもしまらない、冗長になってしまったときに、本文と関係ない思わせぶりな文章を要所要所に置くの。思わせぶりな詩とか韻を踏んだ言葉とか。そーやって、中身が薄いのを誤魔化すのな。テクニックとして、重宝してるよ。
でも、『BourbonStreet Blues』に関しては、あまりにとってつけたのがわかりすぎて、失敗してるよ。
DJを使うくらいなら、デイモンをもっとちゃんと書き込めばよかったのに。
彼を「楔」として、物語を引き締めれば良かったのに。
2幕は物語が動いてるからいいけど、1幕はだらけすぎてるよー。
エピソードも展開もいいから、あとはただ要所で「ぴしっ」と締める存在があればよかったんだよなー。
もっとも。
デイモンがめおちゃんである以上、そーゆー役割は無理かなとも思う。
ああ……。
めおちゃんはどーして、あんなにちんぴらが似合わないのでしょう……。
金属ジャラジャラ系のそれらしい格好をしているのに、ものすごく浮いてる……らしくない……。
そして、「いい人」なのが、透けて見える。
めおちゃんに似合う役は、きれいでやさしい人の役なんだろうな。真面目な貴公子とか。
悪役をやるにしても、とにかく上品な役でないと。
あんなにきれいなのに。
美貌をちっとも活かせてない。
もったいないなー(持ち味がかしげとかぶるなー)。
ジェフを描く際、彼になにが出来てなにが出来ないのかを、もっと明確にしてくれればなお良かったのになとは思う。
「車のことなら負けない」らしいが、ソレが出てくるの、ラストの台詞でだから。ものすげー唐突。あとづけ設定みたい。
最初から、「腕っ節の強さは神」とか「車に関してはかなりヲタク」とか、エピソードに絡ませればいいのに。
腕っ節については、ケンカがきっかけになって物語が進んでいるけど、どれほど強いのかをわからせてほしかった。
とゆーのも、やっぱりケンカシーンがどんくさくて、強そうに見えないんだわ。ジェフもそうだが、相手もあまりにヘボそうで。
ジェフが強いのか、たんに相手がバカで弱いヤツばっかだったのか、判断に困るよ(笑)。
ものすごーくケンカが強くて、度胸もいい。ドライビング・テクニックも超A級。……というなら、not学歴の男社会ではかなり優位に立てるはずなんだが、そのへんは触れられてないし。
ジェフの特技と、それを重要に思っていない現状を、エピソードで本編に活かしたらもっとクリアになったのに。
とはいえ、ジェフというキャラクタの描き方は、あれでいいけどなー。
あの幼さは、アリだと思う。
シンシア@れみちゃんとの、かわいい恋人ぶりも。
わたしは好きよ。
キャラクタも、物語も。
だからこそ、冗長さがもったいなくて。
もずえさんと、初対面のパクちゃんと、わたしの3人で乾杯をした。
そのときの、乾杯の音頭が。
「さららんエルマーに、乾杯!」
ちょっと待て。
わしらが観たのは『睡れる月』だってば。『睡れる月』にさららんエルマー出てないから!
「いいんじゃないですか、ちょうど3人だし」
「そうか、ハンガリーの革命家トリオねっ」
と、わたしとパクちゃんが言っていると、
「じゃ、あたしはツェップスで!」
もずえさんが真顔で言う。
ちょっと待て。
ツェップスはチガウから。革命家トリオのウチじゃないから。
「やだー、絶対ツェップス〜〜!!」
それじゃ4人になっちゃうじゃん。わたしら、3人しかいないのに。
3人だから、3人組にちなんで乾杯! という理由がつかなくなる。
でもそれは、すぐに解決した。
「じゃあ、そこの空いている席がめおちゃんジュラということで」
「あっ、透明人間なのね」
「さすがめおちゃん」
なんの説明も必要なく、革命家トリオでもっとも存在感のないめおちゃんジュラが、空席扱いとなった。
さららんエルマー、大好きだったよ……。
みんなみんな、アツいアツい彼を、熱すぎてどっかまちがったまま暴走している彼を、まったりと愛していたよ。
そしてそんなエルマーを顧みず、やはり勝手にかっこつけてるマイペースほっくんシュテファンと、すっかり引率の先生のようだった越リュウツェップスも大好きだった。
集合写真の撮影日に欠席し、アルバムでは別枠で顔だけ掲載、「あれ? あいつあんとき休んでたっけ?」「えー、おぼえてないー」とかクラスメイトに言われていそうな、そんな存在感のないめおちゃんジュラも、ツボでしたよ(笑)。
『BourbonStreet Blues』は、なんとももどかしい物語だ。
とくに1幕は、先が見えない。
はらはらドキドキ、先が見えないおもしろさ! というのではなく、「この話、どこへ行くんだろう、なにがしたいんだろう」という先の見えなさだ。
それはそのまま、主人公ジェフ@さららんの生き方とシンクロしている。
なにをしたいのか、なにができるのかわからない。あっちふらふら、こっちふらふら、なにも考えていない男の子なので、流されるまま。
そのジェフの流される目線まんまに物語も進む。
この冗長さは、ジェフの一人称では間が持たないってことだ。
「なにがしたいかわからない」と流されているだけの子の一人称じゃあ、焦点がぼやけるよ。
強力な楔が必要だったな。
ジェフがふらふらして「俺は悪くない」とか言ってる横で、きちんと自分の役割と意識を持っているキャラクタの物語を展開させるべきだったなと。
たぶんそれは、デイモン@めおちゃんの役目だ。
主人公ひとりじゃ弱い場合、ライバルを立たせる。そしてふたりのコントラストで物語を進める。
今はギャングに飼われているちんぴらでしかないが、いずれこの世界でのし上がってやる、と思ってメラメラしている男、とかゆー位置づけでライバルキャラを立たせる。
なにをすればいいのかわからない主人公と、自分の道を歩いているライバル。
そしてひょんなことから、なーんにも考えてない主人公が、ギャングのボスに気に入られてしまう。ライバル、ショ〜ック! 地道にやってきた俺がいつまでも使い走りで、なにも考えてないあいつがいきなり運転手?
嫉妬メラメラ、天才に対する努力する凡人の図。
ギャングの世界に入っても、やっぱり主人公は「俺、これでいいのかなー」とのんきに首を傾げているし。
ジェフの性格も立ち位置も物語の流れも、全部そのままでいいから、デイモンの比重を上げようよ。
ジェフに対し、不穏な気持ちを持っている存在が見え隠れするだけで、緊張感が高まるから。このままですむはずがない、とあちこちで思わせるだけで、のちの物語への「引き」になるから。
あのわけのわからないDJはいらないから。
ものすげー「とってつけた感」があるんだよな、DJ。
わたしもやったことあるよ、あーゆーの。書いた文章がどうにもしまらない、冗長になってしまったときに、本文と関係ない思わせぶりな文章を要所要所に置くの。思わせぶりな詩とか韻を踏んだ言葉とか。そーやって、中身が薄いのを誤魔化すのな。テクニックとして、重宝してるよ。
でも、『BourbonStreet Blues』に関しては、あまりにとってつけたのがわかりすぎて、失敗してるよ。
DJを使うくらいなら、デイモンをもっとちゃんと書き込めばよかったのに。
彼を「楔」として、物語を引き締めれば良かったのに。
2幕は物語が動いてるからいいけど、1幕はだらけすぎてるよー。
エピソードも展開もいいから、あとはただ要所で「ぴしっ」と締める存在があればよかったんだよなー。
もっとも。
デイモンがめおちゃんである以上、そーゆー役割は無理かなとも思う。
ああ……。
めおちゃんはどーして、あんなにちんぴらが似合わないのでしょう……。
金属ジャラジャラ系のそれらしい格好をしているのに、ものすごく浮いてる……らしくない……。
そして、「いい人」なのが、透けて見える。
めおちゃんに似合う役は、きれいでやさしい人の役なんだろうな。真面目な貴公子とか。
悪役をやるにしても、とにかく上品な役でないと。
あんなにきれいなのに。
美貌をちっとも活かせてない。
もったいないなー(持ち味がかしげとかぶるなー)。
ジェフを描く際、彼になにが出来てなにが出来ないのかを、もっと明確にしてくれればなお良かったのになとは思う。
「車のことなら負けない」らしいが、ソレが出てくるの、ラストの台詞でだから。ものすげー唐突。あとづけ設定みたい。
最初から、「腕っ節の強さは神」とか「車に関してはかなりヲタク」とか、エピソードに絡ませればいいのに。
腕っ節については、ケンカがきっかけになって物語が進んでいるけど、どれほど強いのかをわからせてほしかった。
とゆーのも、やっぱりケンカシーンがどんくさくて、強そうに見えないんだわ。ジェフもそうだが、相手もあまりにヘボそうで。
ジェフが強いのか、たんに相手がバカで弱いヤツばっかだったのか、判断に困るよ(笑)。
ものすごーくケンカが強くて、度胸もいい。ドライビング・テクニックも超A級。……というなら、not学歴の男社会ではかなり優位に立てるはずなんだが、そのへんは触れられてないし。
ジェフの特技と、それを重要に思っていない現状を、エピソードで本編に活かしたらもっとクリアになったのに。
とはいえ、ジェフというキャラクタの描き方は、あれでいいけどなー。
あの幼さは、アリだと思う。
シンシア@れみちゃんとの、かわいい恋人ぶりも。
わたしは好きよ。
キャラクタも、物語も。
だからこそ、冗長さがもったいなくて。
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